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((12話分の)1話 )この魔法少女は特殊な訓練を受けています!!

・連載公式サイト(http://minakonotmahou.jimdo.com/)

 この度は1シーズン目・全12話連載予定の『魔法使えない少女? ミナこ!』のご閲覧を誠にありがとうございます。(公式サイトには挿絵や企画書がございます)

 連載詳細は公式サイトに随時掲載致しますので、何卒よろしくお願いいたします。

 魔法使えない少女? ミナこ!



((12話分の)1話 )この魔法少女は特殊な訓練を受けています!!

挿絵(By みてみん)


(第(3分の)1話)(裏)プロローグ・世界ヒロイン決定会議



 「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」

 ~ アーサー・C・クラーク 1917–2008 ~


 アメリカ・ニューヨーク州・ニューヨーク市には、エンパイア・ステート・ビルの隣に『ダブル・エンパイア・ステート・ビル』という、アメリカ人がダブルバーガーをメニューに取り入れるような単純なノリで作られた、エンパイア・ステート・ビルを二つ刺し重ねたバカらしくも、怪しげなビルが存在する。

 しかも出来たのはつい5年前、丁度全世界でオカルトブームが再浮上した頃でもあった。


 そこは本物のエンパイア・ステート・ビルと違い、真っ黒で古臭いツタの柄が施され、

一般人は立入禁止、更に周辺には怪しげな中世のまじない師のような格好や、どこの民族か不明の現代らしくない格好の人物が警備員も含めて装っており、それらがビル内に入って行くのを見かける噂が後を絶たない建築物である。


 だが、その中でも特に異彩な活動に『世界ヒロイン決定会議』が影で不定期に行われており、しかもそのビル内ではなく、ビルの外天辺、普通の人間には目に見えない巨大なコンサートホールぐらいの大きさの魔法陣ゾーンで覆われた宙の上で、影から世界を牛耳る『法魔』と呼ばれる少女の賢者達・7人が、世界中の魔法やオカルト、そして美少女ヒロインの品性を高めるために話し合っているのであった。


 彼女らの姿はいかにも今風のビジュアルを凝った、ジャパニメーション的なRPGやファンタジーに特化したゴテっとした格好と綺麗な素肌の露出を施しており、そして7人は言葉で表すのも難しいほど服装の個性が重くて激しく、会議の空気と共にのしかかっていた。


 代表と思われる一人が立ち上がり、話題を出す。

「諸君、魔法と裏歴史のネットワークを通じても、まだあの偽物を始末出来んのか!! あのふざけた存在は、清く正しきヒロイン像に全く反する害虫よ!!!」

 他の6人が苦虫を噛み潰したような表情と下方向を向く。

 偽物は彼女らにとって、深刻な癌であることが伺える様子であった。


「しかし法魔超官(長官)相手は世界の企業でも5本指に入るほどの場所にいる大物でして…」

 法魔次官が問うと、超官がもう一人を指差す。

「その残り4本の1本に入る関係の娘がここにいるではないか! なあ法魔禄官(六官)どの」

法魔禄官が申し訳無さそうに応答する。

「あはは…あたくしめの秘密結社は、アトランティスの海中都市を特定し発掘しただけでして…」

「それがこの裏歴史の業界でも、表社会でのオカルトブームの再来とそこからの投資増加で、このビルが建つぐらいに富をもたらしたのだ!! お前は我々7人の中では唯一、魔法は修行で会得した非裏歴史からの出世頭だ。さて、それより偽物だ…そしてそろそろ時間だな…」


 すると数分後、ニューヨークの町中で突如花火が打ち上がり、そして夜空に巨大なスポットライトで企業のロゴが浮かんだと思うと、そこから炎を散らして、ある人型の影が空を飛び舞っていた。

 下の町の人々は拍手喝采、人影も楽しそうに手を降っているが、バランスを崩したのか、途中で飛行が翼を撃ちぬかれた鳥のように不安定に飛び交う。


 7人の法魔少女達は、透明な空間からその光景を恨むような目で眺め、特に超官はこれから先、その飛んでいる存在こと偽物が自分達を脅かすことを予感していた。

「…偽物め! 我々本物を知らずに落っこちるがいい!」

「…超官! 偽物がこちらに飛んできます!? うわああああああ!!!」

 超官以外の法魔達が会議場所の端へ飛び去る中、人影が思いっきりダブル・エンパイア・ステート・ビル天辺めがけて飛んできた。

「バカモン死官(四官)! ここは透可空間だ!! …そして偽物」


 向かってくる偽物は法魔達と同じ少女で、明らかにピンチのはずだが、その顔は冷や汗がにじむも、笑顔であふれていた。

 透明な空間なので、貫通しても問題ない中、超官の前をその人影がジェット噴射のハイパワーで通過していった。

「次の手は打ってあるぞ、魔法使えない少女・ミナこよ!!!」


 超官がミナこと読んだ人影は、ダブル・エンパイア・ステート・ビル天辺の透明な会議室を過ぎて行くと、付近の川の中へその姿を消した。

「超官、ミナこはあの早さで川の中へ…死んだのでしょうか」

 次官の質問に超官は答える。

「20世紀から表の歴史を牛耳る科学が味方のアイツがそうなると思うか? 早く日本にいる、8人目法魔少女・候補者の一人にコンタクトを取るんだ」


 7人の法魔少女は会議が終わると、一斉にテレポーテーションしてニューヨークを後にした。

 彼らが偽物と馬鹿にするも恐れもする、魔法使えない少女ミナことは何者なのか。それを知るにはまず、彼女を支える魔法使える少女から覗くことにしよう。



(第(2分の)1話)プロローグ・魔法使えない少女と魔法使いたくない少女



「私は魔法少女なんかじゃない・・・」


(サッ! ホワワワワ・・・・・)


 私立『茶ノヶちゃのがさき中学校』帰り道の7月14日夕方、車が多く通る大通りで餌のねずみを追いかけていた猫が、目の前に迫るトラックを気にせず、ぶつかる瞬間に出会った、2年生の『早乙女祈里さおとめ・いのり

 清楚なセーラー服が似合う黒髪おかっぱヘアで、頭の金色のビンテージ感あふれるカチューシャが無ければ、モブのようにしか見えないほど地味な格好で通う彼女はそう思いながら、自分に生まれた時から身についていた小さな魔法で、猫をパソコンのマウスカーソルでの作業の様に、歩道まで素早く浮かせ、逃してやった。


(フワッ! スーーーーッ、にゃ!? にゃーーーん・・・テクテク・・・)


「この間の、赤信号で横断歩道を渡ろうとしたおじいさんを助けた時は、つ~い念を集中させる際に手を付きだしちゃったから、歩道の人何人かに変な顔されちゃったし、何時までも隠し通すなんて、やっぱり無理かしら?・・・」

 この日本を含む世界各国では、今オカルトブームの再来とまで呼ばれる程、各地で魔法の様な光景を偶然目撃してしまった、一般人の意見がネット上に多く散漫し、テレビや新聞、政治関係でも冗談段階とはいえ、科学社会の今に夢があると話題になる程であった。


