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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第四章 魔王領再建準備編
54/116

第五十話 ハゲとの再会

50話更新しました!

「ではさっそく本題に入らせてくれ」

「ええ、結構ですわよ、何がありましたの?」


 ワタクシがガリアスさんを促すと、ガリアスさんは真剣な顔で話し出しましたわ。


「案の定センネルの野郎がちょっかいかけてきやがった、俺とブレンダを辞職に追い込んできた」

「あらまぁ、そこは予想通りね」

「ああ、お前たちも何らかのちょっかいを食らったんじゃないのか?」

「は、はい、三か月依頼が受けられないというペナルティです」


 ワタクシ達の状況も説明しますと、ガリアスさんは俯いて考え事をしております。

 少しすると口を開きました。


「どうやらセンネルのヤツは冒険者ギルドを掌握したいようだな、今の所理由は分からんが、どうやら本部の方にもちょっかいを出してるらしい」

「センネルはギルドと関係ありますの?」

「今まではそんな素振りは無かったんだがな……アイツは野心家だからな、良からぬことを企んでるのは確かだ」

「はぁ、迷惑な話ですわね」

「センネルのヤツはどうも裏から手をまわしギルドから優秀な職員を切ってるようだ、または地方に飛ばしてるようだ、そのことから掌握しようとしてるのは明らかだろうな」


 これからが御国再建の本番だというのに迷惑なオッサンがいたものですわね……直接乗り込んでボコボコにしてやろうかしら?

 っとそうそうブレンダさんはどうなってるのかしら?


「そうですわ、センネルとかどうでもいいのですわ、こちらに害があるようなら直接乗り込んでボコってもよろしいのだし」

「一応伯爵なんでそこまで簡単じゃないぞ?」

「それよりもブレンダさんはどうしてますの?」

「アイツならコルリスの自分の家で待機してるはずだ、なるべくはこの件に関わらせたくないからな」


 ブレンダさんは自分の家がコルリスにあるようですわね、良かったですわ、そしてハゲアスさんのブレンダさんを巻き込みたくないという考えにはワタクシも賛成ですわね。


「そうですわ、アーシアさんというのはどういった方ですの?」

「アイツは本部のやり手だよ、ブレンダの先輩にあたる職員だ、優秀がゆえにコルリスに飛ばしたか。賢いな、アイツがいりゃコルリスなら回るし本部ほど影響は無いからな」

「そうなると本部を直接掌握するという事ですわね」

「周りは混乱させるが固めていく訳ではなく、あくまで本命ねらいってのがセンネルらしいな」

「ワタクシとは逆ですわね」

「ガリアス殿ですな、自分は元大日本帝国海軍の米田義臣中尉と申します」


 今まで沈黙していた米田中尉がガリアスさんに話しかけますが、ガリアスさんはキョロキョロと辺りを見回します、当然の反応ですわね。


「どこから声がするんだ?」

「目の前におりますキノコが自分であります」

「……なに? キノコが喋ってるだと?」

「ワタクシ達の新しい仲間ですわね、そう言えば紹介しておりませんでしたわね」


 ガリアスさんが米田中尉をマジマジと見ておりますわね。

 まあ、キノコが喋るのは流石に異世界でも珍しいようですわね、それも当然でしょう魔物ですらなく転生者がキノコですものね。


「はー、また凄いのを仲間にしたなお嬢ちゃん達は、それでヨネダ中尉だっけか? 何か聞きたい事でもあるのかい?」

「はい、冒険者ギルドというのは国にどれほどの影響力があるのでしょうか?」


 米田中尉の言葉にガリアスさんが考えてから答えます。


「そうだな、そこそこの影響力はあると思うぜ、集まった冒険者ならそこらの軍隊にゃ負けないからな」

「……軍隊に負けない、で、ありますか」

「ああ、それこそその冒険者の中に一等級の冒険者が入っれば小国程度なら制圧も可能かもな」


 米田中尉は思考を巡らせておりますわね。


「センネルとやらは国家転覆でも企んでいるのではないでしょうか?」


 米田中尉の言葉に全員が……ナルリアちゃんは舟を漕いでおりますわね……ナルリアちゃん以外の全ての方が米田中尉を見ます。


「ヨネダ中尉、それはどういう事だ? 確かにセンネルならやりかねんが」

「推測でありますが話を聞いておりますと、センネルという男は随分と横暴で野心家のような印象を受けます。それこそ自分の身内を犠牲にしてでも、それすらを利用する事を躊躇わない人物でありましょう」

「野心家と言うより、欲の塊のような男よねぇ」


 息子の死すら利用する……あり得ますわね。


「息子の死を利用し、ガリアス殿を貶め排除する。コルリスは王国でも大きな方の街との事でありますな、ですが王都より離れた地方都市であります。そこに本部の有力者や切れ者を適当な理由で左遷し、ガリアス殿の後釜に無能だがセンネルに忠実な傀儡マスターを置くだけでかなりギルドは掌握できましょう」

