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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第三章 昇格試験と国の特産物
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第四十二話 出でよ〇〇!

新たな仲間が召喚されるそんな42話更新です

まあ、全開でネタバレしてるんですがね

 

 光の収まった其処にいたのは……人ではありませんでしたわ。


「……人じゃありませんね」

「そ、そうですね、ど、どう見てもキ、キノコですよね」


 そう、そこいたのは人でもアイテムでもなく、()()()でしたわ、しかも()()()ですわね。


「あらー、見た事の無いキノコねぇ」

「これはワタクシの世界のキノコで、松茸と呼ばれる高級な食材ですわね」

「――高級食材」


 マウナさんはがっかりしておりますわね。

 ナルリアちゃんは目を見開いて見ておりますわね、いきなりかぶりつかないで下さいましよ。

 しかし高級食材とは言え、キノコでは戦力にはなりませんものね、がっかりするのも仕方ありませんわね。


「マウナさんこのキノコどうされます?」

「そうですね……どうしましょう?」

「皆で食べるのには少ないですわね」


 ワタクシ達はキノコをどうするかで悩んでおりますと、どこからか声が聞こえてまいりましたわ。


「……ん、ここはどこだ? 身体が動かない」


 突然の声に皆が周りを見回しますわ、ワタクシも警戒を強めます。


「ちょっと、どこから聞こえるのかしら? しかも聞いたことのない言葉ねぇ」


 あら? ベティさんが妙な事を言っておりますわね。


「ここはどこだと聞こえましたわね」

「――マナカこの言葉が分かる、凄い!」

「え? お二方何を言っておりますの? 普通に……まさか」


 ワタクシには普通に聞こえており、他の方にはわからない言葉という事は聞こえてくる声は日本語ですわね。


「そこの方々、ここはどこでありますか? 自分が言ってることがわかりますか?」


 言葉が発せられる位置を探ると……信じたくは無かったのですが日本語を喋っているのは……

 ワタクシ達の目の前にある松茸が喋っておりますのよ!


「……ええー!! どういうことですの!?」


 ワタクシが驚いた声を上げますと皆さんがワタクシに注目しますわ。


「どうしたんですかマナカさん?」

「マウナさん、そのキノコに召喚の書でワタクシにしたように言葉を変換する魔法をお願いしますわ!」


 マウナさんは怪訝そうな顔をするもワタクシに言われた通りに魔法を行使します、するとキノコが淡く光を発してからまた元に戻りますわ。


「な? これは面妖な」


 キノコが喋ったのを見て驚く面々、仕方ありませんわよね。


「ど、どう言うことですか? キ、キノコが喋っています」


 アルティアさんがそう言うとキノコから返事が返ってきますわ


「ご婦人方、自分はキノコではありません。自分は大日本帝国軍令部所属『米田義臣』中尉であります」


 キノコが名乗ります、しかも大日本帝国? いつの時代のキノコですの?

 まあ、名乗られたら名乗り返すのが礼儀ですわね。


「ワタクシは久那伎真奈香と申しますわ」

「久那伎……? まさか『久那伎順吉(クナギジュンキチ)』大佐の関係の方でありますか?」

「あら? 順吉はワタクシのひいおじい様ですわ」

「なんと……まさかとは思いますが、自分は未来に来てしまったのでしょうか?」


 驚きですわ……順吉とはワタクシのひいおじい様ですわ、クナギグループの創設者ですのよ。


 ワタクシと米田中尉の会話に皆さまが置いてけぼり状態ですわね、仕方ありませんわねキノコと会話する女とかはたから見たら危ない人ですものね。


「マウナさん、皆さん。どうやらこのキノコはワタクシと同郷のようですわ」

「そうですか、では説明した方がいいのでしょうか?」

「説明しても良いと思いますわよ」

「マウナ殿とおっしゃいますか? 何か知っているのであれば教えていただきたい」

「と、本人も言っておりますしね」

「わかりました」


 マウナさんはワタクシに話した時と同じ内容をキノコこと米田中尉に話します。


「にわかに信じがたい……ここは異世界、で魔法も存在すると、お伽話のようですね」

「ですが事実です」


 米田中尉は表情を曇らせると……キノコに表情なんて無いのですが、なんというか雰囲気的にそんな感じなのですわ。


「自分の最後の記憶は、早波が敵潜水艦と交戦のすえ撃破され、そこから海に投げ出された所で終わっています。そしてここに来たという事は自分はそこで死んだという事ですね」

