((12話分の)6話 )魔法少女VS声優グループ! 意地をかけたアドリブ対決!!(後半)
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連載詳細は公式サイトに随時掲載致しますので、何卒よろしくお願いいたします。
(※今回は第5話からの後半になります)
魔法使えない少女? ミナこ!
((12話分の)6話 )魔法少女VS声優グループ! 意地をかけたアドリブ対決!!(後半)
Aパート ベンチャーガールズ(裏)・声優達のミナこ黙殺計画
さてミナこ怒涛の復讐劇後半!! 皆さんはそれより、前編のミナこのセリフを覚えているだろうか。
「パパ…分かったわ。でもごめんなさい、今は昨日から魔法開発部でスタートした新作魔法のマジック•3Dプリントに忙しいの。次回からのベンガー•プラチナブロンドの登場は未定だし…」
そう、ミナこは忙しさの余り、その後ベンチャーガールズの現場への怒りや介入をすっかり怠っていた。
これにすっかり声優5人衆と監督は調子にドカっと乗り出し、元々の絵コンテ・脚本・台本に至るまで、登場しないミナこが演じるベンガ―・プラチナブロンドに関する遠回しの悪口や登場しにくくなるよう、出られない理由などを追加制作し、それが数ヶ月に渡って続いてきた中でとうとう、この日がやって来た。
「もしもし、そちらのベンチャーガールズでメインスポンサーを努めます、薪島重工・魔法営業部のエールストロングです。
ベンチャーガールズですが、5週分後の34話にて打ち切りさせて頂きたく、監督にご連絡致しました」
ヤボウ・ピクチャーズの事務室にて次の絵コンテ確認に取り掛かり、次はプラチナブロンドのせいで怪人が増加しているという話を作ろうとしていた白熊監督に、驚きの電話が舞い込んできた。
「えええええええええええっっっっっっっ!!? た、確かに視聴率は平均がすこーし下がり気味ではこの所ありましたが、でもベンチャーガールズの玩具は売上が増加しつつありますよ!? そ、その上玩具評判は『うちの娘が【変身コンパクト買って―!! あたちもベンチャ―5人組みたいに、プラチナブロンドちゃんのいつも欠席している学校の机に5人で日光を照射して机を焦がすイタズラのごっこがしたいのー】と言って聞かないのよー』と、とても評判ですよ!?」
「…TVの二次表現という魔法故に、それがいじめと分からないぐらいにまで腐っていたのですな。
この理由は教育委員会からの苦情多数と、こちらの都合での最終話決断です。
そして、次が特に重要ですが、そちらに薪島ミナこ様が最終回についてご相談に向かいます。スケジュールを空けて頂きたいのです…」
「あわわわわ……ガクガクガクガク…」
それから数日後、薪島重工本社の側にある喫茶店•魔法道に白熊監督は呼び出され、ミナこは日の明るいテラスの特等席にて、監督を待っていた。
待っていたミナこ爽やかな笑顔で服装は珍しく子供用ドレス姿、対する監督は超絶不安を濁らせ脂汗が滴る顔で会合は始まった。
「これはこれは白熊監督さん、薪島ミナこです! 前回会ったのは収録以来で忙しくて忘れていたが、これは改めてどうぞ」
ミナこはビジネス的な交流になると、時々名刺を取り出すことがある。
これは白熊監督を相当評価しての対談であると、白熊はスーツで来た緊張と共に実感した。
「名刺をワザワザ! ど、どうも、私も名刺を…(書かれているのは…えっクレヨン手書きで、まきしまじゅうこう•まほーかいはつぶ•だいしょうまほうしょうじょ【まきしまミナこ】だとお!? 本気で渡す名刺に今更幼児ぶって何を考えてんだこいつは?)」
「そのクレヨンでの手書き名刺は、あなたの信頼信用親愛をもっての私の子供心を込めた贈り物でもあります。どうぞ、お手柔らかに」
「(子供心が本気なのかーーーーーーーーーーーーーーーー!!!?????)」
そして会合が行われる。
