物語の始まり始まり
「君にスノードロップを贈るよ」
そう彼が言ったのを、信じたくなかった。
だってだって、大好きなんだもん。
彼のこと、この世で一番大好きで、愛してる。
だから、もう彼に姿を見せることもできない私は、もう聞きたくないと、涙を流しながらその場から逃げ出した。
「えっとぉ…」
少し引いたような顔の弟君、そんな顔しないでください…
お願いですから義姉さんをそんな目で見ないでくださいぃぃ!居た堪れない!!
「うっうっうぅぅぅぅぅ…」
まあ、それも現在幼児のように大泣きする義姉さんこと私が原因なんですがね。すみません。
「うわぁぁぁぁぁん!!!」
「落ち着いてもらえないかな…?ここ、一応…」
ごめんなさい、落ち着けないです。
あとホントごめんなさい、こんな街中で大泣きしてしまい。私の声は貴方にしか聞こえないでしょうが…貴方にとっては煩いですよね…。
でも、でもでもだってだって…
「祐樹ぐんがぁ、
ゆうぎぐんが死体愛好者だったなんてぇぇぇ」
「やめて、あれでも兄だから!聞こえてないだろうけど叫ばないでぇぇぇ!!」
そしてそこに現れた少女は呟くのです。
「いや、ナニコレ?」
それがきっと、この物語の始まりだったのでしょう。
霊能力者と死霊術師、そして幽霊と謎と恋。そして始まるーー