((12話分の)12話)阿鼻叫喚!!魔法少女ミナこの最後!?
遂に魔法使えない少女? ミナこ!第一シーズン完結です!!
ミナこは魔法の存在を認めて変わってしまうのか!? 祈里はミナこに魔法を打ち明けるのか!? そしてルンピーはどこまでミナこを追い詰めるのか!?
長くなってしまいましたが、最後までごゆっくりご閲覧下さい。
今後のミナこの展開は、後書きにて通知しております。
魔法使えない少女? ミナこ!
((12話分の)12話)阿鼻叫喚!!魔法少女ミナこの最後!?
Aパート・ミナこ、魔法少女は過ちと、輪廻に飲み込まれる!?!?
我々人類はどこから来て、どこへ行くのか。という言葉に代表される様に、歴史は常に突然変異の如くこの地球に現れし人類の集団活動と個人の発案の繰り返しによって、今日にまで文明が洗礼され、多くの真実・虚無共々の途絶えし歴史が地に消えて行った。
魔法はどうだろう。ある時は占いと予言、またある時は魔女・悪魔狩り、またまたある時はあり得ない結果に対する仮説として、常識以上の存在・オカルトとして君臨し続けて来た。
だが、産業革命以降の生活文化向上によって、それらは現実と具体例としては非難される立場が決定してしまい、以後今日に至るまで魔法的なことで変わったとされる歴史は、全て動力の不確定な虚偽として、常識を覆す様な本物の魔法は現れずに今があってしまった。
だが科学でも全ての物事がどこから来て、どこへ行くのかが分からない様に、現代社会は動力が確定的な魔法はと言う名の科学以外は肯定されないことをミナこは利用し、魔法少女として世界一の科学産業を利用していると、祈里は法魔少女達と同じ様に考えた。
そして、仏教的なカルマと輪廻の空間に炎の化神を駆使して、ルンピーはミナこを根底から作り変えようとしている。
ルンピーも祈里もミナこを殺す気は無い。ただし命あっても、ミナこの純粋な人間性を洗い流そうとしている。
果たして、このことによってミナこは、どのような結果の魔法少女と化してしまうのだろうか。
(ゴボアアアアアアアアアアアア!!!!!)
(ゴオッッッッシュポオオオオオオオオオオオオ!!!!)
「うわああああっっっ!!?? 熱い熱風に鬼の形相!? なんて炎の加工変幻現象の利用だ…」
「私はルンピー・二ティア。インド出身の魔法少女」
「うおう、これは驚いた。おい、祈里はどうしたんだ? 高等な科学を持つ産業スパイが! リアル系魔法少女とは、私の真似か!? 残念ながら、薪島に関係無いのなら弟子はお断り! んでもって、同じ幼女であろうと、祈里を捕えているのは許さぬ!!!」
「ミナこ、仮に彼女の命が絶っていたとしよう。そしたら私をどう思う?」
「きっさまああああああああ!!!!! やはり私の友達歴最長の祈里を狙っての事か!!! 人質を取るこの間のインド人と変わらんぞ!!!」
「あのシンは未熟な魔法持ち。結局は暴力を手がけた。でも私は彼以上の力で違う有効な手段を持つ。無抵抗と非暴力。これだけは約束する。ただしそこのドーム外部で見守って燃えている炎の化神ンマは、私の肉体の正当防衛として置かせて頂く。座るが良い」
「…祈里はどうした? く、口だけなら暴力じゃ無いだろ?」
「それはミナこが更生してから外で己の身を持って知ることだ。とにかく座ろうミナこ。この時の流れすらも外と違う、永遠に等しいカルマの中で、これまでとこれからを語り合おうではないか…」
ミナこはンマが近付くことも拒んでいた。何故ならミナこの肉体はほぼ砂糖菓子。高熱や熱風に合うと普通の人間以上に溶けて崩れてしまう危機があったからだ。
更に周囲を取り囲むルンピーのカルマドームは天井までおよそ30メートル、厚みは80センチは伺える傾向と、もはや科学偽装と言うには余りにも用意が困難、銀行の金庫や核シェルターの様な周囲の結界である。
そんなルンピーの独断場でルンピーが抵抗しないと分かると、ミナこは冷静になって、座って対面するも要件を伺う。
「…まず一つ、ルンピーは私に何を望んでいる」
「魔法、歴史、そしてこれまでの貴方の行ってきた罪達の認め」
「…私の罪とは何なのか」
「それはミナこの魔法少女を名乗った数々の愚業だ。その顔、変身して暴れても危機を感じているのなら、ここに座って私とのミナこの生命について、語り合えればきっと分かるはず」
「…座ろう、ずいぶん面白い面構えだ。悪役にしてはずいぶん同調的だが、果たして限りなく魔法少女な人生観の私に通じるかね…」
「その心意気だね。さあ、私と意思疎通を同化しよう、ミナこよ…」
それからミナこはルンピーが社の前で座禅を組んでいる所の1メートル正面で、抵抗のシンボルかヤンキー座りをしてルンピーの体制を待ち構えた中、ルンピーのミナこへの説法が始まった。
「ではミナこ、まず初めに君の些細でもいい、罪を行ったと内なる身を持って痛感した過去を正直に話すがいい」
「失敗はあっても、過ちは無いっっっ!! 失敗ならいくらでも話そう! ここを懺悔室にするつもりとは、実はキリスト教系統だとかいう、ギャグは無しだからな!!」
「どういった宗教や教えでも罪を悔いいることは同じね。では失敗でも構わない。申し出よ」
「そうだな、4ヶ月前に私ら薪島重工がスポンサーをするアニメのヒロインショーがあって、私が裏でプロデュースしていた現場の時だ。
ヒロインアニメの声優がショーでも演じるからか、対象年齢以上のビッグブラザーも客席にはいるわけだが、そういった客は我々には困ることこの上ない。
そんな舞台での時、ヒロインが舞台でじゃんけん大会をやって、勝った子5人にプレゼントをあげるコーナーがあったんだが、ブラザーめ、子供の聖域に参加しようとしていたから、私の命令でじゃんけんに参加し手を上げたブラザー対象全員を声優に呼び出して貰って、裏手に来た際、代わりに私のサインをあげてヒロインショーから帰してあげたんだが、みんなすごく悲しそうな顔をしていたのは、少し居た堪れなかったよ」
「それは何故だと思ったのかい、ミナこ」
「…正直に考えると、対象年齢設定は人気の妨げになると思って取り外した結果、堂々と大人だけ組が来たことだろうな…。それだけではない、ビッグブラザー達は私が今日いることを知らず、呼ばれて始めて知ったことでショックを受けたのだろう。舞台の声優よりも若くてずっと幼女な私を見てビクビク怯える者、怒りを顔で露わにする者まで、彼らに私を教えずに裏で迎えてヒロインショーから退場させてしまったのは、すれ違い故に残念だったよ…」
「ミナこ、それはヒロイン声優に会いたいのであって、暴利的な君に会いたくは無いのだ。わかっているのだろう? これ以上人を騙す魔法だけは世界一なのを、悔い改めるべきなのだと」
「きっっっさまああああああああ!!!…私を閉じ込めようと! 薪島ガード達がいる限りは!!! こう連絡してやるぞ!『薪島ミナこだ!! 謎のルンピーのとか言う悟りで産業スパイを起こそうとしている者に出会った!! 場所は茶ノヶ崎中学西住宅街の公園っ!!! 赤いドームは破壊しても良いっっっ!!!』となっっっ!!!」
「ふん…このドームは空間を止めて壁となったと考えられる。破壊と言う概念は…」
ミナこは返信段階のホワイトホールを右腕から発行させて、そこから小型無線機を取り出し、ドーム外の薪島部下をこの公園へ呼び起こそうとするが、全く通じない。
「…嘘だろ!? 圏外ってオチなのかい!! んもー!! 分かった、なら当面私が帰ってこないことは直ぐに体育のナタリー先生や、祈里の心配の連絡から周囲が調査され、ここも分かるはずだ! ふふふ~ルンピーとやら、首を洗って待っているのは貴様の方だぞ!! 言っとくが、私は体に変身段階中こと、ホワイトホール現象で、武器や変身道具、緊急使用の一部外部の物は取り出せるのだぞ…こ、怖くなんか…」
「…ここでの外界より遅い時間の流れも、私は支配していると言える」
「…はい!?」
(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…ザッザッザッザッザッ…)
(パラパラパラパラパラ…)
「こちら魔法召喚兵アルファチーム! 薪島魔法特殊傭兵総勢10人で、ミナこ様の居るとされる赤い半透明のドーム周囲を囲んだ。尚、公園ドームの外では謎の東洋的な香辛料の匂いがする!!」
「了解した。ミナこ様とは連絡も居場所のGPSもつかないが、突如発生したここであるのは間違いない。
尚、作戦が長引けば、薪島社長の判断により『戦略魔法』を使うこともある。これは非常に危険であるため、そのやむを得ない事態になる前に、全力で突き破り、安全にミナこ様を救出せよ」
夕方6時半。ミナこが帰ってこないことは、直ぐに体育のナタリーから薪島へ連絡が入り、周囲の調査で、側の公園にある見慣れない赤いドームへ可能性を断言し、即座に周辺住民を避難させて救出作戦を決行。
