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【マルチエンド】追放勇者は孤独の道を征く  作者: 空夜キイチ
第二部:白麗の変革者 第七章
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因縁の関係

 

 彼の話は理解できる。しかし、納得はできないものだ。

 何を言われたって、街に住む人々や彼らを守る兵士たちは魔物の襲撃に困り果てている。それの元凶がこの四災であるというのならば、やめてもらわなければ。


 今の口振りでは、ヴァルグワイを一度撃退しただけでは意味を成さない。そもそも殺したわけでもないし、やろうと思っても身体を再生出来るのならば無力化は難しいだろう。


 となれば、フィノが出来る事は一つだけだ。


「それでも、街を襲うのはやめてほしい。どうしてそんなことするのか、目的はわからないけど……みんな困ってる」

「その願いを我らが聞く義理はない。例えお前が交ざりものではない、純粋な森人であったとしてもだ」


 きっぱりと言い切った四災の言葉を聞いて、フィノはあることが気になった。

 どうしてか、彼は森人(エルフ)に固執しているようにみえる。先ほどの彼の文句も、今の交渉の返答だって。

 過去にエルフとの間に何か因縁があったのだろうか?


 気になったフィノは、なるだけ刺激しないように言葉を選びながら四災に尋ねた。


「あの……エルフと何かあったの?」

「ああ、お前が知らないのも無理はないか。知りたいならば話してやろう」


 四災は少しの間、思案したのちにフィノにあることを問うた。


「お前はこの世界の成り立ちを知っているか?」

「う……あんまり」


 かぶりを振ると、四災はそれを見て仕方ないなと嘆息した。そして、長い昔話を始めたのだ。




 ===




 遙かいにしえの時代。

 上位者である存在はそれぞれが管轄する領土を取り決めることにした。そしてそこを自らの遊戯場としたのだ。


「各々が自らに似せた眷属を生み出すなか、我らが最初に創りだしたのは森人ではない。それは二番手だ」


 森人の四災が最初に創りだしたもの。それは神木の苗木だった。彼はそれを大地に植えて、その後に森人を創ったのだ。


 その話を聞いて、フィノは疑問に思う。

 どうして彼は神木なんてものを最初に創りだしたのだろう? もちろん、それが凄いものだということはフィノも知っている。

 でも、それほど重要なものだとは思えないのだ。


「我らが先に神木を植えた理由は、ある賭け事をしていたからだ」

「……賭け事?」


 思ってもみない事を言い出した四災に、フィノは怪訝な眼差しを向けた。

 その視線を一身に受け止めて、彼は続ける。


「かつて地上に四つの種族がいたことは知っているか?」

「う、うん」


 問いかけに、フィノはユルグの手記に書かれていた内容を思い出す。

 それぞれの四災は、自らに似せた眷属を創りだした。人間、森人(エルフ)――以前出会った竜人(ヤト)、最後に機関の身体を持つ機人(マグナ)


 最後のはフィノもどういう存在なのか。想像がつかない。なんでも、鉄の身体を持つ生物であるらしい。話だけを聞いてもさっぱりだ。


「その中の一つ、機人(マグナ)は朽ちぬ身体を持ち、寿命が存在しない。それと我らが用意した神木、どちらが先に朽ちるか。競うことにしたのだ」


 彼がいう神木とは、永遠に成長し続ける巨木。成長が止まらなければ朽ちることもない。しかしそれは外的要因がなければの話である。


「我らが生み出した森人とは本来、神木の番人をするものだった。しかし、神木が倒れた今となってはその制約も無いに等しい」


 エルフは創造主の手のひらから零れていってしまった。だから、森人の四災はエルフに対して良い想いを抱いていないのだ。


「……そうだったんだ」

「ゆえに我らがお前たち森人の願いを聞き入れることはない。この先、何をしようともだ」


 彼の意思は固いようだ。

 今の話を聞いて、フィノも一応納得は出来た。けれど……所々に謎が残る。


 ――特別な代物だった神木が倒れてしまったこと。

 外的要因といっても、自然災害などで簡単に倒れてしまうとは考えにくい。そんな柔なものであっては四災だって賭け事にはならないだろうし、彼の話し振りでは森人が神木に何かをしたという感じでもなかった。


 神木とはエルフにとって特別なものだったのだ。信仰の対象でもあったし、それを守護していた。大事にしていたものを悪しように扱うとは思えない。

 きっと他の要因があって神木を失ってしまったのだ。そのせいでエルフたちは拠り所をなくし、今の状態になったというところだろう。


 ――機人(マグナ)の存在と、その所在について。

 四災の話では、その機人というものは朽ちることがないという。だったら今の時代にだって残っていてもおかしくはない。

 それなのに、フィノはもとより五百年生きていたエルリレオでさえ、そのような存在をしらなかった。


 つまり、何かがあって竜人と同様に機人は滅んでしまったということだ。


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