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恐怖探究  作者: 篠田堅
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人形の恨み

投稿者:高校生Hさん

 子供の頃の私は人形を大事に扱っていなかった。

 昔持っていた人形は手足や首がスポンッ! と簡単に外れるタイプで良く首を捻じったり手足を逆に取り付けたりしてと人形遊びに反する遊び方をしていた。

 やがて歳をとるにつれて人形遊びをきっぱりと止める事にした私は遊んでいた人形達を段ボール箱に入れて物置へとしまう事になった。

 テープで固定し、頑丈に蓋が開かないように施して人形達は物置の深くにて眠りにつく。そうなるはずだった。


 三年後、私は家の都合で引っ越しをすることになった。

 新しい家へと持っていく元の家からの持ち物を分別していた時、ふと古びた段ボール箱が目に入った。もちろん例の段ボール箱だ。

 何が入っているのか忘れてしまっていた私は好奇心の赴くままに段ボール箱を紐解いて開けてみる事にした。

 蓋を開けた瞬間、私の目は驚きで見開く。


 段ボールの蓋の裏が“引っ掻いたかのように”ボロボロになっていた。


 慌てて閉めると私は急いでその場にあったテープで厳重に固定して二度と開かないようにした。

 気分がまだしっかりしている内、私はゴミ捨て場へと急いでその箱を置いていった。

 本当なら心霊的な対処をした方が良かったのかもしれないけれど、この時の私にはそんな余裕がなかった。

 

 引っ越しの準備は整い、いよいよ今の我が家ともお別れとなって家族全員で車に乗り込んでいった。

 引っ越し業者に残りの荷物を頼み、必要最低限の荷物を車の中に入れていた。

 しばらくすると、あのゴミ捨て場へと差し掛かった。

 何気なく窓からゴミ捨て場の様子を見てみた。


 “テープで固定していた筈の段ボールの蓋が開いていた”。


 背中に冷たい悪寒が走りだす。

 そのまま車はゴミ捨て場を通り過ぎていくが、何か得体の知れないモノがついて来ている気がした。

 気を紛らわせるべく、私はバックの中から携帯を取り出すことにした。


 “バックの中に何個か人形の首や手足が入っていた。”


 ようやく事の重大さを認識した私は近くにある人形供養のための寺にゴミ捨て場へと置いてきた段ボール箱を拾って来て家族全員で向かった。

 寺のお坊さんは丁重に段ボール箱いっぱいの人形を受け取り、寺の奥へと持っていった。

 人形達の供養は出来るだけ早くするつもりとのことらしい。

 これで私は安心だと思ったが、険しい顔をした寺の住職さんからの何気ない一言……。


「あの子達、まだ君を許すつもりはありませんよ」

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