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((12話分の)2 話 )魔法少女は自社開発! ビジネスマンが変身コンパクト!?

・連載公式サイト(http://minakonotmahou.jimdo.com/)

 連載詳細は公式サイトに随時掲載致しますので、何卒よろしくお願いいたします。

 魔法使えない少女? ミナこ!



(( 12話分の)2 話 )魔法少女は自社開発! ビジネスマンが変身コンパクト!?

挿絵(By みてみん)


Aパート・魔法少女と父 ~ビジネスも教育も魔法に、そう、薪島重工ならね~



 魔法少女ミナこの正体の一つは、薪島重工の社長『薪島奨一』の一人娘と同時に、社内で広報とテスターを両立する特別社員であった。

 薪島奨一とは、茶髪のモジャっとしたくせっ毛と口ひげがモミアゲと繋がるぐらい濃いダンディーな男であり、カリスマ感がほとばしる社長に相応しい貫禄を持っている。


 ミナこが現れ、目覚める以前の 5、6 年以上以前の薪島重工と社長・奨一はミナこから見た祖父が 120年前に起業した重工業・製鉄・科学開発を得意とし、日本の工業業績を半数以上支えている、現在のことを考えれば普通の世界的な会社であった。

 しかし、長年問題視されてきたのは、特に巨万の富を生む、海外や国内防衛向けの兵器開発産業のシェアと推進も強すぎる批判もあり、平和を乱す、社会悪でもあるという批判がずっと言われ続けていた。


 だが今は違う、ミナこの魔法開発方針が父こと社長、そして全世界にいる薪島重工社員と会社全体を変えてしまった。


 工場は無駄にファンシーなピンクを基調とし、作業員はピンク色の防護服にうさ耳。これは威圧感を与え無くてはならないガードマンでも、上層部はピンク色のスーツだったりと、染まっており、如何に幸福と平和を目指して挑んでいるかを訴える姿勢なのだという。


 こうして、魔法という飽くなき探究性とパフォーマンス性がミナこから呼びかけられ、その事で表向きにはバカのように思われようと、世間には魔法という名の科学業績をしっかり貢献しており、ミナこ以前(経済界ではミナこの発生をミナこショックと呼ばれる)からむしろ右肩が更に上がっている。

そう、ミナこの存在は、最早世界的な影響を与えるシンボルとしての魔法を十分に備えていた。

 残すは魔法という到達地点の確定だけなのである。


 では、ミナこの存在によって、最も動かされた薪島重工社長こと、薪島奨一のここ数日の成果を辿ってみよう。

 これは、競争が激しい『携帯・スマートフォン業界』に新製品を出した時の彼のスピーチと発表である。


 ~エンパイア・ステート・ビル内・薪島重工・アメリカ支部中央会館での新製品の株主優待と記者会見会~


 巨大な年季のあるビルを改造したコンサートホールの中で、社長は大きな薪島重工の垂れ幕とスクリーンがある舞台に現れ、盛大な拍手が殺到する。

「…やーどうも皆さん! …静粛に。

 …皆さん、この世界には二種類の人間が存在します。

『魔法少女とそうでない人間』です」


 すると会場で一人の男が野次を飛ばした。

「ぐははははは!!! これが薪島重工の魔法会見かははははは!!! こいつは傑作だ!! こんな奴らが世界を…!? ん、ぐわあああああああああ!!???」

(シューーーーーーーーーボコボコボコボコ…)

 すると男は即座に周囲を取り囲んだガードマン達によって、彼らが持つ消火器のような装置から繊維の様な泡を四方から浴びせられ、僅か数十秒で男は同じ等身の熊のぬいぐるみに早変わりしていた。


 社長は無表情のまま話を続け、会場の人々はまたか…といった表情でぬいぐるみになった男を睨みつけていた。

「この『バブリーベア』も元々はウチの娘が『テレビ番組で不正なお客さんがぬいぐるみに変わる都市伝説って素敵よねパパ!』という魔法への思いを実現できたものです。よく売れていますよ。

