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((12話分の)11話) 魔法少女の真実を探る 祈里のミナこ停止計画

・連載公式サイト(http://minakonotmahou.jimdo.com/)

 連載詳細は公式サイトに随時掲載致しますので、何卒よろしくお願いいたします。

魔法使えない少女? ミナこ!



((12話分の)11話) 魔法少女の真実を探る 祈里のミナこ停止計画

挿絵(By みてみん)


Aパート・祈里、インド系魔法少女と接触す



 祈里はシンに託されてから丁度1週間後のその日、幸いにも国民の休日だったために学校も家の用事もなく、そのまま午前中に例の薪父市にある港に向かった。労働者の中年か薪島のピンク系社員ばかりがいる中で妙に浮きながら私服の祈里は、辺りの船を見回す。

「…全く反応しない。もしかして、貨物船での密入国ってことじゃあ…」


 すると客船ではなく、やはり貨物船側に水晶は青白く光って反応し、そして一番おんぼろで錆びれた今は人がいない貨物船に激しく光震えたことで、祈里は早速人気のない船のデッキに乗ると重力魔法で、周辺の荷物を覆う幌をめくり探ってみると、ガタガタ震える木箱を発見し、それをイヤホン改良した鳴ノ物を付けたことによる強化で浮かせて岸側へ受け取ろうとする。

「(君カーーーーーーーーー!!!!!)」

「うっわわわわ!!!??? 見つかった、いや、誰の声!!!???」

 祈里は思わず空中移動中の木箱を海に落としてしまうが、上蓋が開いて中から褐色肌に銀色の髪でインドのサリー風衣装の少女がひょっこり顔を上げた。身長はミナこよりも更に少し小さい。

「気にするでなイ、ナノモノから声のデンタツ、同じ裏歴史だからトウゼン。君がシンから連絡を受けた日本のシャーマンガールかつ『マホウショウジョ』ですカ?」

「あ、貴方が例の使者の少女!? わ、私は早乙女祈里です。ごめんね、海に落としちゃって上がれる?」


(ふわんっっっ、ふわわーーーーーーーーーーーっっっっっ…)

 するとインド少女は直径2メートルほどの赤い球体空間を自分に形状すると、フワフワと浮いて容易に祈里の前へ舞い降りた。祈里と違って色付きで舞い降りた上、海に落ちた木箱から出たフルーツももう一つ同じサイズの球体空間を作って、ポーイと船の上へ自動で浮かして戻すと空間を消した。

 もうこの地点で明らかに目に見えて相当な魔法を持つ存在である。

「私はルンピー・ニティアあるヨ。日本の魔法少女ダイスキ!! 憧れちゃウ!!! あ、このキウイ食べるカ? それとも『ンマの空間カルマ』で液体だけ絞ったジュースも可能ヨ!!」

「く、空間使いなの!? ごめんそのままでいいわ…。それにしてもあなたは一体…」

「タントーチョクニュウ、法魔少女の次官でありんス」

「へっ!? 魔法少女じゃなくて? 法魔…? おじいちゃんがそういえば法で魔法を取り締まる存在がどうとか…」

「そんなこの世のジョウシキに身を委ねないデ!! 要件とワタシのウラレキシにおける存在意義、そして『マホウツカエナイショウジョへのセッポウ』については、後で説明するアル!!」

「流石仏教総本山の国から…ていうか、アルの語尾は中国系よ…」



 移動中、祈里はルンピーの見慣れない日本への興味関心に振り回されながら、なんとか落ち着いた所、そして薪島関係者やミナこに会わないように必死で薪父市から薪母市へのルート確保を行い、移動しながら詳細を尋ねようとする。

「わー!! あれガチョー有名な薪島の魔法コーポレーションの史跡達ですねー!!」

「ちょっとルンピーちゃん!! 勝手に移動しないでよ!! もーあれ看板だとはいえ、今回あの人達と看板に描かれている薪島ミナこは私達のて、敵になるんだから…」

「ぎゃんっ! 祈里ちゃんトヤラ、あんまり私にストレス与えるト、ンマの化神けしんが暴走するから気をつけるヨ? 私はインド出身ノ、炎とカルマを司る神の生まれ変わりだからネ」

「か、神ですって!? 法魔少女ってそんな超エリート集団が寄り添ってるんですか!」

「私はアクマでそうゆうケース。頂点のナンバーワン、超官においてはもはや人間の理解を超えているなんて言われてもいるヨ。私はインドで魂へ肉体を得て、来日したシンのように能力を知るショウスウの私の魔法を知る人々に崇拝されて育ったノチ、法魔の裏歴史トップ集団に招待されて神だから2番目ぐらいト…」


