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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第三章 昇格試験と国の特産物
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第四十話 たまには買い物でもしましょう

実に何でもない日常回の40話更新です


 

 ワタクシはオカマとナルリアちゃんを連れて、まずはベティさんのオススメの服屋にやって参りましたわ。


「さっしゃい」


 身長一八〇センチ近くある浅黒い肌をした、ゴツイ女性の店員がワタクシ達を迎えてくれます、しかしまた「さっしゃい」ですのね……それはそうと店の中は割と広く様々な用途の服が売っておりますわね。


「なかなかの品揃えですわね、ベティさんのオススメというから、てっきりビキニアーマーだらけの店かと思いましたわ」

「やだー、マナカちゃんそれじゃ防具屋ヨー、それはまた別にあるのよ」

「……え?」


 聞かなかったことにしましょう、そしてベティさんは自分の服や下着を見てくると女性用の下着売り場に消えていきました……え? 女性用の下着売り場? 気にするのはやめましょう……


 さて、ナルリアちゃんの服を優雅に決めましょうかね。


「ナルリアちゃんはどういった服がよろしいかしら?」

「――マナカと一緒」

「おっと残念ですわね、この服は売ってないんですのよ」

「――残念……」


 ワタクシ達の様子を見ていた女性店員がこっちにきてナルリアちゃんを見ると。


「お嬢ちゃん奴隷かい?」


 女性店員の声はハスキーなイケボでしたわ。声はどうでも良いですわ、そうじゃなく奴隷だから追い出しに来たのでしょうか?


「ワタクシの奴隷ですわよ、まさか奴隷は出て行けとでも言いますの?」


「あっはっは、違う違う。奴隷だろうが何だろうが服を買ってくれるならうちの客だよ、服を何にするか困ってるようだから声をかけたんだよ」


 女性店員は笑いながらいいます。

 確かに服屋の意見を聞くのも良いですわね。


「では、まずは冒険用の動きやすく、かわいいデザインの服はあります?」

「冒険者用でかわいいか、難しいね……そうだねぇ、ちょっと待ってな」


 女性店員は奥に行くと少しして、ズボンとシャツと上着を持ってきましたわ。

 ズボンはミリタリーっぽいショートパンツ、色はカーキー色ですわ。

そしてシャツは普通の無地のTシャツですわね、ですが生地のしっかりとした丈夫なTシャツですわね、最後は上着ですがこれもミリタリー風のジャケットですわね、転生者の中に軍人やサバゲーマニアでもいたのかしら?


「ダークエルフのお嬢ちゃんならこういった服でも森の中を動けるだろ。機能性十分だと思うよ少し値が張っていいなら魔法による加護付きのもあるよ」

「ミリタリールックですか、有りですわね。ナルリアちゃん試着してみては?」

「――わかった」


 ナルリアちゃんはその場で服を脱ぎだします。


「ちょっと! 試着室は向こうですわよ」


 どうもナルリアちゃんは常識が欠けてる部分が多々ありますわね。

 ワタクシと女性店員はナルリアちゃんを試着室に連れていきます、そして女性店員の手伝いで着替え終わりますわ。

 着替え終わってナルリアちゃんが出てきます。


「――どう?」

「おうふ!」


 ワタクシ、ヘビー級ボクサーのパンチを食らったような衝撃を受けましたわ……


「似合う、似合いすぎますわ! 店員さんこれの加護付きを一式くださいな!!」

「まいどー、ちょいとオマケして道具を入れれるベルトポーチも付けて一万リシェになります」

「よくってよよくってよ!」


 ワタクシ即決即金が信条ですのよ! ワタクシは女性店員に支払いを済ませます。


「――マナカ、ワタシお金持ってない! そんな高価なもの買っちゃダメ」

「いいのですわよ! ワタクシお嬢……んあ!?」


 ワタクシが金持ちの令嬢だったのは生前の世界での話でしたわ……しかし、ワタクシの誇りにかけてここでダメとは言えませんわ、この後ナルリアちゃんの武器も揃えねばなりませんし、お財布が寂しくなりますわー……ワタクシ自身、武器が殆ど必要なくて助かりましたわ……


