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恐怖探究  作者: 篠田堅
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鉄棒

投稿者:高校生Mさん

 幼い頃、私の通っていた小学校には二種類の鉄棒がありました。

 一方は逆上がり等をするため用の高さのモノ。もう一方が懸垂等をするため用のかなり高いモノでした。

 体育の授業では前者の方のみを使うことがほぼで後者を使う事はまったくありませんでしたが、休み時間になると何人かがその鉄棒を使いに現れていました。

 ただ、その鉄棒はあまりにも高い位置に棒があるので相応の運動神経がないと掴まれないために遊ぶには長続きしない者も何人か居たそうです。

 誤って鉄棒に落ちてしまっても安心なようにその鉄棒は砂場の上に建てられているので落ちて大きな怪我をしたという人はいませんでした。


 私が小学三年生の時、給食後にある昼休みの時間で女友達と一緒に高い鉄棒で遊ぶ事になりました。

 当時の時期では体育は鉄棒の項目に入っており、逆上がりがうまくできるとカッコイイという風潮が表れていました。

 さっそく鉄棒にたどり着くと友達が「私グライダーができるようになったよ!」と私に自慢気味に話してきました。

 グライダーとは鉄棒の上にいったん立ち、開いた両足の間の鉄棒を両手でつかみ、そのまま後ろに振り下りて鉄棒の真下に行っても手を離さずに体が前方に振り出された状態で手を離し、振り跳びのように前方へと飛ぶといった難しい技でした。

 さっそく御披露目すると言わんばかりに友達は鉄棒の上に立って初めの姿勢を取り、私に向かって「いくよー!」と言った瞬間に始まりました。

 技がうまく出来ていたら私は友達に拍手をして誉め言葉を送るはずでした。

 友達の姿が鉄棒の上でぶれた次の瞬間、


「ぎゃああああああああああああああああ!!!」


 激しい悲鳴を上げたのです。

 友達は鉄棒から離れずにじたばたと酷く暴れながらぶら下がっていました。

 鉄棒に絡みついた自分の“髪”によってです。

 この世のモノとは思えない地獄からうねってくるような悲鳴で私はこの場から動くことすらできず、そのまましだいに静かになってびくびくと痙攣し出す友達の姿を唖然と見つめるだけでした。

 

 その後、悲鳴を聞きつけた高学年の人が慌てて助けに入ったことにより、友達は下から支えられて最悪の事態は回避しましたが、私はその時に鉄棒に絡んだ髪が捻れて私の方へと向いた際に見てしまった友達の顔を一生忘れることはありません。

 額部分の頭皮が血を流しながら捲り上がり、上へと引っ張られた皮膚によって白目を向きながら笑ったような顔をしていました。あれほど強烈な顔はこの先一生見られる代物ではないでしょう。

 ですが私にはあの鉄棒が何やら得体の知れないモノに見えて恐ろしかったです。鉄棒に何というか魔が宿っていたとかそんな感じでした。


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