幽霊は幻覚を見るのか
「いやでも、あながち間違いじゃないと思うんだよね。…ほら、義姉さんって幽霊だから。」
「え?幽霊って幻覚見んの?」
弟君曰く、幽霊は幻覚を見ることもあるのだとか。
あ、なぜそんな豆知識みたいなこと知っているのかというと、弟君は霊能力者だかららしい。
なんでも、霊感が高くて幽霊が見えるのだとか。
だから私が見えたんですね!
よく幽霊たちの相談相手になったり、生者と死者のコミュニケーションをとるお手伝いをされているのだとか。
で、今の豆知識は時々、幻覚とか勘違いとかが多い幽霊さんがいたからわかったことだ。
「でも、たまたまその人たちが幻覚とかそうゆうのを見てんじゃないの?」
「…確かに、共通点とかってないんですよね?」
そう、問題は共通点だ。
幻覚などの症状が出る幽霊さんは、時々しか現れず、たまたまで済ませられるくらいの頻度なのだ。
「それに、あんたの話だとその幽霊たち、可笑しくなって最後は自我が消えるんでしょ?このお姉さん全然そうゆう感じはしないけど」
「…だよなぁ。義姉さん生前と変わりないし。…でもなぁ」
弟君はブツブツ独り言をつぶやいて悩み始めてしまった。
そう、私は生前となんんら変わりないのだ。
体から黒いモヤモヤとか、赤い血が出てるとかでもなくて、グワァとかギェとかゾンビみたいな鳴き声もしていない。…幼児のようには泣くけど。
「それにしても、この間やってた映画みたいですね、それ」
「あぁ、何だっけ?テレビでやってた…確か続編が出るんだよね。」
「そうそう…確か主人公と友達になった幽霊が、49日が近ずいて自我がなくなりかけ…って」
「「「それだ!」」」
そうか、49日かぁ。
よくドラマとかでもあるよね〜!49日が過ぎるとか近ずくと可笑しくなっちゃうものだよね、幽霊って。
「確かに、可笑しくなった人たちはみんな、一ヶ月くらいみかけた!もうすぐ49日だったんだ」
「ドラマとかじゃあるあるよねぇ」
どうやらお二人は納得らしい。
でも、私は納得いかない…いや、釈然としないというか。
「…私、本当に幻覚なんて見たかな?」
な〜んだかしっくりこないのよね?だって、彼の姿は現実だろうと思えるほど鮮やかっだたから。
「確かに、義姉さんにそれが当てはまらないとな」
「あんたの義姉さんが死んでどのくらい経ったの?」
えーと確か、私が死んだのが7月上旬だったから…
「今日は8月1日…ちょうど一ヶ月くらい経ってる」
「もうそんなに経つのか…」
一ヶ月はあっというまだ。
死んで、どうしようって思ったら祐樹君か泣いてて…この人の側にいようと思った。
それから家に居た。時々祐樹君の会社に遊びに言ったりしたけど。
生前と殆んど変わらなかった。
祐樹君が会社に行ってる間、テレビ見たりゴロゴロしてたり。
幽霊だから家事はちょこっとしかできなかったけど、祐樹君が忘れっちゃったところをお手伝いしたりもした。
そう、殆んど生前と変わらない。私を彼が見れないだけ。それだけなんだ。
…見栄を張りました、全然ちょっとじゃないよ。
祐樹君はずっと悲しそうだったし、私の声は届かない。
いくら声を張り上げても、祐樹君から返事は返ってこないんだ。てゆうか見栄って何なのさ…