 そんな祈里の実家は、1000年前から続いている由緒正しき神社で、代々女の子が生まれる率も高く、そして必ず魔法こと重力の力を宿ってきたと、顔の毛が眉毛によって全て繋がっている神主服の奇妙な祖父・『慈庵じあん』に言われ、育てられている祈里は、そんな科学風習の強い社会が息苦しく感じる日々を、生まれた時から過している。


「ただいまぁ~、じっちゃん庭の掃除かなあぁ? 宿題を解決しないとねぇ・・・」

 都内から少し離れた林にの多い地区に祈里の実家である白蛇しらへび神社があり、1000年の歴史があるも人気がないので、境内はいつも淡い空気に包まれた場所にある。

そんな空気に特に包まれた庭先に、底知れぬ長寿感と生きた年数を刻み込んでいるような長身の祖父、慈庵が箒片手に門番の如く威圧で祈里を見つける。


「また今日も重力で助けを行ったのか、近くで使う度に通感するこの体だ。せっかく昼ドラ、『愛はすまし汁!』でいい所を邪魔するとはのオ・・・」

「私は生きし命が窮地になる事態を、絶対に見放したくないんだって」

「すまし汁の豆腐に、まさかの犯人の血痕が入っておったんだぞ!そんなすごい場面で反応させるとは・・・」

「知らないっつーの! てかどうゆうシーンだよそれっ?」

「探偵と依頼主のバツイチ母が朝食食べてる場面ぞ」

「どんなドラマだよ!・・・ってか駄目だ、じっちゃんのボケに突っ込んでたらキリがないよ。とにかく千度言ってるけど、私は・・・」

「死せる現実が見たくないと。そうじゃろう」

「・・・もうその言葉も返せるんだからね!」

 普段は静かでクールを装い、クラスでも静寂の姐さんと呼ばれる祈里はカッとなると、ギャグマンガの突っ込むキャラの様に恐ろしくキャラ崩壊してしまう事を真面目故、悩んでいる。

 そんな性格を祖父も古ぼけた脳みそながらも、十分理解はしていた。


「祈里、その様な悲観性はドラマも現実も同じく、自己の負の力を暴走させてしまう。ワシは言っとるだろう、どうしても辛いなら、外に打ち明けてもよいと...」

「でた! じっちゃんの奥義、いきなりシリアスに装う攻撃! 私が魔法・・・いや、重力で命ある者を助けるのは自分のアイデンティティーを保つためなのオっ!」

「自己同一性と来たか。祈里は生意気だが勉強熱心なのは、認めるというてるじゃろうて」

「じっちゃんが英語知ってる!?・・・待てよ、意味!」

「むっ、自己と霊魂は天も地獄も平等に繋がっているという、事の在り方・・・」

「はあ、いつものじっちゃんで安心した。あと、お駄賃で言ってたあれ、買うからね!」

「なっ!『えれき』とか言う電気箒の事か?」

「電気箒じゃないよ! ・・・まいっか、英語分かんないんだから買うの止めるわけ無いもんね」

 祈里は、神社から少し離れた自宅へ移動する。全体は昔ながらの木造の家だが、二階の祈里の部屋は180度逆の見た目になっている。


「はあ~っ! 中間テストも終わったし疲れたーっ! あっ? 忘れてた! 一昨日の日曜に買った、スパイダー★リップスのポスター、まだ飾らず机にに横たわっていたんだった!」

 祈里の部屋は趣味のビジュアル系バンドグッズが数多く占めており、黒と白のコントラストが部屋を覆い尽くす勢いの世界だった。

 机の周りに綺麗に揃い並べたパンフレットやCD、大きなコンポーネントに窓は縞々のカーテンといった、パンクな祈里の内面を凝縮した様な光景がそこにはある。

 しかし、そんな空間の中でも押入れの中には白と赤のコントラストのハッキリとした神々しい巫女服が吊るされており、隠された様に閉ざす暗闇の中でも一際祈里の正装として輝いていた。


 そんな神社の子らしくない女の子の祈里は、パソコンを開き、ニュースやバンドのファンサイトを見回りしながら、自分の事を振り返り、マメなためここ数年パソコンで日記をしていた。

「7月14日、晴れ時々曇り。中間テストが終わった翌日はクラス内もユルユル。ただそんなまったりムード中でも、相変わらずあの近寄りたくない熱気と危険度に満ちた自称・魔法少女のミナこが・・・」



 7月14日の朝8時10分。朝焼けが眩しい、茶ノヶ崎中学の正門から大通り直進の数百メートル先に、複数黒尽くめのボディガードと3台の黒い高級車が待機しており、更に車の周りには映画撮影でもするかの様な、無数の演出機材が備えられている。

そして、その一台には、黒尽くめにそぐわない、派手な白とピンクのドレスに、ピンクのふりふりのミニスカートを付けた少女が待機していた。

 ただし、遠目ではそんな少女趣味な服装でも、近くでよく見ると、上着は安全対策でピンク色の防弾チョッキが、背中にはドでかいジェットパックが装備されており、物騒な印象を漂わせる。


「ミナこ様、ホームルームの時間と正門が閉じる時間まで、あと5分となっています」

「ガード! この魔法少女の私を社会という柱に縛るつもりかね? 急げや急げ! 急ぐのだ!!」

「申し訳ございません、ご準備はもうそろそろ整うとの連絡が、こちらの無線に伝わりました」

「フハハ! 今日は学校の皆に魔法少女である事を披露するためのダイナミック登校日と、昨日決めたのだ! 今回は遂に魔法少女に相応しい、箒に乗って飛ぶという新たな門出になるスタート! 魔法少女への大いなる第一歩になるのだぁ!」

 車内で、魔法少女を装うための準備をしながら高笑う彼女は『薪島まきしまミナこ』

 世界で五本指に入るほどの大企業、『薪島重工』の薪島家の一人娘で、幼い頃に見たアニメ『魔法使い・ミーシャ』で人生が決まり、現実の空気に覆われた現代社会で、魔法少女になろうと決心する、傲慢だが努力家な、茶ノヶ崎中学の2年生である。


「(あの決心した頃から、今も週に3回は全話再生するミーシャも、第二話Bパート23分で今の私の様に緊張しながら箒に乗っていたのかな・・・)」

 魔法使い・ミーシャは王道的なテーマで正当な魔法少女物として5年前に放映されたが、刺激の無さで人気が無く打ち切られた作品であった事も、ミナこの決心を固める要素の一員となっており、流行に乗ったタイプや視聴者のウケばかり狙った、ただの魔法少女の当て付け作品をミナこは一応、研究対象にするも否定してきた。

 そこで、自らお手本になるため、日々研究と実験を、薪島家や他の提携企業、繋がりのある宇宙開発センターと、莫大な財産と技術で重ねるも、結果はいつも手間のかかった分、無理やり具合が拭えない無骨な結果に終わるので、心意気だけは立派な魔法少女であった。


