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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第四章 魔王領再建準備編
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第六十七話 キノコ捕物帳

キノーコ!!

そんな67話です


 まずは最初のアジトがある地点へとやってきました。

 アジトとは言う物の小屋が二つに、少し大きめの家が一つ建っているだけの物であります。

 少し離れた位置で全軍停止させると、エルフの一人に偵察を頼みます。


 少ししてエルフの偵察が戻ってくると小屋と家には全部で、二十名ほどの盗賊がいたとの事であります、あの規模に建物と家で二十名とはなんとも窮屈な事でありましょうか。


「精霊様、盗賊は現在はくつろいでおり安心した感じです」

「了解であります、これは良い機会でありますな」


 油断しきっているようでありますな、全軍突撃すべきと判断します。


「では、全軍突撃!」


 自分の号令と共に、エルフとケンタウロスの部隊が一気に小屋へと迫ります。


「ここは簡単に終わりそうでありますな」

「それが中尉の作った眠り胞子ですね」


 ブライアン殿が袋を掲げ尋ねてきました、この世界特有のネムリ茸なるキノコが出す胞子を自分の能力で集めたものであります。

 これで眠らせて捕縛する作戦であります、ウェンツ殿に抱えられブライアン殿と待機する我々は他のエルフやケンタウロス達の帰りを待ちます。


 そして待つ事十数分、予定通り皆が戻ってまいりました。


「精霊様、予定通り完了しました。見事な采配です」

「中尉に言われた通りに盗賊は一人残らず縄で縛って纏めてあります、もっと逃げるかと思いましたがあっさりと終わりましたよ、我らが俊足を披露は出来ませんでしたな」

「こういった作戦は、すみやかに終わらせるほうがようのでありますよ」


 自分の作戦が成功しあっさりと終わった事により、皆が安堵しております。


「それはそれと、皆さんご苦労様であります」


 自分がねぎらいの言葉をかけると、皆は笑顔になっております。


「では、続けて次の目的地にすみやかに向かいましょう」


 そう、連続任務故に最初は体力温存のためにこのような作戦を取ったのであります。

 ケンタウロス部隊から一人城への伝達役で動いてもらい、我々は次の目的地の北西にある森へと向かう事としました。


 ――

 ――――


 途中で休憩をはさみ移動を続け、目的の森へと到着であります。


「まずはエルフ隊に森に入ってもらい、偵察をお願いするであります」


 自分の指示にエルフ隊は頷くと森へと入っていきました。


「この間にケンタウロス隊は森から逃げやすい場所を探し、何名かに分かれ出入り口の封鎖をお願いします」

「了解です」


 ケンタウロス隊も機動力を生かし出口を探します。

 数分後各々が配置につきエルフが一人戻ってきました。


「報告です精霊様」

「ご苦労であります」


 エルフの男性はキノコである自分に頭を下げると、報告しました。


「盗賊の集落は分かりましたが、この盗賊は人間ではありません」

「人間ではないですと?」

「はい、汚らわしいダークエルフです」


 ダークエルフという事は、ナルリア殿と同じ種でありますな。


「精霊様、少し面倒な事になったかもしれませんね」


 ウェンツ殿が自分にそう言いました。


「厄介でありますか?」

「はい、ダークエルフは我々エルフとは違い精霊魔法に関しては我々より下ですが、身体能力に関しては向こうの方が上です、特に気配を消したりする事が得意なのです」

「なるほど、それは厄介でありますな」


 人間ではないのは想定外でありましたな。

 ネムリ茸がこの森にも生えているなら、自分が役立てるかもしれませんな。


「集落の近くにネムリ茸が生えている場所はありますか?」

「ネムリ茸ですか?」


 そう話していると、カーチスセルカド隊も予定通り合流しました。


