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恐怖探究  作者: 篠田堅
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死体の話

投稿者:法医学者K.Bさん

 年間の溺死者は約1万4000人ほどと言われております。

 風呂場然り、川然り、海然り、水に関係する様々な場所でその事故は起こります。

 こうして引き上げられるのが水死体、通称「どざえもん」である。

 どざえもんの語源の由来は享保年間の力士「成瀬川土左衛門」が、色白で相当太っていたため、身体の膨れ上がった水死体をふざけて『土左衛門のようだ』と喩えて言ったモノが定着していったとされます。

 水を吸った死体というモノは本当にぐちゃぐちゃで皮を少しでも強く引っ張ればパンの練り立て生地のようにブチブチと剥がれ、身体の内側に溜まったガスが勢い良く放出されるのです。


 そんな死体を解剖する際、解剖医が注意しなければならないことが一つ。肛門部分から管を入れてガス抜きを事前にしておかなければならないと言われています。

 ガス圧というのは結構な力であり、処置を施しておかなければ風船のように破裂して内臓が飛び出すというのも珍しくはありません。

 うっかり背骨を圧し折ったりしたものならそのガスが口腔へと流れていき、声帯を震わせて死体がカエルの潰れるような声が発せられる話も有名です。


 そんな水死体、海や深い川で出来てしまった場合はしばらく沈んではいますが、上記のとおりに腐敗が進んでいくにつれて次第にガスが溜まって膨れ上がり、水上へと浮かんできます。

 なので水に関する行方不明者は遺体が帰って来るという可能性がとても高いのです。

 ですが、稀に海藻や水藻が身体に絡まって浮かんで来れず、最高1ヶ月は経つと屍蝋に変化する死体として出てくるそうです。

 某国では昔、海に沿った近村で水死体の処理で稀に見つかった屍蝋化死体を使って蝋燭やオブジェを作り、それを一部の富豪層に売り付けて生活の糧にしていたとも噂されています。


 *事実上での余談ではありますが、あの有名な福沢諭吉の遺体を親族が一つの墓にまとめるべく掘り返した所、屍蝋の状態で殆んど原型を保っていたともされています。さらに外へ出した瞬間、空気に触れると棺の銅が作用してその屍蝋を緑色に変色させたとのことです。

 遺体は親族の意向によってきっちり火葬され済みとの事です。


 ちなみに屍蝋は本当に蝋燭のように燃えるかと問われれば、結構燃えるそうです。

 それも普通の蝋燭のようにではなく、まるで可燃性燃料を足しているモノのレベルの勢いだそうです。

 つまり、死体と単に軽視できるものではないのです。かつては死体は次世代のエネルギーの可能性になるとも報道された時代もありました。

 つい最近ではアメリカでペンタゴンが戦場の死体を燃料として使った軍用ロボットの開発に着手していたとも情報が流れたことがありましたが、真相は未だ定かではありません。

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