 ルンピーはインドの神の広大な神らしく、えらく物腰が深い姿勢ながら、ターゲットのミナこを素質をよく分かっているのか、祈里に自分の習性を教える。

「えらく壮大で、かついい加減でもあるんですね…」

「法魔の彼女らは生き急ぎすぎネ。急いで今のゲンダイ社会を変えようとしているけど、この世界の空間その物を理解していないから、偽魔法で罵る奴らに決め手がツカナイ。…だから今回指名を受けて来たヨ。ミナこにカルマを教えるため二…」

「ま…まさかルンピー…さっきも説法って言ってたし、あなたの仏教的に粛清と言うことは…」

「仏教的にと言うよりハ、古代インドやドチャク的な教えとブンカから形状された『カルマ空間』と『悟り』による…。あ、祈里ちゃん。いつお家へは帰るカ?」

「え、ルンピーちゃんもしかして、泊まる家とか決めてなかったの!? シンさんは実はつい数日前に薪島ミナこと決闘して負けて倒れて、それで捕まっちゃったのよ…」

「いいヨ、その辺で空間作って寝るネ! どこでも寝れるぞヨ!」

「…まあいいわ、ウチにおいで。おじいちゃんならインドから来て味方の裏歴史ってことは分かってくれると思うから…」



 そして夕方、祈里はルンピーを引き連れて白蛇神社の敷地内に帰ると、ルンピーは何を思ったのか、突然神社本殿の奥にあるほら穴へと入り込んでしまう。

「おおっっっ!! あそこがいいアル!!」

「あああっっっ!? ちょっとルンピーちゃん!?」

「ハンニャラバンダラ!!!!! タラリラッタラ!!!! ほら穴と林へのカルマ!!!」

(シュパアアアアアアンンンンッッ、ズおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお………)

 そう唱えると、ルンピーは腰に入れていた左右の先がハート型の直径40センチの独鈷とっこという道具を握ってほら穴入り口で天に掲げると、赤いドームがほら穴と林周辺のみを覆い尽くした。


 あまりに急なので、急いで追いかけ中に入れた祈里。すると赤い半球体でドーム型の空間が、ほら穴全体と一部外の林を包み出し、二人は閉じこもってしまう。

「ついでにいい機会ネ。たった今、カルマドームを張ったアル。そしてここにダケショウカン出来るのが…」

(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…ゴバアアアアンン!!!!!)

外から音がした為に、祈里はほら穴を出ると、そこにはドームの内堀にかけて巨大な炎で禍々しい顔をした、化神・ンマが洞窟を睨みつけていた。

「きゃあああああああああ!!!??? ああああ、あれがルンピーちゃんの神っっっ!? す、すごい…CGとかじゃなくて、本当に…」

「間違いないヨ。私はこのチカラの為に肉体を得た存在ネ。祈里に特性を教えるアル。

 この私の法魔能力『カルマドームと化神ンマ』は、人々に表面と中が透けて見えるも外から中に入れず、半透明の赤い球体ドーム状の空間を測ったことはないガ、とても大きく複数生み出せるヨ。ただし単に広げても増やしても敵を見つけにくい、罪のないヒトビトにキケン、だから環境に応じて考えるアル。

 ちなみに、中の気温はその日の日中の天気とずっと変わらないまま保温可能ト、座禅に持ってこいネ!!


 もう一つは、ワタシの化神ンマ。あれはこのドームの内側でだけ動けるアル。一般的な火事での熱量と同じかつ忠実なワタシのイヌアル!! これを把握しテ、ミナこをおびき寄せて欲しいノダ」

「神様を犬って…。確かにガルガル吠えてて魔獣系って感じで単調だけど…あ、いいから今はドームを無くして!! 出られないよ!!」

「祈里も丁度イイアル、ここカルマドームでちょっと文明社会の余分な考えを禅して背くネ!! サア、洞窟の中で座ってスワッテ!!」

「えーーーーーーーっっっ!? 困るよー!! 夕食作らないと…」

「なら1日分の時間を外では1時間分だけ、ここで時を遅く堪能するがイイ」

「…時間も支配!?」

 祈里は結局、ルンピーと座禅を組んでしーんと精神を集中させた。


 外で僅か1時間経過を24時間分堪能した祈里は、ドームから出してもらうと、気分がスッキリし体が軽く、そしてルンピーからの教えを体に宿しており、ルンピーは洞窟で眠りにつきながら、その成功でミナこの更正も企む。

