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永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
101/109

8-6

「ティーテ。サンキューな」

「構わぬ。私も良いものが見れたからな」

「そうか」


 食事場で朝食を食べてる最中、俺はティーテにお礼を言うとそう返してきた。

 朝、同じ部屋で寝ていたクーラ (ただし布団の距離は離して寝ていた)。

 起こさないようにこっそり抜け出し、謁見の間の近くで話をしていたアイリスとティーテを見つけた。軽く話をした後、朝の運動と体を鈍らせないためにもティーテに「鈍らせないために武器を借りたい」と伝え、快く快諾してくれると武器庫に案内された。そこには様々な近接武器が置かれていた。遠距離用の弓や魔法用の杖も置かれていたが今回は体を動かすことがメインなので、剣と槍。とりあえずこの2つを借りることにした。そしてティーテは王としての事務仕事。話し相手としてアイリスも共にその場を後にした。あとは広いあの庭まで移動してから今に至る。

 だが、ティーテはあの場にはいなかったはずだが・・・ああ。もしかしてあの木か。


「それで、シューイチ。おぬしはクーラと共に町へと行くのだったな」


 朝に簡単には伝えたからティーテとアイリスは知っているが、クーラは知らないので少し反応に困っていた。


「ああ」

「解っているとは思うが外での揉め事は」

「わかってる。たとえアンタのとこにその気があってもこっちは余程の事が無ければ手は出さない」

「余程の事があっても手は出さないで欲しいのだが・・・起こらないことを願おう。屋敷の者達には伝えておく。屋敷に戻る際は門の側にある木に微弱で良い。魔力を流して私に教えてくれ」

「わかった」

「シュウイチさん」


 そんな食事の会話の中でアイリスが呼ぶ。


「さっきの、あの結晶」

「ああ。何か知ってるんだよな」

「・・・うん。あれ、[絶対兵器]アブソリュートウエポン。かな?」


 やはり、アイリスは知っていた。


「なんだそれは?先程の見せていた結晶の事か?」


 ティーテはそれにすぐに食いつく。クーラもその事は気になってはいたようだ。


『何処で知ったの?』

「私のお父さんとお母さんが残してくれたものに、それにルーちゃんにもね」

「それって!?」

「という事は本当にこやつが!?」


 アイリスの答えにクーラとティーテは驚いた。俺達には何の事かはわからないが


『それってあの時言ってたやつ?』

「うん」


 訂正、俺だけわからなかった。


「シュウイチさん。それを何処で?」

「俺達の世界で。他に無いだろ」

「でもそれを扱えるのは・・・[トリガー]だけだって」

「『とりがー?』」


【そうだ。世界を動かす者。[トリガー]のみが私達を扱うことが出来る」


 俺達の疑問にクイックが俺の中で呟いた。

 だからこいつは俺の力だと言ってた訳か。


「トリガーってアイリスの家名だよね?」

「うん。だからもしかして何かあるのかなって」

「どうなのだ?」

『どうなの?ますたー』


 全員で俺に答えを求めるな。まあ、俺は今知ったとこだから答えられるが・・・一応。


「(それで、続きは?)」

【・・・】

【えっとねぇ~。どんな世界にも必ず影響力が凄まじい存在がいるのぉ。例えばさっきキミが言ってた主人公?って言うような存在とかねぇ~】


 もう慣れてきた。

 クイックはこのタイミングで言ったらカッコイイって思えそうな所で最低限のことしか言わない。そして今みたいになると格好良さがあまり無いので黙ってしまう。きっとウィングにカッコイイと思われたいからやっているのかもしれない。本人は飽きてるっぽいが。そして後は心優しいウィングが説明をしてくれる。だからもう、この関連はウィングに聞くとしよう。


「(ああ。アレな)」


 朝の運動時にイリスと話してたアレの事か。


【そーそー。世界にはそういう存在が複数存在するのぉ。その存在が何かをすると周りに大きな影響を与えたりとかぁ~。キミの場合は・・・思い当たったみたいだねぇ~】


 そう。俺の場合は、気付けば結果的に世界中から化物と恐れられる存在になっていた。


【たぶんだけどぉ~。その子も私達を扱うことが出来ると思うよぉ~。この世界ではその子の影響力ってすごそうだしぃ~】


 確かに。アイリスはこの世界で[英雄姫]と呼ばれる程の存在。魔王ルーちゃんを封印した英雄の娘。そうこの世界では知られている。今までの周りの反応から見ても影響力があるといえばそうなのだろう。


【でも、さっきも言ったけど】

「(扱いを間違えれば世界が滅ぶ、ってか?)」

【うん。それに】

「(ん?)」

【私達を扱えない存在。例え[トリガー]だとしても。制御が出来なかったらただの破壊するだけの存在になっちゃうから】

「(破壊するだけ?)」

【そこには理性も意思も何も無い。壊して、壊して、壊し続けて。壊し終えたら新たに壊せる場所へと移ってまた壊す。それだけの存在に】


 その声はあのほわほわした言い方ではなく。とても切ない女性の声だった。


「(・・・ああ。覚えとく)」

【ええ。ありがとう】



「・・・何かって程でもねーよ。俺の中にいる奴らが力を貸してくれたってだけだ」

『言わないで欲しいって言われたの?』


 さすが相棒。これだけでも察するか。


「まあな」

「そんな・・・」

「しいて、アイリス。お前はこいつらを扱えるって言ってたぞ」

「えっ?」

「あと、家名は関係無いってよ。条件はあるがそれを満たしてれば問題無いみたいだ」

「そうなんだ・・・」


 良い情報が貰えなかったためか少し落ち込むアイリス。


「・・・条件とは?」


 やはり、クーラが食いつく。


「教えねーよ。言うなって内容の範囲だからな」


 そんな事は言われてはいない。だが言えば、ウィングの言っていた末路に繋がりかねない。私達と言っていたウィング。つまり、この2人以外にも[絶対兵器]は存在する可能性がある。そしてアイリスがその存在を知っている。ルーちゃんもだ。この世界で万が一にも[絶対兵器]を手に入れられる可能性があるとすれば、足を踏み込ませるのは危険すぎる。


「それに。それを教えたらお前はどうするんだ?」

「強大な力なら民を守るために使えます。あって損はありません」

「損しかねーだろ。例えあっても扱えなきゃ意味が無い。悪用される可能性だってな」

「ですがっ」

「はいっ。この話終わり」


 俺は手の平を叩いて音を鳴らして無理矢理話題を終わらせる。ティーテもその判断に真顔で頷いた。


「んじゃ、メシも食い終えたし。行くぞ」


 俺はクーラに向けてそう言った。


「・・・あの何処へ」

「行けばそのうち解る。お前のくだらない根元にもな」

「いったいなにをおっ!?」


 またぐちぐちと言いそうになるのが面倒なので無理矢理に腕を引っ張って立たせ、そのまま食事場を後にした。

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