表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/37

#12.2 風の便り

爽やかな初夏の風が高原に吹く頃。


その高原でケイコとマチコは、これから何をするか相談している最中です。勿論、遊ぶ内容についてのことです。これが春先であればタンポポで遊ぶとか、夏であればサーフィンをするなどですが、生憎と中途半端な季節、それで悩んでいるという訳です。


「探検に行こう」


名案が浮かんだケイコです。但し、飽くまでプカプカと浮かんできた『だけ』です。その証拠に空を見上げながら言っていたからです。しかし、そんなことは先刻お見通しのマチコです。


「はあ? どこによぉ。なんか当てでもあるのぉ?」と本気にはしていないです。それに、

「さあ」と答える通常運転のケイコでした。


ビューン、ソワソワ、アレレのレ。


そんなやり取りをしていると、急にケイコの家に引き戻されたケイコたちです。呼んだのはヨシコ、カッコよく言えば召喚、呆れるケイコたちです。


「ちょっとぉ、ヨシコぉ、何してくれてんのよぉぉぉ」


呼び出した張本人であるヨシコに詰め寄るマチコです。もちろん、その後ろで何か言いたくてウズウズしているケイコです。そしてあれこれと考え、やっと

「ちょとおおお、ヨシコおおお、いけずううう」と言うことが出来ました、これですっきりのケイコです。


その逆、全然スッキリしていないヨシコ、


「あんたたち、それどころじゃないのよおおおおおおおおお」と血相を変えていました。それに「「あっそ」」のケイコたちです。


「何をそう慌てておるのじゃ、ヨシコおばさんや」

「そうだよぉ、おばさん」


ケイコに続けてマチコの『おばさん』口撃に、今回ばかりは怯まないヨシコおばさん、反撃です。


「つべこべ言ってないで、これを見るんだよー」


ヨシコが『これ』と言ったとたん、目の前に大きなスクリーンが登場、ちょうど大型テレビっといったところでしょうか。そこに映し出されたのは、なんと、ニュース番組です。それもニャーゴ、ニャージロウ、そしてノリコが出演しています。その番組こそ、『風の便り ニュース』、だそうです。


「風の子の皆さん、こんにちは」


ニュースに驚いているケイコとマチコをよそに、ノリコがニュースを始めました。因みに、画面の中央にニャーゴ、その右側にニャージロウ、そして画面の隅っこにノリコが写っています、続けましょう。


