第二十一話 村なう
村にやっとついたよ
21話更新しました
アルティアさんの治療を受けたワタクシ達は再び村に向かう準備をしますわ、二度の襲撃のためか随分と遅くなってしまいましたわ。ふと、フラーゲトイフェがいた場所を見ると宝石のような物が落ちておりますわね。ワタクシはその宝石らしき物を手に取ります。
ワタクシが手に持っている石をムーロさんが見ると。
「ほうほう、悪魔の核石ですな。あのクラスの悪魔の核石なら結構な値になりますぞ」
いい感じのアイテムのようですわね。
「相場はいくらほどですか?」
マウナさんがお値段が気になったようでムーロさんに聞いておりますわね。
「そうですな、中位の悪魔ですとその大きさなら。五万リシェほどですな」
「結構な価値があるのですわね」
これはこれはなかなか良い臨時収入になりましたわ。
「核石を使った武具はかなり高額で取引されますからなぁ」
「とりあえずこの石の事はまた後で考えましょう、ワタクシ流石に疲れましたわ」
ワタクシは核石をもって馬車に移動します。マウナさんの便利袋に石をしまいます。
他の方々も馬車に集まってきましたわ。
傷はアルティアさんの魔法で治せますが体力はどうしようもありませんわね。
「では、すぐに出発しますかな、もう少しで村ですからな」
そう言ってムーロさんは馬を走らせ出しましたわ、二度の襲撃があったにもかかわらず馬車はほぼ無傷ですわね。
「流石に今日はこれ以上の襲撃はないわよねぇ」
「きょ、今日は大変でしたね」
「まだ、今日は終わってませんわよ、家に着くまでが遠足だって言うじゃありませんの」
「そ、そうですね。で、でもこれ遠足じゃないですよね?」
「え、えぇ。お仕事ですわね」
アルティアさん真面目にかえさなくてもよろしいですのよ……
そして、何事もなく今日の目的地である村が見えてきましたわ。
「目的の村が見えてきましたぞ」
ムーロさんが前方を指さし言いましたわ、皆が馬車から顔を出して指さされた方を見ます。
「やっと着きましたわー! お風呂に入りたいですわー!マウナさんとアルティアさんと洗いっこしたいですわー」
「あらー、マナカちゃん私は仲間はずれなの?」
「仲間外れと言うかオッサンは女湯には入れないじゃありませんか」
「世知辛い世の中よね……」
ベティさんが遠い目をしていました。まあ、ワタクシもゴツイオッサンと洗いっこなんててんで御免ですが。
「盛り上がってるところ悪いですが、この規模の村には大衆浴場は無いですぞ」
「え?」
ムーロさんの風呂が無いという情報を聞いてワタクシ泣きそうになりましたわ……風呂が無いとか意味わかりませんわ。
「お風呂が無いと裸のお付き合いができないじゃないですの……ワタクシの引き締まったナイスバディをマウナさんとアルティアさんに見てもらおうとしましたのに……」
「マ、マナカさんはスタイル良いですよね」
「アルティアさんが言うと嫌味に聞こえますわよ……」
マナカアイでの測定ですとアルティアさんのスリーサイズは、B92、W63、H88ですからアルティアさんにスタイル良いとか言われても嫌味に聞こえてしまいますわよ。
あ、ワタクシはB85、W61、H86ですわよワタクシもなかなかのものでしょ。
マウナさんが自分の胸を見つつアルティアさんを見ておりますわね、形も重要ですのよ……しかしアルティアさんはそこすら完璧な所が困りものですわね。
「さあ、そろそろ着きますぞ」
ワタクシがアルティアさんのスタイルの事を考えている間に村に到着しましたわ。ワタクシ達は荷物を馬車から降ろし、村に一軒しかないと宿に向かいましたわ。ムーロさんとベティさんは馬車を宿の厩に預けに行きましたわ。
ムーロさんの話ではこの村は人口二百人程度の村との事でしたわね、村は大工と農業が主な収入源と聞いておりますわ。腕利きの大工が多く近隣の村や町へ出稼ぎに行くそうですわ。
まあ、今回は宿を取るだけなんですけどね。
腕の良い大工が多いという事か村の規模に対して確かに宿の作りは立派ですわね。シンプルな木造の建物ですが落ち着きのあるデザインですわね。
「なかなかよろしいんじゃないですのこの宿」
「そうですね熊の干物亭もいいですがこういった落ち着きのある宿もいいですね」