ミナここと薪島重工側は主に『今のベンチャーガールズでは見ている子供の教育上良くない、マンネリが続いている、新しい魔法少女の企画で頑張ってほしい、最終回はミナこの役を登場させること、制作は全て好きに任せる』という内容。
意外に17話とそれ以降、好き放題している話題は一切出てこなかった。
「了解しました…最終回まで後5話。丁度次、先行製作予定の脚本が最終回になるよう変更致します」
「よろしく頼むよ…君たちは大切な魔法少女文化の働き手なんだ。既に過ぎた過去は戻らないが、最終回は全力で魔法少女性、そして私の役を空白の分だけしっかり手がけてくれたまえよ…」
「(あ、あれ、ミナこの役? プラチナブロンドはもうどうでもよくって、んでもって役なら何でも良いってことか…これはしめしめ!! 多めに見てくれるし、より一層ミナこを陥れるチャンスだ!! ぐわははははははははは!!!!!)」
「ん? どうした。ニコニコして次の構想が膨らんだかなっ?」
「いいいいいいえいえいえいえいえいっっ!!! とんでも御座いません!! では最終回の収録は早くて3週間後になります。よ、よよよよろしくお願い致します!!!」
こうしてミナこと白熊監督は握手まで交わし、ミナこはらしくない本気で大人な対応で監督を激動した。普段の学校や祈里との交流もこうであって欲しい物である。
そして絵コンテや脚本の製作監修に会社で取り組む白熊監督。
監督はとうとう全面的に好きにして良いとのことで、いつも以上にウキウキしながら励んでいる光景に、他のアニメを制作する同僚達からは奇異な目線で見られていた。
「いつもはこんなに追い詰められておると、つい適当なシナリオを起こしてしまう悪いくせがあるんだが、今回はアニメ制作歴20年のワシにも類例が見当たらない程の大興奮するシナリオ制作だあああああああああ!!! まず丁寧に対応してもらったが、やはり過ぎた過去と言ってさり気なく嫌味を放ったあのミナこには、ずっと隠されてきたベンチャーガールズ達の敵であるカッパ•ド•ギアのラスボス【魔王女•マキシマムクイーン・デビルミナー】の役であることは決定だな!!! つか、この地点でワシの好きな政策配当故の勝利は確定じゃあああああああああ!!!!!」
「…ちょっとシロ監督、他の制作班が取り込み中なんでお静かにしてくださいよお」
「ああすまんすまん、つい自由に作れるが訴訟されても勝訴できる程の適当な政策条件をメインスポンサーから頂いたんでな…」
こうして白熊監督構想の脚本•絵コンテは1週間で完成し、それから更に絵が全て出来上がるまでの凡そ1ヶ月近くの間に主役5人声優とアニメスタッフ全員のみで秘密会合を行って、最終回の方針をこっそり伝授した。
レッド役の中田は堂々とミナこが悪役で倒せて滅びることを喜び、ブルー役の淀崎はようやくブルーの苦行的カルマから解放出来て次の役に転成出来ると落ち着きを取り戻し、イエロー役の積善院はすぐさまベンチャーガールズでの合計収入額を計算し始め、グリーン役の喜久吉は今まで打ち切りにあったアニメ作品はこれでさんじゅう…数目と年期を感じさせる発言、ピンク役の我賀物はこれを気に声優を退職し、長年の夢だったといっても遅い気がしないでもないニューハーフの夢を叶えようと考えていた。
「良いかみんな、今回は裏でアドリブなぞ気にしないでいい。堂々と脚本が気に入らなければより白熱したアドリブ演技で台詞を増加して、忌々しいミナこを追い詰めるのだ!! そして薪島ミナこの役は…カッパ•ド•ギアのラスボスであり、隠され続けてきた怪人達の魔王女『マキシマムクイーン•デビルミナー』として登場させることになったのだああああ!!!!! 劇中での死を覚悟しろ魔法使えない少女おおおおおおおおおお!!!!!』
(わあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!! パチパチパチパチパチ!!!!!!!!!!!)