薪島重工の私設召喚兵『MAGI』は総勢10名。迷彩柄のローブを着てタクミステッキを超火力・バルディッシュ型に巨大化して装備する大柄の男達が切り込み隊長団となって、その背後にはいつものガード達が身構え、ピンク色の装甲車やヘリを空中に飛ばしながら、公園全体を包む赤いドームを取り囲んでいた。
私設薪島重工・特殊部隊のMAGIは、普段ファンシーさで人々に平和と安心と安らぎを与える前提としている薪島の会社姿勢から一転して、今回の様なミナこが特殊な環境でのピンチの際専用の特殊部隊として駆けつける集団で、彼らは逆に薪島の強靭さをアピールするために世界中のプロ傭兵を雇って、召喚として駆けつけているのだ。
その中の一人が突如現れたドームを肉眼で確認すると、通信で本部に連絡する。
「薪島の社長さんに言ってやってくれ、こいつを今の現代科学で形成するにはこの住宅街の中、不可能に等しいとな。埋まっていた遺跡の表面化か噂のオーパーツか…」
「こちら薪島本部通信班。MAGIの召喚傭兵リーダーAよ。君達は力で調べてくれればいい。オーパーツの様な不特定の力の噂は、くれぐれも社長の耳に入らぬように」
「承知した…(ピッ)娘ラブで魔法要素は全て薪島の物と考える社長には、本気になられて小型核でも地盤爆破でもやらされたら、溜まったもんじゃねえしな…。MAGIアルファチーム!! 一斉に大型タクミの魔法超ソニック振動で表面を突き破れ!!!」
MAGIの派遣は、その日メキシコにいる薪島社長が、即座に現場報告から判断し出動要請。主に社長の発動権があるMAGIはかつての薪島重工が染まっていた、兵器産業時代の面影を色濃く残す。それ故に強硬的な生々しさが強い薪島の一種の闇である。
「くっ!! 私としたことがあっ!! こんな事を知っていれば、今日のような『薪島重工プレゼンツ・麻薬を無抵抗なお菓子に魔法転換研究会議』になぞ、参加することは無かったというのに!!!
ミナこの安否のためなら、例え社内改革以前の戦争助長的傾向でも構わない! 更に相手の正体は赤い謎成分のドーム以外は不明ときた!! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおミナこおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
「社長、今回のMAGI出動要請は前回のインド人のシン・テロリストと違い、即座なる出動ではありますが、どうしてこの様な差がありますのでしょうか」
秘書の問いかけに返事をする社長。
「…あれは状況からしても我々の勝ちが見えた。だが今回は謎の検証不明の存在にミナこが閉じ込められている! この薪島重工、現段階でここまで解読と撃破不可能なことは初めてだ…。ミナこもだが、赤いドーム解析破壊も急がないと、これが真の魔法として、世間に認知され我々の立場が!!!」
「…これは我々が警戒する、オーパーツの1種を敵が使用しているというのでしょうか、社長…」
「宇宙人の高度文明だとしても我々には機器以外の何物でもないのだ!! 薪島の存在意義は、ミナこと魔法に薪島120年の科学の歴史が世界を制する物であり続けなければならない! 世界支配は悪のようだが資本主義に間違いはない!! それをあのミナこの真の母、愛してしまった『イルマ』のようなイレギュラーがあっては…あっては!!」
一方でドームは、赤い半透明なので中の人影が外でも伺えるが、そのドーム表面はビルに使われる厚みある透明素材でも使っているかのような硬さと、触れると触感がないが反発される空間であることは確かで、試しにガード達がレーザーを放ってもそれは削れるどころか、発射した光線の威力が吸収され消えている事や、サーモグラフィでは表面が平均的な空気温度しか確認できないため、中のミナこなどの真相が分からないことが確認されると、いよいよ特殊部隊MAGIが大斧タクミステッキで表面粉砕を図る。
「チェストおおおおおおおおおお!!!!!!」
(ピキュウウウウウウウウイイイイイイイイイイイイイインンンンンン!!!!!!)
バルディッシュ型のタクミステッキは10人に一斉に斬りつけられたが反発する音一つすら感じさせない。
(じじじじじ…)
「…なんだ!? この赤い壁、突き破れないどころか丸で、結界の様にこちらの力への反作用がタクミにも、ドームを表面にも全く無いまま、刃を通そうとしないだと!?」
「アルファチームBだ。これは丸で真空でも切りつけようとしているかの様な結果だ…」
「アルファチームF。これは現代科学魔法でどうおとしまえがつくって言うんだ…」
「…まて皆! Aだ。今中を凝視したんだが見える、見えるぞ!? 中には…!?」
「どうしたアルファA。ミナこ様のお姿なら早く!!」
「…ミナこ様は…こちらから見て12時の方向に座っている。顔はややうつむいて見えない…。それも見つめている先には、何やら正体不明の少女か!?…」
一方で、ミナこの周りからの心配をよそに、祈里はルンピーに任せていて、夕飯の支度のためによそよそしく学校からの帰りしなにスーパーに寄っていたが、学校周辺が騒がしいことは既に承知しているため、周囲の客が『薪島ミナこ様が行方不明に!?』『どうやら、近くの公園らしく、敵産業スパイの最新の技術で捕まったらしいぞ!?』という話には、関心を示さないふりをしていた。
「…もう心洗われたのかな? あいつ…。ドームを張って、ミナこの前に出てきたルンピー、薄っすらとだけ、ドーム外からでも見えたけど、本当に神々しい卓越した顔はこの世の全てを知ったかの様な…。もしあれに、悟りの境地にミナこが完全に触れたら…? 今までの行いを…薪島重工の影の被害を…そしてもしかして魔法少女も全てを報いてしまったら…」
そう考えていた時、祈里に走馬灯の如くミナことの思い出が蘇ってくる。
中学1年生、学費免除と安定の為に入学したら、逆に一番安定できない友達が教室の机の前に来てしまった祈里。
ミナこの学校での魔法少女パフォーマンスは、最初こそ特撮ヒーローショーや大掛かりな演劇の仕掛け、マジックショーの様な、分かりやすい振る舞いだったが、次第にエスカレートして行くのだ。
「アンタが後ろの席の早乙女祈里って子!? さっきの魔法少女登場シーンで貴方だけ笑顔で溢れなかったわね。どうしてか、お姉さん怒らないから話してみ?」
「…祈里君とやら、その謙虚ながらも、内心は自我を貫き通そうとする姿勢、気に入った!! 祈里は今日から私の堂々たる親友として、存分に魔法少女ミナこと戯れる日々を過ごすがいい!!」
「なるほど、魔法少女たるもの、人々を私肉体一人が助けるだけでは、真に魔法で平和にしているとは言わんのだ…!! これからは違う!! 私の起こした人類史上例のない魔法によって、それが人々の暮らしの中に役に立ってこそ、答えになると言えるのだということを!!!」
特に大きく変わったのは、1年生の中間期。
祈里のミナこへの遠慮しない疑似正義に対する突っ込み(魔法少女そのものは批判しない。すると粛清のため)のお蔭で、ミナこは自己満足で魔法少女をするのではなく、そのための培った薪島重工との開発した新技術を秘伝にせずに世間へ販売普及する産業にすることで、平和と発展した未来も叶えられるとして、ミナこは本格的に現在のデンジャラスな魔法少女へと、進化を遂げてしまう。
「ジェットパックではない、翼だ。愚かな夢のない人間にはきっと私の背中の羽が部品にしか見えんのだろう…」
「空を箒で飛ぶのに、上のヘリコプターが目立つだとお!? 私と一緒に箒に乗れば、気にすることはないぞ! プロペラの吸引には気を…」
「いやあ~この間のフィラデルフィア時空転移による変身披露は威力がでかすぎて、今日体育館の屋根にプラネタリウムで補強されたぐらいだよねー。次はどこで変身披露しようかなーとね…」
そんなミナこがもう見られなくなる…。祈里や薪島を恨む不特定者にとってはありがたい話ではあるが、それは所謂進歩を留めてしまう。そう考え改めた祈里は更に、ルンピーに公園での作戦直後に言われた言葉を思い出す。
「ミナこの情報をありがとウね! その情報を聞いた限りだとホワイトホール変身とやらは未知数アルが、ドーム内ではミナこは外部に電波を利用した連絡も出来ず、己自身と向かい合うしか無い…。更にドームは外部に見つかるだろうけど、それも現代科学では、この魔法で培われた結界とは相反して破ることは不可能ネ。
どう、ここまで揃っているよ。これはミナこが絶望し、己自身と向き合い無の境地となって、体の邪悪なる欲望と過去と記憶を洗い流せる…」
「え…!? 記憶までって…ミナこはドームの中でどうなるっていうの!?」
「一つ言い忘れていた。私のカルマドーム内部では、私の感覚で時の流れの意識も変化できるよ。3分が30時間、1時間が1週間、1日が…」
