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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第四章 魔王領再建準備編
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第六十六話 きのこの森と盗賊の里

まさかこいつ視点なの? そんな66話

 

 マナカ殿とマウナ閣下がそれぞれの目的でこの魔王領を出立されたので、自分も言い渡された任務を遂行しようと思います。


 自分に任された任務はこの近隣の盗賊を駆逐し戦力とすることであります。

 商人を脅かす盗賊を殲滅し、そのまま労働力にするとは実に効率の良い治安維持と国の戦力増強に繋がる重要な任務と言えますな。


 さて、自分達は作戦会議のために会議室に集まっております。

 モルテ殿を筆頭にカーチス殿にセルカド殿、ブライアン殿の三名が代表で参加しているであります。


「モルテ殿、この近隣の盗賊の様子はどうなっていますか?」

「我が国にアジトを持つ盗賊団は四つほど確認されていますな、そして近隣の不毛な地に一つで計五つ確認されています」

「中尉、人間の盗賊程度ならすぐに殲滅できないか?」


 カーチス殿の言う通り戦力は圧倒的にこちらが上と見ても良いでしょう、しかし今回は殲滅ではなく確保が主な任務となっております。


「カーチス殿の言う通りで殲滅なら難しくはないでしょう、ですが今回は盗賊は基本的に捕虜とするところから難易度は上がると思われます」

「うむ、殺生は最小限にせねばなりませんぞ」

「面倒だなぁ」


 モルテ殿がこの付近の地図を持ってきて印をつけております、どうやらその印の場所に拠点があるようですな。


「さて、印をつけたところが現在分かっている四つの盗賊団のアジトです」

「見事に二つに分かれてますね」


 セルカド殿の言う通り、城を中心に西に一つ、そして一つは北西寄りですな、あとは東に二つ。


「二手に分かれますかな?」

「そうでありますな、時間はかけたくありません。ここは二手に分かれて一気に拿捕する作戦にしましょう」


 モルテ殿の意見に賛同します。


「よろしいか? 人数を一点に集め確実に潰すのではダメなのでしょうか?」


 ブライアン殿が疑問を口にしたであります。


「ブライアン殿の意見ももっともですが、今回は電撃作戦としたい理由があります」

「それは?」

「時間をかけて他の盗賊に気取られ、逃げられたくないからであります」

「なるほど」


 さて、目標地点は確認できたで。次は作戦の割り振りとなります。

 特に北西側は厄介でありますな、王国側に逃げられてはうかつに部隊が動かせません、そうなりますと厄介な事に国際問題になるやもしれません……


「では、自分とブライアン殿で西側を担当しカーチス殿セルカド殿で東を担当することで宜しいでありますか?」


 機動力のあるケンタウロス隊と森に秀でたエルフ隊を中心に西を、制圧力の高いオーガ、オーク隊を東に配置が効率的と判断できます、東の二つのアジトは位置が近いので機動力に劣るオーガオーク隊でも行けるでしょう。

 西は北西側のアジトが王国に近く森であるためエルフ隊が必要となります。そして森を包囲するための機動部隊であるケンタウロスの布陣で行くのが最善と判断した結果の割り振りであります。


 自分が振り分けを発表し意見を聞きます。


「俺たちオーガはそれでいいぜ」

「オーク隊も問題ない」

「ケンタウロス隊も問題ないです」


 御三方とも問題は無いようでありますな。

 自分は作戦の内容を全員に伝えます。

 作戦の内容はセルカド、カーチス組が先行し先に東側の盗賊アジトを潰します、セルカドカーチス組の出発後、少し後に自分とブライアン殿が出発し、まず一番西のアジトを攻撃。その後はブライアン殿達の機動力を生かし一気に北西にある森を包囲し、セルカドカーチス隊と挟撃し殲滅する作戦であります。


「単純でありますが、効果は高いかと思います」

「シンプルイズベストでしたか? 中尉の世界の言葉でしたな」

「そうでありますな、戦力はこちらの方が圧倒的に上ならばこういった戦法の方が確実であります」

「では、皆で準備に取り掛かりましょう」


 作戦開始を明日の明朝にして準備のために皆解散となりました。


 ――

 ―――


 自分はエルフの部隊を率いて作戦に臨む事になっているので、エフル達に挨拶をすることにします。

 問題は一人では動けないのでモルテ殿に運ばれての移動となります、この菌類の身体はそこが不便でありますな。


「しかしマナカ殿はとんでもない事を考えますな、治安維持と労働力の確保を同時に行なるとは」

「ええ、クナギ殿の考えは実に面白いですな」

「あの人についていけば退屈はしないでしょう」

「確かに、マウナ様もそう考えているようですからな」


 モルテ殿と会話をしておりますと、どうやらエルフ達がいる場所についたようでありますな。


「中尉、彼らが今回の作戦に参加するエルフ部隊五十名です」


 モルテ殿がそう紹介してくれます、エルフの男性五十名が今回の自分が指揮する部隊であります。

 自分はモルテ殿に抱えられたままエルフ達の前に出ます。


「あー、自分が明日の部隊指揮を執るヨシオミ・ヨネダであります。階級は中尉であります」


 おっと、癖で階級まで紹介してしまった。階級はここでは関係無いのですが癖とは厄介ですな。


「ほ、本当にキノコが喋っている……」

「森の精霊なのか?」


 ざわざわとしています、流石に喋るキノコはこの世界でも珍しいようでありますな。


「お静かに、それでは明日の事について説明するであります」


 自分はエルフ達に明日の説明をすることにしました。

 ――

 ――――


「すると我らは精霊様と行動し、オークやオーガにケンタウロス達と共同で盗賊を捕まえるのですね?」


 自分が説明を終えるとエルフの代表らしき男性が、質問をしてきました。

 そしていつの間にか自分は精霊になっております、しかしその方が好都合なので黙っておりましょう。


「ええと、名前はなんといいますか?」


 自分が男性の名前を聞くと、恭しく頭を下げた男性エルフが名乗ります」


「これは失礼しました、私はこのエルフ衆の代表をしております、ウェンツといいます」


 やはりウェンツ殿が代表でありましたか。


「そうであります、今回は殲滅ではなく捕獲が目的であります」

「分かりました、精霊様」

「では、準備を整え明日に備えてください」

「「は、了解しました精霊殿!」」


 最後はエルフの方々が一斉に了承しておりました。


「中尉はいつの間にか精霊になっていますな」

「キノコが喋るのが珍しいのでありましょう、その勘違いは利用させていただきますよ」

「それでいいでしょう、エルフはプライドが高いですからな。どうも他の種族を下に見る傾向が強いですから、精霊の立場を利用してまとめる方が簡単でしょうな」


 やはりプライドの高い方々でありますか、雰囲気的にそんな気はしておりましたので精霊を否定はしなかったですが、正解だったようでありますな。


 ――

 ――――


 次の日作戦決行の日であります。

 まずは予定通りオーガ、オーク隊が先行して出発しております、あのお二人なら問題なく任務を遂行するでしょう。

 そしてしばらくしてから自分たちも出発する時間になりました。


「では、ウェンツ殿、ブライアン殿よろしく頼みます」

「精霊様のためにも頑張ります」

「こちらこそよろしくお願いします」


 こうして自分達もまず最初の目的地に向かいます。


次回は明日予定!

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