今回はその場にいない薪島関係者以外のスタッフ全員に堂々と教えられる内容であり、ミナこのスケジュールも収録日に脚本をもらい、その日にぶっつけ収録という、やはりワザと忙しいフリをしたミナこへの不遇な対処で、ミナこを陥れるという作戦であった。
幾度か回収したアニメ作品で流石にミナこが悪役を演じることは初めての出来事でもある。
しかし、ミナこも伊達に忙しいからと単に放置しているだけではない、むしろこの事態を予測済みでいたのだ。
ベンチャーガールズの秘密会合が行われている一方で、ミナこは学校での授業中に授業の内容とは異なる空想と、それの記述かノートには悪役について浮かんだ内容のメモが散乱していた。
メモには【悪と呼びつけているのは正義を振りかざすなり振りを主張するばかりの愚かな存在•こちらが別の価値観の正義であることを主役勢、そして視聴者に伝える•見た目の差異はあれど、血の通った同じ命であることを…】などと、正直魔法少女を演じるよりも理論的で気合の入ったミナこの一面が伺えた。
「(私が役名をあえて言わないことで、奴らが魔法少女役を続投するとでも…? フフ、見切ってる。ここ数回に渡って、プラチナブロンドが登場出来ずディスられてることも。そして奴らは必ず私に特等席を用意するだろう…)最終回の絶対悪と言う名目のなっっっっっっ!!!」
悪についてのつぶやきが大声になったことで思わず驚く教室一同。ミナこは慌てて『あ、ごめんあそばせー、昨日見た【魔法女王少女•ケットシー】のマンガにそんなセリフが…ホホホ』と皆を静粛させたが、腹のそこではミナこの本性がまさに発揮されることを待ち望んでいた。
「(待っていろ、修正の効かない本番アニメを用意するヤボウピクチャーズに、主役声優5人集よ…私がアドリブ返しで、悪側の魔法を振るまってやるぞおおおおおおお!!!!!!)」
(ガタタンッッッッッッッッ!!!!!)
「ちょっとミナこさんっっっ!! 今度は叫ばなくなっても、体で興奮しないのっっ!!!」
「ふっ、丙先生には私の生涯類を見ない晴れ舞台を知る良しも無いか…!!」
「薪島さんは毎日が晴れ舞台でしょうがっっっっっ!!!」
Bパート ベンチャーガールズ・最終回!! 宿敵の魔王女【マキシマムクイーン・デビルミナー】参上!?
ミナこの本性をあらわにしてしまうとは知らず、ベンチャーガールズの最終回の制作は遂に残す所アフレコのみで放送は2日後となっている。
尚、白熊監督の最終回あらすじは、以下のようになっていた。
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●ベンチャーガールズ・最終話(34話)『最終回!! 宿敵の魔王女【マキシマムクイーン・デビルミナー】参上』
・あらすじ.
ベンチャーガールズ5人組はとうとう、カッパ•ド•ギアの本部があるサウス超強市のマッドバッグ研究所を発見し、都内で遊んだ帰りに博士から連絡が来たので、電車で15分かけて辿り着いた!! 大事なことは意外に身近に存在することを実感させる発見だ。
そして周辺を警備するザコ怪人をなぎ払い、マッドバッグ研究所に突入すると、地下に続く通路を見つけ、そこから最新部にたどり着くと、遂にカッパ•ド•ギアの怪人達の生みの親である噂の魔王女と思わしき存在を発見したが、なんとそれはナコこと、ベンガー•プラチナブロンドであり、魔王女【マキシマムクイーン•デビルミナー】の姿に変貌して真の正体を露わにしたのだった!!
だがベンチャーガールズ達は屈しない、何故ならプラチナブロンドのことはみんな大切な仲間だったとは誰一人見なしておらず、『例え、本当の味方だったとしても許さない!!』とレッドのセリフに代表される、何らためらいの無い誓いから5人の総攻撃は始まり、そして後半、遂に5人は追い詰められてボロボロのデビルミナーに変身を解除して、変身コンパクトの照射でじわじわ弱らせながら悪の真相を問いただして、デビルミナーとカッパ•ド•ギアを壊滅するのだった!!!