「も、もはや拘束拷問じゃない!! ルンピーちゃんそれは流石に…いや、でも座禅するんだし、私も似た悟り経験あるけど、確かに危害を加えずとも、内面から悪を消しされる…」
「更に私は途方も無いに限りなく近い強弱も可能ヨ。ミナこの抵抗がひどい時はそれこそ、気が遠くなるような時の感覚をヤツに…これは無抵抗主義故の作戦ね、仕方ない故の反復的な力として…」
「…分かった。もうそろそろミナこをおびき寄せるから待機しててね。こ、攻撃的な戦法じゃないんだから…」
「いいえ、改めて考えたらやっぱりひどすぎるわ! ルンピーちゃんの言っていた法魔少女…。法の魔法…!? やっぱりその存在達は、自分を正当化するために活動しているってこと!? ミナこも大概だけど、法魔は魔法で支配を企む私にとっても敵じゃないの!!」
そう祈里がやはり戻ろうかと考えていたその時、スーパーの店内放送でニュース音声が流た。
【次のニュースです。我が薪母市の名誉市長であり、薪島重工の社長であり、茶ノヶ崎中学の名誉会長であり、そして薪島ミナこの父である薪島奨一様が、ミナこ様が茶ノヶ崎東の公園に何者かの力で隔離されている事件を知って、メキシコで主催される予定であった『薪島重工プレゼンツ・麻薬を無抵抗なお菓子に魔法転換研究会議』を事件が発覚した、メキシコ時間開始時16時間前に会議を開催も含め、全面キャンセルしました。
帰国の準備を行っていることで、会場のメキシコを中心とした各国の政治家から強い批判を受けております…】
そんな帰国の準備をしている薪島重工メキシコ支部にて留まっていたミナこ父はメキシコで明け方、テレビ電話で事前に繋がっていたキャンセル会議参加予定だった各国政治家達から罵声を受けながら支度をしている。
「薪島君! お気持ちは察するが、今回の会議は代理人を立てる事もなく、そのものを中止とはやる気はあるのかね!!」
「ニュースによると、現場周辺では報道規制が厳しいというマスコミの苦情に、ミナこさんとは連絡も取れず、更には現場には謎の赤い半球のドームがあると言うではないか。どうゆうことだ、薪島でも迅速に特定できない異常事態とは」
「薪島社長、お認めになっても良いのではないでしょうか? あのような普通ではありえないドームの発生、通じない魔法科学、連絡がつかないミナこ様という三重苦は、もはや貴方様が裏で否定し続けていると噂の絶えない、本来の魔法や人類の未知数の存在によるオカルト的なものとの判定とも…そういった立場からの…」
「ドン・メキシコ幹部、メキシコはUFOやUMAが多いとは聞くが、未だに確定的な捕獲は無いではないか! バカにするのはよしたまえ! 薪島重工は今後また必ず麻薬の自動お菓子化計画を進行し、皆様に平和をもたらすと約束します!! では失礼!!!」
(maxixima-syouichi がログアウトしました)
ミナこ父は黙って話を聞くと、一方的な中止による謝罪のみを申し立てて、テレビ電話での救急連絡をログアウトし、メキシコ支部の専用部屋からカラカラに晴れた外の薄明るいバルコニーに出ると、ミナことの写真が入ったロケットペンダントを見つめながら、冷静さを保とうとしている。
「あのミナこが連絡もしない…まさか反抗期が来て、ドームも独自に研究し形成した自演で、私から逃れようとしているのか!? いやまて、そのようなはずはない。少し前に思春期についての話題をした時、ミナこはそれを『私は永久の幼女たりし14歳の魔法少女!! そんな日々感謝している人間関係に独立心を当てつけるなんて、その手前だから生理的にあり得ないわパパ!!』と言っていたはずだ…ならできることはひとつ、ドームで何が起こっているかは知らんが『ミナこの送れる体に対して、誠意の魔法を用意する』他に今できる手段はないっっっっっっっ!!!!!
近くにいる薪島の者よ、転送装置を用意し、今から言うメキシコ支部にある『戦略魔法』を用意せよ!!!!!」
「(やっぱりミナこは魔法少女でいて欲しい!!! 夢が達成して終わるんじゃなくて、こんなサンタクロースからプレゼントを貰わなくなるような醒めた終わりなんて!!! ミナこの魔法少女に憧れる夢の到達点がなんなのかは知らないけど、それでもいい!! だって貴方が自称でも魔法少女でないと、私が魔法少女になってしまうから!!!)」
一方で決心がついた祈里は、スーパーの商品を全て棚に戻して店から飛び出し、更にミナこに目覚めてもらう本気のために、あのミナこが嫉妬していた巫女服を家に帰って着替え、すぐさま茶ノヶ崎中学東、あのミナことルンピーの公園へ向かったが、当然周囲は薪島の関係者による警戒が蔓延っていた。
そこで祈里はまず、警戒されている茶ノヶ崎東の検問から見えない程の距離を取った後、鳴の物を両耳に付けて、周囲の音からミナことルンピーの声を探りだした。
「(電子機器がダメでも、同じ魔法の道具系ならなんとか…!?)」
(キイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッッッッッッッ…)
「(翌朝新聞の者です! 薪島ミナこさんが中におられるという証拠も無いのに、何故断言出来るのでしょうか!?…)」
「(この赤いドームの壁面は物質ではなく空間でしょう、例えるなら、強風の風ですが外部に漏れないようなそんな…しかしどうやってこんな方法を…)」
「(さっきからミナこ様が動かない!! 連絡も取れないまま、地面に座って謎の少女と見つめあっている構図…死んでいるとも、なんとかする為に翻弄としているとも思えん…)」
「(…真理)」
「!? 今の声こそ!!」
祈里にミナことルンピーのいる空間内部の声が耳に入った。成功であるが、その内容は変わり果てた物であった。
「(私が薪島ミナことして生まれ、そして物覚えついた頃に魔法使いミーシャを見たことで目覚め、そして薪島重工と父親を塗り替えるほどの力を成し遂げたことは、私の定められた悪霊からの欲望的な運命付けだと言うのか…)」
「(…そうだ、ミナこよ。表立った科学によって生かされて起きながら、魔法を名乗って人々を良質な経済も翻弄してしまった。これは夢というと輝かしいけれども、実際は自己中心的に欲望で動くケモノ・悪魔そのものだったのだ。
そしてミナこ、お前が薪島重工と揃って、動力亡き力はあり得ないと言うが。全てのこの世の存在の1こと真の始まりは科学的には何も分かっていないのだ。その最高級が命。
今は秩序を保って人間同士は平等なものだが、ホンの数百年以前はその命を中心とした解らなき定義達は皆、魔法として崇められてきたのだ。
ミナこ! これが本当の魔法だ!! 動力や理由が分からない前提だが信じる物事こそが魔法であり、お前のしてきたことは全て科学を装って人々を混乱させた、まやかしである!!!)」
「(ひっっっっっっっっ!!???)」
「ミナこ!!」
祈里は届かない声を上げてしまうが、更にルンピーは理由なき力こと、輪廻転生性をミナこに叩きつけた。ミナこはドーム内の時間の感覚を相当長く意識させているのか、目が虚ろで本来の意識が何処かへ飛んで代わりのルンピーの意識が入り込んで居る様だった。
「(分かっただろう…。それらは私にも分からない。だが、納得の行く確信は太古から存在するのだ。それこそが輪廻転生。円がずっと転がる様な、サイクルする世の中の関係なのだ。
…だから薪島の関係者もろとも、魔法を考え改めなさい。私ら法魔を信じて受け入れよ…)」
「(そ、そうだったのかあああああああああああああああ!!!!!!!)」
「(分からない事こそが真実なのだ!!!!!!)」
「(なら…)」
「もう我慢ならないわ!! 何処かからあのドームへ!!」
時間は既に午後の8時後半。ドームは薪島の照明器具で照らされるが、それでも周囲はかなり暗かった。
祈里のミナこに対する思いと、ルンピーの説法と言う名の実質スピリチュアル的な勧誘に対して、我慢がならなくなった祈里は、警戒されている公園周辺を周り歩いて、自分の魔法でこっそり何とか入れないか模索を始めた。
すると、公園の南側からなら他人の住居だが庭を辿ってドーム表面へ最短で迎えろ箇所を発見するが、肝心の入る方法をどうするか考えていたが、ここで祈里だからこその方法を思い付く。
「くっそう…警備もほぼいない場所だけど、たどり着いてからどうやって…。ノックしても多分入れてくれそうにない、ルンピーが満足して終わらないことには…。
そ、そうだわ! 私の重力魔法。私よりルンピーはきっと軽いはず…って考えたけど、そのものはすぐ気付かれて大変…んー、ひょっとして私みたいに、なんか呪具とか持ってたりして…」
祈里は早速南の住居の庭から侵入して、すぐにドーム目前にたどり着くが、ドーム表面周辺は流石に、薪島達が管理していた。その為ドーム内もよく見えず、困っていたが、ここで祈里は謎のドーム前を理由に重力を奮発する。
(ブワッっっっっ!!!!)
