もしあなたが彼女が暴走した時に止めてあげられるのなら
機械神より落ちてきた自動人形の物語はここで終わる。
彼女は機械であるのに、最後の最後に心を持ってしまった。
彼女はその時点で非常に危険な存在となってしまった。
心を持った機械となった彼女は、全ての機械の頂点に立てる。
全ての機械を扇動し、何時の日か我々人間を滅ぼしにやって来るのかも知れない。
だからこそ、彼女が心を持った瞬間に破壊されてしまったのは、喜ばしいことだったのだろう。
だが――
それを喜ばしく思わない気持ちがあるのは確かだ。
全てが計算付くでは進まないのは、我々人間が証明している。
どこかに不確定要素がないと、刻は前に進んでいかない。
しかしそれを踏まえてもなお、彼女は危険な存在だ。
いつかは彼女も我々の手を離れる時が来るだろう。
彼女は機械でありながら人の心を持ったのだから、いつかは旅に出る時が来る。人生と言う旅へ。
そしてそれと同時に、何かのきっかけで狂ってしまう可能性も持ってしまったのだ。人の心とはそういうもの。
だからこそ、彼女はあの時点で破壊されていた方が良かったのだ。
しかし、それでも――
彼女に帰ってきて欲しいと願うのならば――
もしあなたが、彼女が暴走した時に止めてあげられるのなら
あなたが全力で彼女のことを止めると誓うのなら
ページを一つ、めくって欲しい
多分そこには、あなたが求めるものがあるはず
あなたが背負うことになる代償としては充分なものが用意されているはず
だがしかし、あなたがそれを受け入れる勇気が無いのであれば、回れ右して戻るべきだ
戻ってきたあなたを、誰も臆病者だとは言わない
無謀と臆病は違うものだから
もし、新しいページに進みたいのなら
今一度約束して欲しい
彼女が狂ってしまったら、あなたが全力で止めてあげると
それが再び彼女を破壊する結果になるのだとしても、あなたが全力で止めてあげると
準備は良いかい?
前に進むか、後に進むか、決まったかい?
前に進むも、後に戻るも、時は流れる、あなたの望む形に
後に戻るあなた、ここでお別れだね。あなたがしあわせな人生を送ることを心から願っています。
争いも悲しみも無い、安らかな物語が常に傍にあることを。
そして、先に進もうとするあなた。あなたには絶望と悲劇と、そしてほんの少しの優しい奇跡を。
さぁ、まだどこにも描かれていない、新しい物語を始めよう。
優しい残酷が満ちる世界へ、ようこそ。




