表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第四章 魔王領再建準備編
61/116

第五十七話 使えるものは使うべし

57話です

 村の馬車とワタクシたちの馬車は合わせて六台。

 村人全員の準備をすませた後、全台でこの村を出発。

 馬車にはまだ余裕がありますわね。


 それでも大移動ですわね何事もなく済めばよいのですが……


 ――

 ――――


 予想に反して三日目ですがこれと言って何も起こっておりませんわね、実に良い事ですわね。

 実に暇で仕方ないのでワタクシはナルリアちゃんと日向ぼっこしつつ、うとうととしておりました。


「自分のいた日本では考えられないくらいのんびりとしておりますな」

「あらー、中尉のいた世界は戦争でもしてたのかしらぁ?」

「ええ、それはそれは悲惨なものであります。町中は爆撃機による空襲で焼け野原になっておりましたから」

「何かよくわからないけど悲惨ねぇ」


 ベティさんと米田中尉が会話しておりますわね、米田中尉は飛んでいくことなく固定されております。確か木に固定する能力を持っているそうでしたわね。


「マ、マウナさんは、自分の、く国をどうしたいんですか?」

「月並みな答えですが魔物や魔族、亜人や人間が共存できる国を造りたいと考えていますよ」

「じ、実現できると、い、いいですね」

「はい、そのためにも色々な人の力が必要なんです、私だけでは出来ないことだらけですから」


 あちらでも美少女美女コンビの麗しき会話風景が展開しておりますわね。


「む? ベティ殿、どうやらのんびりタイムは終わりですぞ」


 隣の馬車の御者をしていたバウスさんが少し寄ってきてそう言いましたわ。

 バウスさんがそう言うと前方に十名程の盗賊が待ち構えておりました。

 あの森絶対に根城がありますわよきっと。

 ワタクシ達が馬車を停めると、盗賊のリーダーらしき男が近づいてきましたわ。


「へへへ、ここは通行止めだぜ、ここを通りたけれ――ぶぺ!」

「やかましいですわ!」


 ワタクシの右フックが男のアゴを捉えましたわ。


「ナルリアちゃん! 殺さない程度に痛めつけますわよ!」

「――わかった!」


 ワタクシとナルリアちゃんは盗賊に向かって走りますわ。

 向こうでは……


「マウナ閣下は今いる馬車を守ってください。バウス殿を中心に大工の方々は纏まってください、自分は動けませんのでここから援護射撃を行います! ベティ殿とアルティアどのはバウス殿の逆位置にて待機お願いします!」


 ふふふ、ワタクシ自由に動けるっていいですわー。米田中尉が的確に守備陣形を敷いてくれております。


「敵戦力があの程度であれば、マナカ殿とナルリア殿だけで十分制圧可能であります。しかし万が一があり得ますので警戒をお願いします」


 ――

 ――――


 数分後、ワタクシとナルリアちゃんで盗賊十名を拘束して馬車にまで連れてきます。


「ベティ殿援護します、――シャイン・アロー!」

「はーい」


 ベティさんが盗賊の剣をバックラーでいなし、バランスを崩した所に米田中尉が光の矢で盗賊の足を撃ち抜きました、馬車側も制圧が終わったようですわね。


 意外な事に米田中尉は魔法適正で光が3の地が1と二属性の適性を持っておりましたのよ。

 キノコなのに光属性ですのよ!

