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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第三章 昇格試験と国の特産物
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第四十七話 ハゲのメモと薬屋のババア 

47話更新です

この辺りから再建の準備がはじまります

 

 ワタクシ達はムッカに来ると店の奥にあるテーブルを陣取りましたわ。

 ムッカはミルクティーの美味しいお店ですのよ、あと何故か人が少ないので落ち着いて話すにはもってこいですわ。

 ワタクシは早速メモを確認いたしますわ。


「渡されたメモになんて書いてあるんです?」

「えっと、お待ちになって」


 ワタクシはメモを取り出し目を通しますわ、読み書きは勉強したはずですが、この文字はえーっと……あのハゲ、字が汚いですわね……


「ガリアスちゃんの字って読みにくいのよねぇ」


 隣でベティさんがメモを覗き込みながらそう呟きましたわ。


「ええ、なんですのこの汚い字は暗号じゃないですの……」


 何とか苦労して読もう解読した文章を読み上げます0-わ


「『この手紙を受けっとったのならば連絡をくれ、立った小鹿亭のマスターに言えばこちらから出向く』そんな感じの内容ですわね」

「確か立った小鹿亭ってこの街から西に少し行ったところにある村の宿よね?」


 流石は元ベテランのベティさん、宿の名前だけで村を特定できるとは素晴らしいですわ。しかしハゲの野郎、宿の名前なんてワタクシ達が知るわけないじゃありませんか、ベティさんがいなかったらどうするつもりだったんでしょうか?

 さて、こうなるとガリアスさんに会わないといけなくなりましたわね、ブレンダさんの事も聞きたいですしね。


「明日にでも小鹿亭に行ってみませんこと? ハゲアスさんの事もそうですがブレンダさんの事が気になりますわ」

「そ、そうですね、三か月も仕事が、う、受けれませんし」

「自分は皆さんの判断に任せます。イマイチ状況を理解しておりませんので」


 あ、そう言えば米田中尉はあの時いませんでしたものね、ワタクシは米田中尉に簡単に説明しておきましたわ。


「なるほど、それならばガリアス殿に会っておくのは賢い判断だと自分も思います」

「私もマナカさんに賛成ですね、まずは状況の確認をする必要性があると思います」


 ナルリアちゃんは寝てますので放置しておいて、それ以外の方々は賛成のようですわね、明日は小鹿亭のある村に行くことになりましたわね。


「では決定といたしますわね。さて、今日はこれからどうしましょう?」


 まだ昼を少し過ぎたところ、遠出には時間が足りませんが近場で何かするならまだまだ時間はありますわねぇ。


「でしたらガラス工房の情報を集めませんか?」

「醤油を入れる瓶ですわね」

「で、でしたら、ワタシが使うポーション屋に、き、聞いてみたらどうですか?」

「なるほど、ポーションの瓶を作ってる工房の事を聞いてみるのですわね」

「は、はい、そ、そうです」

「そうですわね、そうしましょうアルティアさんの知ってるポーション屋に行ってみましょう」


 こうして、ワタクシ達の次の行動が決まりましたわ、まずは瓶ですわね。

 ワタクシ達はアルティアさんの案内の元ポーション屋に向かう事にしました。


 ――

 ――――


 街の南西側にキマシタワー、南西側ってそうそう用事がないためかあまり来たことないんですのよね

 少し特殊な店の並ぶこの区間はちょっと辛気臭いですわね……

 アルティアさんの案内で一軒のお店の前に来ましたわ、ここがポーション屋だそうですが……どうみても怪しい魔女の店ですわね。


「なんかいかにもな魔女がいそうなお店ですわね」

「――なんか臭い」


 ナルリアちゃんの言うように薬臭いですわね、まあポーション屋だし薬臭いのは仕方ありませんわね

 アルティアさんが扉を開けると扉の軋む音と共に扉が開かれます、すると中から。


「いらっしゃい」


 しわがれた老婆の声が聞こえてきましたわ。とてもそれっぽい声ですわね、アルティアさんが入っていったのでワタクシ達も後に続きますわ。

 店内は昼少し過ぎたあたりだというのに薄暗く、棚には色々な色の液体が入った瓶や良く分からない薬草、どう見ても黒魔術にしか使わなさそうな怪しい物が並んでいますわね。

 そしてカウンターには黒い三角帽子をかぶった鷲鼻のいかにもな老婆が座っておりますわ、まさにまさにパーフェクト! 完璧に魔女の怪しいお店ですわー。

 ワタクシがある意味で感動していると老婆が話しかけてきましたわ


「アルティア嬢ちゃんかい、今日は大勢で来てまぁ」

「は、はい」

「あんた友達いたんだねぇ」

「はうぁ!」


 老婆の言葉で精神ダメージを受けるアルティアさん。ワタクシやベティさん、マウナさんが口を押えて笑いをこらえます、いきなりなご挨拶の老婆ですわね。


「――アルティア……ワタシはお前の友達だぞ」


 ナルリアちゃんが純粋に止めを刺しております、無邪気は時に残酷ですわね。

 ワタクシは用件を切り出すべく老婆に話しかけますわ。


「くは、プフ、ごきげんよう。ワタクシはアルティアさんのお友達のマナカ・クナギと申しますわ」

「アルティア嬢ちゃんのお仲間かね、ふぇっふぇっふぇ」」


 老婆は何故か楽しそうに笑っておりますわね、アルティアさん美人ですがコミュ障ですものね、仲間を連れてきたのが嬉しいのでしょうか?

