第3話 1−6
[手の施しようが無い。終わりだ。次の対策を考えなくては]総理はモニター室を後にする。[アノ〜スモーキーガンナーさん。質問があります。奴等のセキュリティーを奪い返す作戦はいかがです?]司が質問する。[本来、サイバーテロなんですよね。向こうの警備は?][そうよね!以外と手薄だったりするのよね]ミホが同情する。[こっちの世界で牽制をする。するとネット社会では手薄になる。僕の計算だと可能だ。確率は低そうだがな。スモーキーガンナー。出撃許可を][………手遅れにならんうちに攻撃か。あり得なくは無い。だが生きて帰る保証も無いぞ。君らが良いなら………][覚悟は出来てるさ]司がモニター室を出る。[私も。意外と可愛いじゃない?あの子]ミホがモニター室を出る。[スモーキーガンナー。指示を。我々の使命はモニター室に居ることでは無いはず][………ピート。極秘だ。知られたら危険にさらす事となる。作戦はこうだ。我々はサイバーテロの内部に潜入する。敵のレーダー近くに行ったらエンジンを止めステルスで走行する。誰か一人でもとは考えるな!三人で帰還する。必ずだ。任せたぞ]スモーキーガンナーは膝まづいて土下座した。[ピート。お前は知らんかも知れんがこれが日本の流儀だ。私は総括である以前に君らの安全を守る義務がある。くれてやるさ!勲章など!]スモーキーガンナーはバッチを投げ捨て頭を下げた。[わかってる。あんたの気持ち。彼等に伝える。あんたも最善を尽くせ。俺らもだ。立場的には一緒だろ?目的は1つ。サイバークロウを排除する。中国の軍事セキュリティーを奪回する。奴等に冥土のノシを付けてな。行ってくる]ピートは急いで二人の後を追った。
[デルタード、司専用機。ガンマード、ミホ専用機。ベータード、ピート専用機。オールクリアー。発進を許可する]三人はネット社会に飛び立った。[敵の座標を転送する。急いで向かえ!これより私が指揮を取る][了解!誘導は頼むぜ!オッサン][オッサンでは無い!スモーキーガンナーだ!指揮長官とでも呼んで欲しいものだな。司君][良いじゃない。オッサン。私は好きよ。その呼び方。慣れてきたのかな?司君に][ある意味な。悪い話では無さそうだ。そうだろ?オッサン][………構わん。好きに呼べ!]
[着いたぜ。オッサン。ステルス機能で潜入する。頼むぞ相棒。黙っててくれ]司はマシンに呼び掛けた。
[Aポイント。異状無し。引き続き警備する]
ズガーン
[何事だ!A地点!報告を!][今見てくる。替わりをよこせ!交代だ!来たら見回りをする][すぐに向かわせる。先に見ておけ][了解。早めに頼むぞ]
[上手くやったな。司君。ダミーの手投弾とは。隙が出来た。中に入るぞ]三人は内部に潜入した。
[オッサン。中の様子を送る。分析してくれ]ピートは素早くキーボードを操りスモーキーガンナーに中の様子を伝える。
[軍事セキュリティーはどこだ?かなり入り組んでるぞ。螺旋階段の様だ。網の目になっている。一歩間違えば命取りだな][当たり前じゃない?司君。機密なのよ。そう簡単には行かないわよ][足場に気を付けろ。踏み外すな][ピート。前方が見にくいわ。閃光弾を撃つわよ][止めろ!ここは敵の中なんだ。どうなるか解らんぞ。そんな派手なもの使ったら][ライトも使えない深海の様だ。迷路みたいだな。たどり着けるのか?俺達は]
[君達!この場所が特定出来た。名称はネイビーラビリンス。海軍の迷宮だ。ここを突破すれば開けるはずだ。だが警備が厚い。それはこの迷宮を含めてだ][聞いた事がある。その昔。そう、中国辺りで王の墓を守る為に数々のトラップが仕掛けられていた。本体にたどり着いた時にはとっくに歳を取っていたと][随分と古風なやり方ね][変わらないのさ。所詮人間だろ?古風だろうが懲りないのさ。今でも変わらない。物事の本質ににたどり着ける人間なんて少ないのさ。だいたいは数々のトラップに引っ掛かる。そこに餌があるから]司はネットハッカーだったころの勘を働かせた。
………実際、僕もそうだった。上手く盗む事は良いトラップを仕掛ける事だと教わった。不思議な物だな。そんなトラップに今、僕は居るんだ。でも僕は知ってるんだ。そんな中に光る一輪の光。それこそが真実だと。人はその為だけに罠に掛かるんだと。たった一輪の光を求めて。…………
[コウ・ウエルズ。良いのか?動かなくて][まだ早い。彼等がラビリンスを抜けられない様では。この先、生きては行けぬ][で、何です?その一輪の光って][ジェネラルキー。次世代の鍵だ。奴等がたどり着ければな]
続く