序章(三巻目)
この世界には、機械神と呼ばれる災害がある。
端的に言えば機械仕掛けの人型の物体が現れ・歩き・消えるだけの事象ではあるのだが、身の丈100メートルあろう鋼鉄の巨人が歩くだけで、周りに与える被害は凄まじい。
歩行している側そばでは足が下ろされる度に震度10前後の震動に見舞われ、歩いた後も雨が降ったら十分な大きさの溜池が出来るぐらいの足跡が残される。
この国で起こる機械神災害を説明すると、対象は東京湾湾口にまず現れ、そのまま湾内中央を進み、江戸川と五十一川に挟まれた第弐東京区へと上陸しそのまま消えていく。
災害自体は世界各地域で起こっているのだが、機械神が進む道筋はある程度決まっているらしく、その点では毎回の通過ルートが変わってくる台風や竜巻よりかは対処しやすいのかもしれない。第弐東京区自体が絶対不可侵地域となっているので、最後はどうやって消えるのかは分からないのではあるが。
しかし進行ルートが決まっていると言っても、それが変わらないとは限らないので、機械神の影が東京湾湾口に確認された瞬間に災害警報が発令される。
もし東京湾内で向きを変えて進みだしたら、上陸し歩いた跡には何も残らないだろう。進行途上にある建物は全て踏み潰され、付近に建ってるものは激震以上の揺れに襲われて倒壊する。
そのような急に進路を変える事例は機械神の姿が確認されてからは無いのだが、絶対無いとは言い切れないので、毎回大災害級の危険度で対応している。機械神通過中の湾内は全ての作業は停止され、海上保安庁や水上保安庁の巡視船、更には海上自衛隊の艦艇も炉に火を入れた状態で待機して、その動向を見守る。