 バウスさんが全員を拘束して一カ所に纏めております。


「くそ! 俺たちをどうする気だ!」


 盗賊のリーダーが叫びますが無視ですわ。

 盗賊たちはワタクシ達の前に誰かを襲ってたようですわね、馬に荷物がくくってありましたしその荷物に血が付いておりましたし。


「マ、マナカさん、こ、この人たちをどうするんです?」

「うふふ、当然使えるものは使いますのよ。この盗賊たちの荷物はすべて回収、この方達も馬車に乗せますわ」

「捕虜でありますか?」

「違いますわよ」


 ワタクシは盗賊と出会った時にナイスなアイデアを思いついたので実行しますのよ。


「ワタクシ、良い事思いつきましたのよね。盗賊を労力として使うのですわ」

「なるほど、いい考えですね。では彼らに呪いをかけるとしましょう。奴隷印に似た術式でいいですか?」

「ええ、サラリと恐ろしい事言っておりますがそれでいいですわね、お願いしますわ」


 マウナさんが盗賊たちに術式を展開していきますわ、盗賊たちも当然抵抗を試みますがマウナさんは魔法に関しては天才ですのよねぇ、盗賊程度の抵抗は意味がありませんわ。

 マウナさんは手際よくテキパキと準備を進めていきますわ、すでに泣きそうな盗賊もおりますわね。

 マウナさんはどんどんと盗賊たちに印を書いていきます。

 ――そして印を発動させましたわ。


「完了ですね」


 マウナさんが完了宣言をすると盗賊たちはおっかなビックリで尋ねてまいります。


「お、俺たちはこれからどうなるんだよ……」

「お助けを、慈悲を。心を入れ替えて働きますから」


 色々言っておりますわねえ。


「安心なさいな、行き成り命を取るほどワタクシ野蛮じゃありませんわよ」


 ワタクシは腕を組み盗賊たちの前で仁王立ちですわよ。


「貴方方には、そこにいる魔王マウナ・ファーレのために働いてもらいますわ」

「「魔王だってー?」」


 盗賊たちの声がハモっております。まあ、そういう反応になりますわよね。

 盗賊たちは『魔王』という単語と『呪い』という二つの単語のせいで絶望的な顔でうなだれておりますわ。


「うふふ、覚悟しておきなさいな強制労働ですわよ」


 ワタクシも威圧的に盗賊たちに話しかけます。


「ところでマウナさんこの呪いはどのようなものですの?」

「はい、私達に危害を加えようとしたり、一定の範囲から逃げ出すと発動して足の裏が凄く痒くなります」


 マウナさんの言葉を聞いて盗賊たちは痒くなるだけ? みたいな顔をしておりますわね。


「はー、なんとも恐ろしい呪いでありますな」


 米田中尉は分かっておりますわね。

 ワタクシも痛みを与えるより恐ろしいと思いますわね。


「――痒いだけなの?」


 ナルリアちゃんは分かってないようですが仕方ないですわね。


「ナ、ナルリアちゃん。 痒いのはね痛みより我慢できないんだよ」

「しかも、足の裏ってのが嫌らしいわねぇ。 足の裏なんて掻きながら逃走なんてできないわよ」

「ええ、そうでありますな。痒みには人間なかなかに耐えられませんからな三日で発狂すると思います」

「――痒いのは怖い!」


 ナルリアちゃん以外はわざと聞こえるように話しておりますわね。

 話を聞いていた盗賊はますます泣きそうになっておりますわね。


「脅かし過ぎですわよ、ワタクシは盗賊たちを労働力として扱うつもりですのよ」


 オカマがテヘペロしておりますわね、少しイラっと来ましたわよ。


「盗賊の皆様方は日給五〇〇リシェで、一日最低八時間は働いてもらいますわよ」

「労働には対価をですね」

「当然ですわよ。本来ならこれは少ないのですが、盗賊の方々はワタクシ達を襲った罰として少ない賃金で働いてもらいますわ、しかし良い働きをしていただければ上乗せも考えますわよ」


 盗賊たちは給料が出ると知って顔に生気がよみがえってきましたわね。

 取り合えず盗賊を馬車に詰め込み、ワタクシ達は移動を再開いたしますわ。


「皆さま、今度盗賊狩にいきませんこと? この方法で労力確保って有りだと思いますのよね」


 ワタクシがそんな提案をすると、バウスさんが反応しましたわ。


「なるほど面白いですな、治安維持にもなって良いかもしれません、マウナ様御一考されてはどうですか?」

「そうですね、種数精鋭で魔王領付近と不毛の地に根城を持つ盗賊団を殲滅しましょう」

「米田中尉に作戦立案をお願いしますわ」

「は! 了解であります」


 皆も安心して暮らせるようになるし労力も確保できるなんてナイスアイデアですわね。


「マナカちゃん、あの子やっぱり怖いわねぇ」

「そ、そうですね。盗賊退治ならギルドでもよくありますけど、ろ、労力として捕まえに行くなんて考えは普通ないですよね」

「マウナちゃんも国を挙げての盗賊狩りとか凄い事承認しちゃうわよね」

「――ワタシもマナカのために頑張る!」


 ベティさんとアルティアさんにも手伝ってもらいますわよー。

 そんなこんなでまた何事もなく移動が進んでおります。


 ――

 ――――


 そして、その後は何事もなくワタクシ達は魔王領にもどってまいりましたわ。


次回は8/24予定!

感想レビューお待ちしてます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