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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第四章 魔王領再建準備編
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第六十八話 再会

ついに再開を果たす!そんな68話です


 さて、久しぶりにワタクシの出番のような気がしますわね、何故ワタクシの出番と思ったのかはよくわかりませんが。


 さーて、目的を終え魔王領に戻ってまいりましたわよ。

 帰るついでに少し盗賊を退治するための寄り道をしてたためか、少し遅くなってしまいましたわね。

 あ、とうぜん盗賊は労働力なので魔王領へ行くように言ってありますわよ。


「クナギ殿も戻られましたか、マウナ様達も戻ってきておりますぞ」


 モルテさんが迎えてくれます、ワタクシ達が最後のようですわね。


「早速で申し訳ないのですが、ヨネダ中尉の行った盗賊捕縛作戦で捕まえた盗賊の中にダークエルフの集団がおりましてな」

「あらあら、いいですわね」

「ええ、それでそのダークエルフ集団は協力を了承してくれずに困っておったのです」

「説得するためにワタクシの力が必要なのですわね?」

「ええ、そうです。ご協力お願いできますか?」


 フフ、確かにワタクシの出番ですわね。


「ええ、よろしくってよ」

「感謝します」


 ベティさん達には休憩をしていただきましょう。


「ベティさんとナルリアちゃんは休憩でもしていてくださいまし、ワタクシその間にダークエルフを説得しますので」


 ワタクシが休憩を勧めますとナルリアちゃんは頬をプクーと膨らませて抗議します。


「――ワタシもマナカと説得に行く!」

「あらあら、ナルリアちゃん我儘言っちゃダメよー、マナカちゃんが困っちゃうわよぉ」

「――むう、マナカの役に立ちたい」

「困ったわねぇ」


 ダークエルフ……ふむ、いいですわね。ナルリアちゃんに協力してもらいましょう。

 同種族の子がいれば説得も簡単になるかもしれませんわね。


「……いいですわよ、説得目標はダークエルフ。ならナルリアちゃんのお仲間ですものね、手伝っていただきますわ」

「――まかせる!」


 何故かドヤ顔で拳を握り指を鳴らそうとしておりますが……鳴りませんわね。

 まあ、ささっと説得しますかね。


「では案内をお願いしますわ」

「はい、こちらです」


 ワタクシとナルリアちゃん、ベティさん……ん? 結局ついてくるんですのね。


「ベティさんは休んでてもよろしいのよ?」

「心配だからお姉さんもついていくわよ」

「あら? そうですの、まあよろしいですわよ」


 モルテさんに案内されて牢獄へとやって参りましたわ。

 うん、なんといいますか牢獄牢獄した牢獄ですわね、衛生的によろしくありませんわね。


「モルテさん、こんどこの牢獄も作り直しましょう、衛生的に不健康ですわよこれ」

「は、はぁ? 罪人を入れておく牢獄なのにですか?」

「ええ、そうですわよ」


 そしてダークエルフが収容されてるエリアに到着ですわ、すでにマウナさんが来ておりますわね。


「はーい、マウナさんごきげんよう」

「あ、マナカさんも戻ってきたんですね」


 マウナさんはダークエルフのリーダーらしき人物と対峙しておりましたわ。


「我々をどうするつもりだ、魔王の娘よ」

「だから今は私が魔王だと言ってるじゃないですか」


 魔王だと思われてないようですわね、流石はマウナさんですわ。


「私が魔王だと知らないという事は、魔王領の出身じゃないようですね」


 ワタクシが前に出ると、マウナさんが下がります。

 ワタクシは特に意味もなく不敵に笑い腕組みをしてダークエルフ達と対峙しますわ。


「皆さま、ごきげんよう。ワタクシはマナカ・クナギですわ」

「人間が何か用か?」

「ええ、あなた方に良いお話を持ってきましたのよ」

「良い話?」


 ダークエルフ達は訝しげな表情をワタクシに向けてきますわね。まあ、仕方ありませんわね人間の小娘が行き成り良い話があるなんて言って信用する方が難しいですわね。


「ワタクシこの領で魔王マウナ・ファーレに国の復興について割と色々な権限をいただいておりますのよ。あ、その魔王はそこにおりますけど」


 ワタクシがマウナさんの事を魔王と言っているのを聞いても信じては無いようですわねぇ。マウナさんの魔王に見えないっプリも凄いですわね。


「バカな、ここの魔王はもっと厳つかったはずだぞ」

「それは、私の父ですね」

「なんだと? そうなると先代は……」

「はい、亡くなりました」

「むう……」


 流石に黙ってしまいますわよねー。


「本当のことですのよ、それで父親の遺志を継いで魔王になっておられるのですわ」

「はい、そういうわけで私が現魔王です」

「そ、そうでしたか」


 ワタクシとマウナさんの発言でようやく魔王であることは納得してくださいましたわね。

 さて、では続きの説得と行きますわよ。


「それで、美味しい話の方なのですが話してもよろしくて?」

「ああ、一応聞かせてもらおう」


 さて、正攻法で行くのが一番ですわね。


「簡単な話ですわ、この魔王領は人間や魔物に魔族や亜人達が共存できる国を目指すこととなりましたの」