「こちらミナこ様の車内のグレイズ。外のダニー、箒のエンジンは整ったか?」

「グッジョブ、なんとかなるでしょう。ミナこ様はこの間のニューヨークの薪島重工株主総会の花火締めでの初飛行で、イースト川に落ちても無事だった。箒なら、シーソーの中間に立つ様にバランスが良い操縦になるはずです」

ミナこは背が低めでロリ体型、プラチナブロンドの綺麗な髪にワイヤーにて吊り上がったツインテールである事や、声が声優に向いていると推薦されるほど見た目には才能があるも、魔法という完全非現実の壁に日々頭を悩ませられている事や、夢は絶対叶える、魔法少女はこうでなくてはならない! といった頑固な一面が良くも悪くも反映される人間である。


「さあ出来ました! ミナこ様! お外の箒を準備し、お肩に背負うジェットも・・・」

「翼だ」

「し・・・失礼しました! では行ってらっしゃいませ・・・」

 ミナこの乗る車の扉が勢い良く開き、黒に覆われた全体の紅一点として君臨する。

「魔法少女ミナこ! Aパート行くわよオ! さっガード! 黒子になって!」

 首を縦に振るガードの一同は、すぐに各自担当分野に散らばる。このとき時間はすでに

8時19分。学校は生徒がホームルームのため静まり返り、正門を閉めに一人の先生が正門に向かっていた。



(第(1分の)1話)Aパート・この魔法少女は特殊な訓練を受けています!!



「もうこんな時間! 今日から新人教師として茶ノヶ崎中学の2年V組で入ったというのに、初日から遅刻が一人いる・・・でもホームルームなんてなあ、まあみんないい子そうだし大丈夫よね!・・・あら?大通りにあんなに黒い車が?・・・」

 教師の資格を取ったばかりのフレッシュな27歳『丙蕗子ひのえふきこ』が正面の門を閉めようとしている。


 メガネに黒のロングヘアで豊満なボディと色気立つも、心は真面目な教師ほやほやの新人国語教師である。

 災難な事に彼女は、ミナこが魔法少女という名の大々的なパフォーマンスする事を、他の教師から何度も注意されたとはいえ会った事が無いため、実感が無かった。

 職員室では各自先生がホームルームのため教室を出た際、何人かの先生が丙先生に正門を任せた事について、2人の教師が気付く。


「丙先生に正門閉めるの、任せなかった?」

「山里先生! いやその、僕は今日別に何も無いと思いまして初の教壇に立つ日ですし、教師の一通りの仕事をさせてみようかと・・・」

「正門前大通りに黒い車3台ッ! しかも周辺住民を避難させているだとぉ!?」

「ハッっ! 薪島ミナこの存在を忘れていたあ!」

「しかも今日は毎月一日恒例のでは無く、ゲリラの様な様子・・・」

 その時、どおんっ! というエンジンの爆音が学校内でも聞こえ、生徒や窓際の教師は一斉に外を見ると、凄まじい煙と共に箒型飛行バイクと言ってもいいほどの装備に包まれた箒に乗った・・・いや、しがみつくミナこが今まさに500メートル先の、閉まりかける正門へ突っ込む瞬間だった。


(ドゥワオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオっっっっ!!!!!)


「うっうおおおおお!? ちっ遅刻してしまう~! 忙しいからつい、箒の力に・・・グハッ! セリフが!(ガードどもお! なんでこんなにエンジンをヒートアップさせすぎてるのか!?)」

「ミナこ様、ぶつかるんじゃないか!?」

「だが、ミナこ様ご自身の要望だ。脱出装置もある。そして何があっても、この地域周辺地域の経済も承っている我ら薪島家だ。摘発される事はない」

薪島家ガードはいつもの事なので冷静にミナこを見守る最中、気流に表情が歪んで前が見えないミナこと正門を閉めようとする丙先生がまさにはち会った瞬間だった。


(ブオオオオオオオオオオオオオ! ドオオオオオオオオオオオ!!!!!)


「いいいっ!? いやああああ! こっち来ないでええええええ!?」

「やばいッ! し・・・お尻が食い込む・・・そしてもう入るほどの隙間がないっ! んぐう・・・飛ぶっ! 突っ切るし! 魔法少女なるもの! 華麗に乗り越えなくてはならんのだああああああ!!」

「きゃあああああ!!」

「ミナこ様! 早く脱出装置をー!」

「駄目だ! 向こうの通信機が外れたらしく、返事が来ない!」

「うおおおおッ! 私はムワアフォョオウ少女ヨおっ! 飛翔ッっっっっっ!」

ミナこは箒に付けた支えるための自転車型ハンドルを上に持ち上げ、最新の軟質形状記憶合金で出来た箒を上に向け、ミナこと箒は正門の目の前20メートル付近で上昇。

 そしてわずかに正門を飛び越えるには足りない出力と感じたミナこは、出力を最大にまでリミット解除。箒の後ろから巨大な煙とバーナー状のエンジン炎を出しながら言う通り『飛翔』した。


 正門の左横の壁に身を潜める丙先生の体を上空の影が包む。

「(はい死んだ!・・・痛みがないから、もうあの世・・・? 風を感じれる! あれは・・・変な火を出したのに乗っているのは・・・あっ! 昨日放課後に初出勤として挨拶した際に聞かされたあの子!?・・・)」


(キキーーーーーーーーーーーーーっっっ!! ドスウウウウウウウウウン・・・っっ)


 丙先生は通って行ったミナこの後ろ姿を見つめ、窓から除く生徒や先生達は正面からミナこの勇姿を見つめていた。

 正門を抜けた瞬間のミナこの姿は、魔法少女の登場というよりは、バイクに乗った特撮ヒーローの登場の様な爆裂たる勇姿で、やっぱり魔法少女とは今回もかけ離れてしまう。

 抜けた直後は、すぐにジェット機の用の脱出パラシュートが後ろから開かれたが、ミナこは転げ落ちるように低空から箒にしがみついた姿勢で撃ち落された鳥の様な逆さま落下であったが、一瞬上手く回転し、グラウンド中央に踏ん張る姿勢で着地をした。


「あ、あれが今日一人遅刻の…薪島ミナこって子!?」

「み・・・みんなおはよう! 魔法少女ミナこ! 遂に箒デビューに成功したぞ! 悪、弱い者いじめをする者、特に個人的に取り分け偽善者は許さぬ! 永遠なる平穏の生活のため私は魔法少女で在り続けるのだ! キュピーン!!」

「わ、わあ~…」

 ドン引きしながらも、取り敢えず学校で外を見て喜ぶフリをする生徒達が窓辺にいた。


 ミナこの黒焦げたドレスに箒の勇姿を見ていた生徒はふざけ半分、感動半分の感情で盛大な拍手を送り、先生はすぐさまそんな生徒を止めようとする。祈里のクラスは特にミナこのクラスでもあったため、またパフォーマンスが進化したと盛り上がる中に一人、祈里は席に座ったまま、見もせずに静寂を装っていた。