 薪島重工のイベントでは、貴方が 50匹目になります。おめでとう」

ぬいぐるみの男は身動きは取らないが、荒い息遣いが近くで聞こえていた。


「…失礼、話題が反れましたな。今回、我々薪島は『携帯電話を魔法化します』」

 一気にどよめく会場。社長はニャッとした。

 その後の社長の説明する、新製品の携帯のスペックについての話は魔法という言葉とは裏腹に、至極まともで誰もが欲しくなる内容だった。


「このスマートフォンは縦 9センチ・横5 センチの長方形で、厚さは 2センチの極薄、重さも50グラムとクレジットカード二枚分、スクリーンはスーパーマジックダイヤモンドで出来ており、シロナガスクジラが踏んでも傷ひとつ入りません(ワアオ!! オオオオオーーーーー!!!!!)


 そして容量、これは自社独占の技術により『 10TBテラバイト』です! もうクラウドネットワークでのケチケチしたデータ管理さえも気にする必要がないのです!! 他社の平均をご存知でしょう、平均たったの 7ギガバイトですよ!? ちなみにクラウドの際も薪島マジック・クラウディア・無料で 50TBからをよろしく願います!!(ヒューーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!)


 更に、これはまだどこの業界も実装していません『総合的な電話・ネットの通信費はマキシマムパックにより、全世界どこでどれだけ使おうと、 0円です』(ワアアアアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオオオオオオ!!!!!)


 グラハム・ベルが電話の基礎を発明して、早 100数年。電話こそ使用料を無視して楽しめる魔法で無くてはなりません。つまり支払うのは本体代のみなのです。それも通算『 1万円』です(オオオオオオオオオオオオオオオオワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!)」

 

 会場は超大盛り上がりとなった。なんてったって買えば一生使えるレベルのスマートフォンである。会場の人々は肝心の本体の招待を切望していた。

(ショウイチ!! ショウイチ!! ショウイチ!! ショウイチ!! ショウイチ!! ショウイチ!!)

 そしてとうとう、社長はスマートフォンをポケットから取り出した。


「…それがこれです『自社女児コンテンツ【魔法ファイト!!・ぷりっち】のおしゃべりコンパクト』」

 会場は一瞬で静まり返った。

 会場のスクリーンには、明らかに女児のおもちゃとしか思えない 3種類のスマートフォンがあり、ピンクを基調とした黒、金、赤の各サブカラー 3色に、かわいいネコ、くま、うさぎの型が裏に立体プリントされていた。表でも動物の耳がプリントから突き出ている。

 所謂『子供向けの見た目のフリして、中身は大人が欲しがる性能』という物であった。


「…如何でしょう。いらなければ買ってくださらなくとも結構です。我々は夢と魔法を売っているのですから」

 その数週間後に予約が開始され、予約も実際の販売も全て購入者が殺到したのは言うまでもなかった。

 そして、ビジネスマンまでもが不似合いなその薪島重工製のスマートフォンを『通信費が全面無料だから』として使われ、個人で改造して女児向けさをなくそうとすれば、警報装置が発動され、著作権侵害として逮捕されるのである。



 これがミナこ以降の薪島重工のビジネスであった。

 とてつもない技術を作ると、外装を魔法として自社の色に染めまくり、購入者を試すのである。

 正に『ハイリスク・ハイリターン』これは会社の最高テスター・ミナこも同じだった。


 そしてミナこ父・奨一の人間性は、 1話のミナこが箒でジェット登校したその日にも実は現れていた。

 更にその日奨一は、直接ミナこと会ったのは家でのことだが、実は茶ノヶ崎中学にて午後 4時頃、校長と話をしていた。


「校長、ミナこはほんっっっっっっっっっっっっっっっとうに無事なんですな!?」

「え、ええまあ社長、ですから元気の余り、正午には更に翼でもう一飛びしていましたよ…」


 ミナこの無事を元副社長の校長から確認し、無事だと分かると高らかに笑いながら、学校の非常勤理事長であるからか、校長にもなあなあで立ち去ろうとする。しかし、校長はミナこパパに日々募る疑問をこの際、打ち上げてしまう。