「そうなると本部を掌握しつつ外も固めていけるという事ですわね」

「あり得るな、しかしセンネルがそこまで優秀だとは思えんな」

「そうよねぇ、センネルって地位とがめつく集めた金だけはあるけどそこまで大した男じゃないのよねぇ」


 ベティさんとガリアスさんの話通りならセンネルは優秀な人物ではないようですわね。


「と、言うことはセンネル伯爵に協力者がいる事になりますね」


 マウナさんがワタクシと同じ考えだったようでワタクシの思っていたことと同じことを言いました。

 ワタクシもマウナさんに賛同しておきましょう


「ワタクシも協力者がいると思いますわね」

「自分も同意見であります、この協力者が何者かが分かれば次が動きやすくなりますな」


 ワタクシと米田中尉も一緒の意見のようですわね。

 さて、センネルもアレですがこれからガリアスさんはどうするのでしょう?


「ガリアスさんはこれからどうするんですの?」


 ガリアスさんはハゲ頭をペチっと叩くと微妙な顔をしております


「あー、そうだなぁ。考えて無かったな、センネルの野郎の事で頭がいっぱいで自分のこと考えて無かったな」

「それでいいんですの?」

「まあ、しばらくはなんとかなるさ。センネルは放っては置けんしな」


 ワタクシは小声でマウナさんにガリアスさんをスカウトできないかと聞いてみます、するとマウナさんは少し考えてから了承してくれましたわね、実は魔王領にも冒険者ギルドを作りたいのですのよね、ギルド建設はもう少し先ですがこの人なら色々とやってくれそうですものね。


「ガリアスさん、もしよろしければマウナさんの所で働きません? いずれ冒険者ギルドをマウナさんの所にも作りたいと思っておりますのよ」

「マウナ嬢ちゃんの所って? 実は良い所のお嬢様だったのか?」


 マウナさんの正体は基本的に隠していましたわね、ですが国の再建をしていくには徐々にでも明かしていった方が良いですわね。

 ワタクシがそのことを小声でマウナさんに伝えるとマウナさんも頷き。


「あー、実は私の本当の名前はマウナ・ファーレと申しまして、ファーレ魔王領で魔王をしているんです」

「なーんだお嬢様じゃないのかよ、魔王だったなんて……まおう?」


 ガリアスさんはマウナさんをまじまじと見て数回瞬きすると。


「なにーぃぃぃ! マウナ嬢ちゃんが魔王!!」


 ガタッ! と椅子から立ち上がりマウナさんを指さしております、見事なリアクションですわね。


「あはは、やはり魔王には見えませんよね、ですが事実私は魔王です」

「あ、いや。まあ、確かにあまり魔王には見えないな」


 ガリアスさんはマウナさんの言葉に答えつつ再び椅子に座ります。


「しかし、魔王の国でギルド職員か、いいね面白い。センネルの事がある程度片付いたら頼むぜ、ブレンダも誘ってやるといいかもな」

「当然誘いますわよ!!」

「ああ、それがいい。ブレンダのヤツはやたらマナカお嬢ちゃんのことを気にしてたからな」


 センネル伯爵についての詳しいことは全く分かりませんが、ガリアスさんを引き入れる事が出来たのは大きいですわね。

 そして、ガリアスさんが最後に。


「わざわざここまで来てもらったのに、この程度のことしか伝えられなくて悪かったな」

「問題ありませんわ、ここには別の用事も有って来ましたし、状況の確認とブレンダさんの事も聞けて良かったですわ」

「そう言ってもらえると助かる、センネルの方は俺の方で探りを入れておく、嬢ちゃん達も気を付けるんだぜ、アイツの事だまた別の方向からもちょっかい出してくるはずだからな」

「ええ、それでガリアスさんはこれからどうしますの?」


 少しだけ考えるとガリアスさんは答えます。


「まあ、あと二、三日ここで潜伏したらコルリスに戻るさ。その後もセンネルの動向を探ってみるさ。お前たちはどうするんだ?」

「ワタクシ達はコルリスを中心にファーレ魔王領の再建の協力者を探すつもりですわ」

「そうなりますね、仕事を受けたくても受けれませんからね」

「そういやそうだったな」


 ガリアスさんはカバンから何かを取り出すとワタクシに渡してきました。


「何かあればコイツで連絡をくれ、コイツは使い捨てだが優秀な伝達用の使い魔でなコイツに手紙を付けて放てばいい」

「わかりましたわ、ワタクシ達に用事があるなら熊の干物亭に託でもお願いしますわね」

「了解した、それじゃあここで解散としよう」


 ガリアスさんと別れるとワタクシ達は宿へと戻ることになりました、ってここが宿ですわー。

 そういう事だったのでワタクシ達は宿で食事を頂き部屋へと戻ることにしましたわ。



次回は8/2更新予定

登場人物まとめも更新予定

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