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恐怖探究  作者: 篠田堅
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コンビニ

投稿者:高校生Nさん

 俺が塾帰りに寄る駅前のコンビニは立ち読み防止が施されない雑誌棚があるということで結構重宝していた。おかげで終電ギリギリにまで過ごしてしまい、何度か遠い自宅から迎えに来てもらって怒られたことが何度かあった。

 コンビニというのは輝くほどの蛍光灯の光で照らされてはいるけど、よく中を見てみると店員が一人か二人いるくらいの寂しいモノだ。にもかかわらず、寂しさなどまったく感じられない不思議な力がコンビニにはある。

 だからこそ、“寄ってきてしまう”のも色々とあるんだと俺には思った。


 いつも通り、塾を終えて9時頃に俺はいつものコンビニに立ち寄った。

 店員が挨拶するのを尻目に俺はお決まりのようにジャンプやマガジン、はたまた単行本を読み始めるのだ。これで1時間以上時間を費やすのは当たり前だった。

 俺はしばらくそのままにしていた時、ふと妙な視線を感じた。

 雑誌から視線を外してみると、前方のガラス窓越しに中年ぐらいの男の姿が目に入った。

 俺の事をジッと見つめているから何だ? と思いつつ、再び雑誌に視線を戻す。

 けどしばらくしても視線は消えない。今度は雑誌の方に顔を向けたまま気付かれないようにゆっくりと視線をガラス窓へと移してみると、やはり男の姿はそこにあった。

 

 ひょっとすると、立ち読みしているのを注意しているのか?

 男の表情はよく見ると冷たい表情で、たまたま外にいて突っ立っているのには不釣り合いなモノだ。

 邪魔されて不快感を少し感じたが、一応マナーを重んじることも大事だと考えた俺は今回だけは立ち読みをここで終わらせることにした。

 その時読んでたのはサンデーで、こういう雑誌本は横にして積み重ねるように置いてある。

 なので腰を曲げて元に戻すという行為が必須になるから俺もそうして雑誌本を元の場所に戻した。

 そして元の姿勢に戻ろうと顔を上げた時、見てしまった。


 “雑誌棚の隙間から見えた男の体には下半身がまったく見えなかった”


 「そんな馬鹿な!」と驚きながら俺はガラス越しにいる筈の男の姿を元の状態で見てみた。

 男はどこにもいなかった……。顔を下げていたのは2秒くらい、さらに位置は店の中心あたりだからガラス窓の範囲から外れるのにはたとえ男が走ってもその姿が視界に入って気が付ける筈なのに。

 それが分かると俺の体に何か得体のしれないモノが走った。いつもは明るいコンビニが今日だけ異質な雰囲気に覆われている気がしてしかたなかった。


 ……なんだったんでしょうね、あの男?

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