「早波? 駆逐艦早波ですわね……早波が轟沈したのは一九四四年の六月でしたわね、すると米田中尉は一九四四年からこちらに来たという事ですわね」

「そうなります、マナカ殿は久那伎大佐の曾孫にあたるという事は自分より未来から来たことになりますね」

「ええ、ワタクシは二〇一八年から来ましたのよ」

「そうですか」


 そして中尉の最後の記憶からしてもワタクシと同じでしたわね。


「そして米田中尉はワタクシと同じく死んでここに呼ばれたのですわね、しかし姿かたちは魂の記憶に左右されるのですわよね? それが何故キノコなんですの?」

「すいません先ほどからキノコと言っておりますが、自分は軍人であってキノコではありません、ただ身体が動かせなくて困っています」


 マウナさんが鏡をもってこちらに来ます、なんと残酷な真実を見せるつもりですわね……


「ヨネダ中尉でいいのでしょうか?」

「ここは軍ではないようですから、お好きに呼んでいただいて結構です」

「分かりました、ではヨネダ中尉、今からお見せする者は事実です、見ても驚かないようにお願いします」

「りょ、了解しました」


 マウナさんが鏡を米田中尉の正面(?)に鏡を置きます。


「……鏡ですか、そして自分の目の前に置かれた鏡に映ってるのは……松茸ですね」

「ええ、これが事実です」

「なんと……自分は死んだ後異世界に呼ばれてキノコになってしまったという事ですね」

「はい」


 米田中尉の声が少しだけ沈んで聞こえました、仕方ありませんわよね生き返ったと思ったらキノコですものね。


「――でも、凄い喋るキノコは珍しい」

「そう言えばお姉さんたちの自己紹介をしてないわよねぇ」

「そ、そうでした」


 ワタクシ以外の方々も米田中尉に自己紹介をします。


「では、皆さまは自分の先任に当たるのですね! そしてマウナ殿、いやマウナ閣下はこの国のトップでありましたか!」


 米田中尉がそういった時マウナさんが謝罪をしました


「えーと、申し訳ありません! 私が呼び出さなければ、ヨネダ中尉はこのような姿にはならなかったと思います」


 確かにそうなのですが……誰が予想できますかコレを

 ですが米田中尉側もこのような姿にされたら起こるのも仕方ありません、ワタクシがそう思っていると

 意外な答えがかえってきました。


「頭を上げてくださいマウナ閣下、起こってしまったことは仕方ありません事実は事実として受け入れましょう、どうせ元の世界では自分は死んでいるようです、ならば第二の人生を……いや、この場合は人ではありませんので菌生でありますか? とにかくそれを謳歌するのも有でしょう、幸い意思の疎通はできますからな」


 なんと、ポジティブ思考! ワタクシなら自決しますわよ……あ、無理じゃないですの。


「ですが何故、松茸になってしまったのでしょう?」

「召喚の書が作用してるのは確かですね、少し特殊な書のようですし」

「魂の記憶ってヤツに匹敵するほどの想いがあったんじゃないのぉ」


 ベティさんの言う事もあり得ますわね、ワタクシの時代の人間より戦時中の人間である彼の方が強い想いはあったのかもしれないですわね。


「それかもしれませんわね」

「自分確かに死ぬ間際に故郷の母が作るキノコ鍋を食べたいとは考えましたが、まさかそこまでの効果があったなんて」

「まあ、普通はそんな事想像つかないですよね。ですがその故郷の想いが魂の記憶を覆ってしまうほど強かったのかもしれませんね」

「――キノコ中尉凄い、姿が変わるほどの想い凄い」


 さて、これからどうしましょうかね? 分からないことを考えてても始まりませんものね。


「ヨネダ中尉、よければ私達を手伝っていただけないでしょうか?」

「そうでありますな、自分この姿ではかなり色々と制限を受けてしまいます。協力することは考えるまでも無い事かと、久那伎大佐の御子孫もおられます自分で良ければ手伝いましょう」