ありがとうベンチャーガールズ!!!!! 君たちは最終回だけど魔力も失わずに、敵集団を壊滅したから、マジ力を駆使した余生が保障されるぞ!!! おめでとう!! そしてありがとう!!!(終)
・コメント.
もう終わりでーす!! 今回のテーマは『一方的に仲間の輪に加わる人間は、報いを受ける』がテーマと考えております。
このベンチャーガールズ全話と魔法少女ジャンルを通して、女児を中心とした子供達に『戦争の愚かさ、命の大切さ、ついでに仲間は選別しないと組織の壊滅を生む』などを学んでいただければと思っております。最終回も頑張りましょう!!!
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この内容がベンチャーガールズ関係者全員にアフレコ当日配られ、当然ミナこを含む薪島側の関係者も全員目を通しているが、誰一人クレームを挟むことはなかった。
監督は調子にますます乗っており、その油断を狙おうとしているミナこの真の目的なぞ知る由もない様子でいた。
そしてアフレコ当日のスタジオ。ミナこと少数のガードマンにミナこ父がリムジンで駆けつけ、台本等書類を確認し、収録開始までの時間を騒ぐことなく待機していた。
「ミナこ様…ホントに大丈夫でしょうか、貴方のような少女正義に燃えるお方が悪役なぞに転ずるとは…」
「フフ…生物、特に人間の本質は悪と位置付けられる定めにあると父から学んでおるよ。だが、こういうその物になれる機会は初めてだ、むしろ光栄だよ…!!!」
「はっ…ご収録を頑張ってください」
「ははは!! ミナこが初めて悪に徹する光景が見れるなんて、パパ感激だよー!!!」
この薪島側の異様で好意的な光景には、流石のアニメ関係者側もきみ悪く感じる程、割り切られている物腰だった。
「さいほ…いや、本番収録開始しまーす」
(どやどやどやどや…)
音響監督の合図を元に、大勢の声を収録する人達が収録室へと入っていった。
最終回の収録は順調に進み、やがてミナこの演じるベンチャーガールズを裏切ったプラチナブロンドと、その変身姿である魔王女が君臨する所にやってきた。
するとミナこは思わぬアドリブの手段に動じる。
それはベンガー•レッドが研究所最深部に辿り着き、最深部の奥にいるプラチナブロンドの人影を特定したシーンだった。
「あ、あのシルエットはまさか…!! やはり貴方ね!! 私達に味方のふりをして実際は無能でその後全然登場してくれなかったベンガー…」
「ああそうだ!!! この(ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーー)の魔法少女共が!!!」
(ブーーーーーッ)
「カットカット!! ミナこさん、アドリブとはいえ、それは放送倫理に反するワードです!別の言葉か台本通り『ギャビーっ!!!!! 見つかっちゃいましたのゲスうーーー!!!』とおっしゃってください!」
「何を言うか!! 味方怪人が全て倒されて追い詰められ、散々コケにされてきたプラチナブロンドの返す怒りの返答だぞ、伏せられた『正義のクソ奴○で、う○こ○ツの出○損ないブ○野○』がダメなら、他を言うぞ」
「では、Bパートから始めてくださーい)
「ああそうだ!!! この(ピーーーーーーーーーーーーーー)で(ピーーーーーーーー)の魔法少女共が!!!」
(ブーーーーーッ)
「ああそうだ!!! この(ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーー)でありながら(ピーーーーーーーーーーーーーーーーー)としか言いようが無い(ピーーーーーーーーーーーーーーーー)の魔法少女共が!!!」
(ブーーーーーッ)
「この(ピピピピピピピピピピピピピピピピピピ)………」
