Scene 2-5:片鱗を見せ始める“影”
2週間ちょい振りです。お待たせしました。
アーク
「読者数4桁突破!…で?だから何?」
ミント
「うわ、ふてぶてしい!」
↓本文ごー
‐ACT8‐
「「「…はぁぁ……。」」」
力無く溜め息を吐くのは、ミント、ウェニー、リトルの三人。
三人ともしっかり目に隈をつくっている。
「なんだ、皆元気ないね。どした?」
「「「あなたのせいでしょうが!!」」」
そうなのだ。
結局、アークとミントの騒動(?)は夜が明ける直前まで続けられ、皆が皆(何故かアーク以外)寝不足なのだった。
「…嬢ちゃん達、大丈夫か?」
「大丈夫でしょ。」
「「「あんたが言うな。」」」
様子を心配してくれた棟梁の言葉も、アークの前では水泡に帰してしまう。棟梁も呆れて物が言えないようだ。
そんな棟梁を他所に、一人元気なアークを先頭に宿を、街を出るのだった。
一行が目指す場所は、大陸の南東に位置する洞窟“ポリダ=ケイヴ”。その洞窟の前には谷があり、橋が一つだけ架かっている。
しかし、ここ最近誰かがこの橋を占拠し、洞窟に近付く者を追い払っている、と言う。
以上が街で得た情報である。
「どうします?交渉したり出来ないでしょうか?」
「多分無理ッスよ。その占拠してる奴らっていうのは、恐らくあいつの仲間ッス。オレ達の事は既に知られてる可能性があるッス。」
「そうだね。十中八九、あたしらの邪魔をしてくると思ってた方がいいね。」
「まあ、そん時は正面からぶつかればいいじゃん。とりあえず、大陸の反対側に吹っ飛ばせば大丈夫だろ。」
「…どうやって大陸の端まで吹っ飛ばすつもりですか?」
「アー〇パーーンチ!で…」
「吹っ飛びませんよ?そんな簡単に人間吹っ飛びませんよ?」
「大丈夫、きっと出来る!」
「どこからその自信が来るんですか!?」
「勘!!」
「アバウト!!」
周囲の目など、何のその。今日も二人はコントに勤しみます。
残り二人は、当然の如くスルーである。
「って置いてかないでくださいよ、二人とも!」
「あ、放置プレイか。」
「いや、違いますよ!!」
そんな漫才をしながら、ようやく街を出るのであった。
ポリダ=ケイブまでの道程はさほど険しいものではない。ものの数時間で辿り着く。
その道中、一行は魔物に全く出会わなかった……否、人間や動物などの『命の気配』すら感じられない。
それは、何者かの意図によって動かされているかのように……。
「静かだな。」
「ええ…。すごく、不気味です。」
「奴らが何か仕掛けて来てる可能性があるね。皆気を引き締め……ッ!!」
ザザッ!
「…囲まれたッスね(気配が感じられなかった……、あの時と同じ…?)。」
「チッ、面倒だね。」
今まで誰もいなかった彼らの周囲を、十人程が囲い込んだ。皆、一言も発しない。
それよりも不気味なのは、その十人が全員『死んだような』目をしていることだ。虚ろな眼差しで四人を見据えている。
「…やーな感じ。さっさとブッ倒しちまうか。」
「賛成だね。」
四人は各々、戦闘態勢に入る。
「フッ!ハッ!ヤッ!セイヤ!!」
迫り来る攻撃の雨を、アークは最小限の動きで受け流していく。そして、攻撃に失敗した為に隙が出来た敵の胴に、掌低を叩き込む。
後方に吹き飛ぶ男達。しかし、すぐに受身を取って態勢を整え、再び向かって来る。掌低故に、その身にあまりダメージは無いようだ。
「ハァ、しょうがねぇ。魔術も使うか。」
出来れば後に控える戦いのために魔力を温存したかったアーク。しかし、そうはいかないと悟った彼は、その掌に魔力を込めていく。
一人の男が彼に斬りかかる。それを受け流し、そして…
「追雷掌破!!」
…男の胴に掌低が叩きこまれ、距離が開いた瞬間に電撃の塊を放った。
技を喰らった男は、かなりのダメージを負ったようだ。
他の男達が、再びアークに攻撃を仕掛けようとしている。
「雑魚四人ぐらいで、俺を倒せると思うなよ?」
アークは、残り三人の男達と対峙する。
「派手にやってるねぇ、アークは。」
迫る敵の攻撃を長剣で捌きながら、ウェニーはそう呟く。
相手にしているのは、三人の男。それぞれが短剣で攻撃を繰り出してきている。
「チッ…こっちも魔術使うしかないね!」
三人から距離をとり、左手に魔力を込める。そして…