(ブシャシャシャシャシャ!!!!!)
「うわっっっ!!?? 砂埃がドーム周辺を舞い散っている!!???」
「一旦下がれ!! ドームの特殊装置で毒ガスでも吐き出すかもしれんぞ!!!」
「ま、薪島が動力不明に惑わされるなぞ…しばらく退避せよっっっ!!!」
ドーム表面周辺を一旦薪島関係者達が退いたのをスキに、祈里は中を凝視すると、丁度ルンピーの真後ろの背中が伺えた。
更に驚いたのは、ルンピーの背中手前にはあのドームを形成する際にルンピーがかざしていた、左右にハートが付いた独鈷が支えが無いのに刺さらず直立していたのだった。
「(ふうっ、ミナこには、外の世界では3時間ほどの時だが、中では1週間の時間の流れ。ミナこも空の体内となった状態では、日々の俗欲なぞ…)」
(ふわっ、ススススススススススス……)
「(そーうそう、こっちよこっちよ独鈷ちゃん!! …んっ?ドームの壁が薄くなってない!? これだわ!! もしかすると独鈷をドーム壁から取り出せて、一瞬壁が…)」
祈里とドーム壁との距離は、住居柵を超え花壇を越えれば僅か20メートル。走れば数秒で辿り着き、薪島の関係者も祈里の地面砂を浮かした砂埃でうろたえて視線が退いているが、そこは法魔少女。独鈷がゆっくりドームの南側壁へあと1メートルもない時だった。
「(…?かーーーーーーーーーーーーーっ喝っっっっっっっっ!!!)」
「気付いた!!」
(ひゅっっすうっ…)
「独鈷が半分ドームを出た今あああああああああああああああっっっ!!!!!!!!!!!」
祈里は振り返った殺気ある顔のルンピーに怯えず、ドームから半分顔を出した独鈷の影響で半分独鈷の周辺ドームの一部壁が消えたのを瞬時に確認して走って行き、ドームの中へ飛び込んだ。
ドーム内の後ろに向かおうとしたルンピーとすれ違いで祈里が飛び込んだのと同時に、独鈷は化神ンマの巨大な手が出てルンピーの手へ戻り、ドームは元の穴のない形態に戻った。
「…独鈷を重力で放りださずに何故入った。ドームを解いたら私がンマを使って暴れ逃げるからか」
「私もあなたも世に出てはならない魔法持ちだからよ!! それよりミナこ!! ミナこおおおおおおおおおおおお!!!!! しっかりして!!!」
「…まあ独鈷を全部出そうとするほど留まっている瞬間なら、祈里は私のンマで引っ張る力に負けて外と中の中間に挟まれ、肉体分離だろう…そしてその独鈷は、私の化神の魔力強化呪具に過ぎない…次はこうはいかんぞ…」
「ひいっ…み、ミナこ!!! やっぱり目に正気が写らない!!! そんな…!?」
その時、ミナこの意識がはっきり戻ったのと同時に、急に笑顔も戻ってきた。
「あー!! 今丁度良いところだったのに!!!」
「はあっ!? 何よ急に!! 」
「なーんかそこのマニア向けっぽい民族系の幼女の話を聞きながら、私は段々、先週1週間分の視聴したアニメを回想した後、お馴染みの魔法使いミーシャの全24話を脳内再生推定20回はリターンしてたのよ。これぞオタク的な幽体離脱! 体あって、心妄想にあり!! ってね!!!」
「ああっっっ…よかったあああああああああああああああ!!!!! んじゃあ、あの子の効いていた話の返事は…」
「褐色の君、多分途中から、ああ、とか、うん、とか、はい、とかばっかじゃなかった?」
「な…ミナこ、違うとは言わんが…」
「君、どこのインド系かもしれん企業から、私を真似て産業スパイしろと言われたか知らんが、民族的な説法と開発した魔法を混ぜるなんて真似は人気なぞ出るもんか!! 葬式で別れの長い挨拶やお経を参加したけど縁が遠めの人間が真面目に聞き辛いのと同じだバカものおおおおおおおお!!!」
「良かった…!! やっぱり何時ものミナこだああああっっっ!!!」
ミナこと祈里が寄り添っている中、ルンピーは冷静に二人を見つめ、そして背後にはドームの壁からンマの大きな炎の仁王顔が浮かんでいる。
「…祈里もまとめて説法しないといけないようだ…。お前が立場上一番卑怯なのは分かっているだろうが」
「み、ミナこ!! あの子はウチの神社の関係で最近、噂されていた伝統的なスピリチュアルと最新科学を混ぜたポストミナこと言われていたの!! だから騙されないで!!!」
「知らなかったが、がってんだ!!! 君、出る為に戦うんで、正当防衛してもいいんだぜ? 変身するわっ!!!!! み、はみんなのミ! な、は仲良くのナ!! こ、はコロッセオな決闘のこおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
(しゅわあああああああああああああああ!!!!!!!!!!)
変身したミナこはお馴染みのごってりした武装で降臨し、祈里をホッとさせた。
「来たあああああああ!!! やっぱりミナこは魔法使えない少女でなくっちゃ!!!」
「なんだ祈里!? 使えないとはなんだ!!??」
「な、なんでもないよっっ!! 早く何とかして、ここを脱出しよう! そこの外国の産業スパイっぽい女の子ちゃん、悪いけど、ここから私達を出して欲しいの。私達は例え伝統が数多く失われた現代でも、確実性のある未来の為に、心の中の魔法から未来を作り出しているのだから…!!」
「…いいだろう。あがくと化神が反発するだけと!!!!!!!…」
ミナこと祈里はここで始めて敵に対しての強力なタッグとなった。
ただしミナこは祈里の魔法を知らずに自分で全て補おうと考えており、祈里はミナこを騙した姿勢かつルンピーに自分と裏歴史の真の魔法をミナこに明かして植え付けるか分からない。
そんなまやかしとミナこの馬鹿正直がひしめき合う公園を覆うドームの中で、大きな決戦が始まった。
Bパート・ミナこと祈里、科学と魔法の融合こそが最終真理!!!!!!
