((12話分の)3話 )魔法少女は汗かかない! 排泄物0への道!!
・連載公式サイト(http://minakonotmahou.jimdo.com/)
次回4~6話は来週5月4日を予定としております。
執筆ペースで早くまとまる際は、お知らせ後に掲載もありますので、
よろしくお願いいたします。
魔法使えない少女? ミナこ!
((12話分の)3話 )魔法少女は汗かかない! 排泄物0への道!!
Aパート・ミナこの汗はいちごみるくの味!!
人はどのような存在であれ、生まれてから死ぬまで必ず何かを食し、そして余計になった残りカスを排泄しなくては生きていられない。
しかし、物語とキャラクターにとって児童教育もの以外はこれほど描写が不要な常識的習慣も無いだろう。食事シーンはまああれど、排泄など出来る余裕がなさそうな環境だとしても、突っ込まないのがもはやお約束である。
次のある日のミナこは、そんなこの現実の常識を打ち破ろうとして試作嗜好していた。
対する祈里は、そんなミナこの変化に登校時のホームルーム前からすぐに気付くことになる。
「おはよーミナこ。クンクンッ…んっ? ミナこのことだし、今日は外国産の高級香水でも体に撒いてんの?」
するとその日は一般庶民な制服ミナこは、軽いノリで意味深なことを説明する。
「えーなによ!! 乙女はあま~いお菓子で出来てるってメルヘンな言い方もあるじゃない!! 硬派な和菓子のアンタには今日から生まれ変わったアタシの変化についていけるかな~?」
「え~? わかんないんだけど、アタシが和菓子とか例えは純で良かったのに、すんごい差別的なんですけどー?(イラッ)」
「分かれば宜しい、祈里が実家が神社で巫女服が似合うイメージから和菓子って考えたように、あたしも魔法少女たるもの! そういったイメージ戦術も大事なんだと考えたわけよ!! でも普段スタミナ維持のために肉食だったり、体をよく動かす故に、体内から分泌される腐敗物はぜんっっぜん魔法少女じゃないって悩みがあったのよ!! その対策を今日から始めたってわけ!!」
「…人間の体で欠かせない動物的な要素を…?(菜食主義者やベジタリアンにでもなったのかしら…?)」
祈里は分からないまま、お昼休憩の弁当の時間になると、祈里の前の席に鎮座するミナこと一緒に食べるのが定番だが、そこからミナこの異変に徐々に気付いていくことになる。
まずミナこはいつの間にか魔法少女装備となっていた。次に祈里の弁当はごく普通の自家製の弁当だが、ミナこの弁当は大概、お昼の時間にシェフがダイナーテーブルを引いてやって来て、その場でステーキを焼いたり、飛行機のファーストクラス級の弁当の用意や、クラス全体に給食日を定めて豪華なランチを振る舞ったりと、分かりやすいぐらいの豪遊っぷりを発揮するものだが今日は違う。
その日のミナこはガードマンから用意されたクーラーボックスから、グラスに入った白いものをスプーンと取り出した。
「むっ、ミナこ? それ何よ?」
「見れば分かろう、ヨーグルト。しかもプレーンぞ」
「え、そんだけ!? アンタダイエットでもしてんの?」
「アタシが!? 笑止ー!! 育ち盛りの女児向けの魔法少女で、ダイエットネタなんてするわけ無かろうに! んでもってアタシは1日平均、魔法少女の特訓で3000カロリーは消費する。今日は自分自身を試す初日というわけだ!!」
「自分自身…自身…? てことは、おかずもトッピングも何もないの!?」
「…まーだ分かないと見える! アタシは魔法少女、今から魔法でこのヨーグルトの白々しいぐらいにプレーンな部分を解決するからプレーンなのだ!! この液体のキャンパスに甘みを染めるぞー!!!」
そして両手を広げると、明らかに何かをしでかす直前の様な呪文を唱えだす。
「甘き血潮よ! 花びらのごとく舞えッッッッッ!!!『スエット&スウィート』!!!!!!!!!」
ミナこは顔を真っ赤に体を震え上がらせて体温を上げ、顔や腕に稼が滲みでる。そして同時に強い良い香りが周辺に現れたかと思うと、ミナこは空高く両腕を上げ、素早くクロスした。
(ズサアッッッ!!! キラキラキラ…ポタポタポタポタポタ!!!)
