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出会ってしまった時のこと①


「何だって6月のこんな梅雨時に体育祭があるんだろうね。」

「ね。私もそれ思った。」

「聞いた話だと、ウチって部活動結構力入れてるじゃん。それで色んな部の大会とかに被らないようにって考えて、この時期にやるようにしてるらしいよ。」

「へぇ~、一応ちゃんとした理由あるんだ。」


登校中に会った菜月と佐々木さんが今日の体育祭についての話をしていた。

そう、今日は体育祭の日。

先月のマラソン大会でトップを取れなかった俺にとっては、リベンジのチャンスの時。

・・・だったのに。


「あずさは何の種目に出たいとかある?」


ー何故、今日も柊木の体の方なんだ!?


そう、悲しいことに今日の目覚めは白色の天井の方だった。

何でまたこんな日に限って入れ替わるんだか・・・。


「んー、何でもいいかな。出来ればあんまり目立たないやつで。」


ウチの体育祭はちょっと変わっていて、誰がどの種目に出るかは決まってなくて、体育祭当日に先生から発表されることになっている。

どうやら体育祭の位置付けとしてはチームワークの強化に重きを置いたイベントらしくって、勝負を気にせず楽しんでもらうためにそうしてるらしいけど、なかなかの無茶ぶりだ。

だって、どの種目も練習もせずに全部一発本番なんだから。

個人競技はまだいいとしても団体競技はさすがに無理ないか?

とはいえ、そんな状況下で活躍出来たら注目を浴びるのは間違い無しだから、頑張ろうと思ってたのに・・・。

前回のマラソン大会で確定したけど、身体能力はやっぱりその体のままらしく、頑張ろうと思っても柊木の体だとすぐに体力が切れちゃって、結果どうにもならなかった。

まぁ、入れ替わっちゃった今、今日俺がどんなに頑張っても柊木の株しか上がんないんだけど。

だったら、ただただ静かに何事もなく終わるのを待つ方が賢明だろう。出来れば、玉入れとか緩めの種目でお願いします。


「菜月は?何か出たい種目あるの?」

「んー。やっぱリレーかな。花形だし。」

「菜月、足速いもんね。こないだのマラソン大会も女子で5位に入ってたし。」


-ちなみに、俺は男子で3位だったぞ。走った覚えはないけどな。


「そういえば。誰がどの種目に出るかって先生が決めてるんだよね?一応そういう適正見てるのかな?」

「あー、聞いた話だと完全にランダムみたい。そっちの方が盛り上がるからって昔からの伝統らしいよ。」


それはいくらなんでもエンタメ要素強すぎないか?


「そうなんだぁ。あー、でも楽しみだなー。」


菜月のテンションの上がり方とは裏腹に、俺の足取りは学校に着くまで重たいままだった。


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学校について、HRが終わると早速、先生が教室に緊張感を呼びこんだ。


「さて、それでは皆お待ちかねの今日の体育祭の出場種目を発表したいと思う。」

「うぉ~。」

「今回は皆が出場する種目は全部で9つあります。1人当たり3つは出場することになるので、自分が何に出るかちゃんと覚えておくように。あと、基本的には言われた種目に出てもらうことになるけど、体調とか怪我とかでどうしても難しい場合は考えるので、発表の後に言うように。よし、じゃあ最初は『綱引き』からな。出るのは10人。じゃあ、発表するぞ。1人目は・・・宇津木。」

「おぉ~。」

「続いて2人目は・・・柿本。」

「おぉ~。」

「3人目は・・・栗林。」

「おぉ~。」

「お前ら、いちいち反応するな。ったく。このペースだと時間掛かってしょうがないから、ここからは一気にいくな。えー、佐々木。園田。・・・。」


そして、9種目全部の発表が終わった。

俺(というか柊木)は、『背中渡り』『大縄跳び』『騎馬戦』の3つだった。


「あずさとは、『大縄跳び』で一緒だねー。」


発表を終えて、満足そうな菜月が話し掛けてきた。


「うん。菜月は『リレー』選ばれて良かったね。」

「えへへへ。」

「そういえばさ、佐々木さんが選ばれてた『かけっこ玉入れ』って何?」

「あっ、私もそれ気になった。」


『かけっこ玉入れ』がどんなのかを二人で考えてると、当の佐々木さんが先生に質問をした。


「先生、『かけっこ玉入れ』ってどんな競技なんですか?」

「あれ?お前ら知らないのか。ほらっ、普通の玉入れは置いてあるカゴに向かって球を投げるだろ。『かけっこ玉入れ』は一人が相手チームのカゴを背負って逃げるんだよ。で、相手チームの人間はみんなカゴを追っ掛けて、球を投げる。だから、『かけっこ玉入れ』。納得したか?」


先生の説明が終わると、その『かけっこ玉入れ』に選ばれた子たちがざわつき始めた。

当然だけど、皆、カゴ持って逃げる役をやりたくないらしい。


「あっ、言い忘れてたけど、カゴ持ち役はもう決まってるからな。えーっと、そうだそうだ、佐々木だ。」

「えっ・・・。」


言葉に詰まった佐々木さんを見ると、すでにその顔は引き攣っていた。

先生はそんな佐々木さんに動じることなく、言葉を続けた。


「あと、いくつか役割決まってるやつあるから言っとくな。まず、『10人11脚』だけど、並び順は・・・はい、黒板に書いた通りな。あと、『リレー』の走る順は・・・この通りで。」


そう言って先生が黒板に書いたリレーの順番、菜月はアンカー前の5番目。こりゃ、中々の重要どころだ。

・・・と、菜月を心配してると、


「あともう一つ。『騎馬戦』だけどな、これは1年から3年合同でクラス対抗をやる。で、当然だけど、上に乗るのは基本女子だからな。」


まぁ男女混合チームだから、それはそうだろう。そもそも男女混合ってのはどうなんだろうと思うが。


「あずさ、頑張っていっぱい倒してきてね。」

「う、うん。」


程々に頑張ろう。


「自分が出る種目、分かってないやついないよなー?あと、一応聞いとくけど、これは出れません、みたいのも無いよな?」


いっても何とかなる競技ばっかりだし、変更を申し出る生徒はいなかった。

まぁ、佐々木さんは迷ってた感じするけど。


「じゃあ、着替えてグラウンド集合な。9時までに整列しとくように。」

「はーい。」


こうして、ドキドキの出場種目発表は終わった。


「あずさ、更衣室行こ!」

「うん。あっ、お手洗い寄ってくから先行ってて。」

「分かったー。」


そう言って、数歩歩いたところで菜月が振り返った。


「優稀から連絡来た!・・・優稀は『借り人競争』と『棒引き』と、あと『騎馬戦』だってー。『騎馬戦』、あずさと一緒じゃ~ん。」

「嘘っ!?」

「嘘吐くわけないじゃん。ホントだよー。」


マジか・・・。

ヤバい・・・どうしよう。

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