「よう、中尉どんな状況だ? こっちは楽過ぎて暴れたりないくらいだよ」

「カーチス殿は元気で困ります、単身で突撃して百ほどの盗賊相手に大立ち回りなんてしだすから困ったものです」

「はっはっは、そう言わないでくれよ。結果として全員捕まえれたんだし」


 セルカド殿の言葉にカーチス殿は笑って答えます。

 しかし百とは想像以上の規模だったようでありますな。


「こちらは相手が人間ではなかったので、どうしようか考えていたところでありますな」

「人間外?」

「ダークエルフでありますな」


 ダークエルフと聞くとカーチス殿は顔をしかめます。


「ダークエルフか……面倒な相手だな」

「そうですね、ダークエルフは姿を隠すのが得意ですし毒物への耐性も高めですからな」


 カーチス殿とセルカド殿も同じく面倒と言いますな、毒物の効果が薄いでありますか……。

 幸い森は小さいのでケンタウロス、オーク、オーガの部隊で森を包囲し。

 エルフ隊に我々、ウェンツ、ブライアン、カーチス、セルカドで森へ行き、ネムリ茸が群生していれば自分の能力で眠り胞子による奇襲戦法を取る事に致します。

 ネムリ茸が無ければ、単なる奇襲作戦になります、自分は作戦を皆に説明し行動を開始しました。


「精霊様! 少しですがネムリ茸が生えております」


 エルフ隊の方が自分へと報告してきます。


「重畳であります! ウェンツ殿キノコの生えてる地点へ移動お願いします」

「わかりました」


 見張りを数名残し、エルフ隊と皆でキノコの生えてる場所へと移動します。


「では自分がネムリ茸を操るので、風の精霊に頼み胞子をダークエルフの集落へと運んでください」

「精霊様、ダークエルフは毒への耐性は高めですので、これだけでは効果が薄いかもしれませよ?」


 ウェンツ殿が心配しているようでありますが問題は無いと思われます。


「完全に眠らせる必要はありません、動きを鈍らせれば良いのでありますよ」

「そうですか」

「その後は予定通り奇襲で捕縛します」

「分かりました」


 自分がネムリ茸を操り胞子を集めると、ウェンツ殿とエルフ数名の風の精霊魔法で胞子を集落へと送り込みます。

 すると集落の方から声が上がります。


「精霊の動きがあったぞ! 何者かが攻撃を仕掛けてくるようだ!」


 ダークエルフも精霊の動きは分かるようでありますが、遅いでありますな。

 すぐに異変に気付く他のダークエルフもおりますな。


「ん? 風の精霊か……これは、なんだ? いかん! 全員森の外へ逃げろ!」

「眠り薬か?」


 ダークエルフが慌てて逃げようとするところで、自分は号令します。


「突撃!」


 自分の号令と共に、エルフ隊と我々はダークエルフ達へと突撃します。


「「おおー!」」


 予定通り眠り胞子で動きの鈍くなっている、ダークエルフ達を制圧するのは難しくはありませんでした。

 大して苦労する事もなく捕縛は官僚となりました。


「くそ! 俺たちをどうするつもりだ!」


 代表と思われるダークエルフが叫びます。


「安心してください、我々は貴方方に危害を加えるつもりはありません、ですが暴れられると困るので拘束はさせていただきます」


 自分がそうダークエルフ達に伝えると。


「き、キノコが喋ってるだと……」


 やはり驚かれました、流石に慣れてきましたが異世界でも驚かれる存在と言うのは流石にショックでありましたな。

 とはいえ、これで任務は完了でありますな。こちらの被害は無しでありますから完全勝利と言えましょう。


「ダークエルフの方々も我々に付いてファーレ魔王領に来ていただきます」

「く……わかった付いていこう」


 諦めてはいないようでありますが、とりあえずは付いてきてくれるようなので我々は魔王領へと向かう事としました。


 ――

 ――――


 こうして自分の任務は完了となり、魔王領の牢獄へと盗賊たちを押し込んでおき、お二方が戻るのを待つ事となりました。


次回は10/11予定です

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