灼熱の犬飼さん2 序章――とある魔法少女の戦い
水の魔物が現れし時、一人の魔法少女も現れる。
いつの頃からか――正確に言うと15年前からこの国ではそう決まっている。
本当は水上保安庁の駆逐隊の仕事なのだが、手が回らない場合には私に仕事が回ってくる。
「――あれね」
右手に魔法の杖を持った私が、本日の討伐対象であるぶよぶよと蠢く透明な不定形の塊を見据える。
「――そのようですな」
私の左後方にはお供の「可愛いマスコット(?)」が、こっつんこっつんと片足跳びをするように軽く跳ねている。彼は脚一本で体を支えているような形状なので臨戦態勢ではこのような動きになる。
「変身ですぞ、シーナ!」
「わかってる」
名を呼ばれた私は相変わらず重たい魔法の杖を振りかざすと、裂帛の気合を入れて叫ぶ。
「へんしん!」
魔法の杖が光輝き、その光に包まれた衣服が粒子化して消失し、新たな衣装が物質化される。数瞬の後、そこには赤と白を基調にしたコスチュームに身をまとった戦士が一人誕生する。
ボディは赤をメインカラーにしたフリルドレス。ところどころ反対側に白を散らしたアシンメトリなデザインになっている。肩はチューリップのつぼみの袖に、二の腕から指先までは赤いレザーのロンググローブに包まれている。手首の周りには真っ白いフリル。
脚は膝上のオーバーニーのブーツ。素材もロンググローブと同じでレザーで色も同じく赤。くるぶしの辺りには白いリボンがあしらわれている。
そうして最後に膝上のフレアスカートが、脚を下から撫でる不自然な風でぶわっと捲り上がって一連のシークエンスは完了。インナーはいつも通り赤いブルマを穿いてきた。
「変身完了!」
最後に決めポーズを決める。
「魔法少女マジカルシーナ、推参!」
名乗りを上げても聞いているのはお供の「可愛いマスコット(?)」しかいないけど、こういうのは気合です気合。言うと気合が入るんです。
「行くわよ!」
何度か休止期間はあるけど魔法少女になってから27年目の初夏、もう何体目かの相手かなんて忘れるほどの数を倒してきた魔法少女が、いざ参る!
あ、ちなみに現在37歳!
娘が継いでくれなかったんで今も現役で戦ってます!




