第3話 その1−2
ネット社会の何処かのポイントに彼等はいた。三台のマシンには彼等が乗っていた。バイクのアルファードには南条 司。戦車のデルタードには安田 美穂。戦闘機のガンマードにはピート・ガリエル。
[良いか。このエリアはホールドされている。外部からの接触は皆無だ。三位一体のタクティクストロア・フオーメーションを完成させるのだ。まずはマシンの特性を掴む事。良いな][スモーキーガンナー!それで勝てるのか?][解らん。前例が無いのでな。彼等とて同じだ。海軍、陸軍を手中に納めたまでは出来ている。だが、統制力や総括に関しては解らんのだ][司君。サイバークロウが行動を移してからじゃ遅いのよ][そうだ。ある程度は完成してるんだろ?じゃなきゃ軍事を乗っ取るなんて無理だ。作戦的には向こうに分がある。意味があるのか?三位一体なんて][三人とも!文句は後だ!時間が無い!ただでさえ即席で作ったカップラーメンの具に過ぎんのだよ!君らは!]
[俺は慣れてきたぜ。走行訓練は充分だ。早く始めようぜ!]司は豪快にアクセルを吹かした。[馴染んできたぜ。この相棒も悪くない。スモーキーガンナー。ダミーターゲットは無いか?飽きてきたぜ][真面目にやれ!遊びじゃないんだ。一応あるが。今、転送する]
[どうだね?スモーキーガンナー。調子は][マズマズですね。総理。メンタルも問題ない。生意気なのがタマに傷だが]
司の前方に二台のマシンが現れた。[ヘッ。鬼ごっこか?大人げないジジイだ。まあ良い。やってやるぜ。ミホさん。先行くよ][どうぞお好きに。ピート。賭けない?私は完敗に賭けるわ][俺もだ。今、分析して割り出した。勝率は極めて低い。まあタコスでも喰らってる間に終わるだろ。ボス。俺らの玩具は?][見ておけ。奴の走りを。以上だ][レースクイーンとかいる?スタイルには自信あるのよねー][要らん。見ておけ。お前らのチームだ]
ダミーターゲットと司は一直線に並ぶ。[見とけよ。お前ら。俺のライディングを。飛ばしてくぜ!]ダミーターゲット二台とアルファードは高速化する。最初のカーブは同じだった。虹色の火花を上げてカーブを曲がる。
[あの身のこなし。やるな。だが、コンマ数秒遅れてる。メンタルは問題ないがな。レースとはどう相手を落とすかだ。攻めの姿勢が無いと勝てない]ピートは分析した。
次の直線はダミーターゲットが攻めてきた。二台は両サイドに並び、司のマシンを包む。[ロックオン。これより仕上げに入る]ダミーターゲットは反転し前方に煙を吐いた。[クッ!………前が見えない。野郎!卑怯な!]次のカーブで司はバランスを崩した。[クッ!…………離されてたまるか!アルファード!武器は無いのか?][あります。レーザーファンネルが。銃弾が展開してレーザーをターゲットに当てる][それだ!行け!ファンネル!]バイクの後部座席が変形し、銃口になる。銃口はターゲットをロックオンする。[来たぞ!防護シールド!転送!]走り去る二台の煙が広がり壁になる。
カーン!カーン!カーン!全てのレーザーが壁に吸収される。[シールド!逆流せよ!タイガーファングだ!]壁は一ヶ所に集まり虎の形になる。
グラルォーッ!虎は司に襲いかかる。[ナッ………なんだ!煙が壁に。壁が虎に。夢か][被弾しました。破損率20。減速します][………イヤ。良い。俺の敗けだ。ゴメン。アルファード。このマシンを甘く見ていた。君の特性を知らずに]
[言ったろ?完敗だって][賭けるまでも無かったわね]
続く