「(着地の瞬間のクッションは私の重力魔法よ。なきゃ捻挫で生まれたての子馬の様な情けない魔法少女だったものを・・・おめでたいわね、いつもいつも・・・)」

 そんなミナこを初めて目の当たりにした丙先生も祈里に近い、ミナこの扱いに対する厳しさを、痛感せざるを得ないと思っていた。

「(う・・・うちの地元の族よりひどいじゃないの! 何よこれ!? バイクでグラウンド走りまわるより危険じゃないの! そしてあれが大富豪・薪島家の娘なの・・・? 教育に貧富もクソもないわ! 絶対あの子を更生させてみせる!)あぐっ! 尻餅でアザが・・・」


 ミナこの元に、すすり黒くなったドレスを急いで黒子の執事がふき取りに来る。一見すると、周りに頼りっぱなしのダメな美少女に見えるが、その間ミナこは執事にいつも使うメモ帳を取り出させ、びっしりと魔法少女実験と考察、研究の書かれた『魔法少女なるもの! 第1992集』に今回の結果のレポートをしっかりと書き込むのだった。

 そこに教頭の葉柴崎はしばざきが駆けつけ、ミナこを注意する。


「薪島さん! 魔法少女のパフォーマンスは、今月1日にやったじゃないですか!」

「あれは食パンをくわえて遅刻しながら、同級生とばったりあって転校生になるシチュだ! 費用と重要度は今回の箒飛行の方は、金と命がかかっているぞ!」

「だああめえです! ダメです! しかも今回の箒とか言ってエンジンをふかした危険な物に乗って来て、命の危機になったらどうしてくれるんですか!?」

「うちのガードが伝えたはずだ。私の魔法で学校に蔓延る邪悪な親子・モンスターペアレンツの多くを納得させるか転校させたから、その分は感謝として多少は大目に見ると」

「むうっ・・・魔法と言うよりは、お金と脅迫だった気もしますが・・・」

「魔法!!!!!!!!!(ガード一同)」

「そうそう! 魔法です! 魔法! いやはや・・・」

「この辺にしよう教頭先生、まるで私が悪いみたいだよ。さーあ皆のもとへ行こうかねェ」


 その時、先ほどうずくまっていた丙先生がミナこの前に立ちはだかる。

「行かせないわ、薪島ミナこ!」

「誰だ! むっ! 貴様、昨日の放課後に他の教職員と話していた女・・・」

「女とは何よ!」

「太古から存在する、子を宿す・・・」

「そっちの問いかけじゃない! まあ国語教師だから説明するけど、女と単語で言うのは差別的な意味になるのよ!」

「そりゃあごめんなさいだ。名を名乗れッッ!」

「また失礼よ! 丙蕗子! 貴方のクラス、2年V組で今日から貴方の担任よ!」

「丙・・・ハッ! 怪しいと思っていたが、さては『レディファイター・ハーモニー』の女秘密結社・ジョーカーレディの偽名だな! 25年も前の特撮なのに、よくその美貌のままだな!」

「なっ・・・なぜそれを!?」

丙先生が逆におののいている姿に、逆に教頭先生は驚いてしまう。

「えええっ!? 丙先生!」

「ち、違いますよ! 当時その特撮でウチの母が役をしていたんです!」

「なるほど、血は争えんようだな」

 丙先生は一瞬、葉柴崎先生の声かと思ったが、ミナこのセリフで焦る。


「うるさい! とにかく、しばらく貴方の担任は私だから、そんな魔法少女だのフザケた考えや破天荒な行動、特に少女らしくないその言葉使いは、絶対許しませんからねっっ!」

「いえ丙先生、その・・・」

 ガードが丙先生に話しかける。

「学校の財政補助およびこの地域は、ミナこ様と我々薪島重工こと薪島家が保有していますので、原則度を過ぎた注意は止めて貰いたいのです」

「ええっ!?」


 そこへ更に教頭が駆け寄り、丙先生に耳を打つ。

「それにミナこさんは、ああ見えても成績は学年トップで、魔法少女を名乗りながらも、地域社会を助けた事もありましたし、なにより校長が、薪島重工の元副社長なのです」

「なっ・・・なんてこと、まるで一昔のギャグ漫画の主人公じゃない!・・・」

「一昔の漫画なら貸すぞ丙! 漫画喫茶も経営しているからな!」

「別にいいわよ! さあっ! もうとっくにホームルームは過ぎてるのよっ!」

「特に魔法少女物なら即日自宅に無料配達してやるぞ! まずは手始めに黎明期の『魔法使い少女・リーザ』や『レモン・幸せの魔女』から行こうか!」

「レモン!? 阿山先生の・・・ハッ! 失礼します!」

 一時間目のチャイムが鳴り響き、丙先生はミナこの片手を掴んで急いで校舎へ戻って行く。しかし丙の頭の中にはレモン放映当時の懐かしい日々がめぐり合っていた。

「痛いだろ丙! フフ・・・『レモンに任せて!』」

「ま・・・『マジカルヒート! スクランブルうううう!!!』うおおお!間に合えー!」



Bパート・この魔法少女は巫女と手を組んでいます



 こうして、ダイナミックに茶ノヶ崎中学・2年夢組へ登校してきた薪島ミナこ。

 教室に来ると、彼女の机だけ飛行機のファーストクラスの様な豪華な机と椅子

になっており、そこにほとんどの荷物が置き勉されていた。


 祈里の席はそんな窓際中央のミナこ席の一つ後ろにあり、対照的に貧相ではあるが

それでもこの学校は薪島重工の私立のため、オフィスデスクの様な鮮麗さ夢組の

32人生徒を含めた、茶ノヶ崎中学は全て最新のオフィス向けの設備が施されていた。


 そして2時間目の授業が終わり、ミナこと祈里がいつもの様に休憩時間の雑談を始める。

 祈里は涼し気な制服で、ミナこは今日の気分で自称・成功した学校への初飛行に浮かれてか、魔法少女の服装のままだったので、可愛く装っても防具・ジェットパックでガチャガチャしており、ススもまだ残っている。


「祈里君、教科書貸してもらってごめんなさいな! なんか知らないけど持ってきた数学の教科書が黒焦げになっててな」

「…そりゃ、あ、あんな勢いで箒に乗って飛んできたのなら、箒に付けていたかばんの教科書なんて…」

「むー…どうやら、防火にあのかばんの素材は向かないようだったよ」

「ミナこ…それよりさ、丙先生に担いでまでもらったし、謝ったら? 次の3時間目の授業は丙先生の国語だし。丁度いいんじゃない? 初対面がロケット噴射…いや、魔法少女の初飛行なんて、何も知らない一般人はびっくりよ」

「祈里君、新人教師でも、ここの薪島重工・奨励地区の薪母市まきしまむしと私の存在を知らずになぞあり得るか? 更にあの性格は真面目でも体が男を寄り付ける先生が、裏なく教師になるとお思いか?」

「…そうね、この1年半程アンタに付き合って、あたしの考え方のほうが郷に従っていない様な気は時々するのよ…(まずい、ミナこお得意の現実歪曲フィールド、又はゲシュタルト崩壊だわ…)」