「フフ……問題ありませんわ、次は私服を買いましょう」

「そうそう、私服というにゃちょっと違うけどこんな服があるんだがどうだい?」


 女性店員は店の奥に行くとまた違う服を持ってきましたわ。


「これなんだが、奴隷服よりはいいだろ? いやー、作ったはいいが小さい子用なんて売れなくてね、格安で提供させてもらうよ」

「メイド服ですわね」

「――それはどんな服?」


 女性店員の持って来たメイド服に興味を持ったナルリアちゃん。


「ああ、これはメイドの服さ、主に仕える事を仕事にした女性が着る服だよ」


 女性店員がナルリアちゃんに簡単に説明すると、ナルリアちゃんが目を輝かせます


「――マナカ、ワタシあの服が良い。 ワタシはマナカの奴隷だからあの服が良い」

「メイドは奴隷じゃありませんわよ?」

「――でも仕えるのは一緒、アレがいい」

「はぁ、分かりましたわ、このメイド服替えと合わせて二着くださいな」

「まいどー、ホワイトプリムもオマケに付けて二着で七〇〇リシェでいいっすよ」


 安いとは思いますが売れ残り価格ですわね。


 ――

 ――――


 ナルリアちゃんはこの場でメイド服に着替えましたわ、その後普通の靴を一足とナルリアちゃん用の下着を買いましたわ。

 その時どう考えても女性用とは思えない大きさの、デザインだけは可愛らしいショーツをマジマジ見ているベティさんがおりました。


「いいわねー、このショーツ買っていきましょうかしら? どう思うマナカちゃん」

「いいんじゃないですの?」

「そうよねー、買っていきましょう」


 ベティさんも会計を済ませるとワタクシ達は服屋を後にします。

 ついでに自分の服も買っておきましたわよ。


 ――

 ――――


 ワタクシとナルリアちゃんとベティさんは武器屋にやって参りましたわ。

 ついでに武器のメンテもしてもらいましょう、ここはベティさんとたまに武器のメンテで寄ることもあり割と顔なじみになっていますのよ。


 ドワーフの親父がワタクシ達を見ると。


「よお、いらっしゃい。武器の調子はどうだい?」

「悪くないですわよ、打撃の衝撃力は確実に上がっておりますし相手を掴むにも指が自由に動くので邪魔になりませんわ」

「そうかい、あれから改良したヤツがあるがどうだい?」

「いいですわね、ですが今日は先にこの子の武器を見繕っていただきたいのですわ」


 武器屋の親父はナルリアちゃんを見ますと。


「ダークエルフの子供か、いくらダークエルフとは言えこんな子供が戦えるのかい?」


 普通はそう思いますわよね、ですがナルリアちゃんは十分戦えるのですのよね。


「問題ありませんわ、ワケ有りですが武術は仕込まれておりますのよ、短剣やナイフの扱いは相当なものですのよ」

「――うん、ワタシは弓も扱える」

「私のあの変な形のナイフもなんなく使ってたものねぇ」


 武器屋の親父は驚いた顔をして、少し考えます。


「へぇ、ベノワの変な形のナイフってあのブーメランのような形のアレだろ、弓も扱えるんだな」

「そうよー、ナルリアちゃんのスタイルは盗賊や暗殺者スタイルね」

「なるほど、なら面白い武器があるんだ」

「面白い武器ですの? 見せていただけます?」


 武器屋の親父は店の奥に行って誰かに声をかけておりますわね。


「おーい、短剣とナイフ、あとあの小型クロスボウを持ってきてくれ」

「わかりましたー!」


 店の奥から若い男性の声が返事をしておりますわ、そしてドワーフの青年が箱を持ってやってきました。


「親方! これっすよね!」

「おおそれだ」

「あらー、親方ってお弟子さん?」


 ベティさんが尋ねると青年はワタクシ達に挨拶をしましたわ


「はい! 親方の所で世話になってるんです。皆さんの事は親方からも聞いていますヨロシクっす!」


 青年の挨拶にワタクシ達も挨拶を返しますわ。そして武器の方を物色しますわ。


「これはナルリアちゃんが実際に持って試してみないといけませんわね」

「――わかった」


 ナルリアちゃんは短剣やナイフを色々と手に取って振ったり突いたりして試していますが……ここ店内で狭いんですのよねー!


「あぶな!」

「ナルリアちゃん! 試すなら広い場所でやってよー」

「――ごめんなさい」


 裏にあるお試し場でナイフや短剣を振っていると、決まったのか一本のナイフを持ってきましたわ。

 刃の長さは二十センチほど、全体で三十センチほどの片刃で、背の部分にギザギザが付いていて刀身が黒塗りになったナイフですわね、これワタクシの世界でいう所のコンバットナイフやサバイバルナイフですわね。


「――これがいい」

「ソードブレイカーだな、取り回しも良く背のギザギザは相手の武器をへし折ったりノコギリのようにも使える武器だぞ」

「では、それを一つくださいな、クロスボウはどういうものですの?」


 ナイフの方は決定、次はクロスボウですわね。


「ああ、こいつは面白いぞ。超小型だが威力は結構なものだ、しかも手首に装着するタイプでリブの部分が折りたたみ出来るようになってるからな、狭い部屋でも取り回し可能だ」

「へぇ、面白いですわね」


 ナルリアちゃんは左手に装着すると、お弟子さんから使い方を聞いて試し撃ちを始めました、三十メートル先の的にプスプスと矢が刺さります。


「あら、結構威力があるのですね」

「ああ、素材に軽量だが強度と柔軟性の高い特別な金属を使っていてな、あのサイズでもショートボウ以上の破壊力がある」


 そのうちナルリアちゃんが曲芸的な動きで矢を的に当てていきますわ、バク宙しながら矢を撃つとかどんな曲芸ですの? チヨルカンあなた方はとんでもない子を作り出してしまったようですわよ。


「あのお嬢ちゃんすごいな」

「ワタクシも驚いておりますわ……あのクロスボウもくださいな」

「ちと値が張るぞ、矢も少し特殊なヤツなんだが、矢は百本オマケでつけてやる」

「幾らですの?」

「三万リシェじゃ」


 ……おうふ、サイフが凄く軽くなりましたわ

 報酬の高い依頼をこなさねばなりませんわね。


「……くださいな」

「グローブのメンテはサービスしてやるよ」

「ありがとうございますわ」


 素手って安上がりでいいですわーー!!

 く、ナルリアちゃんおためとは言え流石に使い過ぎましたわ。


「マナカちゃん随分使ったわね」

「ふふ、少し調子こきすぎたと思っていたところですわよ、ですがナルリアちゃんは大きな戦力になりますわよ」

「私もそう思うわよ、あの子凄いわ」

「投資ですわよ、投資」

(あるじ)バカってヤツね」

「そうともいいますわ」


 ホクホク顔のナルリアちゃんを見ておりますと高い買い物でしたが、まあいいかって思えてきますわね。


「――これで、マナカの敵をバンバン倒せる! ワタシでも役に立てる」


 嬉しそうに物騒な事を言って、凄く殺るき満々になっておりますわね、良い事ですわ。


 こうして本日はこの後ワタクシとベティさんの装備のメンテをしてもらい宿に戻り解散となりましたわ。

 さあ、明日は魔王領に戻りますわよ!




次回は6/22更新予定

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