 アルティアさんが老婆に話しかけますわね。


「あ、あの」

「なんじゃ?」

「ポ、ポーションを入れる瓶を作ってる工房を、お、教えてくれませんか?」

「瓶? まあ、ええが。この街の西にある村にあるぞい、ワシの馴染みの店じゃて」

「あ、ありがとうございます」


 馴染みの店ですか? なるほどなるほどではこの老婆にはもう少し協力してもらいましょう。


「瓶の工房なんて知ってどうするんじゃ?」


 疑問に思った老婆が聞いてきましたわね、それにマウナさんが答えますわ。


「お初にお目にかかります、私はマウナと申します。調味料を入れる瓶が大量に必要になりまして、それで瓶を作ってる場所が知りたかったのです」

「調味料? ふーん、しかしあの工房のオヤジは腕はいいが偏屈でな初見さんの話は聞かんと思うぞ」


 偏屈オヤジですか、これは老婆にはますますご協力願いたいですわね。

 ワタクシは店内を見て回りローポーションと毒消しを適当に何個か持って老婆のところへ持っていきカウンターに置きます。

 突然買い物を始めるワタクシを仲間たちは不思議そうに見ておりますわね。

 ワタクシは皆さまに向かってウィンクをします、ベティさんがオエーと変なジェスチャーをしておりますわね失礼な。


「呪いを解除する薬はあります?」

「アルティアがいるなら聖水の方が安上がりだぞ」

「アルティアさんがいなかった時ようですわ、備えあれば憂いなしですわ」

「ふぇっふぇっふぇ、なるほどな確かに」


 老婆は棚から瓶を一本持ってきましたわ


「こいつならよほど強烈な呪いじゃなけりゃ解呪できるじゃろうて」

「全部で幾らですの?」

「そうじゃのぉ、アルティア嬢ちゃんのお仲間じゃて、ローポーションが三つ三〇〇リシェ、毒消しが二つで四〇〇リシェ解呪薬が一つ二〇〇〇。合計で二七〇〇リシェだが、アルティア嬢ちゃんの仲間じゃからなオマケして二三〇〇〇リシェでどうじゃ?」


 老婆が値引きしてくれましたがワタクシはサイフから二七〇〇リシェを取り出し渡します。


「値引きは嬉しいのですが、別の事で協力していただけませんこと?」

「ふぇっふぇっふぇ、金額ではないのか? ではなんじゃ、紹介状か?」

「あら? 分かっていましたのね、馴染みの貴女の紹介状があれば工房の親父さんは話を聞いてくれるのでしょう?」

「ふぇっふぇっふぇやはりのぉ、まあよいわ。最近のアルティア嬢ちゃんは楽しそうじゃての、お前さんらのおかげじゃろうて、まあ紹介状くらい書いてやるわい」


 そういって老婆は棚から紙とペンを取り出し、紙にサラサラとペンを走らせていきますわ。

 書き終わるとワタクシから代金を受け取り紙を渡してきましたわ。


「マナカ嬢ちゃんだっけかね? アンタは大物になるよ、ふぇっふぇっふぇ。アルティア嬢ちゃんをこれからもよろしく頼むよ、その子はワシの孫みたいなもんじゃてな」

「ええ、心得ておりますわ。ワタクシ達もアルティアさんにはお世話になっておりますものね」


 老婆は優しげな目でアルティアさんを見ると。


「良さそうな仲間を見つけたな」


 そういいましたわ、アルティアさんも笑顔で老婆に返します


「はい!」


 ワタクシ、一瞬アルティアさんの笑顔に見惚れてしまいましたわ……仕方ありませんわよねアルティアさんですもの。


 ――

 ――――


 ワタクシ達はあの後すぐに店を出ました。


「思ったより早く工房が見つかりましたね、これもアルティアさんのおかげです」

「い、いえ。こんなことでしか協力できませんので」

「十分です、ありがとうございます」


 そう言えば西の村ってガリアスさんのメモも西の村でしたわね好都合ですわ。


「さて、明日は西の村に行くとしましょう」

「そうでありますな、ガリアス殿のメモもその村でしたな」

「ええ、好都合ですわね」


 さて、明日は忙しくなりますわよ。




次回は7/20夜更新予定

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