 ミナこの最大の魅力であり魔力とは、精神科学的に言う『ゲシュタルト崩壊』であった。

 ミナこはこれを『忍法・八百方はっぴゃくほう美人の術』と魔法少女関係なしな名前で呼んでいる。

 なぜそれに値するのか、それは富と科学と権力で魔法少女を名乗る彼女は、これまで魔法少女を否定する者は粛清し、自分の魔法少女と魔法の夢に繋がると考えた存在は次々会社がらみで回収して来ている。

 この悪く言えば独裁な姿勢と人に認識の再構築を埋め込ませる『魔法』行為が、一般人の認識を混乱させるために、ゲシュタルト崩壊と影で呼ばれているフシがミナこにはあった。


 更にミナこの富と権力の原点は、薪島重工社長であり、この学校の校長、そしてミナこの世界で一人しかいない四十代後半の父親『薪島奨一しょういち』であり「信じる心こそが魔法」と教わって生きてきた。

 そんな彼女の魔法研究が父の会社・薪島重工の新製品として還元されるため、世界がここ数年で徐々に賛同に包まれ、そして現在は祈里の貧乏で魔法をひた隠す真逆の人生にのしかかる。


 だが不思議と腐れ縁の様に祈里はミナことの友達関係が続き、そして学校からは薪島・特別生徒奨学金として、お金以外の福利厚生待遇も受けていた。

 こんな日々が続けば、祈里の気持ちもたるんで隠している魔法を明かしたり、自分も魔法少女を…とつい考えてしまうが、それはイコール自分もバカの仲間入りとして、頑なに内面は断ってきた。

 しかし彼女にはミナこの様な、良くも悪くも夢や目標がない。むしろ可能性を押さえつけて、ごまかし続けて来た。

 それを時々振り返り、そしてマイナスの面にそれが働くことが彼女にはあった。


「それより見たまえ祈里君! これは最近見つかった55年前の貴重な少女漫画の

魔法を扱うマンガの連載雑誌で…」

「(…やばい、まーた下手すると危なそうな貴重品を学校に持ち込んじゃって…)」

 ミナこが取り出した本は黄ばんでおり、中身も昭和の古めかしい内容だった。

 こういった範囲からも研究するミナこは、どんなにマイナーでも文化的なものは

大切にする傾向があった。それにまだ気付かない祈里。


「あ、それ後でいい。今季のアニメについてだが」

「まーたダメ出しするの? 私見ないって言ってんのに・・・。(実は隠れ

オタクで、それなりに見ているけどね…)」

「いやねー、もー、最近まーた魔法少女ものが増えたのだよ」

「へ~(私の内心的には、いやだな…)、良かった…」

「んじゃねーーーーーーーーーーーーーーーよ?(ニッコリしながらダンッ!

とシャーペンを祈里の机に刺す)」

「あそ…(あっ、この儀礼はミナこが何か通ぶりたい時のマーキング・・・)」

「みんな安易なんだよ。なんとまあ、突然の出会いで魔法使えるようになっ

てばっかで、何の努力もないッ!」

「それ百回は聞いたわよ。仕方ないじゃない、ミナこみたいにみんな魔法が科学ほど具体的な根拠が無いんだから、使える前提しか設定画無いのよ」

「なら一見したい! 伝説上の魔法とは? 私のアイデンティティとは!?」

「また難しい方向に・・・(私の魔法も・・・)」


 その瞬間、祈里が軽い回想をする。


 祈里の自分の体重分、宙に浮かせる重力魔法は生まれつきで、代々早乙女家の女はこの能力を持って生まれているとされる。

 当然外部には流していない秘密だが、祈里はそれで時々、車に惹かれそうな猫を

助けるなど、こっそり使っていた。ミナこには秘密である。

 この世界には、他にも似た、本当に魔法を持つ人がいるらしく、夢のためなら命も惜しまないミナこが、それを知るとどうなるのか、不安で不幸な魔法少女縁ばかりだが、それなりの日々を送っている祈里であった。

 でも取り合えずは友達だから、ミナこを信じている。それが何とかしてくれると信じて。


「あっ! 祈里君よ! なんか数秒、回想シーンもどきしてたっしょ!?」

「ハイハイ!・・・でもまあ、ミナこは今の姿勢で十分だと思う。だって3次

元のリアルで魔法少女でしょ、ミナこは」

「私は、この3次元世界もマンガ世界と同等だと感じているのでな。だからそろそろ、魔法的な『根源が分からない力』が目の前に現れてほしいものだよ、マッタク」

「(うるせえ…ったく、ミナこにちょっといたずらしてヤレ)」


 すると、祈里は重力魔法をこっそり発動させ、半開きだった近くの外側の窓を

そっと全開させたかと思うと、入ってきた風に合わせて更にミナこの大切に

持っていた古い漫画雑誌を窓の外へ浮かして教室の奥へ飛ばした。


「!? ああっ!!! あたしの宝が!! タクミちゃあああああああああああんんん!!!」

 するとミナこは、持っていた一般的に言えば魔法のステッキこと消防斧で出来た『匠ステッキ』の先の引力ワイヤーを発射し、本を釣りで連れた魚の如くキャッチした。

(キラキラリンッ!! ガシッ!! シュパアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!! パシッ)

 匠ステッキは魔法少女に恥じぬよう、発車時にはキラキラリンッ! と音が鳴って、

ピンクのワイヤーがしっかりLEDライトが光放って、リールキャッチを釣りのキャッチや

工事現場のワイヤーが外れたようなムチ感を出さないように放っていた。


 その狩人が鳥を捉えたような手捌きにやはりかなわないと感じる祈里。

 だが、先程のイタズラ心は祈里にとって、たまに増幅するミナこへの恨み心が魔法として暴走することの前兆でもあることを彼女は気付いていなかった。


「ったくあぶねーな! まだ変身解いてなくって良かったぞマジで!! 窓を設計した薪島ウィンドウ支部はなにをやっとんだ! 薪島南極支部へ送ったるぞ!!」

「…(セカイヲギョウウジルガ、ショセンハニンゲンノ、ミナコメ…ユダンシテイルガ、ツギハソウハサセナイ…)」

 ミナこは気付いていないが、祈里の表情が明らかに曇り、そしてぶら下げて隠している

手つきが、力強く鳥足の様な構えで力を放つと、ミナこの持つ雑誌のページが震え出した。


「でさあ! ここの矢崎って今は大御所の相撲漫画家の先生が、少女漫画家時代に描いたのがまほ…」

(ビリッ! ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン…)

 魔法と言いかけたのと同時に、雑誌のページの1枚が破れ、窓の外に飛んでいった。

 そして瞬間に祈里が我に返ってミナこを見上げた。同時に真っ青になっていたミナこ。

「まほっこ!!まほっこサリバンがあああああああああ!!!!!!」

 同時に外を振り返る祈里。

「えっ!? あっ!! ページが外に! 外に飛んでんじゃない!!!」


慌てて祈里が重力魔法を目掛けて放つも、ミナこがいる前だからか上手く届かず、ページは風に運ばれて遠くへ飛んでいった。

「変身解かなくてよかったパート2!!! ごめ!! まず授業サボる! 次に祈里は危ないからそこ離れてるがいい!!! 3つ目は…」

その慌てるミナこに気付いてクラスメイト達は教室の廊下側に逃げ出した。

ちなみに、うっかりしていた祈里はまだその場でミナこに話していた。

「み、3つ目は…?」

「あたしが今から、全魔法少女文化の礎を背負って、翼をマジまじりょく

最大で掴みに行くううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!」


(ゴゴゴ…シュボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!)


