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恐怖探究  作者: 篠田堅
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コーヒー

投稿者:宅配便業者Jさん

 Hは同棲している彼女のCという人がおり、朝食はいつも彼女に作ってもらっていた。

 夜遅くまで仕事に行く彼にとって、毎日出される目覚めの一杯のコーヒーは重宝モノであった。

 あくせく働きCとの時間を大事にすると交互にするのは大変なことではあったが、いつの日か家庭を持ちたいと願うHにとって望むべき未来のためには踏ん張る事が出来た。

 

 残業帰りの帰宅途中、Hは電車の中で胃に違和感を感じた。

 酒を飲んだりせず、適度な食事生活を送っている筈なのに、彼の胃はシクシクと小さく痛みを感じる。

 しばらくすれば直ぐに収まったので、この時はちょっとした身体の不調だろうとHは考えた。

 だが腹痛はその次の日も、また次の日も時間を関係無しに起こるようになった。

 胃腸薬を飲んで腹の具合を整えたりして痛みはどうにか収まるが、それでも腹痛は起こるようになった。

 Cも心配してくれた。Hは気遣ってくれるCにすまなく思った。


 後日、Hは有給をとって病院で検査してもらうことにした。

 消化器官専門の医師に調べてもらうと腹の原因は至極簡単だった。

 胃や食道が炎症を起こしていた。あと少しほっといていたら胃潰瘍になる寸前のレベルだった。

 病名もわかり、医師に処方された薬をもらって安心して家に帰る事にした。


 Hが家に戻ると、その中は誰もいない。テーブルを見てみると、「買い物に入って来る」とのCからの書き置きだった。

 病名がわかったとはいえ、Cとは色々と伝えておきたいことがあったので少しタイミングが悪かったと思ったが、受け身として帰って来るまで待つ事にした。

 とりあえずもらった薬を冷蔵庫の中に仕舞い、今日一日は安静にする事にした。

 キッチンから離れる途中、何かが台の上に置かれているのが見えた。

 それはいつも飲んでいるコーヒーの容器だった。

 普段はあるべき場所にCが仕舞っているいるのに、この時だけは仕舞わずに放りっぱなしにしていったんだろう。


 Hはそう予想し、これくらいは自分が片づけてやろうとコーヒー容器を手に取り、いつもの仕舞われている棚を開けてそれを入れる事にした。

 奥へとコーヒー容器を突っ込み入れた。その時、固い物が手の甲に当たった。

 なんとなくそれを掴んで引っ張りだした。茶色い少し大きな瓶がHの手に収まっている。


 瓶の表面のラベルには“塩酸”と小さな文字で表示されている。

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