「…!? あ、よ、ヨーグルトにいちごのフレークとはちみつが!!!」
すると、無色なヨーグルトにピンク色のいちごの細かいフレークと黄色くトロトロに輝くはちみつが一瞬宙に現れ、そしてヨーグルトに降り注がれた。喫茶店のメニューにありそうな、とても美味しそうなヨーグルトが出来上がっている。
ミナこは早速ヨーグルトを頂く。ただしその様子は、マラソン後にスポーツ用のドリンクを飲むかのような、足りない栄養素を補う疲れが見える印象だったが、この時の祈里は自分の弁当の残り僅かなおかずを摘むのに集中しており、ミナこの滴るベタ肌と黄色とピンク色に染みた汗、更に何故か魔法少女化の際に、必ず付けている両手袋が無いことを見逃していた。
「ふークッた食った!! ごちそう! どうだね!アタシの甘味の錬金術は」
「いやー今回はすごいね! あ、アタシにもヨーグルトがあったらいいな~」
「ふうっ…んっ、まあ良しとしよう…」
ミナこがガードを呼ぶと、同じサイズのプレーンのヨーグルトが届いた。
「…んっ? ミナこ疲れてない?」
「え、ええっ? いや気にしないで結構! 昨日魔法使いミーシャを徹夜しておさらいしてた影響の表面化だろうて!!…」
だがミナこの様子がどこか疲れていることに気付く祈里。少し感じた嫌な予感はこの後的中することになる。
「甘き血潮よ! 花びらのごとく舞えッッッッッ!!!『スエット&スウィート』!!!!!!!!!」
(ズサアッ! キラ…ポタポタ!)
「…? ミナこ、これ悪いけど少なくない? スプーン一杯分しかかかってないよ?」
祈里が流石にトッピングが少ないことに不満を言うと、ミナこの様子は明らかにさっきよりも疲れが表情にまで、ベタベタな汗とにじみ出ていた。
「そ………そ、う、か、な…ふうっ…はあっはあっ…(よ、予想外だ! まさかここまで発散しないと出ないなどと…)」
「あ、だ、大丈夫! これでも食べるから! プレーンのヨーグルトも好きだから!(きっとミナこのことだから、机の下に用意しているトッピング装置でも机の下で操作して焦ってんでしょ。…汗? あーミナこすごい汗…)」
そして気にせず祈里はヨーグルトを食べる中、体力がある程度戻ったのか、ミナこが再度トッピングを行うと話す。
しかしその様子は意識がもうろうしているように思えた。
「祈里! …よし! トッピングのマジ力が回復したと感じた!! ヨーグルト貸せ!!」
「あ、もう半分近く食べたけどいいの? はい」
(ズサアッ! キラ…ポタ)
「…いちごフレークしか、しかも摘めるほどしか…」
「あああああああああっっっっっっっっっ!!! 分かったぞもおおおおおっっ!! もっと喰らえやああああ!!!」
(ゴシゴシゴシゴシ!!!ズサアアアアアアアアア!!!!!!)
