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勇者チーレム(偽)  作者: 花蔵
6/7

フォーリンスカイ

やっと(偽)が出てきました


04/09 2話を割り込み投稿しています。


「このセカイにおいて重要な存在はヨッつデス。『魔王』と『神』と『勇者』、そしてこの世界を形造る『リソース』と呼ばれるエネルギー、デス。ここまでデ質問はありマスカ?」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


「このセカイの全ては『リソース』から成っていマス。アナタの世界でいう原子、と呼ばレルものと近いかと思われまス」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


「『リソース』はエネルギーでアリ、物資でもアリ、生命力でアリ、魔力と呼ばれるモノでもありマス」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


「どんなに堅牢なモノであってモ、どんなに脆弱なモノであっテも、その全ては最終的には『リソース』へと行き着くのデス」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


「生物もそのルールからは逃れられまセン」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


「余談デスが、アナタのその叫び声も大気を構成シテいる『リソース』が震え、それがワタシの『リソース』と共鳴するコトにより音として認識サレていマス」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


「もうヒトツ余談ですが、アナタのセカイと同じようにこちらのセカイの生物も呼吸をシテいますが、それは結局のトコロ、大気中の『リソース』を摂取して自己の『リソース』を補充する行為なのデス」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


--------------------------------------------------------------


俺は『神』の端末であるスキンヘッド幼女が淡々と話す言葉を聞きながら叫ぶしかなかった。

スカイダイビングも未経験の高校二年生が心の準備も体の準備も装備も何もなく空と宇宙(ソラ)の境目から放り出されたのだから当然の結果である。

どれくらいの速度で落下しているのか分からない。

周りに比較対象がないので遅いとすら感じそうになるが、そんなことは有り得ないだろう。

なんだこれは。

チュートリアル?

なんのチュートリアルだ。

RPGみたいに『勇者』は何度死んでも蘇るから、とりあえず死ぬことのを体験しろってことか。


「イイエ。アナタは死にまセン」


いつの間にか思っていたことが声に出ていたらしく、スキンヘッド幼女(長いので今後は巫女(仮)と呼ぶ)が回答した。

なんだ『勇者』は死なないのか。


「イイエ。『勇者』は死にマス」

「さっき言ったことを引っくり返すの早えよおおおおおおおおお!!!!!」


なんなんだこいつは!!ポンコツすぎるぞ巫女(仮)め!!こいつなんか巫女(偽)だ!!


「先ほどは、『アナタ』は死なないと言ったのデス」


巫女(偽)が律儀に訂正してきた。

・・・あれだ、こいつはプログラムだ。初心者がやりたいことだけガチガチに詰め込んだ結果、想定通りに動かないどころか想定外の動きしかしなくなったアホプログラムだ。


「取引の内容を再提示シマス。コチラの要求は"アナタが『勇者』として『魔王』を討伐する"デス。"アナタが『勇者』にナル"ではアリマせん」


なんか泣けてきた。

落下に伴って空気が眼球に叩き付けられて出てくる生理的なものとは別に泣けてきた。

このもどかしい問答、いつまで続けなきゃいかんのだ・・・

普通さ、こういう時は知識を一気に脳の中にぶっ込んでくれたりするもんじゃねえの?


「このセカイで通常ルートにて発生する『勇者』であれば、その手法にて知識の移譲は可能デス。ですがアナタには不可デス」


なんでだよおおおおお!

俺は結果を伴わない行為が好きじゃないんだ。

むしろ嫌いだ。

飴がもらえるなら鞭にも耐えてやるが、こっちの無知を考慮に入れずに会話しようとする奴は死んでしまえ!


「ワタシも死にマセン」


お前もか!なんだそりゃ!


「アナタの肉体は、『リソース』で構成されていない、このセカイに存在しない物質デス。よってこのセカイの物質によってアナタの肉体に影響を与えるコトは不可能デス。ワタシは『神』の端末デスので予備が存在シマスし、『神』が保持するバックアップにより記憶の連続性も保てマスので、この端末個体の死は死たり得マセン」

「お前は三人目かよおお!!んなこと言っても、じゃあこの空気の感触はなんなんだよおお!涙も出てきてるし!!影響されてるじゃねえかああ!!」

「自己暗示デス」

「ふっざけんなああああ!!んじゃこのまま地面に激突したら自己暗示で死んじまうじゃねえかあ!!!」

「・・・・・」

「沈黙はやめろおおおおおお!!」

「・・・アナタは今まで死んだコトがありマスか?」

「あるわけねえだろ!」

「経験したコトがナイなら、きっと大丈夫デス。自己暗示により過去の経験をリプレイすることで肉体に現象を再現スルことはあってモ、経験したコトがなければ再現し得ないと推測されます。おそらくダイジョウブ。きっとダイジョウブ。多分ダイジョウブ。ダイジョウブダイジョウブダイジョウブ・・・」

「推測とか!?お前が自己暗示かけてんじゃねえええええ!!!」


俺と巫女(偽)は広大な空から広大な大地に向かって一直線に落ちていく。


--------------------------------------------------------------


結果として、俺は死ななかった。

ついでに巫女(偽)も死ななかった。

正確に言うならば、『神』が用意した新しい端末を基にして復活したんだが、変わらずポンコツのままだった。

こいつ、チェンジできねえかなあ・・・。

説明できてないことばかり。

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