「け、結構立派な宿ですね。 む、村の宿と言うからもっと質素なのをそ想像してました」
ムーロさん達が馬車を預けて戻ってきましたわ。
「お待たせしました、この村の大工の棟梁とは知り合いでしてね、ここの宿にも顔が利くのですよ。さあ、部屋をとりにまいりましょう」
ワタクシ達はムーロさんの後に付いていきます、宿の中も味があっていい感じですわね、派手さは無いけど落ち着く雰囲気の宿ですわね。宿の従業員が無駄にマッシブなのが気になりますが……可愛い店員さんじゃないのですね。
「さっしゃい!」
元気のよい店員の挨拶ですわね。しかも「らっしゃい!」ですらなく「さっしゃい!」ですわよ。
「やあやあ、調子はどうだね?」
ムーロさんが宿の従業員に親しげに話しかけました、するとマッシブ従業員がムーロさんを見て嬉しそうな顔をしております。
「おお、大将よく来てくれた。今日はどんな用事なんだ?」
「はっは、今日は客として来たのだよ」
「そうかい、ならば一番の部屋を用意しないとな。っと、そちらの人達は?」
このマッシブが宿の主人のようですわね、ワタクシが代表で挨拶をするとしましょう。
「どうも、ごきげんよう。この宿の御主人ですわね?」
「ああ、そうだよ。俺がこの宿をやってる。バッソってんだよろしくな」
「ワタクシはマナカ・クナギと申しますわ、ムーロさんの護衛で雇われておりますのよろしくお願いしますね」
ワタクシが微笑むと主人であるバッソさんはムーロさんを肘でつついて
「大将なんでぇこんな別嬪さんばかり護衛に付けてどういうつもりだい?」
「狙ったわけではないですぞ」
「やだー、私の事別嬪だってよマナカちゃん」
「安心なさい確実にベティさんには言ってませんわよ」
「世知辛いわねぇ」
ベティさんはお約束を忘れない方ですわね……いや、アレは本心で行ってますわね。
「どっちにせよ大将の連れならスイートに案内だな。この時期はそこまで忙しくないからな部屋も空いてるんだ、遠慮せず泊っていってくれ」
この村後々お世話になるやもしれませんわね、ワタクシはマウナさんに小声でその事を伝えますわ。
「マウナさん、この村は腕の良い大工が多いようですわ。後マウナさんの国の建造物を造る人材を確保または人材育成の講師になっていただけるやも知れませんわよ」
「なるほど、ではまた別の機会に話をしに来るのは有りですね」
「ええ、ですが今回は依頼で寄っただけですので詳しい事とかはまた今度っという事ですわ」
「わかりました」
ワタクシ達がナイショのお話をしてるところにベティさんが来て話しかけてきましたわ。
「あら? 二人で内緒話?」
「ええ、マウナさんと逢引きの話ですわ」
「あらー、妬けちゃうわね」
「羨ましいでしょ?」
とか、話してるとムーロさんが部屋の方を取ってくれましたわ。
「みなさん部屋の方に案内してくれますぞ、ついていきましょう」
ムーロさんと宿の主人のバッソさんが部屋まで案内してくれるようなので付いていきます。
「二階の部屋を使ってくれ、お嬢さん方は少し大きめの部屋で三人一緒になってもらうけどいいかな」
「ヨロコンデーですわ」
バッソ、分かってる男のようですわね。ワタクシ少し顔がニヤけちゃいますわ。
「マ、マナカさんの顔が少し怖いんですけど」
「アルティアさん注意してくださいね」
「え、え? どういうことです?」
うふ、うふふ。アルティアさんって割と反応が初心ですわよね。ベティさんも何故か白い目でワタクシを見てるような気がしますわね。
「マナカちゃんってこういう所が残念よね」
「ワタクシに残念な要素はありませんわよ」
「「……」」
何故、ベティさんとマウナさんは目をそらしてうつむくのでしょうか? アルティアさんだけがキョトンとしています、ムーロさんまで苦笑いどゆことですの?
そんなやり取りをしつつバッソさんの案内が終わりましたわ。
運よく個室のシャワーは有るようですので順番に入ることにしましたわ、せめてシャワールームが連なってる作りならワンチャン有ったのですが。やはり風呂やシャワーは贅沢品のようで普及していないのは色々な意味で痛いですわね。
こうしてワタクシ達は今日の宿を確保し眠りに就くことが出来ましたわ――
次回はちと未定ですが4/16辺りには更新できればと思います