すると必死になったミナこは、両手をヨーグルトの上に出すと、すりあわせてその下から大量のいちごフレークを産出した。
それは普通どう見ても、垢が出てるようにしか見えなかった。
「キャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!! いやあああああああああああああ!!!???」
「ほーれホレホレエエエエエエエエ!!! はちみつも足りなかったな!!! 行くぞおおおおおおおお!!!!!」
(ポタポタポタポポタポタポタポタポポタ…)
更にはちみつは、ミナこが顔をこすると、顔全身から汗が伝って、顎から滴り、それをヨーグルトといちごフレークに注ぎ込まれる。これがミナこの『スエット&スウィート』の真相であった。
「ぐわはははははははは!!! はあっ…どうだ祈里!! アタシは体内の分泌、排出、循環物は今日から全て糖分! 甘い…」
そんな話も聞かずに、吐き気をもよおした祈里は急いでトイレに向かう。
すると、女子トイレから出てきた女子達が話をしていた。
「ゆいちゃん、今日のトイレ、芳香剤変えたのかな? すごーい良い匂いしてたね」
「そうだねー。薪島重工が新しい芳香剤でも実装したのかな? いちごとはちみつの…?」
「ごめんなさいどいて!!」
そして祈里が押し入ると、祈里は余計に地獄を味わうことになる。
「ううううううううううううっっっっっっっっっ…!!?? この臭いは…ミナこと同じ…」
更にそのまま個室トイレに入ると、臭いの真実にたどり着く祈里だった。
「ほ、芳香剤が置いてるけど、全然関係ないミントの香りって書いてる!? …てことは、ま、まさか…」
トドメに、隣の個室に祈里の後から入った、同じ使用者の声が聞こえる。
「んー何だろ? 便器が妙にピンクと黄色が混じっていて、白いホイップみないなのが…」
「おえええええええええええええええええええええええ…」
「!? と、隣の人は祈里ちゃんの声!? 大丈夫!?」
一方でミナこは体力が完全に戻ったのか、完全に残りの昼休みを優雅に過ごしており、まわりもどうして祈里が悲鳴を上げ、ミナこが必死なのか伝わっておらず、ミナこの周辺のいちごとはちみつの香りは自然と受け入れられていた。
「ふふふ…これでアタシも…魔法少女どころか、マンガやアニメの二次元世界のように、動物性のある分泌、排泄を気にすること無く、正に乙女はあま~いお菓子で出来ているその物を実装してることになろう…しかも副産物までね!! アハハハハ!!」
Bパート・甘い香りは悲劇も誘う!? ミナこ、砂糖菓子のオブジェへ朽ち果てる!!
お昼休憩が終わり、午後一番の授業はよりによって体育だった。
祈里は休憩中に食べたものがミナこの真実を知ってしまい、全て水に流してしまっていたので、すっからかんの栄養素で挑まざるを得なくなっており、一方でミナこは循環している血が代わりに糖分豊富ないちごミルクで出来ていたため、疲れは全く無く完治していた。
体育の先生は元アメリカ陸軍の衛生兵優秀者で、数多くの修羅場をセクシー&八頭身で乗り越えてきた、金髪美女の『ナタリー女医』が担当していた。白衣からジャージまで全て濃い迷彩が特徴の彼女はミナこに関する健康面も薪島家から管理を任せられているが、昼休み中に本日のミナこのカルテを受け取ると、その異様な明記に驚いていた。
「…ちょっとガード、ミナこの体調、これは本当に今朝測った冗談ではない表記なのだな!? 本当だな!!」
「…ええ、表記のままです。血糖値は糖尿病患者の4倍、血液はいちごの成分と乳製品の成分を混ぜた白いピンク調、体外へ排出される腐敗物は水分がはちみつ成分、固形物と肉体の成分はホイップクリーム調になっております。
ミナこ様は本日から『乙女はお菓子で出来ている!! 魔法作戦』を実行中です。動物性排出物を0にする警告を実行中ですので、どうかご理解を…」
「…Oh…流石は世界一の研究テスター少女ね…成型やシリコンで偉そうにしている故郷の美女達が真っ青になる根性…感動したわ」
「更にミナこ様の体は全身の8.5割が糖分で出来ていることに加え、ここまで体内成分が唐菓子の形状ですから、どう怪我をしようと、血生臭くなく、床にこぼしたケーキのようになる美化が施されるとの結果が出ております」
「報告ご苦労、彼女だけは身体検査した際、高血圧で死ぬだなんて言わないようにしないとな」
そして体育の時間。天気は快晴で、庶民化したミナこも含めて全員迷彩柄の体操服とブルマを着て準備をしているが、祈里は体力が保てない事が自己判断で出来たため、ナタリーに見学を希望した。
「あら、真面目な祈里が見学か。顔色からして昼を取ってないのか?」
「先生…その…出してしまってないんです…」
「…可愛そうだな。よし、保健室にゆくがいい。ガードに頼んで、昼飯の代用を用意してもらう」
「…あ、ありがとうございます!!」
「(何にするか…ここは米軍時代に女性に人気だった、スポーツドリンクといちごとはちみつのパフェでも…)」
そして祈里が休みに向かうと、体育が始まる。
本日の体育は、茶ノヶ崎中学の外側を一定時間マラソンするというメニューになっていた。
ミナこは体育も得意で、同クラスの男子生徒も余裕で対抗できる筋力を持っているが、今日は更に大量の体内糖分によって時協力が温存されており、普段の倍以上走れる自信を元に、東京ドーム1つ分ある外周をミナこは走り続ける。
(バタバタバタバタ…はあっはあはあはあ)
(ダダダダダダダダダダダダ!!!ズサアアアアアアアアア!!!!!)