「で、抵抗すると攻撃するならまず聞きたい、民族的幼女よ。名前と所属している国、組織、資本でも教えて頂こうか」
「…私はルンピー・二ティア。インドで神の宿りし肉体を持つインド系魔法少女。所属は世界的に魔法の普及と報復を執行する『法魔少女』のナンバー2。世界的に見て数少ない本当の魔法を持つ者達『裏歴史』の存在…と言っても、どうせお前は…」
「んぎゃははははは!! なーんだよ法魔って!! 魔法の字を逆さまにしただけとか、ちょー安易っすね!! んでもって裏歴史ってのもなんだか丸で、世界史の授業でちょっと気の利いた先生が教科書にない歴史項目を教える時の様な名称!!! 実におかしい!!! どこかの魔法少女のヒネった創作で名称に困っている人が、苦肉の策で名付けたかの様で!!!…」
「み、ミナこ!! 笑ってる場合じゃないでしょ!! 相手は神の能力と名乗れるほどの力の持ち主でしょ!? あのルンピーにって子に物凄い歴史民族的な背景を感じないの!? このドームの形成、ンマとか名乗っている炎の神!! こんなの現代科学じゃ不可能よ!!!」
そう言っているミナこと祈里の背後ドームの壁から、ンマの大きな炎の顔がゆっくり現れ、ミナこの皮膚に急速な甘い蜜の汗がドロドロした垂れたことで、ミナこは一転してシリアスな様子になる。
(グルるるる…)
「…ったくあっちいなー君のハリウッド特撮技術から取って来たかの様な炎操縦は!! そして私もカリカリのべっこう飴にならないウチに、君への粛清手段を提示しよう」
「ミナこ! 何か策があるの!?」
「…ねえな」
「おいいいいいいいいいいいっっっっっっっ!!???」
ミナこがせっかく変身しても、問題は山積みであった。
まずいつもお馴染みの強力なバックサポートの敷島関係者達がこのドーム内に存在せず、しかも連絡通信も取れないが、ミナこの変身段階のホワイトホールによる受信のみは可能。
次に、ミナこの受け取る薪島の転送装置側には、炎に対抗出来そうな武装や資材が特にないということだった。
「えーっ!? 転送装置側に、炎を抑えられそうな液体成分を入れた覚えがないって!?」
「んでもって、転送装置に何を詰めて保管しているのか。薪島の各部署に1つビルの給水塔1つ分あって色々と試作した魔法科学をぶち込んでいるのだが、プリほも取り出す部署を選択出来るだけで、魔法少女の基本変身装備以外、何があるかはパンドラの箱なのだよ…」
「そんな!! 送る行為は何一つ無理って事なの!? どうすれば…」
そうして慌てている二人をルンピーは無表情な顔付きで見つめている。丸で悟りを開いて改心しない限りは出してやらないと言わんばかりの表情である。
「…ミナこ、やっぱりここは正直に説法と座禅をした方が出してもらえるかな…」
「何言ってんのバカもの!! あいつは説法と言っておきながら、実際は私の魔法少女をやめろと言っておるのだ!! この生きる姿勢を夢を否定されて何が残る!! 私と薪島重工とパパが築き上げた…」
「いいから座りなさい。夢は時として罪にも毒にもなると言うことを…!!」
そのルンピーの一言を聞いて、ミナこは怒りを爆発した。
「聞き捨てならん!!!!! 喰らえ!!!『スウィート&スウェットINボム』!!!!!」
(ぶわあああああああっっっっっっっっっ!!!!! バチバチバチ!!!)
ミナこの振り上げた右腕から、物凄いスピードで砂糖粒がルンピーに向かって飛んで行き、その光景は相撲取りが塩を蒔く時と似た様なポーズと飛距離だが、ルンピーにぶつかると粒は小さくもバチバチ爆発した。一瞬ひるむルンピー。
「…!?」
「うわっ!? ミナこそれってあのスウィート&スウェットが武器にもなったの!? すごいけど、ポーズは変えた方がいいんじゃないかな…相撲取りみたいで…」
「おうよ!! 変身した時には服の繊維の摩擦で電気が追加されて、攻撃にもなるのだ!!!」
(ぐるるるるるる…)
「あっ!? ミナこ後ろから化神が!!!!!」
(グギャワアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!! ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!)
ンマの火炎放射が二人を襲ってくる。
「承知よ!! んでもって、この変身後の進化した私の汗と分泌物の砂糖粒が…!!!」
すると、ミナこが大きく両手を広げた途端、左右に砂糖粒が大量に飛び出したかとおもうと、それらは放たれて来た火炎をすべて受け止め、炎と混ざってアメ状のそびえる壁となった。
だが、ンマはこのドーム全体が本体である。
(ゴオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーッッッッッッッッッ!!!!!)
「きゃああああああああ!!!」
「何後ろからだと!!???」
(ばさっ!!)
とっさに、再びスウィート&スウェットを両手で振りまくが分散されて飛んで来る炎には乱れて当たってしまい、一部炎がミナこへかすめ飛んで来た。
「(ミナこ危ないっっっっっっっ!!!!!)」
(きいいいいいいいいいいいんんんんんんんん!!!!! ぶわああああああああ!!!!)
その時、祈里がすかさずミナこの体を重力魔法で押し飛ばした事で、かすめ飛んで来た炎に当たらずに済んだ。その光景をルンピーは罠にかかって衰弱している獣を見つめる様な冷静さで見つめていた。
飛ばされ倒れているミナこ。祈里が慌てて駆け寄ろうとすると、今度はあのルンピーが直々にミナこの頭を片手でツインテールの片側を掴んで、吊るし上げた。
「グフッッ!?…」
「!? ミナこ!! ルンピー! あなた無抵抗主義じゃなかったの!?」
「祈里、イタチごっこは終わりだ。もうこのミナこはしぶとくどうしようもないのなら、私が直々に魂を還す。生贄と…」
「いやあああ!!! 離しなさいよ!!! そこまで私は望まなかったじゃない!!!」
「望まな…?」
「ミナこよ、あの祈里は私と既に会っていて、自分が魔法少女であることを打ち明け、私と手を組んで、あなたを魔法少女じゃなくそうとしたのに、途中から都合良く裏切り返しを行った…!! どうだ、ここまで話せば分かっただろう。もはやお前に真の友情など…!!!」
「…祈里? 君はこの事を本当に…」
「…い、い、言われ…」
祈里は思わず固まって返事ができないでいた。もう全てを話されたことで、今まで培ってきたミナこへの魔法少女隠すことが、全て崩れ去ったからである。
しかし、これは自分の責任でもあった。正直に打ち上げずに騙し続けた挙句に、チャンスを見つけてミナこを魔法少女じゃ無くそうとまでしたのである。
「…分かったろうミナこ。君も今から正直な気持ちになって、体に蔓延る欲と悪を空にして新しい人生を歩むのだ!!!」
「…っだったのか」
「そうだ」
「お前は祈里が私の最大の知り合いであることを知った上で、そして自分は魔法少女になれないと、嫌っている傾向の祈里を脅し入れて私を誘導することまでして、私を追い詰めようとしたのだなああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「なっ!? ここまで力のある私を信じない!?」
「力ある私の弱き知り合いに忍び込んだ貴様を信じる理由なぞ、ないわあああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
(ぶんんっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!! どさっ!!!!!)
ミナこは力を入れ直して、ルンピーを背負い投げで投げ飛ばすと祈里の元へ駆け寄るが、すぐに祈里の後ろからンマの炎の顔が口を開いて襲いかかった。
(ゴギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!)
「こっちに来ないで!! ミナこおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
「出すもの吐き出してやるわ!!!!! 変身半解除!!! ありったけの魔法道具を!!!!!!!!!!!」
(ぴかあああああああああんんんんん!!!!! ぶわあああああああああああああ!!!!!)
するとミナこは変身を解除したかと思うと、光る自分のホワイトホール体から、大量の科学魔法道具を無造作に発射して、ンマの炎を分散させた。
放出された物は、大小様々な機械がゴミ捨て場の家電道具の如く飛び出して来たことで、それがドームの南側の壁に山となって積み上がり、ンマがそっち側だとバリケード状で出て来にくくなって好都合ともなった。
ミナこと祈里は早速、そのバリケードの山化した南側へ回る。
「祈里も、この魔法道具のバリケード化した所を背に!!」
(が・・・ガチャンガチャン!! ゴワアああああああああああ!!!!!)
