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試合開始

汚れひとつない真っ白な壁に床。

7畳ほどの広さの部屋の中央に置かれた真っ白な布の椅子。

窓は透明なガラスだけど、窓枠はこれまた白。

何もかも白づくめのその部屋の窓から下を見れば、5人ずつ5列に並んでいる、綺麗な正方形の人の塊が見える。

その塊が、6つ。

なかなかに圧巻な光景だ。

あの塊が全員神殿騎士様だという。

しかも、私の護衛を希望して今日の試合に望む人達だというのだから、笑えない。

多いとは聞いていたけど、まさかこんなにいるとは思わなかった。

いくらなんでも、多すぎじゃないかな?

そう思って内心冷や汗をかいていると、一糸乱れず整列した神殿騎士様達の前方を白い帽子に、金糸の刺繍が僅かに施された白いローブの男性が横切って行くのに気づく。

男性はそのまま3段程高くなっている台へ昇ると、私のいる部屋を見て一礼し、次いで騎士様達のほうへと向き直ると、ゆっくりと彼らを見回し、口を開いた。


「メイトニアルの偉大なる守護神、ゴーデン神に仕える敬虔なる騎士達よ! この場に在る事を望み、赴いた諸君らには、今日のこの場が何の為のものであるか、もはや語る必要はないと思う。あちらの観覧席には、諸君らがそのお側にと願う神子様がいらっしゃる! 神殿騎士の名に、そしてわざわざ観覧の為に足をお運び下さった神子様に恥じぬ試合をするよう、各自肝に命じて貰いたい!」


男性が声高にそう告げると、整列している神殿騎士様達が一斉にこちらを見上げた。


「うっ、お、お母さん……!」

「まあ、あらあら。隠れる必要はないのよ、キリカ?」

「そうだよキリカ。神殿騎士様方は絶対にお前に危害は加えないのだから」


神殿騎士様達の視線に身をすくめ、とっさにお母さんの背中と椅子の間に、逃げるように上半身を滑り込ませると、お父さんとお母さんから、苦笑混じりのそんな声がかけられた。

……そんな事を言われても……あんなに大勢の人からの視線が集中砲火されるとか、こ、怖いよぅ。

神子様だとか大層な事言われて祭り上げられてるけど、実際の私は、こんなだし。

うぅ、試合が終わって護衛に決まった人に会った時のその人の反応が、もう今から恐ろしいかも……。


「それでは、試合を開始する! 第一試合と第二試合に出る者は所定の位置へ! 第三試合と第四試合に出る者は別室にて待機、それ以外の者は出番がくるまで会場内で好きに過ごすように!」

「あっ……」


私達がそんな話をしている間に男性の演説は終了したらしく、整列していた騎士様達は二列になりなりながらまるで行進するかのように出口へと進んで行く。

そしてその場には、4名の騎士様達が残された。

4人はそれぞれ2人ずつ、白いロープで囲まれた長方形の枠の中へ入っていく。

どうやら、試合は2試合ずつ同時に行うらしい。

4人がそれぞれ枠の中央に立つと、すぐに白と黒の旗を持った人が2人歩いてきて、1人ずつ枠の中へ入っていく。

そして


「第一試合」

「第二試合」

「「 始め! 」」


旗を持った人達のその掛け声で、試合は始まった。

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