「…ミナこ、はええなあ…」
「んでもって、すごい甘ったるい臭いも残してるよねえ…」
「あははははは!! みんな置いてくぞ―!! おそらくもう、2位以下の人は私より2週遅れのはずね!! 笑いが止まらんわ!!」
そう言って油断しまくりのミナこ。
すると、ミナこが走っている側で泣いている5歳ぐらいの女の子とそのお母さんを見かける。
「あらもおー…お腹が空いたなんて…今はごめん、あめちゃんとか持ってないのよ―…」
「えええーん!! もう動けないよ―!!」
その光景を目撃したミナこは、珍しく自ら人助けを行おうと体を震え上がらせ、体外に糖分を分泌放出、困っている親子にそっと近づきながら、片手では指を使ってコネコネコネコネ解決策を練り上げていた。
「…どうしたのかな? はいこれ! お姉ちゃんが魔法で召喚したはちみついちごアメだよ!」
「うわーいありがとう!!」
「あ、あら貴方はミナこ様! 自ら率先して頂きありがとうございます。この地区をこれからもよろしくお願いします」
「いやあお安いご用ですわ! 本当の正義はこうして弱者を養うことにありますもの!! ではごきげんよう!!」
そう言って立ち去るミナこ。
そして、走りながら自分の体液で作ったあめ玉を振り返っていた。
「うーむ…やはり頭皮の一般的にフケとされる箇所がスポンジケーキ風で、良い隠し味になったな! あと流石に長期間走ると、はちみつ汗も塩気が混ざるものなのだなあ…だが塩飴は上手いしいっか!!」
だが、ここに来てミナこはある異変にも気付くことになる。それこそミナこの甘さゆえの甘さだったと、この時気がつくのであった。
「むっ…ちょっとスネがくすぐった…ってええええええええええええええええ!!!!!???」
(ワラワラワラワラ…)
足元から這い上がってきていたのは、群れになった黒い蟻達であった。ミナこが子供を助けて留まっている間に足元から這い上がったのである。急いでミナこは手で追い払おうとするが、中々取れず、噛まれたりとマラソンどころでは無くなってきていた。
(ワラアアアアアアアアアアアアア…ガブガブガブ!!!)
「ぬほおおおおおおおおおお!!??? アタシはお菓子の家じゃねええええええええ!!!!! ってキリがねえ!? こーなったらあそこの…!!!」
(パッ!!…ザブーーーーーーーーーーーンッッッッッッッッッ!!!!!)
するとミナこは近くにあった小さな川に箸からダイブした。とたんに蟻達は水の中へ分散し、ミナこは何とか蟻に食い尽くされる恐怖から克服出来た。だが…。
「…ぷはあっ!! た、助かった…!! …さーて、走りに戻っ…!? か、体が重いっ…!!!」
なんとミナこの体の糖分が全身に濡れた水と混ざってしまい、熱で半溶したアメのような粘液が全身に漂っていたのである。
その光景は最早甘いお菓子で出来た乙女ではなく、ヘドロや廃棄物から生まれたバケモノの様な光景だった事に加え、それが快晴の日照りで、歩く度に固まっていくのである。
外から見るとミナこの姿は徐々に見えなくなり、やがて全身が固まって岩のような外見となり、身動きがとれなくなっていく。
その光景は自然界で例えれば、樹液にもまれて琥珀になる昆虫のごとく、ミナこは死の間際で生きた化石になりかけていたのであった。
「ぎゃあああああああああああああ!!! し、死ぬううううううううううううう!!!???こ、呼吸がく、苦しいようわああああああああああ…あ、ああ、うぷっ…」
ミナこの道で全身が固まる光景には不幸なことに、場所が川上りの狭い裏路地だったからか、人が現れず、ミナこは本気で死の直前に陥っていた。ガードマンやいつもこっそり重力魔法で助けてくれる祈里さえもいない。
その自分の無力さと愚かさを流石に痛感したミナこの瞳に大粒の汗が滴れた。
「ううううううううっっっ…(こんな死に方末代までの恥…!! だ、誰も着てくれないし呼ぶことも出来ないっっ!!…でも私は魔法少女よ!! 甘き夢にリアルで抱かれて死ぬだなんて…そんなの…そんなの嫌だああああああああ!!!!!)」
それが不幸中の幸いだった。ミナこは涙だけは本来の人間のままの塩水だった。それが頬を伝って顔全体にアメのコーティングがされなくなり、ミナこは幸い顔だけはアメに溺れることはなかった。
「…あっ!? か、顔だけは固まってない!! よ、よーし助かった!!! 問題はどうやって帰るのか…場所も場所だし…そうよ!! ハンプティ・ダンプティ戦法よ!!!」
そう閃いたミナこは、自分の固まった他人の目から見ると岩に顔だけでたマトリョーシカのような体型でまず横に倒れ、次に自分の力で転がりだし、そのゴロゴロと転がっていく。
その時のミナこの思いには、有名なハンプティ・ダンプティの歌が脳裏をよぎっていた。
~ハンプティ・ダンプティが塀に座った
ハンプティ・ダンプティが落っこちた
王様の馬と家来の全部がかかっても
ハンプティを元に戻せなかった~
「…なら、自分で起き上がるまでよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!)