「不気味な奴らは吹っ飛びな!水撃×3!!」
…ウェニーの掌から三つの水球が敵に向かって飛んでいく。直撃した男達は、後方へ吹き飛び木に背中を打ち付ける。
すぐに起き上がれない様子を見ると、かなりダメージがあったようだ。
「(…?何かが違うね。人間や魔物を相手にする時と何かが…)。」
ハンターとしての経験からか、男達に違和感を感じ取ったようだ。ウェニーは、その朧気な感覚に顔をしかめる。
「…っと。今は倒すことに集中しないとね。」
気合いを入れ直し、態勢を整えた男達に再び対峙する。
「クッ!しつこいッスね!」
そう怒声を張るのは、リトルだ。魔弾を乱射し続け、傍らのミントに攻撃の手が回らないように動く。召喚詠唱が必要であるミントは、どうしても接近戦が苦手だ。前線に立つ二人に代わり、リトルがフォローに回っているのである。
彼が声を荒げるのも仕方がない。魔弾により肩が、腹が、額が撃ち抜かれても、男達は攻撃の手を止めないのだ。
「化け物にも程があるッスよ……焔装、破弾!」
リトルは、銃に魔力を込める。そして、炎の弾丸が放たれる。敵に着弾すると、その弾丸が破裂した。
爆撃を至近、もとい零距離で受けた男の一人は、爆発により肉体が四散する。
後には、何も残らない。しかし、攻撃を受けなかった残り二人が迫って来る。
「まだ来ます!」
「怯みもしないッスか、人形みたいッスね!」
非人間染みた敵の行動に辟易しつつも、残り二人と対峙する。
「…ふう、終わったね。」
およそ一時間後、ウェニーは三人の男達を退けたようだ。起き上がる様子がないところを見ると、戦いは終わったことが分かる。
「そっちも終わったッスか?」
「なんとか、ね。それより、こいつら…。」
「ええ…、『生き物』らしい感じが全くないですね…。」
リトル達も戦いを終え、ウェニーに合流する。お互い、同じ印象を抱いたようだ。
「ところで、アークさんは?」
「ああ、あいつはあっちにいるよ。四人も相手にしてたけどね。」
「相変わらず、無茶な人ッスね〜。」
そんな言葉を二、三交わしつつ、アークの許に向かう。
「……………。」
アークは体を洞窟がある方へ向け、沈黙を保っていた。その背中からは、普段のおどけた雰囲気は読み取れない。
「アーク、どうだい?そっちも終わったか…。」
ウェニーが全てを言い切る前に、左手を横に出しそれを制する。すると同時に、倒された男達から『何か』が這い出てくる。
「これは…!?」
「…ヒッ!?」
「どうしたッスか、ミント…ッ!?」
リトルやミントが見たもの、それは『何か』が抜けた男達の体が、急激に腐っていく様であった。
後には白骨だけが残る、不気味な光景だ。
「…どういうことだい、これは…?」
「さぁな。ともかく、敵さんにはもう気付かれてるし、邪魔もされるってことだ。」
四人は気を取り直し、目的の場所“ポリダ=ケイヴ”へと向かう。
十分ほど歩いたところで、目的の洞窟についた一行。洞窟は何の変鉄もなく、佇んでいる。
「…いるな、この奥に。」
「ええ…『残り香』が漂ってますね。魔力と違う『何か』が…。」
そう、洞窟そのものになんら不思議なものはない。しかし、その奥から放たれる『何か』が、四人に恐怖のような何かを感じさせるのだ。
敵は、間違いなくこの洞窟の奥にいる。そう確信させるだけの空間が存在する。
「よし!じゃあ例の男とやらを倒しに行こうか!」
「勿論ッス!」
「ええ、行きましょう!」
「………………。」
「…?アークさん?」
「…ん?…ああ、悪い。そんじゃそのおいたが過ぎる奴の許に急ごうか。」
「え、ええ(どうしたんだろう、いつもと様子が違う気がする…)。」
アークの態度をミントは不思議に思いつつも、二人は先を歩くウェニー達とともに、洞窟の中へと入って行く。
これから始まる戦いがアークに変化をもたらすことを、彼自身もまだ気付いてはいないのであった…。
いやー、内容が思い付かないし、個人的に大地殻変動があったりで更新出来ませんでした!
次はなるべく一週間以内に投稿する!
アーク
「約束は破るためにある!」
ミント
「こらー。」
今度はきっと大丈夫!保証します!
家の中より外のほうが涼しいってどうなんだろ、と思う、喜劇作家でした。