「あーーーー!!! 何この清涼感っっっ!? 今日はお腹も清楚にするためにハッスルして、にゅうめんパーティにでもしちゃおっかなー!!!」

「ムーフフフ…。タンパク質が足りないと思うけど精進アルよー。これネ、コレこそがミナこを『内面からシュクセイする最大の戦法』だと言うことを…」



Bパート・ルンピー、ミナこを仏力と禅で追い詰めし



 ルンピーのミナこへの最終兵器として出向いたのは『禅』と『カルマ(業・浄化)』であった。

 東洋文化の極みとして近年真逆の西洋文化でも取り入れられているこの方針は、ミナこを内面からキレイに出来るのだという。

「祈里、何とかしてミナこをここの神社ニ誘えないのカ?」

「ミナこは自称忙しいのと、ここへは余程気が向かないと来ないの。だからまあお願いだけど、私と学校に来てくれないかなあ…場所はミナことの交流で何とか安全かつ、ミナことルンピーちゃんだけで取り入れられる環境を探すから…」

「オー学校!! 学園モノも見られるとは。スンバラシイ!!! 是非ゼヒ素っ気ない何故かモテるオトコ主人公と、取り巻く美少女タチを…!!」

「…そういうのはちょっと…あ、ルンピーちゃんってドームを完全な球体にも出来るのなら、ボールになればいいんだ!」


 こうして翌日、ルンピーをこっそり学校に持ち込むことになった祈里。

 ルンピーのボールドーム形態は体躯座りで包まって居るので、直径が80センチ、重さは20キロ前後程に収縮している。

 私服になっても学内にインド人系がいないので明らかに侵入者な彼女をどうやって持ち込むのか考えた二人は、ルンピーの半透明のカルマドームを利用し、ルンピーが一人入る分の球体ドームを成形し中に入ったボールを持ち込むことで、私物として持ち込んで、ルンピーを転がすことを採用した。

 知らない人からはよく見ないとただの半透明な硬い壁のボールで、目を凝らさないと中身が見えにくいので好都合である。

 それを祈里は荷物用のキャリーにルンピーの入ったボールドームを大きめの風呂敷に包み込んだ後にキャリーに乗せて、引っ張りながら運んだ。


「おはようございます早乙女祈里様。本日は随分と重そうな赤い物をお持ちで」

「え、ああはい…。卒業用のタイムカプセルに使う試作候補を、叔父の知り合いから頂いたので少々…ははは」

「随分と気が早い物ですなあ」

 何とか校門入り口の警備を誤魔化せた祈里。

 祈里はそのルンピーが包まった赤いボールを大きめの風呂敷に巻包んで校内に持ち込むと、一旦女子トイレに入って、ルンピーにドームボールから出てもらうと、ここでの作戦詳細を相談した。

「ぷはあっ!! おやトイレエ? でもこのトイレ、公衆なのに、母国のと違って随分とキレイでいい匂いアルね!!」

「2年V組のトイレはミナこがよく使うから特にね…。そうじゃなくってよ、これからの事! ルンピーちゃん、2つ選択肢があるの。


 一つはこの学校、各教室毎に黒板の裏に用具室があるの。でもここは教室替えか、大掃除でも無い限り、大道具入れだから滅多に開けないの。んで用具室だから鍵も番号南京錠で番号も知ってる。だからしばらくここに入って待ってもらう事。ここでは声を出さない代わりに部屋で自由にしてても大丈夫! 用があってドアをノックするのと入るのは今日、私ぐらいのはず。

 もう一つは、さっきからのボール形態のまま、教室でずっと居てもらうこと。ただし、絶対合図が無い限りは解いちゃダメだからね!! どう、どっちが都合がいい? ルンピーちゃんがずっとボールの中で悟っていられるなら、教室でもいいけど…」

「ワタシ、教室がいいネ!! 半透明で赤い外でもニッポンの学生、そしてミナこのヒビを見てみたいヨ。大丈夫、ちょっと布の隙間を出して見えれば何もしないゾヨ」

「んまあそうよね…気をつけてよ。もしバレたら、更にシンさんと同胞と知られたら、私ら追われる見になっちゃうからね…」

「祈里は随分と世渡り上手と見えるネー」



 こうしてその日の学校での日々が始まった。

 祈里はルンピーを机の横であり外側の窓下の壁元にルンピーのドームボールを置いて、休憩時間でも体育以外はなるべくそばに居るようにする祈里。

 当然ミナこに興味関心を抱かれないようにも注意しているが、そうは好奇と嫉妬心のミナこが下ろさない。それは2時間目後の昼休みだった。

「祈里よ! 私の瞬間変身で偶然の産物になった、フィラデルフィア変身の発展による、私のホワイトホール化現象だが、どうも完全解明すれば流通業界に革命をもたらす、安全な瞬間・転送運搬技術の大発見魔法になるそうだ!! これは私と薪島重工の科学魔法開発における中でも最大級になるやも知れぬ!!! うひゃーははははは!!!」