「薪島社長、流石に本日は試作ロケットエンジンで地面すれすれと危なかった!! あんな娘でお見苦しくないのですか!? 何が魔法少女です!?」

「校長、貴方は子供の頃から校長を目指して?」

「教師ですから、問題ないでしょう」

「これで校長を変えるのは、 10度目ぐらいかな・・・。校長と教師は生徒へのふれあいが全く違う」

「ひいいいいっっっっ!!?」

「ミナこが目指している理想の魔法少女は、あまりにも無謀な一方で、我が薪島重工の研究開発の基礎をもたらしているのです。そう、夢は叶えるのではなく、人々を動かす祖。夢への魔法は信じる力がそうなのですがな。」

「さすが、ミナこさんの為のジェットパック開発が、 NASUのスペースシャトルに流用されるわけだ・・・」

「ジェットではない翼だ。センスがないな。退職金、 20億は手渡しますんで、適当な余生を過ごすんですな」

 校長はまるで退職金目当てのように、そそくさと立ち去った。

「…やはりその程度か。経営力だけは一流だったな。まあそれも国内 1位のIT 企業から単に力だけ見つめて抜粋しただけのことだがな…」


 奨一は、スマホ(もちろん、ぷりっちコンパクト)を見ながら、熱くなったのか、上着を脱ぎ、ボタンを半分外すとその中には、スーパーヒーロー・スマッシュマンのマークのボディスーツがうっすらと見えている。

「もしもし私だ。ん、今週の少年ジョンプは?『魔法 EXルナルナ』が今週ビリだと? ふん、ミナこが嫌いだったな。版権回収にも当たらん」



Bパート・祈里、ぷりっち・おしゃべりコンパクトという名の革命的スマホをお買い上げ。



 ぷりっち・おしゃべりコンパクト(略してぷりホ)は発売日から翌日、早速ミナこが学校に持ってきた。

 祈里は当然、連日のニュースや新聞や口コミで、その外見を強いられている高性能スマホの存在は認知済みである。

 その日のミナこは一般庶民の役として、相変わらず似合わない制服にメガネをかけていた。


「祈里ちゃん! 恵んでやるわよ!! じゃーん!最新の薪島重工開発のスマホの…」

「ああ、あれね!(ああ、ビジネスマン・サラリーマンが化粧してるか、魔法少女に変身するとしか思えないって噂のあの見た目の…)んでもって、めぐむとか言わない! 今はアタシと同じ庶民なんでしょ!!」

「いやあしかもさあ! あの毎週金曜夕方に放送している『魔法ファイト!!・ぷりっち』は全国だけの世界的に見ればまだローカルな魔法少女アニメなのに、スマホ発売にして、世界的な知名度ゲットだよ!! ハハハは!! 世界中の子供から年配者まで、みーんなファイトぷりぷりだーいへんしん!! の起動ボタンで使用する光景が目に浮かぶわ!!!」

 ミナこの野望の輝きに祈里の声は届いていなかった。


「ああもう…よ、よかったわね、それよりさ、あたし今回のミナこがスマホをくれることで世間的に見れば恥ずかしいかもしれないけど、その、始めて携帯を手にするのよ…」

「んー? そういえばそういってたけどなんでよ? 祈里の実家には確かパソコンはあるだろうに」

「それは全国の神社の連盟に加入しているから、うちの神社のホームページを管理したり、お守りのプリントデータを作るためよ。携帯は祖父が嫌っていたのと、あたしがそもそも…まあ中学まで友達付き合い、いないと同等に少なかったから忘れてただけで…」

 するとミナこは一瞬シリアスな表情になるが、直ぐ様元の興奮した状態に戻り、そして祈里に差し上げるぷりホを用意した。


「ハハハハハ! 気にすんな祈里!! アタシは V組W 組X組のほぼ全生徒の携帯番号持ってるけどさ、みんなかけてくんないのよー。きっとこの学校は照れ屋さんばっかなのね!」

「(そりゃ、ミナこはモンスターペアレンツを見つけ次第、直ぐに魔界へ送るという名の退学と薪母市からも追放処分をしているのだから、残るのはイエスマンばかりよ…アタシは心のなかではノーだけど!)」