ミナこが横に倒れて急速回転することで、アメ状に固まった全身が車輪となって移動を可能にし、そして遂に学校の正門まで帰還することが出来た。
長く40分近くも苦戦していたせいで、流石に授業が終わる5分前でビリではあったが、正門から回転して皆の待つグラウンド入り、待ちくたびれていた生徒たちに対して、ミナこは単に転がりながら終わるようなノンパフォーマンス性は更々なかった。
「…あ、あれミナこさんじゃない!? 横に回ってるけど!?」
「…えっ!? 今コマみたいに立って回転しだしたぞ!!」
「おまたせしちゃったねみんなあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
(キュルキュルキュルキュル!!!!!! …バリイイイイイイイイイイイイイイイイイイんんんんんん!!!! キラキラキラ…)
回転によって表面が薄く軽くなった事を利用し、ミナこは横から縦に回転しながら起き上がると、その勢いで5メートルほど空中に浮遊し、そして表面のアメ全てを卵がレンジで爆散するようにブチ放ち、欠片が綺麗に飛び散る中で、ミナこは宙からズドンと舞い降りた。
「お、おい、周辺にアメみたいなのがいっぱい散らばってんぞ?…」
「いたたたたっ!? あーもう、ちょっとべたついてる…」
そしてナタリー先生が急いで着地したミナこに駆け寄る。
「だ…大丈夫かミナこ!? それより何なのだ、あのキャンディに包まれた姿…ハッ!!」
「ナタリー先生! アメはアメでもべっこう飴さながら!! どうやら私のいちごミルクとはちみつの汗が、落っこちた水と融合魔法化して、危うく全身が琥珀のように固まりかけたのよ!! だがここまで何とか戻っただけじゃない!! このアメ状の液体がより有効な魔法に発展できるチャンスがあると私はこの身で感じたの!! 怪我はないから安心するがいいわ!!」
「な…なんて少女だろう…この窮地になっても魔法の理想を忘れずに、むしろ力として取り込んだ姿勢!! 流石は薪島家の娘よ!!!」
「フッ…相変わらずのGカップだな…先生よ…」
ナタリーが感動してベッタベタのミナこを抱き上げるのを黙ってみる生徒達。
そして見守っているのはグラウンドの生徒だけではなく、校舎の保健室からも見えていた。
「…ああ…グラウンドからも甘臭い…」
保健室で窓際にいた祈里は、いちごとアイスクリームとはちみつ、トドメにとぐろ状のホイップが乗っかった、一口も食べていないパフェを横に置きつつ、病人のような薄いオーラでげっそりしながら、微笑ましく外を眺めていた。
こうしてミナこは祈里の糖分嫌悪を犠牲に、新たな糖分を使った魔法を手に入れた!!
がんばれミナこ!! でも人に自分の分泌物を黙ってあげちゃいけないぞ!!
魔法使えない少女?ミナこ! 第三話・完
最後までご閲覧をありがとうございました。
ご意見・ご感想・修正点要望がありましたら、ご連絡下さい。