「え、ちょ!? うわあああああああああああ!!!???」

 祈里はミナこの翼という名のジェット噴射による、学校の窓からの出撃に巻き込まれて倒れてしまう。

 逃げていた生徒達が祈里に駆けつけた。

「祈里ちゃん、大丈夫? まあどうせこの学校のことだから、ミナこさんに関することは

全部私らの不注意になるけど…」

「制服が焦げてる…でもそんなことよりミナこが心配! 私には何も出来ないの?」

「なんでだよ? 早乙女はミナこの超人さを知ってるだろ?」

 そう言う男子生徒の意見に祈里が言い返す。

「…それ故よ、あんな半世紀前の紙を破いてしまいそうで…」


行動力は幼女とは思えないハートを持つミナこは、自らの飛行で飛んで行った、欠けたページを取りに行こうと飛び立ち、まず薄く小さく遠くへ行ってしまったページを探るために、古臭いガリ勉キャラがかけているようなグルグル丸メガネ型の高起動サーチ&サーモグラフィ『中の瞳は綺麗1号』で視界を強めた。


「魔法少女でメガネアイテムはボツなんて開発には散々行ったが今は仕方ないっ!!

ジュワッ!! む、見えはした、ここから800メートルも先か! だが不思議だな…ページの周辺に若干だが、人の体温に近い痕跡がある…。あれは自然に破れたのでは?…」

 更に問題としては、速度はすぐに飛ぶページの近くにまで追いついたが、今度はミナこの飛ぶ勢いでは、ジェットの熱量にページが巻き込まれて、燃えてしまうか、魔法で掴むという名のワイヤーアクションでは、流石に紙単体だと確実に破れるという、強すぎる科学技術故の問題点があった。焦るミナこ。


そして直ぐに数十メートル近くへと飛んで届くが、祈里も予知していた危機がミナこにもよぎった。

「悪運は続く!! 翼も匠ステッキも強すぎてあぶい!! これは…これはまずいぞ…。

繊細さ、今私に必要なのは1ミリ以下の綿毛のような繊細さ!!!」

油断をすると、またページが遠くへ行ってしまうことに危機を感じたミナこは、どうすれば繊細な綿毛のようになれて、ページを取れるのか血迷っていた。

「あの、まほっこサリバンの扉ページ…あそこには…大昔のマンガ界で少女向けマンガを描かないと、デビューできなかった時代にあの矢崎先生が無理をして、ヨーロッパのお姫様を描いていた幻の…あの先生の経歴にも非公式になった存在…でもあたしは知っているぞ!! 扉ページのヒロインの父親がどう見ても相撲取りの体格をしていたという真実をーーーーーーーーーーー!!!」


 そんな時だった。後ろから薪島重工のピンクで覆われた塗装のヘリコプターから、あの祈里が手を降っている光景をミナこはすかさず気付いて振り返った。

 ミナこの側にヘリが着くと、扉が開いて祈里が顔を出す。

「ミナこーーーーー!! 無茶しないで!! 何でも一人でできると思っちゃダメよ!!」

「祈里…!? おいこら!! ガード共!! なーんで素人なんか呼んだんだ!!!」

「いえミナこ様…祈里さんがどうしても乗せろと…」

「ええっ! 祈里君よ!? アンタが何してくれるっていうのだ!? 実はハトを飛ばす手品が得意でしたってオチは、無理そうに見えるんだがねーーーーー!!!」


 祈里は焦っていた。とにかく縁の力でページに近付いて、重力魔法で受け取ろうと思ったが、予想以上にヘリの内部から、ミナこの側など、障害が多く、そして急いで実行しないと地上に返される危機があるからだった。

 迷った祈里は表情を引き締めると、側の薪島家ガードマンに声をかけた。

「…ガードマンさん、ジェットパックありますか!?」

「えっ、なんだね急に!?」

「あ、あたしも!! ミナこと同じ魔法少女として飛んでページを挟み撃ちのように

押さえ込めば、取れる確率が上がると思うんです!!(更にそこへ重力魔法で確実に!!)」

「なるほ…」


 だが、鬼のような形相でミナこがその祈里の手段を突っ返した。

「飛ぶ手段と魔法少女を足すなあああああああああああああああああ!!!!!」

「ミナこ!?」

「ミナこ様!? では我々の薪島重工・スカイダイビングパラダイス部が…」

「祈里!! あたしが怒ってるのはなあ!! その安易な姿勢だよ!!! 外でトイレがなくても、オムツ履いてるから出しちゃえ的なな!!!」

「ミナこ!? 言ってる意味下品で嫌だけど、私が安易に魔法少女で飛ぶことって言ったから!?」

「もう半分足りねえ!! 更に魔法少女ってのはなあ!! これまで少女のスーパーヒロイン像として数多くの人々から創造、創立されたジャンルの存在だ!! スーパーなんだよ!! それが一般人の祈里に救われるようじゃ、後で君に笑われる未来が見えるんでね!!! お分かりか!!!」

 ミナこの普段、富に隠れて見えない努力の姿勢にハッと気付かされた祈里。

 付近のガードマンにもその心意気は改めて突き刺さった。


「私が一般人…ミナこには、ホントにそうとしか私が思えないのね…」

「ああ、だって祈里っていつもクールで冷静沈着なフリしてるけど、

実はそれだけしか無いってこと、あたしが気付かないとでもお思いかい?」

「(ミナこったら…それはそれで嫌な返しね…。当面バレないことは確かか…)」

 その呆気にとられた周りの反応に、満足したのかニヤッとしたミナこはとにかく飛んでいるページに近付くが、やはり古い紙質は風の勢いだけでも破れる寸前であることが伺え、豆腐を箸で崩さぬよう食べるのが無茶な行為と同等とも言える光景だった。


 そんな中、ミナこは飛んでいるページにあと少し、腕を3本分伸ばせば届く範囲に届いた時に、あることに気付く。

「クソおっっっ!!! あと少しで届くというのに!! でも指で摘んでも

風邪の勢いで千切れたら・・・ああああっっっっくっそおおおおおおおお!!!