「お、そうだった、渡さなきゃね。はいこれ!! 色は祈里にマッチするように、金色でしかも裏のうさぎの箇所は銀色だよ―!!」


 差し出されたぷりホは、キンキラキンそのものだった。ミナこが祈里をどう判断して、この様なただでさえ派手な携帯が色まで成金の様になってしまったのか。祈里の慣れた予想でも流石に自分の日々使う携帯なので、頭を痛める実物であった。

「あ、あああああありがと、とうね…はは…窓からの光が本体に反射して、すんごい眩しいんですけど…」

「気にするでない、んでもって携帯を全く使わなかった化石な祈里の為に、電話帳もアプリも全部調査して収録済みだぞ!」

「電話…えちょっと!? 何人の個人情報を盗み取ってるのよ!! いくらなんでも最低よ!!」

「まさかあ~プププッ! 祈里よ、あんたこの中学に入学の際に薪島・マジックラウドメンバーっていうメールアドレスと会員登録したでしょ、パソコンで祈里はそのアドレスを使ってメールや電話帳を登録してるでしょ?

あれで自動同期化してるのよ。誰がこの情報特価社会の時代に態々アンタのボロっちい評判の神社で、カビの生えてそうな電話帳を探らにゃならんのよ!!」

「な、なるほど…んで、アプリってのは、所謂パソコンのアプリケーションと同じもんなんでしょ? 何から使ったらいいかな?」

「待つのだ、祈里よー。画面真っ暗ってことは電源もまだ入れてないわけ~?」


 するとミナこは、祈里のぷりホに電源が入っていないことに気づき、長押しして起動させる。

(プリプリプリのぷりっぷりィーーーーーーーーーー!!! だーい起動ッッッッッッッッ!!!!!)

(キラキラパシューーーーーーーーーーーーーン!!!)

(貴方はぷりホの 9556782人めのお友達!! 通信費 0円はたくさんのお友達を呼び込める魔法の手段ね!!!)

「うわっっっっっ!? ナニコレ!? これが起動音!!??」

「…あん? 何よ? 祈里のは早く起動して教えれるよう、特別に『魔法ファイト!!・ぷりっちを起動後ファースト・シーズン全 26話見ていなくても操作できる』ようになってんだからね」

 ゾッとする祈里。世間ではやってるとはいえ、それはこのぷりホのみで、魔法ファイト!!・ぷりっちは人気や売上や社会現象化を殆ど聞かないのに、もう薪島重工がメインスポンサーで 3年近くも続いているのだ。

 主に通信費が完全タダなだけの理由で使う数多くの一般人は、まず女児向けアニメを乗り越えることを考えると、祈里は自分は特別なんだと思わざるを得なかった。


 そして祈里はメニュー画面を確認し、早速使えるアプリをミナこに確認した。

「ミナこ、これらのアプリについて教えてくれない?」

「おうよ、まずこれは『魔法ファイト!!・ぷりっち』の放送時間が近付いたら教えてくれる…」

「…いらない」

「次にこれは、日々の予定やメモを編集保存できるアプリ」

「おー! これは便利そう!! 宿題とか予定とか管理しやすそうで」

「柄は全部ピンク、んでもって、入力の最後にぷりっちのスタンプを押さないと、魔法とぷりっちとの友情じゃないということで、メモ内容が全部消される」

「(…他のアプリを買って入れられるらしいし、そうしよう…)」

「お次は…」

「も、もう大丈夫だから!! ぷりっち関係でも起動すれば説明が出るんでしょ!?」

「ちょい!! 音声認識設定がまだよ!!」

「ああごめんっ!! それは確かに必要ね! うんごめん…」


そしてミナこの指示で音声認識ソフト『ぷりぺっと・シシリー』を起動させる。

すると画面に可愛らしい魔法少女のペット・シシリーが登場し、祈里に話しかけてきた。

「やあシシリーだよ! シシリアンライスを食え!! さあ、何かお探しですか?」

「お、変な言葉遣いだけど喋った!! ミナこ、どうすればいいの?」

「んじゃあ、まずお天気を聞いたら?」

「分かった、シシリーちゃん、今日の天気は?」

(ピロンッ)

