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カタオモイ

作者: 冬の月


もの心ついた頃には、君という存在がすべてだった。


君のために毎日鍛錬をし、勉学に励んだ。

一族の誰よりも努力をし、君の為だけに生きてきた。

だって僕という存在は君の為だけにこの世に生をうけたのだから。




僕の一族は代々、この地に封じている「ある力」の封印を見守るためにいるらしい。

そして君は、現在その力を制御することのできる唯一の存在。

僕たちは光の姫君とか巫女とか呼ぶことがあるけどね。



今の君にはまだその力は目覚めてはいないけれど、もしも君に何かあれば、世界が大きく変わる可能性がある。


だから僕たち一族は代々、この地域と姫君をお守りし、万が一姫君や、封印を狙う者たちがいたら全力で戦わないといけない宿命があるんだ。




僕は生まれた瞬間から君の守護者として決められていたんだ。

君の為だけに生きて、君にすべてを捧げるよう、そう育てられた。

もちろん僕の意志は関係なく。


ああ、こんなことを君が知ったら、どう思うのだろう。



君は優しいから、僕の為に一族の使命を恨むだろう。

そして、根源である君自身を恨んでしまうのだろう。


僕の為に、僕を思って君の心を痛めてくれることはとてもうれしいけれど、僕は決してこの宿命を恨んだり、苦しんではいないよ。

だって、僕には君という光があるのだから。


君ならこう思うことさえ、仕組まれたことだと言って怒るかもしれない。

確かに僕たちの血にはそういうものが組み込まれているのも事実だ。なんでも古の契約をしているらしいからね。


もちろん僕だって普通に世間一般の学校にも行ったから一度は自分の宿命とやらを否定した時もあったけど、それでも君を知ってしまったらそんなのはどうでもよくなってしまったんだ。


この気持ちは僕自身のものだ。

僕の意志で君のそばにいたいと思ったのだから。



君の力が目覚めるまでは、僕は君に名乗ることができなかった。

もしも、僕のせいで君の存在がわかってしまうと大変だからね。


君の為だと思っていても、これはつらかった……。





僕の君への執着、ではなく、熱い想いを、ご当主は気づいてくれて、実はご当主と一緒に君の後ろを歩いたり、君の声が聞きたくて鬱々としていたら、ご当主が専用の電話をくださって言われた時間にいつも君宛に電話をしたり(もちろん君の声をきいたらすぐに切った)、それでも耐えられなくて毎日君のそばにいたいと思っていたらご当主が毎週君の写真をくださったから、なんとか我慢はしていたけれど、最近は君の力が目覚めようとしてるのだろう、魂を飛ばしてでも君のそばにいたいと思ってしまうんだ。

だって僕は君のことを知っていても、君は僕のことを一切知らないから。




君が目覚めれば僕は君のそばにいることができるようになる。

でもそれはつまり、君につらい思いをさせてしまうことでもあるから、本当は喜んではいけないのだろう。それなのに、君の力が目覚めてしまうことを、僕は願ってしまうんだ。そしてどうやらその願いは近いうちに叶ってしまうようだ。



ずっと君のそばにいたい。

僕という存在を知ってもらいたい。

名を呼んでほしい。

僕をみてほしい。


僕の増え続ける望みは、きっと君を困らせてしまうだろう。


僕のような存在はきっと君を苦しませてしまうだろう。


それでも。

今はまだ、隠しておかないといけない気持ちだけど、いつか君に伝えることができるだろうか。

僕に生きる希望をくれた感謝を。

君を心から好きだということを。




ご覧いただきありがとうございました!



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