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永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
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8-14

「・・・うぅ」


 クーラのヒールが効いたのか、魔法をかけ始めて10秒程で目が覚めるマサルダ。その姿に周りの兵士達は安堵する。


「・・・私は、どのくらい寝ていたのだ?」

「ほんの2分ぐらいだ」

「そうか。クーラ様。もう大丈夫です」

「で、でも・・・」


 ヒールを続けていたクーラを止めるがそれでも続けようとするクーラにマサルダは目で圧を送るとさすがにヒールを止めた。


「シューイチ・・・私の負けだ。だが聞かせてくれ。アレは何割だ?」

「それは全力でって意味か?」

「ああ」

『1割ぐらいでしょ?』


 俺より先に解答するイリス。そんな答えに驚く一同。


「テキトーなこと言うなよ」

『だってますたー。結局あの人達の・・わぁぷ!?』

「それを使ったら俺だけの力じゃ無くなるだろうが」


 ウエポンたちのことを言おうとするイリスを手で阻止した。


「・・・まあいい。負けは負けだ。約束を守ろう。というわけだ、イモン」

「どういうわけだよ、姉さん」


 後ろから歩いてきていた男のドワーフに声をかけるマサルダ。


「何だ。てっきり陛下から聞いていると思ったが」

「はぁ・・・。聞いてるよ。だからわざわざ此処に戻ってきたんじゃないか」


 ティーテから聞いてる。ってことはあいつ、今のも見ていたって事か。


「そうかそうか。それでどんな話だったんだ?」

「それは後で。それよりも姉さんは大丈夫か?」

「ああ。もう歩けるぐらいには・・・なっ」


 そういいながら立ち上がるが、ふらっとしたためすぐにクーラが支えに入る。


「すまない、クーラ様」

「い、いえ」

「ふらふらじゃないか・・・ったく。それで・・・」


 イモンは俺を見る。


「お前がシューイチだな」

「ああ」

「そうだ。陛下からの伝言だ。[武闘会の準備は今日中には終わる。後は日程を決めるだけだ。予定通り3日後でよいか?]だそうだ」


 改めて日程を聞いてきた。つまりはあいつが早く闘いたいからなのか、それとも・・・。


「クーラはそれでいいか?」


 俺はクーラに聞いた。


「えっ?」

「一応、隠す必要が無いから言っとくが。3日ってのはお前が武闘会に出るって言うためまでの期間だ。って言っても、言わなかったらそのまま俺だけが出るつもりだったけどな」

「・・・・・・」

「そんで、出るの?出ないの?」


 何かを考え込んでいるクーラにもう一度聞く。


「・・・出ます。ですが、条件があります」

「条件?」

「さっきイリスが言っていた事は本当なんですよね」

「1割ってやつか?・・・あのな。そもそも闘いってのは選択なんだよ」

「選択?」

「常に相手を倒すためにはどうすればいいか。攻撃をどう凌ぐか、当てるか。そのための行動全ての選択だ。1歩踏み外せば即死の世界でどんな動きの選択をすれば死なずに済むか。ただそれだけなんだよ。間違えた瞬間。それは相手のチャンスへと変貌する。運が良ければ助かるかもしれないが、大概は即死だ。ようは1秒未満、先の未来を生きるためにどの選択をするかってだけだ。だからそんな危険だと思ってる闘いにお前が無理して出る必要もないんだぞ。そうすりゃお前は怪我も死ぬ事も無く成果を得られるわけだからな」

「・・・いいえ。出ます。それでは私はただ、あなたの成果のお零れを貰うことになる。それでは私の立場としても、民達のためにもなりませんから」

「甘えんな」

「あ、甘えてなどっ!」

「立場だとか、誰かのためだとか。そんなくだらねぇ理由をぶらさげるな」

「それの何処がふざけていると!甘えていると!」

「お前の民は、お前の助けが無きゃ生きられねーほどに弱いのか?」

「っ!?」

「それはお前の勝手な思い込みだろ。王女だからとか、国を守る立場だからだとか。民を救うのが役目だからだとか。そう言いながらお前は結局誰かに助けを求めて、誰かが自分の代わりをしてくれるのを待っているだろ」

「そ、そんなこと・・・」

「じゃあなんで出るって言った?」

「それは」

「なんで俺の全力について聞いた?」

「・・・それは」

「その理由、お前が一番解ってんだろ?」

「・・・・・・」


 クーラは何も言う事が出来なくなった。


「・・・続きは中でしよう。お前達は整備を頼む。姉さんが荒らした後始末をしておいてくれ。さあ、こっちだ」


 兵士達はイモンの指示を了承し、すぐさま後始末にとりかかる。俺達はイモンの後につづく。


「クーラ様」


 そんな中でマサルダが肩を借りているクーラにだけ聞こえる声で何かを話している。まあ、興味も無いので聞き耳を立てる事もしなかったが、それを聞いたクーラはさらに複雑な表情をしていた。

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