「薪母市には現在、大小雲が 36個、現在9 時46分 26秒にて太陽がその雲の一つに 1分36 秒ほど、現在覆い被さっています」

「細かすぎて天気わかんねーよ!!! 要するに日中は晴れなの? 曇りなの?」

(ピロンッ)

「自分の目を信じて空の感想を伝えれば、シシリーはその想いに見合った答えを出すよ!」

「もういいっっっっっ!!!」


 祈里は怒りながらアプリを切る。するとミナこは授業が近い中、最後のアプリを祈里に紹介した。

「もー祈里ったら、原作のぷりっちの性質を知らないからなめられてんのね。お、どうやらもう次の授業が近いみたいだ。んなら最後にホントに役立つアプリを教えるよ」

「原作のシシリーってどんなペットよ!? 人を撫で回す奴!? あ、ふーやっとね…、時間ないんだし最後のアプリをお願い。どんなアプリなの?」

「祈里は【 3Dプロジェクションマッピング】って、他社が開発したけど人気のある技術を知ってるかな?」

「あっ知ってる!! 確か、物体に当てると光が物体の色を変えてくれるすごい技術でしょ!!」

「そう、ウチら薪島魔法部では再構築して【変身コンパクト・マジッピング】って言うアプリによって、ぷりホを持っていれば本体が全面反射して、色が決まってる服でも別の色に変えてくれるってやつよ」


 そう言うとミナこは試しに自分のぷりホから服装にマッピングをかけると、ミナこのぷりホはポケットにしまっていても、強く反射してあっという間にミナこの制服で白いブラウスの部分が黒と金色のゴシック柄に変わった。

 しかも髪の色まで白色に変わり、一気にビジュアルの印象が変化したのである。

「ミナこすごーい!! いいなあ、私も家に帰ったらやってみよっと!」

「あはははは!! よいよい。この機能は特に巷で話題になってるでしょ? ほら、しがないサラリーマンが貫禄のある上司のふりをするために、自分をマッピングして顔にシワを増やし頭を白髪にして取引をしたら、成功したってニュースがあったしね!」

「…それ、発覚後に裁判ネタにまでなった奴だ(つかアンタは老化も魔法変身ってくくりでいいの…?)」


 そしてその日は普通に過ごし、やがて放課後、祈里は特に用事もなく、ミナこも緊急の用事があるとして、学校に来た自家用ヘリと装備されたぶら下がりほうきに乗って、颯爽と学校を後にしていた。

 祈里は一人帰るため学校を出て、校門辺りに差し掛かった時、ポケットに入れていたぷりホが知らずに勝手に起動し、変身コンパクト・マジッピングが起動していたことを祈里は気づかずに家路を歩くことになってしまう。


(ピカッ、ホワワワワワワワ…)

「さーてと、今日の晩御飯の食材を帰りにスーパーへ買いによってもいいかな」


 ポケットに隠れたぷりホは【ユーザー・ミナこからマッピングを受信・制服向け・魔法変身衣装を反映します】となっており、やわらかな光で祈里の制服がゆっくりと派手な柄に変わったことに最初に気付いたのは、一般人とりわけ、大きなお友達と呼ばれるオタクな人達であった。

「ややや? 山田氏! あそこにいる女の子ですが、まるでアイドルが改造制服でライブする時みたいな服装ですぞ!?」

「ぬっ、佐竹氏!! 更に色はブラウス部分が赤色、セーラーの生地が厚い箇所は黄色に白ラインとずいぶん派手でそそりますなあ!!」

(ドヤドヤドヤドヤドヤ………)


 祈里は数人の大きなお友達がストーカーしていることに気付かずに、スーパーに寄って買い物後、そのまま家路に向かう。スーパーの店員や普通の客も『新人のアイドルが罰ゲームでも受けてるのかしら…』と悟りながら、平然を無理やり装って対応しており、祈里も自分の服装を見ることに自分視点故、気付いていなかった。

 後を追う大きなお友達はますます増え、 15名近くが後を辿っていた。

「清楚で古風なおかっぱをしておきながら、派手なセーラーに身を包む!! じゅるりですう!!」

「この薪母市では禁止されているが、他の都市に多いアイドルグループに加入しても上位を狙えますぞ!!」

「まったく、この可愛さ、一方でこの市は薪島ミナこという憎き難き悪き!! メディアを牛耳る我々の敵である萌えない幼女がいて鬱屈している日々に、まさにあの子(祈里)はオアシスですぞ―!!」

