幽霊は殺された?
「じゃ、このお姉さんは幻覚を見たってこと?」
「多分」
二人の会話で現実に引き戻される。
危ない危ない…。
「でも、だとしたら何でこんなピンピンしてんだろ?」
「幻覚を見る人って意識が朦朧するとか変なことを言ってたりしそう。…死体愛好者も十分変だけど、一応会話は成り立ってるし。」
「一応会話は成り立ってるって、一応じゃなくてちゃんと成り立ってますから!!」
そこまでおかしかったですか、死体愛好者!
「うん…そう、そうなんだよなぁ」
「ですよね?ちゃんと会話は成り立ってますよね?」
「黙ろっか」
「私はうるさい子供ですか!?」
ちょっと自覚あります!!
「俺が出会った人たちもそんな感じだったんだ。なんというか…会話が噛み合わない。でも、義姉さんは生前からこんな感じなんだ」
「ふーん、生前から旦那のことを死体愛好者扱いね」
「そんなことしてないです誤解です!!!」
本当に、今回のは現実逃避だったから!!
「ま、幻覚かわからないなら確かめに行けばいいんでしょ」
「あ、そっか。兄さんの家を見に行けばいいんだ。合鍵持ってるし。」
「…でも、普通隠しますよね?」
私の遺影にスノードロップなんて置いてるの見られたら、私を殺したのか疑われそうだし…って、え!?
「待って待って、私の事を祐樹君が殺した可能性もあるよね!?」
「…いやでも、兄さんは義姉さんのこと愛してたでしょ?ほら、第一動機が…」
確かに、祐樹君は私に優しくしてくれたし、しょっちゅう愛してるって言ってくれた。疲れてるのに残業の帰りにケーキとかも買ってきてくれた。
でも…
「…でも、それじゃあスノードロップを贈らない。だって、スノードロップの花言葉は君の死を望むでしょう?」
「…でも」
「知らないはずない。祐樹君と二人で、スノードロップの花言葉についてテレビで見たことあったし、元から知ってるみたいだった。有名だよねって。」
そう、あの花は見覚えがあったんだ。
私が死ぬ数日前にテレビで見た、スノードロップだったから。…あ、でも
「…そういえば、そもそも私が見たスノードロップは幻覚かもしれないんんだった。」
「「あ」」
「てゆうか、祐樹君のアリバイあったよね。」
なんか色々忘れてたけど、前提がおかしかったわ。
だって、そもそも私は幻覚を見たかもしれないって話をしてたし…
「祐樹君のアリバイ証人はここにいるもんね」
「ここ…?お姉さんじゃないだろうし…あ」
「弟の俺だよ」
そう、アリバイ証人とは弟君だったのだ。
祐樹君と事故が起こる数分前に一緒にいて、祐樹君が右の部屋行くのを見ていたから。
左側にある事件が起こった階段に行くのを弟君が見ていないから、アリバイが証明されたってこと。
「そ・れ・を、早く言いなさいよ〜!!」
「いや、言おうとしたんだけど…理不尽だ」
ごめん、私が遮ってたかも。
それと本当ごめんね、祐樹君のことを殺人犯扱いして…。