「ミナこ!! た、助けてくれたんだ!!! わ、私ったら助けに来たはずなのに…」
「ああ全く!! 祈里も私みたいに魔法少女を目指せば、こんなとっさな産業スパイの時でもな!!!」
「そして私が魔法少女を嫌っているだなんて誤解よ、どうして…私そんなこと言ったことあった?」
「ほぼ毎日2年半近く会ってりゃ、友達の傾向なんてすぐ分かんだよ祈里。急いでるしすぐまとめてやる、祈里は普通でいたいんだろ、私とは違う平凡な人生を望んでいると見た。そう、私の魔法少女人生とは、今私ら2人の後ろを守っている魔法道具達のような山盛りの成功と失敗の成果さ…」
「こ…この沢山の山がミナこの結果…!(み、ミナこはもはや魔法少女に憧れる女の子じゃない、魔法少女であることが本能の生物なのよ…!!)」
そう二人が話している合間にルンピーが口をはさむ。
「私は目に見えない文化と歴史が万と積まれている。そろそろ正面から向かわせようか…」
「そして君には、ここに積まれた幾多る価値を知らないと見た…!」
そう言って大量に積まれた素人目には訳の分からない機器だが、ふとミナこはあることに気付いた。
「…パパ? この山の上から右奥の端にある、あの赤い球体にハザードマークは、まさかあれを用意して…!?」
ミナこが見上げた魔法道具の山の隅には、確かに大きさが直径1メートルはある赤いルンピーのドームとは違った鋼鉄で出来た赤い球体があった。
しかし大きく違うのは、何やら古めかしい金属造形で球体の左右二手には、L字型・逆L字型の2つのパイプがついていたことであり、表面のハザードマークの上には何やらメモが張ってある。
「あれこそが!!!…」
「!? 取らせはしない!!」
気付いたミナこはジェット噴射で飛んで、山の上にあるそれを取ろうとするが、同時にルンピーがンマの炎で出来た巨大な手を山とは逆側の壁から送り出した。
だがここは祈里の出番。すかさずさり気なく、重力魔法でミナこ側へ押し出したことで、容易に球体をミナこがキャッチ出来、残りの魔法道具は皆炎の直撃を食らって灰の塊となってしまう。
「ミナこ!! そ、その赤くて金属で、でっかい球体は…?」
「…これはアイオロスの球。しかも赤く塗りなおして危険を示すマークに手紙がついて…!? やっぱりパパが言っていた戦略魔法の試作だってえ!? それをここで…そうか、パパは本気で私を心配してる。そうじゃなきゃ、こんな危険な存在を…」
「ちょ!? 危険って何よミナこ!! これは何に使うっての?」
「祈里君!! まず私は吐き出した魔法道具にあった『ハニーコーティング剤』でルンピーを利用して更なる変身を遂げる、んでもって、私がいよいよやばくなったら、そいつをルンピーの炎へ投げ込むんだっっっ!!! そいつならこのドームを耐え切れなく…」
(ぶわっっ!!! キラキラベターーーーーーん!!! シュタッ!!!)
「あっ!? ちょっと行かないでよミナこ!!! 締めは私で、しかもここ破壊出来るほどって、どんなエネルギーなのよおおおおお!!!」
(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーー!!!!!)
(ボワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!! ぶわっっっっっっっっっ!!!!!)
ミナこはジェットで直にルンピーの目の前に向かい、持っているタクミステッキで傷つける気まんまんでブンブン振り回すと、ルンピーは華麗に回避しながら、ドーム周辺からは炎がトラップのように噴出されると、ミナこの体と背中のジェットに高温が混じって、シルエットに異変が始まった。
(ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ……パアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!)
「見ろルンピー!!! この炎に追い詰められた私の逆転劇的発送から生まれた『ジュエリー・ジュエキー』をおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
「ほ…炎を包み込んで、自分に身につけただと!? なんと輝かしい…」
「すごいすごいミナこ!! 相変わらずネーミングセンスが色々突っ込みたいところだけどこれなら…!!」
ジェットパックの翼は、本体各部に穴が空いて中の噴射が左右に大きく本当の翼の様にエネルギーが広がり、ミナこのコーティングされた全身も、高温でつららと西洋甲冑を合わせたような樹液風・アーマーの如く金と黄土色が綺麗に硬化し、その姿は普段のハリボテ感のあるミナことは違い、神々しい勇姿に流石のルンピーも驚いた。
(シュパッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!! どんっっっっっっっっっっ!!!)
早速その姿でミナこは高速突進してくると、ルンピーも直ぐに追い詰められ、炎をミナこに当てても全く効かないまま、ルンピーはミナこに魔法道具の山となった所へ、掴まれて追い詰められた。
「くううっっ…ふ、二人共、まさか私の肉体をこのまま滅して、ドームが消えると考え執行するつもりか…」
「…君は幼女だし、そんな非子供向けなマネはしない。でも、どれだけインドの人々に崇められたかしらんが、今の君の態度で祈里がついてくるとは思えんのだよ。本当は違うんだろ、俗な純粋さがあるんだろ? なあ祈里!!」
「そ、そういえばそうよ!! ルンピーちゃんは日本の魔法少女文化に憧れていた、意外な子だったのよ!! 確かに今は別人みたい!!」
「この私のジュエキーは熱が冷め、翼は燃料のオーバードライブが尽きると、いよいよ私らに残されたエネルギーはあのアイオロスしかない!! ルンピーとやら、あの仏陀だって、長年悟った結果が何もない、が結論だったのだ!! そう、ここで変わることを待ち続ける陰のエネルギーは何にもなりはしないっっっ!!!!!」
「我という神と魔法の真理に真っ向から歯向かう気か!!! どうなるか得意の科学でこのカルマの中で予想もせずに!!!」
「なら…私がカルマを打ち破るまでよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
ミナこの決意が右腕のスウィート&スウェットからジュエキーで再構築され、更に固まった拳に力を込められると、それは追い詰められたルンピーへ振りかざそうとした時、ミナこの背後に化神の炎が押し迫ったことを知ると、祈里を呼び出した。
「誘いに乗ってる!! 今だ祈里!! 投げよ!!!」
「ど、どどどどどどうやってえ!? 中身何なのよおおおおおおおおおおお!!!????」
「普通に炎へ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! そしてそれは…」
「え、えいやーーーーーいっっっっっっっ!!!」
(ぶわっっっっ…ゴオっ…)
祈里がへっぴり腰ながらも飛んでいった金属の鉄球であるアイオロスだが、ンマの高温に当たった瞬間にそれは起こった。
(ぶわっ…シュパパパパパパパパパッパパパッパパパパパッパーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!)
(ぐっ…ぐぎゅわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!! ずおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーー)
あの炎に包まれたンマの化神が、アイオロスの球体の急速回転と同時にL字型の左右ホース先の穴へ炎が吸い取られていく。
更にそれはドームの壁周辺の熱をも巻き込んでいき、辺り一面が急激に温度と明るさが下がっていくのと同時に、ルンピーにも異変が起こり始めた。
「うううっ……さ、寒い…寒気…アル…」
そして火炎を吸い取り切ったアイオロスは回転をやめ、金属面が内部の熱で熱々に光っていた。
「はっ!? ミナこ!! ルンピーが寒さにこらえたのと同時に、一瞬純粋さが語尾に!!」
「この暗さも…さてはこのルンピーめ!! こいつは温度やそれによる蜃気楼で人々を惑わせていたとも見受けられるっ!!!」
「そんな程度でここまで空間を現代でも維持できるわけないでしょミナこ!! それでも壁が変わらない…これからどうやってここを!!」
「祈里、もう怒らないから聞くんだ!! 我が父は私が何らかの空間にいることに気付いた。そしてそこに火炎を吸い取って、アツアツの吸炎したアイオロスがあるそいつなんだが、実は薪島の提供だが薪島ではない、我々がやむを得ず戦略魔法と呼んでいるオーパーツなのだ」
「…急にさぶっ!? ミナこそれって、あたしに預けたあの金色のペンダントも…」
「…それも含める。祈里が知らず知らずにあのルンピーと関わって、私を追い詰めてしまっていたのなら、こちらも一部正直に話そう。
薪島の財産にはな、動力源が不明なオーパーツがいくつか研究対象で存在しているのだ。正直危険で謎が多く、古めかしくて、そんなアンノウンな存在が嫌で仕方ないが仕方ない!!