・・・ハッ!? クソ!? ・・・クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ

クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ・・・・・・・・」

「・・・!?(何ミナこ? さっきから無表情で死んだ魚の目をして、何か呟いてる?・・・)」


そしてつぶやき終わると、決心したような食いしばった顔つきで、ミナこは更にページヘ接近し、遂に手の届く範囲に来た時、クソを連発していた真相を目の当たりにさせた。

「ああっ!! 指が私にささやいている!! 力を貸してくれると!!!」

そして素早く右手人差し指を右鼻穴に一瞬ぶっ刺し、みっともない光景の後にミナこは、一挙にページの手が届く距離まで接近。そして…。

「おお!! ミナこ様が鼻に魔力を宿して、距離を詰めたぞ!!」


(きらきらりんっ)

 ミナこの右手人差し指先は中央の小さな黒いコアを中心に

透明な液体がキラキラ輝いている。


 当然祈里も目撃しており、

「は・・・? ミナこ…まさかそれって…」

「キラメケッッッッッ!!!!! アタシの水と誇り被った毎日から生まれし魔法!!

ううううううううう『ウォーター・ノーズ!!!!!!!!!』うううううううう!!!」


(ピトッ)

(パラッ…ぱしっ!!)


「キャッチャー・イン・ザ・ミーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!」

 雄叫びを上げるミナこに、祈里の予想は大的中していた。

「自分の『糊』で解決したあああああーーーーーーーーー!!???」

 祈里が呆気にとられていると、ヘリの中のガードマンが歓喜を挙げた。

「やりました! やりましたぞ!! ミナこ様ああああああああああ!!!」

 ミナこの人差し指にはページの切れ端の角の一つがしっかりくっついており、その粘着性の魔法からページを離して、大事そうに防弾チョッキ風の上着のポケットに

仕舞いこんだ。

ミナこの体を張った見事ながらも魔法と呼べると思えない発想に、祈里は今回も

呆れるばかりであった。


 そしてミナこはジェットパックと言う名の翼でヘリに飛び戻って来た。

 だが、彼女の魔法少女のパフォーマンスはまだ終わっていない。

「ガード共!! 今の機会に今回で157回目の箒星特訓を行うぞ!!」

「はい! 射出致します!!」

 すると、ヘリコプターの下から朝ミナこが乗っていたジェット箒とほぼ同じ型のメカメカしい箒が太いワイヤーで吊るされて展開され、ミナこはそれに飛び乗った。

 が、すぐにミナこの良い気分は怒りに変わることになる。

「あ、馬鹿者!! 後10メートルは高度を落とさんか!! あたしが気流に流されて地面と

ご対面だろうこの野郎!! 安全面だよ安全ッッッ!!!」

「し、失礼致しましたっっ!! 高度を下向致します故、しばしお待ちを!!!」

「(あ、もう11時40分とか…貴重な授業時間が…ミナこったら、帰るまでが

魔法少女なのね…。助けようと思ったけど、来なきゃ良かったかな…)」


 祈里がミナこの心配に付き合ったことで、貴重な授業時間が過ぎ、正午の昼休み直前になっていることを後悔していると、ミナこからの無線がヘリのスピーカーから入る。

「祈里君よ、応援に駆けつけてくれたこと、感謝するぞ」

「ミナこ? あ、まあでも3週間前、アンタが休日ハイキングに出かける招待を受けたら、

ピレネー山脈に眠る古代に祀られた琥珀を取りに行くのに、着いて行く羽目になったことを考えたら千倍マシよ…」

「い、祈里様! ミナこ様にそのような否定は…」

「ハハハハハ!! 気にしてなんかいないぞ! 祈里は私のお友達の中で一番長いのと同時に向き合ってくれるのだ!! 私が世間と祈里から奇異な目で一見されていることなぞ、承知の上!! 自分の体一つの人生の道に、他人はどれだけ頑張っても傍観者でしかないのだ!!!」

 ミナこは一方で、こういったとても幼女とは思えない、この世を見据えた卓越した精神もある。

祈里はこういったこともあるため油断が出来ず、ミナこを金持ちの道楽子供とも思いきれないのだった。


「祈里も魔法少女になりたいのだろう? さっきの飛ぶ理由を私に遠慮して魔法少女なんて言い逃れはマジカルクソ許せないけど、同じ夢とライバルとしてなら伝授してもいいぞよ?」

「(あ、あんなメカニカルな女子中学生なんて…)お、お断りします…」

「フフフ…まだその可能性を傍観者として抑えておくか、早乙女祈里よ…!?おおおおおっっ!!??」

 ミナこの乗る箒のワイヤーが強風に揺られて煽られている光景がヘリの下向カメラで見える中、祈里は仕方なく、また重力魔法でミナこの重心を支えてあげた。

「ぎゃああ!!?? 北風さんが味方してくれねええええええええ!!!???」

「(…重心のミナこだけなんとか支えられそう…全くもう、アイツに財力とたまにある大人な心境が無かったら、ただの社会不適合者じゃない…もう、憎めないんだから…)」

 ヘリは日中の太陽に照らされながら、ミナこのぶら下がるシルエットと共に茶ノヶ崎中学へ帰っていった。


 それ以降の午後はぶっちゃけると普通で、ミナこもその日は疲れたのか、午後からは普通の女の子に戻るとして、午前中の行いが嘘であるかのような、普通の制服を着て似合わない丸メガネもかけた自称・普通の中学2年生の女子に戻った。


「祈里ちゃーんおまたせっ!! 人々に隠れて魔法少女をしているのは大変~!! もー汗かいちゃって、また今日も『美少女編成・アーミテージ』の目に入っても痛くないいちごシャンプーでシャンプーしないと!」

「…そ、そう、そうだね! ミナこちゃん…アハハ(ったく今日は特に洗っていない柔道着の臭い系と火薬の臭いでヤバイのよアンタ!!!)」

 が、やはり無理があるため、すぐにミナこは小声で本心をむき出しにして囁く。

「…なによ、もっと私の魔法少女形態を知る数少ない存在として、心配と疑いの目を持たないと、この役成り立たないんですけどー」

 結局祈里には、どうであれミナこの存在は疲れるばかりであった。

「…(ムカッ)」

 強いて変わらないのは、相変わらずのミナこの祈里への一方的な魔法少女とオタク知識の自慢、自分の家が雇っている学校の教師への傲慢な態度ぐらいだった。



 しかし、言い方が悪いが、利益的な面もある。

 それはその日の学校の放課後、すぐに職員室へ薪島家のガードマンから呼び出され発覚する。

「早乙女祈里様、本日はミナこ様への奉仕が目立ったため、粗品を差し上げます」

 放課後、たまに祈里のミナこへの印象が良いと、ガードマン経由で粗品として金品が手渡されることがあるのだった。


 封筒の中身を祈里は見ると、福沢諭吉の顔が十枚前後束ねられているのが伺える。

「き、今日の分は寄付かなんかで構いません。確かに2ヶ月前に1度、祖父の持病の治療で助けていただきましたが…。でも何度も言うようですが、もらうような立場の人間でもありませんし…」

「早乙女家のご家族が祖父様だけで、そちらの預金も今月の収入分は早乙女家平均収入の

30万円を特に下回ると確認できた以上、放っておくわけには行かないのです。やせ我慢はなさらないように…」

「人の家を勝手に調べないで下さい!! いくら世界的なお金とツテがあるからって…!!」

 すると、普段は無機質なガードマンの一人が、その日は急に個人の感情で動くように、祈里に一人の人間として、ミナこに関するある情報を囁いた。


「…ミナこ様は『逃れるために魔法少女もしておられるのです』」

「…えっ? どこから、なにから…?」

「我々薪島重工はミナこ様が現れる数十年前、世界的な科学軍事産業を今以上、世界の6割近くをシェアしていました。しかし、社長ことこの学校会長・薪島奨一様にミナこ様が現れてからは、今の平和的な科学産業の発展に貢献できるように会社が変われました。

