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永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
104/109

8-9

「そうか。師がそれを・・・それならお前達は信用出来る」


 マサルダにギーベストから貰ったあの名前が書いてある板を見せるとそう言った。詳しく聞くとこの名前の書かれた板は万が一にも問題が起こった時に責任の全てを負うという意味があるらしい。まさに保証人そのものだ。外側からの客人で誰かが渡したのは俺が2人目らしい。ちなみに1人目はアイリス。渡したのはティーテらしい。

 だが、そんなリスクしか負わない物を渡すという事はそれだけ信用をしている。と言う意味にもなる。これを見せればいいと言ったギーベストの意図が解った気がする。

 ・・・なんか重いもん渡されちまったな。


『ギーベストさんって、そんなにすごい人なの?』

「そりゃあそうさ。なんたって私達の師で、土魔法に関してはこの国で陛下の次に使いこなしているからなっ。この国で知らないのなんて産まれたての子かよそ者ぐらいさ。・・・というか私としてはお前の方が気になるのだが・・・」

『私は・・・万能美少女イリスちゃん☆』


 頭の上で魔法少女のようなポージングをするイリスちゃん。


「俺の相棒のイリスだ。説明はめんどいからすごい奴とでも思っといてくれ」

『ぶぅうううううううっ!!』


 テキトーな紹介をされたために怒って俺の髪の毛を毟りだすイリスちゃん。もちろん映像である。

 ってか自分で言うのは良いのに俺が言うのは駄目なのか?


「あ、ああ。その、平気なのか?」

「安心しろ」


 映像だからいくらされようが問題ない。


「禿げてませんよ」

『禿げてますよ』

「・・・・・・」


 イリスに頭上から見た写真を見せられる。イリスちゃんの足元に円のようなハゲが確かにあった。

 ・・・禿げてる。え?何?もしかして無意識にこの悪戯をストレスに感じて円形脱毛症に!?


「ぬぅあああああああああああ!!!?!?」


 俺はショックのあまりすぐさまその部分を触るが・・・毛はあった。


「イリスぅ~!!」

『ますたーが私を雑に扱うからいけないんだよっ!』

「いつかは禿げるとしてもな!いきなりは精神的に来るんだぞ!」

『ふんっ!そんなの女の子を雑に扱うのに比べたら鼻をかんだティッシュぐらいにどーでもいいことなんだよっ』

「ゴミってか!?男のハゲはゴミってか!?」

『そうだよっ!ハゲが嫌ならいっそ丸刈りにしちゃえばいいんだよ!』

「なにをぉ~・・・いや、それはそれでアリか?」

『えっ?』

「考えてもみろ。漫画でも何故か坊主やハゲキャラは味のある存在感があるとは思わないか?」

『ないよっ!坊主キャラはみんな野球か出家行き!可能性があってもその他のスポーツ系だけっ』

「クリリン」

『はうっ!?』

「塾長」

『はううっ!!?』

「ジャンプ系なら他にもワンパンで」

『待ってますたー!確かにそのメンツは強すぎるけどっ!その中にハゲたますたーが入れると思うのっ!?』

「っ!いや、俺にだって可能性がっ」

『ゴメンね、ますたー』

「あ、謝るなっ!な、何か俺でも目立てそうなポジが」

『うん、本当にゴメンね。男の人にとって、女の子と同じくらいに髪が」

「やめろぉおおおお!!それ以上は気にしてる奴らにもダメージが入るかもしれないだろうがっ!」



 なんて茶番をしている2人を置いておいて、マサルダとクーラは歩みながら会話をしていた。


「えっとマサルダさん。あの2人は今は放って置いていいですよ。気が済めばこちらに来ますから」

「そ、そうなのか?ってそういや、アンタは?」

「あ、はい。クーラと言います」

「クーラ?・・・そういやアイリスからそんな名前が」

「アイリスと話したことが?」

「いいや、挨拶程度だよ。陛下との話で名前が出てたのを耳にしただけだ」

「そうなのですか」

「ただ、あの2人が話題に出すくらいだ。アンタ、相当の人間なんだろ」


 ティーテは土の国の王。そしてアイリスは魔王を封印した英雄の娘。その2人が会話で出した名前。大物だと考えるのが普通だろう。


「その・・・一応、風の王を」

「・・・そうですか。つまり、今ここに居るのは訳ありと言う事ですか?」


 急に口調が変わる。他族とはいえ国の王。無礼があってはならないという意味での対応の変化だろうとクーラは思った。


「はい。ライネスの勇者の襲撃に会い、国は半壊状態に・・・」

「なるほど。それで我々の力を借りたいという事ですか。ですがその反応」

「・・・はい。想像の通りです。ティーテ様にも難しいと言われました」

「そうでしょう。当然です。この国の民はみな、人間は悪。悪に手を貸したいとは思わないでしょう。ライネスの勇者だけだと解っている者も中にはおられますが、同族というだけで嫌悪してしまう者の方が圧倒的でしょうから」

「はい。解っています」

「それで、陛下とお話をなされたのなら、何か案を講じられたのでは?」

「はい。武闘会を」

「なるほど武闘会ですか。それなら・・・武闘会っ!!?」


 声を荒げるマサルダ。その声に周りもそのワードが聞こえたのか聞き耳を立てる。


「い、一応。念のために聞きますが誰と誰が?」

「・・・彼と、陛下です」


 そこに自身の名を入れなかった。ティーテからは言われていたのにそれを言い出す勇気が無かった。


「へ、陛下とっ!?」


 マサルダはそれに驚くが、周りにいた民達の視線に気付きすぐに冷静になる。


「クーラ様。とりあえず場所を変えましょう」

「えっ。あ、はい」


 クーラも周りの視線に気付く。


「シューイチ!イリス!お前達もだ!」


 マサルダは周一のいる方を向いて呼んだ。


『ねぇ、ますたー。たしかエッチしてたイケメン僧侶がいたと思うんだけど?』

「落ち着けイリス。それはハゲが似合うイケメンじゃなきゃ成立しないし、ハゲがOKの美女がいなければ成立しても意味が無いんだぞ」

『そっか~』

「俺としてはタバコを噴かせながら銃を構えて、機転を利かせてテロリストを排除する刑事ならいける気が」

「え~それだって」


 そんな空気の中でハゲキャラ談議をしている2人。


「いいから早く来い!!」

「いいから早く来なさい!」

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