そしてあのアイオロスは一般に知られる世界初の蒸気機関はない謎の元祖。私の翼の様な火を得ると回転して、一定の範囲の環境の強い熱源を吸い取って、それを溜めておく力を秘めた謎の球体なのだ…。恐らくパパは私が最低限、人間が過ごせる環境にはいて、そこで周辺の気温を下げれば、せめて有利に動けると見たのだろう」
「でもアンタも凍えて…ハッ!!」
「私のスイーツな身体で、血糖値は糖尿病患者の5倍なのだ! ホカホカであろう!!」
「はーあ…。人間ヒーターね…スキー合宿ではよろしくって…ちょっとあれ!!」
「うわっ!? アイオロスが私よりもっとホカホカに!?」
二人が振り返った先には、必死になったルンピーがアイオロスを抱え、そのアイオロスは輝きを増すどころか、今にも中のンマの熱で溶け出し、内部爆発による放出がされそうな瞬間であった。
(シュワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!)
「みいいいいいなああああああきょおおおおおお!!! 貴様あ!!!!! 貴様のようなあ、科学のガキが何故この様な、我々が本来所持し得し宝物を!!!!! 図ったなああああああ!!! だが、私は神だ!! 太陽でなければならない!!!!! この金属に溜まった怒りの灼熱が爆発すれば、ドームの跡には燃え盛る『マハーバーラタのインドラの矢(古代核戦争)』のように!!!!!!!!!!!!!!!! (させないで!)』
(グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッゴオゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!)
「はっ!? ミナこ!! 最後の声!!!」
「祈里!!! あいつ自爆する気か!? なら私は『自分の身から出せる最大級の魔法』で跳ね返す!!! んむむむむむむむむーーーーーーーーっっっっっ!!! ひゃっっっっはあああああああああああああああっっっっっ!!!!!!!」
(ぶわああああああああああああああああああああああああああああああああんん!!!)
ミナこの周りから、凄まじい甘ったるい蒸気と共に、おびただしい数の砂糖粒がルンピーのいるドームの北側へ包み込み始めた。その光景は丸で、小麦粉工場で小麦粉を一斉にばら撒いたかの様である。
そして祈里がミナこを振り返ると、あのミナこがげっそりと水分、特に糖分が抜けて無理なダイエット後の様にガリガリ気味に弱っており、意識もややもうろうとしていた。
「ミナこちょっと何!? あ、あんなアンタの体外排出全開だけで何になるって言うの!! 真面目にやってよお!!!」
するとミナこは小声で祈里に返答する。
「はあっはあっ…。あれへこっちから先なる着火を灯せば…粒が一斉に核分裂し、超絶必殺『ダイヤモンド☆ダスター』にィ!!!」
「ふ、粉塵爆発ううう!!!?? る、ルンピーちゃん諸共消すつもりなの!!???」
「…こ、このまま一生いっしょに見てくれか?」
「信じてくれや!!! あの子は悪くない…絶対に! 始めて会った時と最後の今の声!!! 何とか…」
「…灯す」
「もおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! 聞いてよおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
泣き出す祈里に、無意識に着火を放とうと、ポケットから一枚の女児向け用のおもちゃコインを、マッチがわりにコイントス風にルンピー側へ構えるミナこ。
数メートル先で見ていたルンピーも必死で回復する為、二人の様子がつかめないままで居る中、ドームのカルマの運命が決まろうとしていた。
「やめろバカか! てェっ…手先放つ親指がブレるんだよ祈里!! 見ろ! ルンピーの周りが先に発火したら火に油!! こっちがボケで終わるだろうがあああ!!!」
「敵を倒してもその後が気にされないのは、それこそマンガとアニメだけ!!! あんまり過ぎるよ!!!」
「なら祈里!! 何の能力もないお前にルンピーを止めながら、ここを脱出する方法でも出来るのか!!! 足手まといが!!!」
祈里はハッとする。一方でルンピーの周辺の温度は急上昇しており、アイオロスもいよいよ表面がンマの熱で溶け始め、爆発寸前に迫っている。
その窮地が迫る中で、祈里はある重い決断をミナこに打ち明ける。
「…ミナこ、私、実は魔法使えるのよ」
「…片腹痛い!! 祈里、今更何のつもりだ!! 遺言にしては少々私に向け過ぎた、おちゃらけ傾向すぎるぞ…」
「何かは教えない。どうせ目にも見えない。…でも今からあなたに協力しながら、ルンピーも救ってみせる…」
「見えぬ力なぞ嘘と同様! やあっっっ…やれるもんなら…」
「信じようと…信じまいとよ…」
「みいいいいいいいいいいいいいいいいなああああああああああああああきょおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
(グツグツグツグツグツ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!)
「(重力は地味で眼に見えないけど・・・)」
「やってみろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
「やってみるうううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!」
「魔法超絶必殺!!!『ダイヤモンド☆ダスター』アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(ピインッッッッ…)
ミナこの親指を上にした縦型の握りこぶし親指から、勢い良くコインが前方ルンピーに目掛けて弾き飛ぶ。
コインは山なりの軌道で球速にすれば、凡そ130キロメートル。
コインがルンピー手前の地面に向けて、摩擦と内蔵成分の塩素酸カリウムと共に小さな火が付いた。
だが気付いたルンピーが、自ら手で払い除けようと走る向かう。
そして祈里はこの光景をスローモーションのように感じ取っており、すかさずミナこに信じようと信じまいと、右腕を無言で天へ振り上げ、その魔法を披露する。
「(コインと粉塵だけなら重さは大してない…それらを上に上げればドームだけを…重力魔法…『富貴浮雲 』!!!!!」
(すうっ…)
(バチッ…)
ミナこが投げたコインが発火する一瞬の寸前、ルンピーの周辺の粉瘤は一斉に天井へ上昇。
そしてコインも地面すれすれで、天井に向かい急上昇し、上へ固まり上がった気流と合流。
怒れるルンピーとンマの爆発よりも先の真上でそれは起こった。
「(魔法少女とは、自ら魔法を証明し、人々に希望と与え、絶望を粉砕する、自らの究極の少女の正義像である!!)」
「(魔法少女とは、私にとって下らない幻想。幼稚でカッコ悪い…けど!! ホントは羨ましい!! 己を貫く女の子の姿勢はとたんにかっこ良くなるもの!!!!!)」
…
(ゴゴゴゴゴゴゴゴオゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
この爆発轟音直後の5分間は、夜中の午前であるにも拘らず、薪母市の特に茶ノヶ崎周辺は日中のような明るさを打ち放った。
「ドーム最前線から通信! ドーム最前線から通信!! ドームの天井から轟音と共に爆発が発生!!! 繰り返す!!! ドー…おおっ!? ど、ドームの存在が消えて無くなりました!!! 消えて無くなりましたああああああああああああああああああ!!!!!!!」
「ミナこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
薪島関係者の最前線での連絡と、それを即座に聞いた社長の叫びが起こった。
メキシコ支部の関係者が一斉に、これから広い自社空港の小型ジェットに乗って出ようとする社長へ振り返った。
「…爆発がオチにしては、ミナこ…いくらお前でも最前線の連絡映像ほどの勢いをどうやって…!? はっ、やはりオーパーツの影響か!? オーパーツと科学魔法の融合変幻か!? …また頼ることになってしまったよ…。ミナこの生存を確認せよ。救出班以外の皆は通常作業に戻って欲しいが、…もしもの時の為に祈りを捧げる準備は頭に残して欲しい…」
