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月夜譚 【No.1~No.100】

秘めた想い 【月夜譚No.51】

作者: 夏月七葉

 はっきりしないのは性に合わない。お茶を濁すことが大切な場合もあるのだろうが、自分にはそんな真似はできないだろうと思う。

 意見ははっきり言いたいし、言ってもらいたい。言いたいことがあるのに、言おうか言わまいか悩むのは時間の無駄だろう。言葉を待っている相手にも迷惑だ。はっきり物を伝えることが、相手の為にもなる。

 ――そう、ずっと思い続けてきたのに。

 なのに、どうしてだろう。自分は今、彼女に伝えたいことがある。言いたいことがあるのに、それを口に出すことを躊躇っている自分がいる。

 この言葉を伝えて、彼女はどう思うだろう。彼女の瞳に映る自分は、伝えたことで変わりはしないだろうか。嫌悪や拒絶を向けられはしないだろうか。

 そんなことばかりが脳内を支配して、怖くなって、結局彼女の前ではその言葉の片鱗も出せやしないのだ。こんなことは初めてで、今までの自分との違いに自己嫌悪に陥る。もやもやとしたこの感情が、酷く気持ち悪い。

 自室の隅で溜息を吐き、今にも溢れ出しそうな想いを堰き止めるように投げ出した足を引き寄せた。


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― 新着の感想 ―
[一言]  恋の香りが惑う彼の心と相まって、何とも良いですね!  ありがとうございました。
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