Scene 2-1:東へ行こう
新キャラ&ニューワードで、今回の物語が展開します。
アーク
「冒頭で空白になった部分があるけど、わざとなんで、そこんとこ4649♪」
ミント
「…よんろくよんきゅう?」
4649=ヨロスクm(_ _)m
てな訳で、本文GO!
‐ACT4‐
「…何処だ、此処は。」
――分かってるクセに、訊くんだね。
「…うるせぇな、こちとら記憶喪失なんだよ。」
――『痣』見て思い出した記憶あるのに、何言ってんだか。
「…へっ、なんでもお見通しってか。」
――まあ、ね。
――それより、教えてあげれば良かったのに。
「何をだよ。」
――それも分かってるでしょ?
――『きっかけ』、あったじゃん。
「…今は言うつもりねぇよ。」
――今は、ね。
――時間だよ。君の刻が、動き出す。
「…ああ。またな、“ ”。」
「ん…。」
目が覚めたアーク。椅子に座っている。
辺りを伺う。二人はまだ眠っているようだ。
「やっぱ、椅子じゃ眠りが浅いか。」
彼は呟く。
時刻は明朝。うっすらと陽の光が部屋に射し込んでいる。
「…もう少し寝かせとくかな。」
騒がしい出会いの日のこと…といっても昨日なのだが…を思い返し、二人を起こさないようアークは部屋を出た。
「ぅん…。」
段々と射し込む量を増してきた陽の光に気付き、目を覚ますミント。
寝ぼけ眼を擦ると、目の前にぼんやりと何かの影が…
「あ、起きた。」
「……………ッッッッッッッツ!!」
キャアアアアアアアアァァァァァァァァッ!!
…目と鼻の先に、アークがいました。
「な、な、ななな、何で、なんでわたしの隣にいるんですかぁ!?」
「寝顔観察実験同好会。」
「何ですか、それは!?何を実験するつもりですか!?」
朝っぱらから騒がしい二人である。
さすがに、この騒ぎで今の今まで眠っていたウェニーも起き出す。
「ん〜、朝っぱらから何騒いでんだい。」
「だ、だって、目を覚ましたら、真横にアークが!」
「あーはいはい。あんたらが仲良いのは分かったから、飯喰ってさっさと出るよ。」
「そ、そんなんじゃ無くて〜っ!」
ミントの必死の訴えも、暖簾に腕押し、豆腐にかすがい、糠に釘。つまり、無意味なのであった。
食事を済ませた三人は、宿を出て次の目的地をどうするか考えていた。
「此処からは東に向かったほうがいいかねぇ。」
「なんでだ?」
「東の大陸には、お伽噺に出てくるような、神秘的な場所が数多く存在するそうですよ。」
「ほ〜。」
「あんたの髪とか瞳の色はあんまり、というか全く見掛けないからね。もしかしたら、と思ってね。」
「俺の記憶の手掛かりになるんじゃないかって訳か。」
「そういうことさ。」
そんな話をしていると、町の長達が彼らのもとへ向かってきた。
「もし。昨日の盗人共を懲らしめてくださったのはあなた方かな?」
「はい、そうですが…何か用事ですか?」
「いやいや、用事と言うほどのものではないですじゃ。町の代表として、礼を申したくての。」
「昨日は誠にありがとうございました!」
「いや、そんな礼を言われるような事はしてないよ。人として当然の事をしたまでさ。」
「いやぁ、それにしてもお強い方々だ。魔術も使えるとは、お見それいたしました!」
「いえ、そんな、大したことではないですから…。」
「その上、皆さん綺麗な顔立ちをしてらっしゃる。まさに、才色兼備ですな!」
「まあね!!」
『いや、ちょっとは謙遜しろよ!?』
綺麗にハモる皆のツッコミ。
アークの辞書に『遠慮』と『謙遜』は無いのである。
「時に、これからどちらに向かわれるのですかな?」
「えーと、此処から東の方にある“アルテ=プラジア”って街に行こう、と思ってるんだよ。」