なんとミナこのリテイクは20回にまで及んだ。その余りの禁止レベルの吐き出し文句とやり直しに、流石の声優達や監督も疲れが溜まり、フラフラになる中でようやく21回目のアドリブが通った。
「ああそうだ!! この未熟者めが!!!」
「(ミナこさんOKです…。引き続き役を進めてください…)」
音響監督から声優達の耳に連絡が入ると、最初のNGから実に45分後にしてようやくアフレコの進展が進んだ。
声優達は『あれだけやって、結局それだけかよ…』と呆れてしまい、ミナこの悪役を愚痴るアドリブはここで大幅に考えることを失ってしまっていた。
だが、ミナこの収録はここからが本領発揮となる。
それはミナこが演じる役がOKであるも、予定外のアドリブで次々進展をしていった。
「お前達が私達にが出られない間に、私はこの世界の全能の神に怪人の紹介で出会い、そして私は怪人達が祭り上げている、祭壇の形無いカッパ•ド•ギアの創造神と融合して、今はカッパ•ド•ギアの慰めとなったのだ!!!」
「お前達ベンチャーは間違っている、我々カッパ•ド•ギアは和解を望んでいるが、大多数が人間であるこの地球では多くが人間に変装するもどうすればいいのかわからずに、犯罪や悪事と見なされてしまう活動に至ってしまったのだ」
「私はこのカッパ•ド•ギアの異形の子供達を守る。お前達人間が過ちに気が付かなくとも、変わらぬ同じし命を守る義理が私にはある!!!!!」
演じる声優達とアニメ関係者は『どう見ても口の上手い悪役の言い訳だが、このままだと私達が倒しても追い詰められてしまう印象の流れになる…』と痛感していた。
「か、監督よろしいでしょうか? ミナこの奴、自己弁護ばかりですが、全てシーンオーバーせずにアドリブセリフを入れ切っているのです…」
「…仕方ない、皆最初のミナこのNGワード連発で疲れているのだ…。つ、続けよう、なーに、どうせどれだけ熱演しようとやられる役なんだ…」
だが、むしろやられるクライマックス程、ミナこの熱演は核心に迫ることになる。
終盤はベンチャーガールズ5人が得意の合体必殺技で魔王女に大ダメージを与え、そして返信解除して5人でコンパクトを照射して、これまでの悪事を白状してもらうという、これも正直拷問と差し支えないシーンだと思えるが、もうミナこの悪役も終了する直前、ミナこは最後の迫真迫る悪に染まった己を吐き散らした。
(ペカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーー!!!!!)
「ぐわあああああああああああああ!!!!! ああああああっっっっっっ!!!!! こ、こんな所でカッパ…のカッパ•ド•ギアの命の異形の花々が散ってゆく中、最後に私が散るのならあああああああああああ!!! 最後に、最後に見せてやるぞおおおおおおお!!! 悪の華の散り様をををををををををををを!!!!!!!!」
光に苦しむ魔王女に対し、レッドが捨て台詞を吐く。
「ミナー女王!! 死に際なら最後の言葉ぐらいは聞いてやろう。そしてもう、二度とこの社会で自分の夢と魔法少女と言うなの支配を行うな!!…(ああ、これがやっとのアドリブだわ…)」
そう気を下ろす瞬間、ミナこの最後のセリフが響き渡る。
「…魔王女としての、悪の魔法少女も面白かった…だがあああああああああああああ!!!!! ゆうめええとまほおわあああああああああああああ!!!!!!!! だあれでもみれてええええええええええええええええ!!!!!!!だれにもおかされないいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!yhaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(キイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!!!!!!!!)