 ワタクシの言葉にダークエルフ達はざわめきますわね、それも仕方のない事ですわね。

 そんなの無理だ、できっこない。そういった声が聞こえてきますわね。


「不可能では無いとワタクシは思っておりますわ、現にワタクシも人間ですし。そこのオカマも人間ですのよ」

「はぁーい、お姉さんはベティっていうのよヨロシクね」


 バチコーン! と音がしそうなウィンクをしておりますわね、ダークエルフの男性は一斉に目を背けますわね正しい判断ですわ。


「ベティさんウィンクはおよしになって、怯えてる方がおりますわ」

「ま、失礼ね!」


 ベティさんは置いといて先に進めますわよ。


「さて、無理かどうかはやってみねば分かりませんことよ。そこであなた方も盗賊行為などして生活しなくてすむように、この国で働くつもりはありませんこと?」

「……」


 沈黙、警戒しておりますわねぇ。

 無理も無いでしょうけど、もう少し心を開いてくれてもよくありません?

 ワタクシがそう考えておりますと、後ろから声をかけられましたわ。


「――マナカ、そろそろワタシの出番。ワタシが説得する」


 ナルリアちゃんに任せる? んー、まだ早い気がしますわねぇ。

 ワタクシがナルリアちゃんに任せるか悩んでいると、ダークエルフ達の中から「あ!」という女性の声が聞こえましたわ。


「ん? 誰か今『あ!』とおっしゃいました?」


 ワタクシがそういうとダークエルフの女性が前に出てきました、リーダーらしき男性が女性を制止しますわね。


「おい! ジョゼ、下がれ何をされるか分からんぞ」

「リーダー、この子私の娘よ!」

「娘がおりますの?」


 ジョゼと呼ばれた女性がワタクシ達の方を見ると娘がいるとおっしゃいましたわね、娘ってどなたの事……ダークエルフの娘?


「ナルリアなのね?」


 女性はナルリアちゃんに呼び掛けておりますわ、やはりこの女性はナルリアちゃんの母親のようですわね。ワタクシはナルリアちゃんの方を見ますと、ナルリアちゃんも女性の方をじっと見つめてから少ししてポンと手を叩きますわ。


「――お? おぉ! かーちゃん!」

「ナルリア! 無事だったんだね」


 どうやら本当に親子のようですわね。

 マウナさん、ベティさんも突然の親子の再会に唖然として見つめておりますわね。


「ちょちょっと、マナカちゃん、ナルリアちゃんのお母さんこんな形でみつかっちゃったじゃないのよ」

「マ、マナカさん! こんなことってあるんですね。よかったです」

「目出度い事ですわよ」


 ナルリアちゃんの母親は見た目は20代半ばから後半くらいですわねぇ、ダークエルフという時点で詳しい年齢は謎ですが、ナルリアちゃんに似た美人ですわね。


「ルナリア、今までどうしてたのよ……攫われた時はとても心配したのよ」

「――チヨルカンで暗殺仕込まれた後は奴隷商人に捕まって、今ではマナカの奴隷をやってるんだ。偉いでしょ」


 何故か胸を張って母親にとんでもない事を報告しておりますわね……ん? ちょっとお待ちになって! ワタクシの奴隷やってるとか正々堂々おっしゃては誤解されますわよ?


「な!――ど、奴隷だって!!」


 母親と他のダークエルフが一斉にワタクシを睨みますわね。


「ちょっと! ナルリアちゃん! 事実ですが誤解されてますわよ!」

「――ん? 問題ない。ワタシはマナカの奴隷であることに誇りを持っている!」

「な!? すでにそこまで調教が終わっているのか!」


 視線だけで人が殺せそうな視線がワタクシに降り注ぎますわね……痛いのであまり見ないでくださいまし……

 仕方ありませんわね、ワタクシはナルリアちゃんとの出会いから今までの事を簡単に説明します。


 ――

 ――――


「そうでしたか……それは何とお礼を言ったらいいか」


 なんとか悪戦苦闘しつつ誤解を解きますと、ダークエルフ達の態度は随分と大人しい物となりました。

 今なら、説得可能なのでは?


「で、再度お尋ねしますわ、この領で共に働く気はございませんこと? 盗賊をしているよりよほど有意義ですわよ」

「――かーちゃんもワタシとここで暮らそう! みんなも。魔王さまもマナカもオカマも良い人だ、ここにはいないけどアルティアも良い人だぞ」


 今度はナルリアちゃんの言葉がちゃんと援護射撃になっておりますわね。

 ワタクシとナルリアちゃんの言葉にダークエルフ達は相談をしております。

 一〇分ほど時間が経った頃、リーダーと呼ばれた男が話しかけてきます。


「俺たちに何をさせるつもりだ?」


 これにはマウナさんが答えます。


「これと言って決まってはいませんよ、適材適所というやつです。皆さんが得意な事で国に貢献してくださればいいです」

「選択の自由があるという事か?」

「ええ、選択の自由があります。ただし元は盗賊なのでしばらくは監視させていただきます」

「……それは仕方ないか」


 そして、また少し話し合ってるようですわね。


「衣食住の事はご心配ありませんわよ」


 ワタクシの言葉が止めになったようですわね。


「分かった。その話、お受けしよう」


 こうしてダークエルフの集団もワタクシ達の仲間となりましたわ、この中からファーレ魔王領屈指の諜報部隊が生まれるのはもう少し先のお話ですわ。


次回は10/12の予定

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