「…本当にそうなったら凄過ぎて怖いわ…。それこそ宇宙進出もワープとかでなりそうな…」

「問題は解明が十分でない私のホワイトホール体空間が…お、あれ祈里よ、なんだその…」

「いやややややや!!! この下に置いてる赤いのは、ちが…」

「え、何を言ってる? 今日のお前の弁当に入っている梅干しだよ! 今日のはエラくオレンジみがかかっているなと…」

「ああこ、これね! 今日のはハチミツ入りのを試しにと…」

「ほう…」


「(ほほう…これがマキシマム・ミナこアルか…。金と欲望と糖分で脂ぎった表情をしてるネ…。聞いた通り、外見からして人に容赦せず、そして内面は…ナンダ、夢と努力以外に何かカンジル…とても強い意思で何かを閉ざしていル?…まあイイ、後でその真相も洗い出すヨ…)」


 ルンピーが赤い内部で様子をうかがっている姿勢のまま、6時間目は体育の時間となった。

 すると祈里は、ワザと一番遅くに着替えて教室を最後に戸締まりをすることにして、ドームボールにいるルンピーに新たな作戦を伝えた。

「ルンピーちゃん聞こえる? どうも今日はミナこ、すぐに帰るみたいなの。だからチャンスは今日の体育の時間でのマラソン中しかないわ!! そこで考えたんだけど…」

「…ナルホド、周りに多少見えるのは覚悟でも、一度張ってしまえば後はこちら内部でミナこは思う壺、袋の中のネズミってワケあるネ!」

「そうお願い。だから今から一緒に外に出て、教えた所で待機しててもらいたいの…」

「その場所とハ…?ホオ、そこで待機とは、ジツニ禅に向いているヨ!…」



 そしてその時が来た。2年V組の生徒全員がスタートする位置についた時である。

「本日は久し振りの茶ノヶ崎の外周7週だ。ミナこは無理をしてまた砂糖菓子にならぬようにな」

「ナタリー先生、私はあれから研究に魔法を重ねてるのを存じだろう? 滴れる固形に近付く糖分を擦り付けることで、一つに固められ、二日前の体育でのサッカーは『ボールとの間にキャンディが大量に挟まっているように砕け散った【星屑シュート】を!!』今日もだから走っていても、糖分をどこかで固めて発散すればいいのだ!!」

「(不法投棄じゃないの! …つか危ないし。そうだ、ミナこをルンぴーちゃん前へ誘導する方法…アンタの糖分を利用させてもらうわ!)」

「ヨオオオオオオオオオオオオオイイイ!! アクションッッッッッッッッッンンンン!!!!!!!!」

(ドギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンンンンンンン!!!!!)

 ナタリー先生のアメリカ軍御用達の実銃での合図に、私物祈里はミナこと共にマラソンで平走して、ルンピーの待っている箇所へ誘導する作戦を試みる。

 だがミナこが足が早過ぎることは知ってのことなので、祈里はミナこの足を引っ張る作戦に出た。

「(1週遅れでルンピーちゃん付近で私が留まって、そしてミナこを急な都合で呼び止めて…)」


 ミナこが甘い香りをブワブワ漂わせながら走っていると、丁度1周めの茶ノヶ崎外周で住宅街の中央にある小さな公園の入り口を過ぎる辺りに、膝をついて震えている祈里をミナこは目撃する。

「あんっ? 祈里よどうした? 怖気づいたか?」

「け…怪我しちゃって…そうだミナこ、アンタの固めたアメでも貰っていいかな? 丁度公園奥にベンチがあるし…」

「しゃあないなあ…人助けは顔なじみだと達成度半減なんだが…」

 ミナこの愚痴はよそに、祈里はミナこを連れて公園へ入った。


 公園は住宅街に囲まれた中に一般住居2つ分の敷地で構成されており、少し特徴的なのは小さな、お地蔵様の社があることであった。

 ただ少し変なのは、公園全体が妙に人によってはかなりキツイ、エスニックなお香臭さが漂っていることと、その影響か人が全くいないこと、出来たての足跡、更に小さな社の中にあるはずの地蔵が何故か外に出され置かれていたことである。

