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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第四章 魔王領再建準備編
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第六十話 かまふえたし

あらー?申し訳ない! 投稿ミスってたの今気づきました!

60話です!

「あらー、本当に久しぶりねぇ」

「三年ぶりくらいよぉ」


 扉から出てきたオカマは……あら?

 見た目だけは爽やか系のイケメンですわね、ちょっとボサボサの髪を後ろで縛っており白衣を羽織っておりますわね。


「マナカちゃん達に紹介しておくわねん」


 ベティさんと錬金術師が両手を握り合って、ピョンピョンと飛び跳ねていた光景は正直不気味でしたわ……

 さて、ベティさんが錬金術師の紹介を始めておりますわね。


「彼の名前は『ハスター・オーフェル』よ」


 ハスターと紹介された男はワタクシ達に気さくに手を振りながら挨拶をしますわ。


「ハーイ、私はハスターよ気軽にハスターと呼んでね」


 ワタクシ達も自己紹介を簡単に済ませますわ。

 ハスターはワタクシ達を家の中に案内してくれました。


「ちょっと汚いけど我慢してね」

「問題ありませんわ、ワタクシのいた元の世界の部屋も大概ですし」


 自慢じゃありませんがワタクシ、掃除は苦手ですのよ。部屋には空になったコーラのペットボトルが十本は転がっておりますの。

 今の魔王城のワタクシの部屋はメイドさんが掃除してくださるので綺麗ですわよ!

 汚いと思い覚悟してはいると……思ったよりきれいですわね。


「あらー、ちゃんと片付いてるじゃない」

「ええ、そこまで汚くありませんね」

「ワタクシの部屋の方が汚いですわよ!


 裏切られた気分ですわ、オカマは並みの女性より女子力が高いのを忘れておりましたわ!

 ベティさんのお部屋も綺麗なんですのよ。


「――おぉ? 何アレ凄い!」

「何が凄いのです?」


 ナルリアちゃんが何かを見つけたようですわね。

 ナルリアちゃんの見ている先を見ますと……エロ大根が歩いておりましたわ……


「いいでしょ? アレが私の研究してる物の成果なのよー」


 凄いのか凄くないのかわかりませんわね……

 ワタクシがエロ大根を観察している間にハスターさんがお茶を用意してくれましたわ。


「――お、おぉ! エロ大根がお茶を運んでる!」


 ナルリアちゃん大喜びですわね。

 葉っぱの部分にお盆を乗せて器用にエロ大根がお茶を運んできましたわ、手は無いのでカップは自分たちで取りますけどね。


「さて、本題にはいりましょう?」


 ハスターさんがいきなり切り出します。ワタクシも長々と世間話をするつもりはありませんわよ。


「ハスターはせっかちよねぇ」

「いや、ワタクシも長々と世間話するつもりはありませんので助かりますわ」


 ワタクシとサティさん、ベティさんはハスターさんと向かい合うようにしながら本題に入りますわ。

 ナルリアちゃんはエロ大根と遊んでおります、エロ大根案外賢いですわね。


「ハスター、先ほどの兵士はセンネルの使いね?」

「そうよ、私が研究していた研究の成果が欲しくてスカウトしにきたのよ」

「でも断っていましたね」


 ベティさんとサティさんがハスターさんに先ほどの事を尋ねておりました。

 ワタクシも気になる事だったのでそのまま聞くことにしますわ。


「当然よー、センネルのヤツが私の元の雇い主であるホムセン子爵を潰した張本人なのよぉ」

「ホムセン子爵って確か冒険者ギルドの運営にも関わっていたわよねぇ」

「そうよぉ、位は子爵だけどホムセン子爵の力はセンネルと同等ですもの」


 ここでもセンネル。はぁ、この重要な時期に胡散臭くなってきましたわね。


「ホムセン子爵のギルドへの影響力はどれくらいですの?」

「私はそこまで詳しくないけど資金提供の三割と言ったところよ」

「ホムセン子爵を潰しその分を出資すれば一気に掌握できますわね……」


 この事は気に留めておきましょう、今回の本題には直接は関係ありませんしね。


「ホムセン子爵が完全に失脚した頃とセンネルが動き出した時期がほぼ一致するのよねぇ」

「えぇ、一年半ほど前ね。私悔しかったわ、ホムセン子爵は私に良くしてくれたもの、なのに指をくわえて見てるしかなかったなんて」

「センネルはそのうち潰すことになりますわね、ワタクシそんな予感がしますもの」


 そして改めてハスターさんに話を切り出します。


「率直に言いますわ、ワタクシ本日はハスターさん貴方をスカウトに来ましたの」

「行き成りな話ね」


 まあ、そうなりますわよね。

 ベティさんが経緯を説明します。


「私がハスターの事をマナカちゃんに話したのよ。そしたら技術者としてアナタをスカウトしたいという話になったのよ、アナタの研究していた魔法の道具の知識が欲しいのよね」