「アルテ=プラジア、ですか…。」
「?何か問題が?」
「いや、実は最近その街へ向かう道中に、昨日の輩のような盗賊が頻繁に出没するらしいのですじゃ。」
「盗賊?」
「ええ。幸いにも、致命傷を負った者は未だ一人として出ておらんのですが、どうやら魔術を使う者が何人かいるようで…。」
「成る程…。」
「お三方共、気を付けてくだされ。奴らは旅の者を狙っているようです。」
「分かった。ご忠告、感謝します。」
「うむ。旅のご武運を御祈りしておりますじゃ。」
町の長達に別れを告げ、東側の出口へと三人は向かっていった。
町から街へと真っ直ぐに整えられた街道を歩いていく三人。雑木林の美しい景色を楽しみつつ、談笑…主にアークとミントのコントである…しながら進んでいく。
今のところ、盗賊らしき姿は見えないが、油断は禁物だ。
「そういや、ウェニー達ってハンターなんだろ?なんであの町にいたんだ?」
「依頼の目的地があそこだったんだよ。あたし達は大陸の南の方から来たんだけどね、ミントは新米な上にかなーり箱入りでね。社会勉強も兼ねて、依頼を受けながら旅して来たんだよ。」
「ミント、箱入りなん?」
「筋金入りの、ね。“カムカンポ”って村の時なんかね、その村の名産が小麦で、『これがパンになるんだよ』って言った村人にね、『じゃあパンを植えたら、小麦になるんですね!』だよ?あたしゃ自分の耳を疑ったね、あん時は。」
「もう〜!しょうがないでしょう、小麦粉なんて知らなかったんだもん!」
「うわ〜、引くわ〜…。」
「…泣いていいですか?」
と、そんな馬鹿な話をしていた三人の前に、上空から突然人が現れた!
「ッ!!」
「怪我したくなかったら、大人しく金目のモノ置いていくッスよ。」
恐らく木の上から飛び降りたであろう男は、濃紅の髪と瞳を持ち、ハンティング帽を被っている。
彼の腰元にはガンホルダーがあり、左右二丁ずつの拳銃が確認できる。
「「「……………。」」」
「…何スか、その目は?」
三人が呆然としているのは、その男が放つオーラに圧倒されているためではなく、『〜ッス』口調が気になっている訳でもない。
簡潔に言うと、彼は非常に、
そう、成人男性にしては非常に、
小さかったのだ。
その身長は恐らく150cmもない。
「わ〜、ちっちぇ〜♪」
「わ、ちょ、何するッスか!」
光を超える速さでその男…少年と呼ぶ方がしっくり来る…に近付いたアークは、その頭をグシャグシャと撫で回す。
突然の行動に、その少年も焦る。
「「(速い………)。」」
あまりの行動の速さに、さらに呆然とするしかない二人。
ウェニーは何処と無く羨ましそうではあるが。
「〜〜〜ッ!いい加減にするッスよ!!」
「ッ!」
バシュウッ!!
さすがに我慢の限界だったか、瞬時に右の銃一丁を取ると、瞬きの間もなく撃ち抜く。
間一髪身を捻りそれを避けたアーク。放たれた弾丸を、首を掠めつつも避けた反応速度は人並ではない。
しかし、もっと驚くべきはその『弾丸』だ。
鉛の弾が放たれるはずのその銃口からは、『魔力の塊』が撃ち抜かれたのだ。
「な、何だいその銃は!?」
「知らないんスか?『これ』造るのが、うちの家業なんスけどね。」
「家業…、まさかっ!?」
何かに気付いたミント。それを確認した少年は、答える。
「オレの名は“リトルネロ=サラマンダー”。
〈四聖〉の【炎穿】、“フレイム=サラマンダー”の直系の子孫ッスよ。」
新キャラ出ました。
リトルネロ君です。
そして「四聖って何よ?」なとこで終わっちゃったですが、次話で軽く解説しますんで、ヨロスク
ミント
「(気に入ったのかな、その言い方…)。」
インフルが若者に大ブームな日の、喜劇作家でした。