Episode:30
まずミルがにこにこっと笑って、シルファ先輩の前へ出た。
「せ〜んぱい♪ 着ないとルーフェイア、泣いちゃったり〜」
「え、あ、そういうつもりじゃ……」
案の定、シルファ先輩が慌てる。
「そしたらぁ、ちゃんと着なくちゃ〜〜♪」
「いや、でも……え?」
ミルに気を取られてるうちに、シーモアとエレニア先輩、シルファ先輩の後ろに回ってたりして。
で、当然右腕と左腕つかんで。
「い、いったい何を……?」
「こういうことです♪」
いいざまあたし、指を動かした。ささっと先輩のベルト、外してみたりする。
――あたしけっこう、スリの腕よかったんだから。
で、ついでにブラウスのボタンも。当然先輩の素肌があらわになったり。
「なっ、何をするんだっ!」
先輩、混乱してるし。
「あ〜、シルファ先輩ムネおっきい〜♪ やっぱり89だぁ♪♪」
ミルが大喜びする。
「あ……先輩、いいな……」
ルーフェイアもいつのまにか、先輩の前へ来て、羨ましそうに眺めてるし。
――って、あらま。
「!!!」
シルファ先輩、凍っちゃうし。
まぁそうだよね。ブラの上からとはいえ、いきなりムネ触られたりしたら。
ただルーフェイアは下心とかじゃなくて、単純に羨ましかったみたいだけど。
「ルーフェイアずるぅい! あたしも触る〜〜んぎゃ★」
こっちは下心見え見え。でも騒ぐミルに、シーモアのケリ――手は塞がってるもん――が決まって一件落着♪
で、転がってるミルは放っておいて、こっちはまだ一仕事。
「エレニア先輩、もうちょっとしっかり抑えててくださいね? シーモアもよ?」
「――きっ、着るっ! 自分で着るから、放してくれ!!」
「え〜、せっかくここまで来たのに……」
つまんないじゃない。
けど横から、ルーフェイアが割って入って。
「ねぇ……放してあげて。先輩、可哀想……」
泣きそうな瞳でこっち見るの。これじゃしょうがないかなぁ?
じつ言うとここにいるメンバーで彼女の涙に勝てるの、いなかったりするのよね。
「じゃぁ先輩、これどうぞ♪」
「いや、だから……」
うーん、あたしじゃやっぱり、まだイマイチかな?
けどいいタイミングで。
「あの、先輩、ダメ……ですか?」
ルーフェイアからもお願い攻撃。シルファ先輩、これに特に弱いのよね〜。
もちろん今回も、ばっちり有効。
で、先輩が一式着てみて。
「うわぁ……」
「すっごぉい!」
「先輩……綺麗♪」
想像以上だったりしたの。
これなのに先輩ったら、ぜったいスカートはかないんだもん。もったいないなぁ。
「あ! いいこと考えた♪」
ミルが急に、素っ頓狂な声を出して。
「もう、耳が痛いなぁ……。で、いいことって?」
一応は聞かないと。
「あたしね、影写機持ってる。写しとこうよ〜♪」
「あ、それいい考え。みんなで撮ろうか?」
ミルにしては、すっごいまとも。けどなんで、そんなの持ってきたのかな?
「私は……遠慮する」
「だめですよ〜。それとも先輩……?」
あたしが笑いながら1、2歩出たら、シルファ先輩あとずさっちゃうし。
「先輩……」
しかもルーフェイア、泣きそうな顔で上目遣いに先輩見るし。
「……わかった」
で、記念撮影。
写影出来上がるの、た・の・し・み♪