「センネルと同じね」


 ハスターさんは少し怪訝な顔をしましたわね、そこは仕方ありませんわね。


「まあ、そうなりますわね」

「そもそも、あなたたちの事良く知らないのよね」


 ハスターさんの言うことは良く分かるのでワタクシは素性と目的も話しますわ。


「そうですわね、ワタクシはファーレ魔王領からの使いですわ」

「魔王領?」

「ええ、魔王マウナ・ファーレの使者としてアナタをスカウトにきましたの」

「はは、私も凄い所からスカウトされるようになったのねぇ」


 ワタクシは魔王領の実情とマウナさんの共存の考えを説明します。

 途中でサティさんの補足も入っておりハスターさんは真剣に聞いておりましたわ。


「なるほど、分かったわ。魔王領だけど人間たちとの共存を考えているのも国を再建したいことも理解したわ」

「ええ、なので生活水準を上げるためにもアナタの協力が必要なのですわ」

「確かに私はそう言った魔道具の開発もしているわよ、あなた方の条件にも当てはまるわね」

「それでハスター、協力してくれるのかしら?」


 ハスターさんは考えておりますわね。


「確かにセンネルなんかに協力するよりは、あなた達に協力する方がいいわね。でも魔道具の研究だけが私のテーマじゃないのよ。そのために私をスカウトするにあたってあなた達はどんな条件を提示してくれるのかしら?」


 交渉の場に引きずり出せましたわね。


「センネルと同じように給金を倍出すとでも言いだすのかしら? ホムセン子爵の時の私の月の給金は約四五〇〇〇リシェなのだけど……倍なら九〇〇〇〇よ」

「なるほど、分かりましたわ」


 一般人の平均より三倍の給金ですか割と貰っておりますわね。

 ワタクシは今までにでたハスターさんの情報を元に報酬を考えます。

 ふふ、これしかありませんわね。


「クナギ様大丈夫なのですか? センネルの使者が提示した倍の報酬は跳ねていますが」

「そうね、ハスターは金ばかりでは動かないわよ」

「任せておきなさいな、ここなで来たらワタクシの勝ちですわよ」


 さーて、スカウト開始と行きましょう。ワタクシの予想通りならすぐに終わりますわよ。


「考えがまとまったかしら?」

「ええ、まず給金は月に四〇〇〇〇リシェでどうでしょうか?」

「あら? 減ってるわよ?」


 ハスターさんが呆れた顔でそう言いました、当然ですわよね給金減ってるんですもの。


「ですが次の条件を聞けばアタナは飛びつくはずですわ」

「聞きましょう」


 ワタクシはハスターさんを改めて見ますわ、そして某ネル〇の司令官のように手を合わせ肘を机につき条件を提示します。


「あなた専用の大根畑とそれを世話するゴブリンを二名つけましょう」


 ベティさんもサティさんも何言ってるんだコイツ? って顔でワタクシを見ますわ。

 ですがハスターさんは衝撃を受けたようですわね。


「その話乗ったわよ!」


 やはり食いつきましたわね、エロ大根研究は思った以上にこの方には重要なようですわね。


「「ぇー」」


 ベティサティの声が重なっておりますわね。


「まったく! 素晴らしい条件よ」

「当然、魔道具の研究の合間になら大根の研究はしていただいても構いませんわよ」

「素晴らしいわね」


 ハスターさんは大喜びしておりますわ。


「マナカちゃん、ハスターの説得こんな簡単でいいのかしら?」

「いいのですわ」

「クナギ様の手腕お見事です」


 ハスターさんがワタクシを真剣な目で見ますと改めて口を開きます。


「マナカちゃんだったわね、これは個人的なお願いだから無視してもらっても構わないけど」

「なんですの?」

「この村の人達も雇ってもらえないかしら?」


 なるほど、廃村寸前の村ですものね。


「ここって実はセンネル担当の村なのよ、私が来た時この村の人達は良くしてくれたわ。でもねセンネルがただでさえ高い税率を更に上げたことによってこの村はほぼ終わったのよ」


 ワタクシ的には断る選択肢はありませんわね。


「いいですわよ、今はこちらも人手が欲しい所ですわ。村人全員雇いましょう」

「そんなあっさり決めていいの?」


 ハスターさんは唖然としますが問題ありませんわ。


「ええ、ただ条件がありますわよ」

「なにかしら?」

「魔王領の住民になる事ですわ、住み込みで働いてもらいますわよ」

「無茶な労働させるなんて事無いわよね?」


 そう思うのは当たり前ですわよね。

 ですがそこはベティさんが説明してくれましたわ。


「それは大丈夫よ、マナカちゃんは『労働には対価を』を信条にしてるもの。例え魔物でも労働者には報酬を出してるわよ」

「ハスター様安心してください。クナギ様もマウナ様も民を大切に思っておられる方ですので」


 サティさんの援護射撃もありハスターさんは安心したようですわね。


「分かったわ、村人にこの話をしてファーレ魔王領に向かうわね。もうこの村の住民は百名もいないからすぐに話はつくと思うわよ」


 ワタクシはサティさんと少し相談をしますわ、彼等の移動についての相談ですわ。


「では、一週間後に馬車と護衛をこちらに送ります。 護衛はカーチスという者に任せます」


 サティさんがハスターさんに説明をしました。

 ワタクシ疑問もありますのよね。


「約束しておいて何ですが疑問もありますのよね。勝手に国を出てもよろしいのかしら?」

「そこは大丈夫よ、この村の事を気にしてる者なんていないからね」

「ならいいのですが」


 こうして今回の目的であるスカウトはあっさりと成功しましたわよ。

 まさかエロ大根が重要なキーワードだったなんて……



次回は9/6更新予定です

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