 そしてミナこ様が魔法パフォーマンスを披露することで、薪島重工に軍事参入を要求する組織は理解に苦しみ交渉出来ず、更にその魔法的技術が社会の貢献へと繋がる…。午前中の箒のバルスジェットエンジンも風圧を抑えた一人用のものとして、開発が進んでおりますから。…中学生では、難しいですかな?」

 祈里は首を横に振った。だが、それは別にミナこ側に同情しただけではなかった。

「科学悪用から逃れるためにと…ミナこが自分をテストパイロットのようにして、平和的な兵器の流用使用をしているのは国際的なニュースなどでよく知っています。

 でもお言葉ですが、ミナこも言う、魔法という空想の産物なのに、夢と目標にして科学と富で装っている。それがどうして魔法少女なのか、私には理解できませんし、そんなミナこを狙う闇の人々もいるのは当然だと思います」


 ガードマンは沈黙化する。

「友達として付き合うのは私が中学生になってからだから、1年以上。最年長の友達の視点からすれば、ミナこはただのバカ友なんです。

 でもって私はミナこのベビーシッターではありません。でもこれからもずっと均等な関係で支えあっていければなんて思ってます…」

「…分かりました。また困ったことがあれば、お伝え可能なことや金銭的な援助を致します」


 すると、側で聞いていた丙先生が怯える様子ながらもガードマンと祈里の元に

近付いた。

「お、恐ろしいことを聞いてしまいました…薪島ミナこさんとは、そのような独善的な支配をまだ中学生にも係わらず、行っているのですか!? ミナこさんの噂は知ってはいましたが、まさか学校内でもパフォーマンスを行い、黒い噂もあるとは…」

「丙先生!? だ、大丈夫ですよ! ミナこは迷惑なことも多いけど、基本的には正義の味方ですから!!…多分」

「いえ祈里さんっ!!俄然やる気が出てきましたよっ!! 私も新たな教師人生として、この様な困難に出会えたことは、逆に感謝感謝です!! では! 私は教員会議があるのでこれで…」

 丙先生は競歩のようにスタスタと歩いて、職員室を去って廊下へ行った。

 そしてガードマンも持ち場に戻るため、職員室をさろうとする手前、祈里に一言語った。

「祈里さん、丙先生とやら、気をつけたほうが良いですよ。我々の調査によると、所謂産業スパイである可能性が高いのです。では…」

「ま、まさかー! ハハハ、そんな…(…ホントにお金持ちは大変ね…)」

 そう聞くとその日の祈里は一人、自宅の神社へ帰宅した。



 今日の祈里の日記はここまで。相変わらず今日もミナこに関する話題ばかりが描き連なって、自分の話題が少ない祈里は一人机に俯いていると、祖父が祈里を呼びに来た。

「祈里よ! テレビにミナこちゃんが写っとるんじゃが… 」

「ほぼいつものことでしょー? 先週土曜日にミナこのお父さんの会社がニューヨークで株主総会を開いて、パフォーマンスでミナこが空飛んでさ、中継で態々あたしを名指しで叫んだのよ!! しかも内容は『祈里くーんっっ!! 明後日月曜日に借りてた【世界の珍獣図鑑】返すからなー!!』って何なのよ!! ったく…しかも互いに返す件は忘れてたし…」

「確かに先週土曜日の中継の再放送じゃが違う! いいから来なさい!!」

 そう言われて、祈里が祖父に急いでついて行くと、やはりミナこが飛んで祈里個人を全世界中継から呼びかけた再放送が写っていたが、祖父はこの放送である違和感に気付いていた。


「ホレここじゃ!!」

「あっ! はいはい(ピッ)ミナこが高いビル横切ってるだけじゃ…」

祈里がテレビの場面停止ボタンを押すと、ミナこがビルことダブル・エンパイア・ステート・ビルを横切ったまさに瞬間、ぼんやりとだが何かよくわからない人影が、複数映っていた。


「うわっ!? ミナこがスケート選手が回転している瞬間の険しい顔みたいで、ぎゃははは~!!」

「これしっかりせえ! 今見た再放送で気づいたのじゃが、このビルのてっぺんの人影の様なもの。これはわしらと同じ裏歴史と結びついた存在であることが間違いないのじゃ。

 人のような姿であるが、影を見るからにたくさんの装飾がついておる。…注意した方がいいぞ、この者達は明らかにミナこちゃんを狙っておる」

 祈里はその人影を凝視する。よく見ると一人、顔と思われる箇所が明らかにミナこを睨みつけるようなシルエットで写っていた。


「…ま、分かった。じいちゃん、今後こういった裏歴史の人達が襲いかかってくる時、同時に私もこの神社にまつわる魔術に関するものも必要になる時が来るかな…」

 すると祈里の祖父は真剣な顔つきで祈里を見つめる。

「ワシは何度も言うようだが、祈里の魔法と呼んでいる能力は祈里に限界が来れば外に話して良いと考えておる。それこそ、あのミナこちゃんでものお…」

「…あの子はこの世で一番教えたくないんだけどね…でも私はミナこを放っておけない。ああでも友達だもの…」


 祈里がミナこの心配をしている一方で、ミナこは今日も日々の特訓を薪島豪邸の自分の部屋で行っている。

 可愛らしいピンクが基調のお姫様のような部屋の中に、不自然にバーベルやトレーニングマシンが陳列しているのが証拠と言えよう。

 その中でミナこはパジャマ姿で、豪華なベッドの上で巨大なバーベルを枕に疲れていたのか眠ってしまっていた。

「ううーん…今週は『魔法革命・ヨハンナ』の製作会社を版権ごと回収…変身ポーズの189個目を新調…祈里を生贄に…」


 魔法使えない少女ミナこと魔法使いたくない少女の祈里。

 こうして、二人の真逆の少女は現代社会の科学と裏歴史の魔法やオカルトとの、真逆の関係と同じようにお互いの様子をうかがいながら突き進むことになっていく。

 ミナこの超凝縮したオタク性の支配力か、それとも祈里の魔法という真実を知る影の支配力なのか。

 友情で繋がりあった二人の日々は両者一歩も譲ること無く、今日も偽物と本物の魔法がぶつかり合う…。


「ムニャムニャ…うーん!! アニメのヒロインは現実では助けてくれない!! だから魔法少女は自らなるもの!! 魔法少女ミナこ!!! …グ~~ーーーーーー…」



 魔法使えない少女?ミナこ! 第一話・完



最後までご閲覧をありがとうございました。

ご意見・ご感想・修正点要望がありましたら、ご連絡下さい。


初の連載小説なのでご不備があるかもしれませんが、

ミナこをよろしくお願いいたします。

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