Episode:51
「敵か?!」
「わ、わかりません!」
「あっちだ、あっちで爆発があったぞ!!」
「何をしている、持ち場を離れるな!」
そこへさらに銃声。
ミルが何を思ったか、早々に撃ったみたい。まぁきっと、なんか命中させてるんだろうけど。
思わず門へと殺到した見張りたちの前に、今度は人影が立ちはだかった。
風を切る音。閃く銀光。
絶叫を上げて見張りたちが倒れた後には、サイズ(大鎌)を構えたシルファ先輩の姿。
――凛々しい〜♪
見張りたちに同情する気なんて、さらさらなかった。
あんな風にテロをやる連中、市街戦をやろうなんていう連中、さっさと死んじゃえばいい。
あそこにはヤな貴族もいっぱいだったけど、この日だけはOKってことで、子供だってけっこういたんだから。それがあの爆発のせいで、バラバラにされちゃった。
こいつらあたしたち子供のこと、獣の仔みたいにしか思ってないんだ。
――大人なんて、信じないんだから。
スラムにいた頃とか、あたし嫌っていうほどそーゆー目に遭ったんだから。
ともかくあたしも、負けてられないよね。
多分玄関から飛び出してくるはずの連中を待ち構えて、壁にぴたりと張り付いて。
勢い良くドアが開いて、サブマシンガンを構えた大人たちが出てくる。
「ば〜か」
そうつぶやいて、2本ばっかり苦無を投げてみて。
たちまち即効性の猛毒にやられて、2人倒れる。
「なんだ、どこだっ!」
「なんでしょ〜♪ ミルちゃん知らないで〜す♪♪」
さすがに大人たち、これには度肝抜かれて硬直。しかもすかさず、ミルってば連射銃を乱射。
たちまち人数が半分以下になる。
さらに先輩たちが前へ出て刃を振るったら、敵とかもうほとんど残ってなくて。これで警備って言うんだもの、バカにしてるよね。
そんなこと思ってると、突然頭上で雷が閃いた。でも雷雲なんてない。空は満天の星だもの。
なのに2度3度、雷は閃きつづける。
――そっか、ルーフェイアだ。
確かによく見ると、ミルが「監禁されている」って言ってた部屋のあたりだもの。きっと彼女、合図代わりに魔法使ってるんだろう。
そうすると、もうちょっと派手にいったほうがいいよね?
バスケットの中に入れておいた、小型の爆弾の安全装置、外してみる。
それをまず中へ放り込んで……それからあたしたち、屋内へと踏み込んだ。