「ではよろしくお願いします」


 こうしてワタクシ達の仲間にキノコの米田中尉が加わることになりましたわ、軍令部所属ならば何かあった時の作戦立案とかお願いできますわね。

 そして召喚の書が淡く光るとマウナさんは召喚の書を覗きますわね、ワタクシの時のように素質とかでたようですわね。


「星3ですね、そして素質は。

 力:おういえー、速さ:おういえー、耐久:凄く高い、魔力:高い、精神:凄く高いとなってますね」


 星3にしては破格ではありませんこと?


「自分の現在の素質ということでしょうか?」

「そうなりますわね、おういえーは一番低いといことですわよ」

「キ、キノコですから力と速さは仕方ないですよね」

「ちょっとー耐久が凄く高いってどういうことなのよー」

「さあ? 自分に言われましても困ります」


 米田中尉のレアリティも判明しましたわね。

 さて、次は米田中尉にギフトがあるかも確かめておきたいですわね。

 ワタクシのように後に覚醒する者もおりますから、まだ覚醒していない可能性はございますけどね


「米田中尉」

「なんでありましょうか?」

「米田中尉の中にふっと浮かぶ聞きなれない単語はございます?」

「うーむ……お、おぉ? まさかこれですかな? ふと浮かんできた単語があります」

「あらー、マナカちゃんがつい最近覚醒したのに中尉殿はもう覚醒したのねん」


 く、なんか負けた気分ですわね……ワタクシのギフト更に言えばアレですし。


「はい、オカマ殿。『菌類の(ロードオブ)君主(ファンガイ)』という単語であります」

「ろ、菌類の君主……な、なんか凄そうな、ひ、響きですね」

「は、どうやら自分が知っている菌類の一部と菌糸類を操ることができるようであります」

「くあーー!! ワタクシのギフトの百倍は強力そうですわー」

「マ、マナカさん行き成りどうしたんですか?」


 つい、叫んでしまいましたわ……びっくりして皆さんがワタクシを見ておりますわね


「し、失礼しましたわ、中尉いま分かってるギフトのこと教えていただけません?」

「ハ、了解しました。 どうやら菌類を呼び出したり成長させることが可能なようであります」


 ん? 呼び出して成長させる? まさか、これは……うふふ素晴らしいですわよ。


「ただ病原菌のような物は自分のギフトでは操作できないようであります、後は先ほども言ったように自分の知識と知っている菌類の一部だけという制限はあります」

「米田中尉! 素晴らしいですわ」

「ハ! 有難うございます、お役に立てるようなギフトですか?」

「ええ、ええ。場合によってはとても有用ですわ」


 麹菌を知っていなければなりませんけどね。

 聞いてみる価値はありますわ


「米田中尉、時にあなたは醤油や味噌を作るための菌の事はご存知です?」

「麹菌でありますか?存在は知っておりますが醤油の作り方までは知りませんが」

「麹菌を知ってるなら十分ですわ」


 ワタクシが喜んでいるのを周りはなんのこっちゃと見ております。


「マウナさん! 資金集めに一気に近付きましたわよ! ワタクシが用意できなかった麹菌を米田中尉のギフトで作り出すことができますわ!」

「!? という事はマナカさんの言っていたミソとショーユが作れるのですね!!」

「ええ、そういう事ですわ」


 ワタクシの言葉を聞いてベティさんもアルティアさんも理解したようですわ、米田中尉とナルリアちゃんだけは分かってないようですわね、中尉はいいのですが……まあ、ナルリアちゃんもそれでいいですわね。


「米田中尉さっそく貴方のギフトが役に立つお仕事がありますわよ!」

「了解しました! この米田義臣、全力でお国のために役立ちたいと思います」


 こうしてワタクシ達の特産品作りが本格的に動き出しましたわ。


次回は7/3更新予定

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