「名はなんていうのだろうな…」

「地元の子であるのは間違いないぞ…」

「ああ、ミナこではなく、あのような純粋にかわゆき魔法少女がいたら嬉しいですのに…!あっ! スーパーを出たぞ!!」


 祈里は未だに自分の服装の色変化に気づかずスーパーを出て、そのまま家路に着いた。

薄暗い小さな神社の入口を追ってきた大きなお友達共は驚いた。

「な、なんと!? この小さな神社の娘さんですかあ!!」

「俺、この町に 10数年住んでいるけど、この神社初めて知ったよ…」

「名前は…白蛇神社か…由緒正しそうだ。皆さん、これ以上追うと本当にストーカーになってしまいます。解散しましょう」

(ハア…ぞろぞろぞろ)

「さて、ますます帰って薪島重厚の株を仲間と買い合って、回収されたアニメ会社と作品『魔法大帝ウォーズ』だけでもミナこの野郎から取り戻す自身がついたぞ!」

 そう言い合って解散しようとしたその時だった。


(「きゃあああああああああああ!!!!!!! 何よこの服ーーーーーーーーーーー!!!!! み、ミナこのやろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

「うわっ!? なんじゃ祈里!! お前さては今テレビでよくやっておるアイドルグループの入団試験にでも…!!」

「ち、違うわよもーーー!! マッピングのしわざね!! か、解除はどこ…!?」)


 大きなお友達の一同は驚くばかりであった。どうやら祈里って神社の子はミナこにはめられてアイドルっぽい制服を着ていたのだと気付いたお友達は、それぞれ独自の解釈をし出した。

「あの子は祈里っていうのか…なるほど、しかもミナこにあのアイドル制服を着させられただと!?」

「ミナこの野郎!! 俺達の好きなアニメ、とりわけ魔法少女ものは勝手にスポンサー回収して、変な展開や打ち切りを次々作っているが、次は3次元リアルでも魔法少女を育もうとしているのかよ!?」

「いやいや、ひょっとすると祈里ちゃんはミナこの傘下にいて、日々ミナこに従えている鬱憤を家に帰って叫んでいるとか…」

「そうか? もっと関係を考えると、実はミナこのクローンかもしれんぞ、なんたって最近薪島重工はアメリカの大手バイオ技術会社を回収したからな…」


 そう言っていると、あの祈里が神社の境内に用事があるのか声と扉を開ける音がした。

気になった複数のお友達が、神社の階段をそっと上がって覗いてみると、そこには仕事服として巫女服を着ている最も祈里らしい光景が、そこに輝いていた。


「さてと…やっぱりこの服装が一番落ち着くかも…そりゃあ、部屋にあるパンクの服装も好きだけど未だに着る機会がなあ…。まずは入り口の掃除でも…あら?」

「うひょおおおおおおおおおお!!! み、巫女さんだっただと!? ま、ますます萌える萌えて舞うううう!!!」

「おいお前! 気持ちはわかるけどやめろ!! あ、あ、あの、ぼ、ぼ、僕達その…」

「いやあその、最近ここの近くに会社を建てましたので、近くのここにお参りしようと思って来たんですハイ…」

「あ、ああそうなんですか…。ウチの神社はお祓いや地鎮祭もやっていますので、よろしければお声をおかけくださいねー」

「ぼ、ぼくはあなたそのものに声をかけたいんです…」

(ぽかっ!)