ミナこの顔は白身の演技で顔にハチミツ汗がベトベトダクダクで、首が締まったかのような表情で大きな口を広げて20秒近く叫び続けていた。
その響きは凄まじく、収録室周辺にピンクと黄色のツバのような水分が撒き散り、他の声優達は耳を防さぎ、音響監督はヘッドホンを一旦取り外す程であった。
そして他の声優は次の演技が行えず、ミナこの顔を振り返ると、ミナこは叫ぶ表情のまま、何時ぞやかの自分の糖分分泌物の排出で全身が固まった時のように、頭全体に固体化した砂糖結晶が発生して意識を失っていた。
「きゃあああああああああああああ!!!!????」
「み、ミナこ様が迫真過ぎて、お菓子の内部を発散し、硬直しました!! すぐに手当てを!!!」
「な、、なんだとお!!??? み、ミナこおおおおおおおおお!!!」
すぐに薪島の関係者全員がミナこを担ぎ出し、収録現場に騒然と甘さを残したまま、スタジオを去って行った。
そして監督が音響監督に確認を行う。
「お、音響君…、声優達は続投可能かね?」
「…確かに全員、耳が少しつんざいただけで大丈夫だとおっしゃっています。
それに幸い、ミナこの役は先ほどの雄叫びで全て終わりました。後は主役声優で残りのシーンを収録すれば終わりです…」
「ま、まあよかった、いやむしろいい気味だああああああああはははははは!!! ミナこの野郎!! 最後は自分自身の演技で破滅したか!!! さあみんなもう少しだ!! 終わったら制作完了打ち上げでも行うぞおおお!!!」
「…あれっ? 声優のみんなどーした? えっ!?なんだって!? 先程のミナこの雄叫びが耳から口に響いて、声を出す度に……」
こうして、収録はその日の内に全て完了した。
だが聞き返すと、彼らはとんでも無い事が起こっていることに気付いてしまい、そして再収録しようにも、声優全員に異変が起きたため、今回の収録はそのまま完成版として放送されることになる。
「(…あいつ、なんて物を残して去って行ったんだ…!! 社長に責任を背負わされた時のために…辞職届を…備えよう…)」
白熊監督は音響にもどうしようも無いと言われ、頭が真っ白のまま、放送日を迎えた。
「みんな、遂にカッパドギaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaたね!! ありがaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」
「でもこれaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaも一緒だaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaで、新茶が旨いってわけ!!」
「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaで、今流行りのストレッチダンシングがaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaでから、aaaでベンチャーガールズは本日で解散っっっっっ!!!」
ミナこの最後の叫びはなんと収録現場の声優全員の喉に宿っていた。
それもどうやら魔法と言う名の薪島の技術らしいが詳細は不明である。
おかげで声優達は放送直前でもミナこの残響が喉から出て行かず、仕方なく魔王女撃破後の録音はそのまま使用されて全国放送され、お茶の間にホラーな演出を植え付けさせた。
そして、魔王女撃破後には放送事故を回避するため、このような説明書きがエンディングまでテロップされ続けたと言う。
『魔王女の残っている声は、不幸を背負い続けた魔王女が解放された際の魂の叫びが、深く残っているためとなっております。演出上の仕様ですので、安心してご視聴してください』
当然、安心する視聴者は誰もおらず、凄まじいクレーム数と最低の視聴率でベンチャーガールズは終わった。
なお、ミナこの顔面硬直はすぐ薪島魔法病院で即日治療され、呼吸は戻ったが、3日ほど眠りについていた。
そして目が覚めると、1日前のとうに終わってはいたが、ガードマンから放送視聴率最低・クレーム多数の最悪の終了を迎えたと聞き、そして放送した本編を見せようとするが、ミナこは断りを示すとこう告げたという。
「みんなに内緒で魔法で何とかする。それは魔法少女ものの基本でしょ? だから私はあの日の収録で最後のセリフに、君たちと共同開発したサンプルの1つ【試作魔法258・霧状散布型発声拡散『ボイス・エブリバディ・スプラウト』】を使用し、最後は大発散したことで皆の喉に私が宿った…結果はもう分かる」
「…お見事ですミナこ様。今はラスベガスで新作魔法技術をショーへ売り込みに行った、社長もさぞお喜びになるでしょう。そしてヤボウピクチャーズの監督が主役声優と共に、姿を暗ましたという情報が先程…」
「…リアルでは私が真の魔法少女として残り続ける…そして私の悪の一面は打ち切り作品のとみんなのトラウマの中だけ…フフフ、あーっはははははははははははは!!!!!!!!!」
こうしてミナこの分散的な復讐劇は幕を閉じた!!
がんばれミナこ!! でも一つ一つの作品と視聴者は大切にしようね!!!
魔法使えない少女?ミナこ! 第六話・完
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