表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/65

Episode:01 依頼

◇Rufeir

「おい、ルーフェイア。さっきタシュア先輩たちがお前のこと、探してたぜ?」

 授業が終わって教材を片付けていると、そうイマドから声をかけられた。

「あたしを……先輩が?」

 ちょっとありえない話に、少し怖いような感覚を覚える。


「ほんとに……?」

「こんなことでウソついたって、しゃぁねぇだろ。つか伝言忘れた時の方が、怖いっての」

 それは確かにそうだ。

 けれどあたしが先輩を探しに行くならともかく、その反対があるなんて。


「食堂で待ってるってたから、早く行ったほうがいいぜ?」

「……そうだね。そうする」

 急いで机の上を片付けて、あたしは立ちあがった。教材がけっこう重い。


「ルーフェイア、それ置いていきな。あたしが部屋に届けとくから」

 見かねたんだろう、シーモアがそう言ってくれた。

「ありがと。えっと、じゃぁ頼んでいい?」

「構わないさ。さ、早くいきな」

 シーモアの好意に甘えて、手ぶらで教室を出る。


 いつもと同じ光景。

 中央部のホールへ続く渡り廊下を、他の生徒とすれ違いながら渡る。中には話しかけてくる生徒もいた。


「やぁ、ルーフェイア。どこ行くんだい?」

「食堂までです」

 誰だろう? 上級生なのは間違いないけど、名前まで分からない。

 タシュア先輩なら全生徒を覚えているから、きっとわかるんだろうけど……。


「じゃぁさ、俺も一緒に行くからなにか食べないか?」

「ありがとうございます。でも今、タシュア先輩に……呼ばれてて」

 とたんにその先輩の顔が引き攣った。


「た、タシュアってあの、タシュアかい……?!」

「えっと……タシュアって先輩、そんなにたくさん……いるんですか?」

 あたしにはあのタシュア先輩以外、心当たりはない。

 どうやらこの先輩もそうらしかった。


「悪いことは言わないから、止めた方がいいんじゃないか、行くの。いったい何をされることか……」

「でも、あの、タシュア先輩……いい人ですよ?」

 この一言で、今度は先輩が石化した。口をぱくぱくさせたまま、何も言えなくなる。


――どうしてだろう?


 あたしがこう言うと、ほとんどの人が石化する。

 ともかくこれ以上タシュア先輩を待たせて怒られるのも嫌なので、おいとますることにした。

「あの、名前は存じませんが先輩、失礼……しますね?」

「あ、ああ……」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