「こらっ! いえ失礼しました…おいみんな! 今日はお参りしたら帰るぞ!!」

(ざわざわざわざわ…)

「み、皆さん順番にお参りしてくださいね。あと境内の奥の林と小洞窟には入らぬよう…(ったく、全国の神社で報告されてるけど、とうとうウチにも巫女目当ての人達が来るようになったのね…でもこんな賑わう所から外れた場所になんで…!? ああっ!! 変身コンパクトめええええええええええ!!! もうあんなのスマホでもなんでもないわ!! ミナこに監視されているってことじゃない!! がっくし…)」


 神社が予想外の盛り上がりを見せたのと同時に、一方でミナこは自宅リビングの大型テレビにて、衛星電波から祈里の持つぷりホへ情報介入しており、周辺の様子も察知していたが、祈里の異常な人気ぶり、そして大きなお友達の情報を察知しており、怒りがこみ上げていた。


(「まったく、この可愛さ、一方でこの市は薪島ミナこという憎き難き悪き!! メディアを牛耳る我々の敵である萌えない幼女がいて鬱屈している日々に、まさにあの子(祈里)はオアシスですぞ―!!」

「ああ、ミナこではなく、あのような純粋にかわゆき魔法少女がいたら嬉しいですのに…! あっ! スーパーを出たぞ!!」)


「ああああああっっっっっ!!! 忌々しいビッグブラザー(大きなお友達)共め!!!

私達健全な夢と魔法に反逆したかと思えば、地味で田舎臭い祈里にラブだとお!? 顔も名前も特定してやる!!! 貴様らには薪島の株は0.1%も買わせねえぞおおおおおおおおお!!!!!」

 するとミナこの父こと奨一がバスローブにシャンパンを飲んでくつろいだ姿勢のまま、ミナこに語りかけた。

「ミナこ、世の中には我々の正義に歯向かう者達も少なくともいるものだ。だが安心するがいい。むしろだ、こういった別の正義を求める者達がいる方が、我々も努力・団結力の向上心がますます挙がるものだ。なあ、フィフティーベアよ…」

「流石冷静沈着なパパ…! 女児向けベースでもライバルは欠かせないものよね!!」


(ゴトゴト…ドカッ、バシャン!!… )

 すると、奥から薪島重工の新型スマートフォン発表会場で転生したくまのぬいぐるみが、シャンパンのおかわりを不安定なぬいぐるみの分厚い手でガタガタ震えながら、氷バケツで持ち運んできたが、やはり置く直前に巨体でバケツをぶつけてこぼしてしまい、慌てて自らの身体で拭きとり掃除をした。

「ミナこ、次の魔法開発部の発明だが、いよいよミナこの身体そのものを大きく変える機会が再び訪れることになるぞ」

「承知よパパ…私は魔法少女に変身できる、現実や自然の摂理に従ってはいけないのだもの…」

 ぬいぐるみは続いて、大きな手先でシャンパンのふたを開けようとする。

 だが、そこはシャンパン。当然コルクでキツく封じられており、持ってきた栓抜きで開けようにも、大きな手が栓抜きを掴めず苦戦する。すると…。

(ぐぐぐぐぐ…ボスン!?)

とくまの手の甲に穴が空き、中にある本人の手に栓抜きが持てるようになった。くまからは半端ない冷や汗である。


「ハハハは!! そのいきだ!! 極め続ければ、その内ミナこは神として崇められるのかもな!!」

「やだもーパパったら!! 私はあまーい夢を見たいだけなのよ! もー子供扱いしてよ~!! こうして体は立派な幼女で続いてるんだから!!…」

 そしてくまは栓抜きでシャンパンを開けようとするも、今度は視界が悪いため、ひやひや震えながら栓のコルクを栓抜きで開こうとしていた。

「そうだなミナこ! そんなお前に歯向かう奴が来てみろ、私が一撃で仕留めてやる!!」

(スポーーーーーーーーーーンンンッッッッッッッッ!!!)

「ぎゃあああああああああああああ!!!!!!!!」

 と同時に、シャンパンの蓋が勢いあまって開き、コルクが弾丸のごとくくまの脳天を直撃し中の人まで貫通激突し倒れた。


(どすうううううううん…)

「んっ? どうやらシャンパンが空いたようだな」

「あたしも飲んでいいパパ!?」

「んーミナこは…その…まあ好きにしていいぞ、ミナこは…だもんな! ワハハハハハ!!…」



 こうして、ミナこの次なる魔法少女計画も進行しつつあったのだった。

 負けるなミナこ! 純粋な人気に負けるほど君は愚かではないはずだ!!。



 魔法使えない少女?ミナこ! 第ニ話・完




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