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恐怖探究  作者: 篠田堅
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全部揃った

投稿者:主婦Aさん

 子供には大人にはない不思議な力が不思議な力が備わっていると良く聞いたことがあります。

 私達大人には見えないモノや感じられないモノを見たり感じたりといわば“超能力”という片鱗を見せつける行動を取ることがあります。

 どうしてこんな話をするのかと言うと、これから私が話す息子がした体験には言葉では説明できない何かがあると知ってもらいたいからです。


 息子のFが幼稚園に通っていた頃の出来事です。

 土曜日で幼稚園が休みなこともあり、私はFを連れて近所の■■公園に来ていました。

 ジャングルジム、滑り台、ブランコと都会の真ん中では子供達のための小さなテーマパークは太陽が真上に上がる時間帯には始終人が賑わう場所として知られていました。

 Fはその中でも砂場が大好きでよく砂遊びをしていました。だから公園に行く際は私もシャベルは欠かせません。

 Fにシャベルを託すと一目散に砂場へと走っていくのは見慣れた光景でした。途中転んで怪我をすることも度々ありましたがFは気にしてなさそうでした。

 砂場で遊んでいる間は私の方は大抵近所のママさん仲間と井戸端会議へと洒落込みつつ、Fの様子を時々窺うといったスタンスを取っていました。


 やがて夕方の五時半を知らせるサイレンが気こえ始めれば誰もが帰宅の準備に取りかかりますが、何人かの子供は「まだ遊びたい!」と駄々をこねる光景もよく見れました。大概あやされるか叱られて渋々帰るようになるのが躾として定番でしょう。

 Fも一時はそんなことをしていましたが、成長した今では大分しっかりした様子を見せています。


 友達に別れの挨拶をした後ほどFは砂場から私の元へと戻ってくるや、「今日はAちゃん(息子の友達)と遊んだよ」だとか嬉しそうに私に話をしてくれました。

 そんなFをみていると私も楽しくなり、話はどんどんと進みました。そんな中、私はFに聞いてみようと考えることが一つあります。

「今日も宝物見つかった?」

 Fは珍しい石を見つけると家まで持って帰る癖があり、よくポケットの中へと入れてくることがありました。

 なのでFの部屋の一か所にはそんなコレクション専用の場所があり、Fなりにきちんと並べて飾っているのです。

「うん、これだよ」

 さっそくポケットから取り出してきたのは小石程度の土で汚れた白い石でした。

 渡されて触ってみると見た目に反して意外と軽く、ガラスのように滑らかな石でした。

「これでやっと揃ったんだよ」

 私が小石を見つめているとFはそんな事を言って自慢するかのように再度ポケットに手を入れて取り出した。同じような石がじゃらじゃらとその掌に収まっていた。

 

 私とFが家に帰るやさっそく夫が私達を玄関で迎えてくれました。

 そのまま私は夕食の準備に取り掛かり、Fは今日集めたコレクションを夫に見せびらかしていました。

 キッチンからその様子を見ていましたが、夫はその石をしばらく笑いながら見ていると、何個目か調べるようにして指で転がすようにし始めました。

 するとその内、夫の顔から笑みが消え始め、石を真剣に見つめていました。

「F、そろそろご飯だから手を洗ってこい」

 唐突に夫はFへと手洗いの催促をしてリビングからFを追い出すように洗面台へと向かわせました。

 Fが見えなくなった所で夫はFから渡された石を右手の掌に乗せながら私へと近づき、「これFはどこで見つけたんだ?」と小さな声で尋ねてきました。

 私は「いつも行く■■公園の砂場だけど?」とワケが分からないまま答えると、夫は続いて「一度業者か警察に調べてもらった方がいいかもしれないな……」と呟くように言いました。

 どうしてそんな話になるのか全く理解できませんでした。

 思い切って理由を聞いてみると……


「これ……石じゃない。“歯”なんだよ。しかも人間の歯って約28本くらいあってここにあるのはピッタリその数になってる」


 思わず口を抑えてしまいました。

 石の正体もそうでしたが、何より驚いたのはFが帰りに言った言葉でした。


「全部揃った……」


 これは偶然なんでしょうか? 正直今となってはよくわかりません。


 ちなみに、あの公園の砂場は今では撤去済みになっています。

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