「社長…」
「秘書よ、いつかはこういった窮地に立たされる事態をミナこといっしょに予測はしていた。そして…私と遺言を交換したことも…」
「社長おおおおおおおお!!!」
ドームが消え去った後の公園の空間は、ドーム内になっていた個所だけ濃く焦げ目が残っており、そこに向かって多数の薪島私兵団が舞い込んで救助に当たった。尚、ドームがあった場所の上空には大きな煙が天まで立ち上っており、爆弾でも落とされたかのような光景であった。
そこには3人の少女達が仰向けになって倒れている。絶望しか伺えない。
だが、意外にもドーム内部跡は砂埃と灰ばかりと熱風ばかりが舞っており、何故か大きな損害は既に黒こげになった魔法道具の山達以外に感じられない。
そして、ミナこと祈里は発見された。確認時間は午前3時後半。朝焼けがわずかに見える。
その光景は仰向けの祈里の上に、ミナこが更に上へ覆いかぶさって、倒れている光景であった。
二人は薪島の私兵団に揺さぶられて目を覚ました。
「ミナこ様!! 助けに来られた祈里様!! …しっかりして下さい!!!」
「…あ、明るい…ドームの赤暗い中よりもずっと!! …おっ!! 無力な祈里は無事か!? 無事なんだな!?」
「うっ…うん…? ここは…ってうわっ!? ミナこがあたしをっ!!???」
「百合じゃねーよ馬鹿者が!! 百合で喜ぶのはW組の山下…」
下で防がれて倒れた祈里はほとんど汚れ傷がなく、正面のミナこの戦いでの汚れや糖分分泌のベタベタ感以外は皆無だった。
だが、完全に免れたわけではなく、ミナこの祈里へ覆いかぶさったことで上を向いた背中には激しい損傷が伺え、ジェットは爆風に連鎖爆発したのかとても飛べるとは思えない損傷、更にミナこの素肌が露出している肘膝辺りは白いやピンクのクリームが、幾つも張り付いている。
いや、これは張り付いているのではなく、中から飛び出しているのだ。
つまり傷。これは並大抵の人間では、おびただしくグロテスクな光景になり、とても子供に見せられないだろう。祈里は気づかないが、背中が見えた薪島関係者は驚きを隠せなかった。
「い…痛々しいがミナこ様がご無事だぞおおおおお!!!」
「ミナこ様がクリーム素体で傷が出ても、止血作用にもなるのは本当だったんだな…。すぐに社長へご連絡を!!!」
「ってハッ!? ミナこ! ルンピーは!? ちゃんと避け…!?」
するとドームだった箇所の北側から、騒ぎが聞こえた。
「貴様か!! 我が薪島ミナこを追い詰めし産業スパイは!!」
「わ、悪かったアルう!! で、でもあたしは、ンマの化身に乗っ取られてつい、危害まで発動してえ…」
「子供たりとて、この間のシン犯罪者の様に未知の可能性が高い技術を利用したスパイだ!! 我々独自で取り調べ、その身柄の保証は…」
「うっ…もうンマが何故か上昇した爆風に、ドーム本体もろとも浄化され当面使えないヨ…もう私の肉体と内なる神の暴走による運命が私の終わりを生み出したアルうううう…」
「うるさい泣くんじゃあないっ!! 大人しく来るんだ!」
ルンピーは伏せていた体を薪島関係者につまみ上げられ、すっかり降参といった様子であった。
側にあるアイオロスだった球体は半壊し、ンマの化神は炎の体を爆風に巻き込まれて消え去っていた。
「…離そう」
「し、しかしミナこ様!? こいつは貴方様を殺そうと…」
「話そう離そうっっっ!!!」
「は、はいいいいいいいっっっ!!!」
ミナこは解放されるも薪島関係者に取り囲まれたルンピーに堂々と出会った。
ルンピーはドーム内での悟りきった仙人、後半はミナこと祈里を怒れる閻魔のような印象とは全く異なり、純粋無垢な祈里が最初に出会っている、子供のような印象だった。
「やあ改めて、私は薪島ミナこ。ご覧のとおり、魔法少女だ」
「ううっ…ルンピー・ニティア。インドから炎の神を内に秘めた、私もほ…魔法少女アル…」
「貴様あ!! ミナこ様の前でリアルで、魔法少女を名乗るとはああああ!!!」
「止めよガード。中世の拷問聴取じゃないんだ。…ルンピー、君は何故私を追い詰め、そして悟りの境地を開く姿勢で魔法少女を辞めさせようとしたんだね?」
「う…み、ミナこは本当の評判を母国や同じ能力を持つ知り合いに聞いても、酷評の嵐ばかりが真実。自分の一族、会社が富も権力も科学技術も世界一に等しいから、偉そうに迷惑も多数かけながら魔法少女を演じている、という実態が許せなかったヨ。
あのカルマドーム、そして内部には自由に召喚できる炎の化神・ンマ。これらをミナこに見せつければ、真の魔法とは何たるかを戒められると…」
すると意外にもミナこは、冷静にルンピーの行動に対して返答した。
「ルンピー、それはある集団の意見をたまたまルンピーが一方的に聴きやすい境遇だったに過ぎないんだ。…こんな言い方するとまーた祈里に文句言われたりするんだけど、世の中の人間は常に個人と集団との掛け合いだ。
個人が感じ行うことと集団が感じ行うこと。…こうして様々な正義が生まれるんだよな」
「正義も悪も、未熟な境地ね。私のような極わずかの魔法を持つ存在は正義どころか、存在を封じられて生きてきた存在が沢山いるヨ。…それを愚かと考えたルンピーは、あなたの過剰な正義を正そうとドームに誘ったアル」
「はっはっは! 抜かすな、ドームも炎発生も神も、どうせ研究すればわかる技術であるに違いない。
…もし君が本当に動力不明の持った世間一般的な印象で、本当の魔法だったとしても、それが量産できて安心安全、あわよくば誰でも使える『ツール』になってこそ、本当の魔法とは思わないかい? それには信じる心という見えない魔法も踏まえて…。
…私の正義はそこにある」
「ミナこ!! それほど深い慈愛があるとは知らなかったネ!! ミナこ、私を弟子にしてくだしあ!!! 私にはインドの私の信仰者や仲間に会うより、ずっと刺激があって悟りではない発見をカンジルあるネ!!!」
「…よかろう。このルンピー、薪島で引き取り、君を調査して新たな魔法少女を共に追求しよう!!!」
そして祈里も祖父に電話連絡した後、ミナことルンピーの元に駆けつけた。
「ミナこ…遠くで聞こえたけど、まさか本当にルンピーちゃんを受け入れるの!?」
「おい、騙されて最初に受け入れたのは君だろうが」
「…ええごもっとも。る、ルンピーちゃんよろしくね!! インドからはるばる日本のオタク文化を学びに来たって言ってたし、本当は純粋なのよ! これからは3人で仲良く…」
「「魔法少女だ!!」」
ミナことルンピーの二人は共鳴した。
そしてそれを苦笑いで見つめる祈里。
「(じいちゃん…どうも私の魔法少女の苦難と魔法を世間へ完全に明かすこと、そして裏歴史をどう対処するのかは、相変わらず中途半端で二面性が癖の私には、まだまだ先になりそうです…はあ)」
「ミナこ、気をつけるアル。私の仲間でミナこを敵視する魔法少女があと6人はいることを!!」
「うわー出たよ! 数で物を言う敵集団とかウケる―!! 出てこなきゃ存在設定もろとも、無いも同然だと分かるんだな! 私の真似をする産業スパイ少女どもが!!!」
こうして、科学と富と権力が始めて大幅に通じない強敵と戦い共を得たミナこと、やっぱり自分はミナこが好きなんだと改めて再認識した祈里、そして古来からの裏歴史と魔法と神の文化以上のミナこの度量に魅せられたルンピーの魔法少女3人衆がここに誕生した。
魔法使えない少女と、魔法使いたくない少女と、魔法強すぎる少女。
3人が繰り出す未来とは、真の魔法少女とは? …それは彼女らの好奇心が魔法の過去と未来を掘り起こし、終わりなき決着を求める姿勢が続けば、いつか絵に描いたような『動力があれど際立って見えず、かつ美しく人々に平和をもたらす力』となれるだろう。
がんばれミナこ、祈里、ルンピー!!!
その後の展開はしばらく、短い日常ギャグでお茶を濁したいな!!!!!
魔法使えない少女?ミナこ! 第十二話・完
如何でしたでしょうか?
今後のミナこの予定としては、第二シーズンの前に
・短編小説版ミナこ『ミニこ!』
・第一シーズンのマンガ化プロジェクト
などを考えております。まとまり次第、またお伝えしようと思います。
お疲れ様でした!! つくし先生の次回作にご期待ください!!(フラグじゃないよ!!)