王都へ 1
私はお父さんから護身術と治癒魔法を、お母さんから薬の知識を習う事になった。
旅立つ為の条件とされたそれは、お父さんやお母さんのお仕事の合間に教えられ、そのせいか遅々として進まず、気がつけば五年もの年月が流れ、私は八歳になっていた。
時々お父さんやお母さんに『ねぇ、そろそろ旅に出てもいい?』と聞いてはいたけれど、返ってくる返事は決まって『まだダメ』で、私は二人から許可が出るまでひたすら習い続けた。
……けれど、さすがに五年経っても許可が降りないというのには焦りを感じる。
もしかしたら、このままずっと許可が降りないのではないかとさえ思えてくる。
このままではいけない、もっと頑張らなくちゃと決意を新たにし、私はそれこそ寝る間も惜しんで励んだ。
お父さんとお母さんには心配されたけど、『だいじょうぶ!』と言い張ってとにかく頑張った。
するとその頑張りの成果か、数日後には二人からの許可が降りたのだった。
そうして許可が降りた翌日、私はリビングで、この国の地図をテーブルの上に広げていた。
やっと他の場所へ探しに行ける、まずはどこに行こう?
そんな事を思いながらじっと地図を眺めていると、やがて玄関の扉が開く音と共に、お父さんの声が聞こえて来た。
あ、お父さん、帰ってきた!
耳に入ってきたその声に顔を上げ、私は玄関へと駆けて行く。
「おかえりなさいお父さん! おしごとおつかれ様!」
「ああ、ただいま。……キリカ、旅の間のキリカの護衛だけれど、今日王都のお城から領主様宛てに手紙が届いてね。守護神様から与えられた使命を果たしに行く為だからという事で、キリカの護衛には王都の神殿騎士の方が付くことになったんだ」
「え? し、しんでんきし様が……?」
「ああ。……けれど、希望者を募ったところ、"守護神様から祝福を与えられた神子様の、使命を果たす旅の護衛"という事で、名乗りを上げる騎士様が殺到したそうでな。大勢いすぎて決めるのが難しいから、トーナメント方式で試合をして、その優勝者をという話になったらしいんだ。領主様や私達に神殿から『是非見物を』と招待状が届いているから、一週間後には王都へ向けて出発するよ。お母さんと一緒に、準備をしておきなさい」
「えっ、おうとに行けるの!? やったぁ!!」
それなら、王都でラグヴァロさんを探せるね!
護衛の人も決まるし、やっとまたラグヴァロさん探しが再開できるよ!
待っていて下さい、ラグヴァロさん。
私、きっと貴方を見つけてみせます!
そして、必ず呪いを解きますからね!
ようやく前進した事態に胸を躍らせて、私はお母さんと一緒に王都行きの支度をしたのだった。