取り敢えずノリコの挨拶に、こちらも「こんにちはー」と返すケイコとマチコ、序でにペコリです。そしてその画面に向かって、


「ノリコや、元気そうでなによりじゃ」と偉そうに応えているケイコです。それに、

「あんたぁ、あの子と知り合いなのぉ」とマチコが尋ねると、

「いかにも。旅の途中で、途中で、途中で、の友じゃ、うん」のケイコです。


そんなケイコたちに、

「ほれ、あんたたち。ちゃんと見るんだよ」と喝を入れるヨシコです。

「「は〜い」」


そうして、漸くニュース番組がノリコの司会で始まりました。


「ニュースをお知らせ、です。

最近、世界各地で風の子が行方不明になる事件が起きてるにゃ、です。

遊んでたら、どっかに行ってしまったシマコ、

遊んでたら、どっかに行ってしまったサチコ、

遊んでたら、どっかに行ってしまったリンコ、たちたちですにゃ、です」


「ちょっとぉ、この子、大丈夫?」と、ノリコの説明に心配するマチコ、

「大丈夫にゃ」と太鼓判を押すケイコ。その語尾の、

「にゃぁ?」に疑問なマチコです。


そんな視聴者の不安や疑問を払拭しようと続けるノリコです。


「任せてください、にゃ、です。

続けるですよ。唯一生き残ったミツコさんに聞いてみました、です」


「あれあれ、みんな死んじゃったのぉぉぉ」

『生き残った』に反応したマチコが驚きの声を上げましたが、それを、手をブラブラさせて制止するケイコ、


「静かに聞くんじゃもん」と言い放ちます。

「もん?」


またまた語尾が気になるマチコですが、画面の中央に神妙な(おもむき)のミツコが現れ、ニュースが続きます。あっと、中央に居たニャーゴは左にずれました。


「こんにちは、ミツコです。

私は、これを捕獲しました。見てください、これなんです」


画面全体に映し出された黒い物体。それはミツコが捕えた正体不明のドローンです。それを見たケイコが何時ものように、


「なんじゃあああ、こらあああ」と叫び、

「なに? それ」と不思議がるマチコ、

「あんぎゃあああ」と悲鳴を上げるノリコ、画面から消えてしまいました。


それでも、まだまだ続くミツコの怨念、いえ、説明です。

「これは間違いなく宇宙人が侵略のために作った機械なのです」

ミツコの恐ろしい口調と断言に、

「なんじゃあああ、こらあああ」と涙を堪えならが叫ぶケイコ、

「なに? それ」と冷静なマチコ、

「あんぎゃあああ」と画面には映っていませんが、どこかで叫ぶノリコの絶叫です。


それでも、まだまだ続くミツコの執念、いえ、説明です。

「疑う方も、信じられないと言う方もいるでしょう。でも残念です、本当のことなのなのです。ほら、その証拠に、これ自体が白状したのです。さあ、観念して正直に話すのです、さあああ」


ミツコに拘束されたドローンがプルプルと震えながら苦しがっています。しかし、容赦しないミツコに観念したのか、か細い音で、

「ピコピコピー」と証言したのです。それを聞き届けたミツコ、

「ほら、今、『そうだ』と言いましたよ。大変なんです! みなさん」と勝利宣言んです。それに、ほぼ泣いているケイコが、

「なんじゃあああ、こらあああ」と叫び、

「なに? それ」と興味なさそうなマチコ、

「あんぎゃあああ」とどこかで叫ぶノリコです。


たぶん、次が最後の一押し、念には念を入れてのミツコです。

「皆さん、気をつけてください。これで風の子たちが誘拐されたのは、間違いありません! きっとどこかで泣いているはずなんです!」


最後の一押しで、とうとう泣き出したケイコ、

「なんじゃあああ、こらあああ」です。

「あれ? 死んだって言ってなかったっけぇぇぇ」と何時も冷静なマチコ、というか、余り関心を寄せていない風でもあります。


「にゃー、にゃー、にゃにゃー」


これはニャーゴでもニャージロウでもなく、ノリコの鳴き声、いいえ、泣き声です。それを聞きつけたケイコは自分の涙を拭い、

「しっかりするのじゃ、ノリコ」と励まし、

「はい、にゃ」と、なんとか持ち直すノリコ、その語尾に

「にゃぁ?」と不思議がるマチコです。


ここで、画面から消えていたノリコがニャージロウに乗って再登場、画面に向かって、

「ということにゃ、です。みなさん、どうしましょう」と涙ながらに訴えたのでした。それに、毅然と立ち向かうケイコ、体がプルプルと震えても、です。

「どうもこうも、うむ、決まっておるじゃろうて」

「そうですよね」とケイコの檄に勇気を奮い立たせるノリコ、

「はあ?」と、何が決まっているのか分からないマチコです。


勇気を貰ったノリコは、涙を拭い、司会を続けます。

「でも、どこに居るのしょうか、にゃ〜」

「う〜む、それが問題じゃ」と考え込むケイコに、

「それは、問題ありません」とキッパリのミツコ、いきなりの再登場です。

「なんと」と目を丸くして驚くケイコに、

「宇宙です」と、またまたキッパリのミツコ。

「宇宙とな」と言いながら、さて、それはどこだろう、のケイコです。もちろん、そんなことは百も承知のミツコが、

「はい、空の上のまた上の、そのまた上です」と説明し、

「なるほど。では、どうやってそこまで行くかじゃが」と納得するも、また悩むケイコです。そして、話がトントン拍子に進んで行くことに、

「ええぇぇぇ、行くのぉぉぉ」と驚くマチコ、

「それなら任せておくれな。あれで行くといいよ」と久しぶりのヨシコです。


その『あれ」を見上げて、「ほっほー」と唸るケイコです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