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現実

かなり暇だ。その暇を埋めるために最近はよく本を読んでいた。今日高校からの帰り道坂を下りながらふと本が読みたくなって古本屋で買った少し前話題になった本を買った。暑い。アパートに帰って扇風機をつけ少し首に汗を感じながら、クーラーをつけようかなどと考えながら読み進めていた。





目を覚ました。扇風機をつけ続けて寝たようだ。電波時計の表示は20時。寝てしまったらしい。何か夢を見ていた気がする。体中汗をかいていた。寝る前読んでいた本が頭の上にあることを確認して少し横になり続け、シャワーを浴びようと立ち上がり風呂に向かった瞬間少し立ちくらみがした。暑さにやられたのか。しかし一瞬壁に寄りかかっているとすぐに収まった。

「もうクーラーをつけるか」

そう呟いた。口から無意識に出たような言葉だ。口が渇いていることに気づき、軽く水を飲みシャワーを浴びる。


体を拭いていると携帯の通話の着信音が鳴った。表示は同じ部活の友達の名前だ。

「もしもしー×××?」

「おー?なんだー?

「今日の授業なんで全部サボったんだよー?連絡しても昨日から出ねーし。他の奴らも×××と連絡取れないって言ってるし」


??


時計をもう一度確認した。日付は1日進んでいる。おかしい。特別睡眠不足だったわけでもなくそれほど寝た感じもしない。


しかし、一日寝てたのか?


「どうしたー?」

「すげー寝てた。」

「ほ?長く寝れたようで。めんどくても連絡ぐらいいれろよなー。とりあえず今日の授業の課題はLINEで送っとくからなー」

「りょーかい」


その後軽く課題の話などをして通話をやめ、窓を閉めてからクーラーをつけた。


不思議だ。確かに日付は携帯を見ても変わっている。ずっと寝続けていたのか?


それほど腹は減ってなかったが毎日三食を食べる習慣がついてるから自然と飯を作り、テレビを見ながら飯を食べた。1日寝てても腹はそれほど減らないのかなどと考えながら 食事を終え片付けをする。テレビにも飽き、本の続きを読むことにしてベッドに横になった。


おかしい。本の内容を全く覚えていない。いつ寝たのかは記憶はないが、少しは読んでいたはずの本の冒頭部分も内容を覚えてない。


少し自分の健康状態を不安に感じつつも読み続ける。主人公が徐々に狂っていく物語らしく、少しづつその片鱗を見せ始める。半分ほど読んだところで次第に睡魔が襲ってきた。また寝るのか。そう思いつつ寝たような気がする。


夢を見る。知らない男が急に語りだす。

今暮らしているこの現実が偽物であると。夢が現実で、現実と思っているものが夢だと。


暑さで目覚めた。クーラーをタイマーで切っていたのと、窓を閉め切っていたため汗がかなり出ている。シーツを洗わないといけない。今日行けば明日は土曜日か、などと考えながら朝ごはんを食べ支度を済ませ家を出た。

二年以上この道を通っているが、坂がきつい。ふと、夢を思い出した。なぜかはっきりと男が言っていたことを覚えていた。ただ、男の顔が思い出せない。ただ、言葉だけはしっかりと覚えている。


「おい×××!今日部活の後のカラオケいこーぜー!」全ての授業が終わった後、あいつが誘ってきた

「金曜だもんなー!行くか!」

「よーしっ!じゃあ誰来るか聞いとくわ〜」

こいつは結構友達が多い。俺はそれほど人付き合いが得意な方ではないが、中学からの知り合いであるこいつのおかげで俺の友達もかなり増えた。部活は水泳をしている。小学校から惰性で高校まで続けている。


「七時までだからそれからだな」

あいつはシャツの中に風を送るように来ていた白いYシャツをパタパタさせた。

「じゃ七時過ぎくらいに」

「おーけー。んじゃ!」


帰ってアパートに入り蒸し暑さにギョッとする。シャワーを浴びた後、携帯を見てあいつから来た今日くるメンバーを確認した。いつも通りって感じか。


カラオケは高校近くの学生によく使われる店でいつもする。今日来たのは全部で五人。しかし、本当にこの水泳部はなんのためこんなことやってるのか分からない。ただ友達が増えるときもあるし居心地はいいからやめることはないが。


あいつはもう来ていた。よく見るとあいつの周りにいつもの一緒に遊ぶやつらの三人もすでに来ていた。

少し話してカラオケ店に入り、歌った。その後飯を食べにいった。くだらない話をして盛り上がり、フライドポテトをみんなでつつき合った。11時になり解散した。


真夜中の帰宅だがそこそこ都会なこの街はそれほど暗いところはない。帰宅の途中急に気持ち悪くなりコンビニのトイレで吐いた。



帰宅後も気持ちが悪い。カラオケではしゃぎすぎたか?吐き気はないのでとりあえず横になることにした。頭が痛い。変な声が頭で響いている気がする。へんな感じがする。今この現実が薄っぺらいようなそんな感覚。意識が遠のく。




そうして俺は液体の中で目を覚ました。




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