「(ルンピーちゃん…一般人を逃がすためのお香を用意って、すんごい強烈なやつだったのね…)」

「なんだか変な匂いだな? 祈里もこんな付近で怪我するんじゃないよっ!!」

 祈里は右足を引きずって、無い傷口をアピールしながら、ミナこは糖分の固まってパリパリの汗水をバラバラ撒き散らしながら、二人は公園中央のベンチに座る。

「ミナこ、と、取り敢えず私は端にある水で傷洗ってくるから…」

「祈里は知らなく無いはずだが、私がここで変身すれば応急手当が装備に入っていることぐらいは」

「アンタの変身は先週からなんだから、そういう判断が出来るわけないでしょうが!! だ、だからいきなり塗ってもアレだし、ねっ?」

「まだ待てっ! まあアメちゃんでも良いのなら、どれぐらい塗って欲しいか適量を見てもらおうか…」

(こねこねこねこねこねこね、ねりねりねりねりねりねりねりねり……)

「(うっ…キモいっ…まるで、手で苺大福のために皮とアンコを練ってる職人みたい…それをあたしの足にぺたり…うええ…)」

「こねこねねりねり…へっへっへっへっへ!!!…膝貸して」

「…はいっ」

(べちょ!!! ねりねりねりねり…)

「まだ練るんかいっっっっっっ!!!!!」

 更にミナこの練っているピンク色の粘着質の塊はどんどん巨大化して固まって来ており、応急手当てと言うよりは、サッカーボール大の腫瘍みたいな塊になってきていた。明らかなイタズラであり、大きなコブである。

 このままじゃラチが空かず、更にミナこが突然付け終わって駆け出して公園から出てしまえば失敗になってしまうことを恐れた祈里は、強硬手段に突入する。


「(ミナこごめんっっっ!!! 重力…)」

「へへーっ!! これぐらいで勘弁し…」

(ぐいんっっっっ!!!!! ドグオオオオオオオオオオオオオッッッッッッ!!! バリイイイイイイイイイイイイイイイインンンンンンッッッッッ!!!!!!!!)

「ぐええええええええええええええっっっっっっっ!!!!?????」

 祈里に付けていた砂糖の塊が、急な上昇によって、その真上で丹精込めていたミナこの顔にダイレクトアタック。ミナこはその強撃と砂糖粒の目くらましに混乱している。

「(今っっっ!!! ごめんねって思っちゃった…何思ってんだろあたし…敵だっていうのに?…後は頼むよ、インド系魔法少女で、法魔・裏歴史の最強、ルンピーちゃん…)」

(スタタタタッ……コンコンッ)

 祈里は逃げ出したついでにルンピーの入っている社の扉を合図で軽く叩いた。


 ミナこは30秒程で、ようやく目が冴え直すと辺りに祈里はいない代わりに、辺り一面が半透明で真っ赤に覆われていた。慌てて出口に向かうも見えない壁に激突するミナこはこの地点でこの環境の恐怖に気付く。

「いたあっ!! なんだこれ…!? 公園が丸くて赤いドーム状にカップインしているだと? おいドッキリ番組にしては、随分と私ら薪島に抵抗気味だな!! 新手の産業スパイか陰謀組織か暗殺者か!?!? そんなことで私と薪島重工と魔法は…」

「『これこそ魔法よ…』」

「!? あ、あの小さな小鳥用の巣箱か? いや地蔵のお家か…。変だな、中の地蔵が外に置かれているってことは…」

 ミナこが恐る恐る近付いて行くと、小さな社の扉がゆっくりゆっくりと開き、そしてあの土着的でファンシーな印象のルンピーが、赤い空間の光に照らし出されて、不気味な妖怪系幼女の様に社から這い出してきた。

「マキシマム・ミナこ。魔法少女としての多数の非道な行い、ここで私と共に浄化することになる…」

「非道だと? 私は無き道をつくっっっ!? あ、熱いっっ!? あ、ああああれはっっっ!?」

(ゴギャアアアアアアアアアアアアアゴオオオオ!!!!!)



 こうして、ミナこは遂に祈里とルンピーの策にハマってしまった!!

 頑張れミナこ!! カルマの中で見るのは、君の魔法少女への失望か、それとも改心なのか!?



魔法使えない少女?ミナこ! 第十一話・完



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