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恐怖探究  作者: 篠田堅
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水仙の花

投稿者:W君

 俺の近所にいる一人暮らしのばあちゃんは花壇いじりが趣味の人だ。

 よく門前の傍にある花壇で季節ごとに多種多様な花々を植えているのを見た。

 いつも色とりどりな自然の装飾には他の近所の皆さんにも有名だ。

 けど息子夫婦との仲はこの頃良くなさそうだという噂もあった。

 おばあさんは息子さんが結婚しようとする相手とは上手く合わず、おばあさん曰く「性格が悪そうでずっと一緒にいたくはない女だ」と言ってた。


 何度か息子さんの車が偶に来て夫婦でおばあさんの家へ訪れてきたことがあったが、その度にかすかだが怒鳴り合う声が聞こえていた。

 俺はできれば早く仲を良くしてもらいたいなと心配していた。

 

 冬が過ぎ、春までもう少しという季節の時期だった。

 俺はいつも通り家から出て自転車で学校に向かう途中、おばあちゃんと出会った。

 その時はちょうど植え替えの時期だったので、新しく買ってきていた水仙を植えようとしていた所だった。

 白や黄色や赤や青と様々な色の水仙が良く花屋で売られてる際に入れられている黒の柔らかいプラスチック製の植木鉢(ポリポット)に入っている状態の物が何十個も並べられている光景は圧巻だ。

 俺は「頑張ってください」と一言声をかけるとおばあちゃんは笑いかけて返事をしてくれた。


 植え替えが済んだおばあちゃんの花壇はあっという間に近所の話題になっていた。

 よくお隣さんや他の主婦の人達が「植え方にどういうコツがあるんですか?」とか楽しそうに聞いていたのを覚えている。

 もうすぐ桜の咲く時期だ。今度自治会で行う花見には必ずおばあちゃんも来てもらうようにしようと母親も意気込んでいた。

 それくらいおばあちゃんは人気者だった。

 あの日までは……。


 約二週間後、学校の一学期が始まって色々と学校の始業式を終えた帰りだった。

 なにやら騒がしい。この辺りに野次馬が集まっていた。

 一部の話に耳を傾けていると、「死体が……」とか「いつから……」とか物騒な言葉が飛び交っていた。

 道は野次馬によって塞がれていたが、俺は自転車を降りて道路の端を通ることによって自分の家へと帰ることにした。

 しばらく進んでいくと、警察が集まって黄色の停止線を張り巡らせている場所をついに見つけた。


 おばあちゃんの家だった。

 とにかく様子は荒々しい。特に門前には青のブルーシートを立てかけて絶対見えないようにされていた。

 俺はしばらく様子を見ていると、ブルーシートから鑑識官らしき人達が出てきて籠一杯にしたそれを車の中へと詰め込む姿が出てきた。


 激しい風が吹く。


 どこからか飛んできた桜の花弁とともに、あの水仙の花弁もまた一枚俺の足元に流れてきた。

 俺はその水仙の花弁を地面から摘まんで掌に転がしてみた。


 あの真っ白だった花弁はうっすらと維管束に従って“赤黒い色”を付けている。

 まるで人間の毛細血管みたいだった。

理科の実験で花に色を付ける実験を覚えてますか?

本当は茎から吸わせないと色は付かないんですが、昔からの植物に関しての都市伝説では血液だけは根から吸っても花は何故かその色を付けると伝えられてきているそうなんです。

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