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ピクシースパイス ―魔法少女大戦―  作者: 弥馬田 ぎゃん


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復讐者の協力者の過去 直訴編

私、加鳥花子は、弥馬田グフ子にビル5階ぐらいの高さから、落とされたものの、一命を取り留めた。

面接官に同行して、試験内容を監視していた柊 香子主任が、空中に魔法障壁を作り、落下途中で私を受け止めたのだ。

ほとんどの魔法少女は、18歳から徐々に魔法能力が減退していき、19歳で完全に力を失うが、一部例外がいて、19歳以降も現役の時と比べれば、微弱ながらも魔法が使える元魔法少女が存在する。

その例外の一人が柊 香子主任だ。

私は、柊 香子に感謝しなかった。

一命を取り留めたものの、私は、全身の骨という骨を骨折し、三ヶ月間寝たきりで、それ以降も中学生生活を車椅子で過ごさなくてはいけなかった。

それは、とても惨めな生活だった。あの時、死んだ方がマシだったと思えるような。

身体的にというよりも、精神的に惨めだった。

病院から車椅子姿で退院して、学校に登校して来た私をクラスメイトは、温かく迎えた。つもりだったのだろう。

「仕方ないよ。魔法少女になる試験なんて、100人受けたら、99人は落ちる超難関の狭き門なんだからさ」

「そう、上には上がいるっていうことよ。落ち込まない、落ち込まない」

彼女らは、励ましているつもりだったかもしれないが、私には、辛い言葉だった。

しかし、それよりも辛いのは、聞こえるか聞こえないかの距離で行われる陰口だった。

「あいつ、調子に乗り過ぎてたしさ。今回は、身の程を知るいい機会になったんじゃない?」

「まぁ、井の中の蛙だったって、今のうちに知れて良かったんじゃない。あのまま、世界の中心は、自分だって、勘違いしたまま、大人になったら、ヤバいじゃん」

「言えてる〜」

「っていうか、あいつが魔法少女になれるよう応援してた奴なんて、一人もいないっしょ」

「むしろ、みんな、あいつが試験落ちて喜んでんもんね〜」

「実質、友だち0。ざまぁ案件ですな」

私は、その陰口に何も言い返さなかった。私は、まだ逆転できるつもりでいた。私には、計画があった。

その為に必死でリハビリして、高校入学の頃には、普通に歩けるように、日常生活が送れるまでに回復した。

私は、しっかりと2本の足で歩いて、新大阪都庁の魔法少女課に向かった。

試験で負わされたケガの賠償金を受け取らず、弥馬田グフ子を法的に告訴しない代わりに魔法少女課人事部と直接の話し合い、直談判を行う約束を取りつけていたのだ。

弥馬田グフ子があの日、試験で私にやった事は、完全な騙し討ちだ。あんなことで、魔法少女としての素質が完璧に測れるわけがない。騙し討ちさえされなければ、あの日、勝っていたのは、私。合格していたのは、私なのだ。魔法少女になるのに、本当にふさわしいのは、この私に他ならない。

弥馬田グフ子のあの卑怯極まりない戦い方を懇切丁寧に人事部の人に説明すれば、人事部も本当に魔法少女にふさわしいのは、私だとわかるはずだ。騙し討ちに他の魔法少女がマジカルステッキ一つで戦っているのに、2個使い。コアブーストスターも2個使いで他の魔法少女より飛行スピードが速かった。

そんなのは、全然、フェアじゃない。

皆、同じ条件の下、戦うから、試験の意味があるのだ。

私は、いきなり魔法少女に採用されるのは無理でも、最低でも再試験は、受けさせてもらえると思っていた。

しかし、魔法少女課人事部の答えは、NOだった。



「キミ、弥馬田グフ子君の試験での戦い方が卑怯だとか言うがね。それ、戦場で魔人にも言うつもり?卑怯だって」



「そ、それは……」



「確かにね、キミが試験を受けた時に魔法少女課に提出した学校の内申書は、申し分ないよ。運動能力が高く、勉強もできたんだよね。ただね。言っちゃ悪いけど、キミ、普通だよ」



「はい?」

私は、魔法少女課人事部のおっさんが言っている意味がわからなかった。

私は、誰よりも優秀なはずだ。



「キミの魔法少女を志望した動機、昔から魔法少女になるのが夢だったから、だっけ?あの日、Bブロックの唯一の試験合格者の志望動機は、なんだと思う?友だちの付き合いで参加しただけ、だよ。つまりは、ね。そういう事だよ。どんな動機であれ、条件であれ、合格する奴は、合格する。魔法少女は、頭のネジぶっ飛んだ奴にしか務まらない仕事だよ。キミは、魔法少女になるには、まとも過ぎるんだよ」



私は、それだけ言われても、食らいつこうとした。今日を逃せば、私の栄光の道が完全に閉ざされる。完璧に立てた人生設計が狂う。私は、絶対、魔法少女になるべきなんだ。何故なら、私は天才なんだから。世界は、私を中心に回ってるんだから。

「でも、私を採用して頂ければ、弥馬田グフ子より成果を上げてみせます!!他のどの魔法少女より頑張ります!!」



魔法少女課人事部のおっさんは、深いため息をついた。

「あのね、大人になったら、わかることだけど、どの仕事をやるにしろ、頑張るのは、当たり前の事なんだよ」

私は、自分が悪手を打ったと気づいたが、遅かった。



「熱意だけで通る程、大人の世界は、甘くないんだよ」

と魔法少女課人事部のおっさんは、あきらかに話を終わらせにかかる。

私は、精神的に一歩退いたが、粘った。



「魔法少女課化学分析班に私を採用するというのは、どうでしょう?私の頭脳なら、かならず、お役に立てるはずです」

それが、私ができる最大限の譲歩だった。

魔法少女になれなくても、化学分析班でも魔法少女課に入りさえすれば、一応、陰口を叩いてきた元同級生達にも格好がつく。



「間に合ってる。魔法少女課化学分析班には、この国の頭脳の精鋭が集まってるんでね」

魔法少女課人事部のおっさんは、私を完全に切り捨て、最後にこう言った。

「まぁ、あまり落ち込まない事だよ。キミが魔法少女課に入れたとしても、どうせ、魔人にやられて死ぬだけなんだから」



帰り道、私は、絶望の淵にいた。

アスファルトの地面に膝をつき、気づけば、人目もはばからず、涙を流していた。



「私を認めない魔法少女課を私は、認めない!!私を拒絶した世界を私は、拒絶する!!私の成れなかった魔法少女なんて……」

私は、拳を強く握り、立ち上がる。

「一人残らず、全員、ぶっ殺してやる!!魔法少女を全員、始末して、私の方が有能で優秀だと証明してやる!!」

私の魔法少女に対する復讐は、こうして始まった。


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