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勇者チーレム(偽)  作者: 花蔵
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異世界不思議発見

強制フリーフォールによるチュートリアル(物理)が終了したところで、次はチュートリアル(設定)が始まるらしい。

先ほどの落下により出来上がったクレーターの真ん中で、俺は胡座をかきながら巫女の話に耳を傾ける。


「マズ、現状の把握してもらいマス」


俺の前で女座りしたスキンヘッドの巫女(偽)が両手を前に突き出す。


「コレが『魔王』の領域デス」


巫女(偽)の右手の前に黒く濁った球体が現れる。

西瓜くらいの大きさのふわふわと浮かぶソレは、無重力空間の液体のように揺らめいている。

続いて右手の前に同じような白く濁った球体が現れる。


「そしてコチラが『神』の領域」


向かい合ったそれぞれの球体から大量の細い糸のようなものがお互いに向かって伸びていく。


「二つの領域、(マオウ)(カミ)は太古の昔ヨリお互いのリソースを奪い合ってイマス」


黒い糸と白い糸が接触する直前、それぞれの先端が小指の爪ほど膨らんだかと思うとたちまち形を変えた。

黒い糸の先端は四足だったり翼があったり牙があったりと様々な形をしているが、それは全て動物を模した姿をしている。

白い糸の先端は全て人型であった。

黒い獣の群れと白い人型の集団は触れ合うや否や戦い始めた。

黒い獣が白い人型の頭を食い千切り、そのそばでは白い人型が二人がかりで黒い翼を引き裂く。

そしてその千切りとった相手の部位を自らの体に埋め込むように取り込んでいく。

取り込まれた白い人型の頭部はたちまち黒く染まって獣の肉体の一部と化し、黒い翼を取り込んだ白い人型はその大きさを増した。

小さいながらも細かなディテールまで再現されたそのフィギュアの戦いは作り物とは思えないリアルさだった。


「『魔王』はソノ眷属たる魔族が喰らっタ人類のリソースを吸収し、『神』は人類が倒しタ魔族のリソースを信仰という名とトモに捧げられ、お互いの領域を保持しテイルのデス」


黒い獣の群れと白い人型の集団の大元である黒い球体と白い球体は、獣と人型の戦いに合わせて心臓のように伸縮を繰り返している。

その中間では黒と白が混じり合うように絡み合い戦い続けている。

これが、この世界。


「コノようにしてコノ世界は均衡を保ってイマス。そしテ定期的に『魔王』の領域よりリソースが圧縮された存在が生まれマス。これが人類が『魔王』と呼称するモノデス。『魔王』とは領域を支配するモノであると同時に、定期的に発生スル個体の名称デモありマス」


黒い球体からゴルフボール程度の大きさの球体が分離したかと思うと黒い糸を引きながら白い球体へと向かって行く。

向かってくる『魔王』に向かって白い人型達が向かっていくが、太刀打ちできずに一方的に取り込まれていく。


「『魔王』に対抗するタメに、『神』も人類に己のリソースを移譲しテ『勇者』を作成シマス」


『魔王』に立ち向かっていく白い人型の一つが突如その大きさを変える。

よく見るとその人型に繋がっている糸が他に比べて太くなり脈動していた。

白い球体から何かが流れ込んでいっているようだった。

『魔王』と同じくらいの大きさになった『勇者』は、そのまま『魔王』に突撃していく。

ぶつかりあった『魔王』と『勇者』はお互い飛び散り後には何も残らない。

いや、飛び散った黒と白の雫はそのままお互いの領域へと回収されているようだった。


「コノ世界はこのようなサイクルを繰り返しナガラ均衡を保ち存在シテいるのデス」

「均衡?停滞じゃねえの?」

「言葉は事象の一面ヲ表す機能しか持ちまセン」

「屁理屈か」

「事実デス」


ああ言えばこう言う、イラつく奴だなコイツ。

そんな俺に構うことなく巫女(偽)のチュートリアルは続く。


「今回も今マデと同じヨウに『魔王』が発生スルと思われてイマシタ」


黒い球体か再びゴルフボールが分離する。

だがこのゴルフボールは白い球体には向かわずに、そのまま重力に引かれるように地面へと向かう。


「今回の『魔王』は『神』の領域ではナク、次元の壁に穴をアケ始めたのデス」


地面に触れた黒いゴルフボールはドリルのような形になり地面を掘り始めた。


「『魔王』の意図は不明デシたが、『神』はいつものように『勇者』を発生サセて『魔王』のモトへと向かわせマシタ」


先程と同じように白い人型が『勇者』へとジョブチェンジして、地面を掘り進む『魔王』のもとへと向かう。


「ソシて、『魔王』は次元に穴を開け、ある存在を発見シマス。それがアナタでしタ。『魔王』が次元に穴を開けてイラれたのはほんの僅かな時間でした。アナタはたまたまその穴の座標上に存在シテいたのデス」」


黒いドリルが地面の中から透明なビー玉みたいな石を掘り出す。

そのビー玉の中心は虹色に煌めいていた。


「アナタの中には高濃度に圧縮サレたリソースが封じられてイマス。一瞬だけ覗いたアナタの世界は強いリソースの気配で溢れテいまシタ。その様子とアナタの存在カラ推測するニ、アナタの世界はリソースという存在を認識しないママ進化した世界だと思われマス。コチラの世界のようにリソースを消費セズ、その肉体に閉じ込めたママ世代を重ねた結果デショウ」


『魔王』はビー玉を抱えるように包みこみ、本体である黒い球体へと帰っていく。

と、そこに『勇者』が突っ込むと、自らの大半を弾けさせながらも『魔王』からビー玉を奪い、白い球体へ持ち帰る。

ビー玉と共に白い球体(カミ)の元へと帰った『勇者』は、力を使い果たしたかのようにその姿を霧散させた。


「次元に穴を開けたコトによって消耗シタ『魔王』の隙をツいて、『勇者』はアナタを『神』の領域へと運びマシタ。ソレから先はアナタもご存知の通りデス」

「つまり、『魔王』に拐われた俺を『勇者』が助けてくれたってことか」

「結果的にハ、そういうコトになりマス」


俺は『魔王』と『神』の争いに巻き込まれたってことか。

運悪く、たまたまそこにいたから。


書きたいことが上手くまとまりません(;´д`)

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